とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Wednesday, November 30, 2011

素敵なフリーデル

1ヶ月くらい前に喰った蕎麦の写真です↓

無名庵っていう蕎麦屋で食べたんですが、なかなかGood!でした。

-無名庵 もりそば (700 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
つゆは甘過ぎず、辛過ぎずで、深みもあり美味しい。蕎麦は、歯ごたえ、喉ごともによく、噛むと味がしみ出る感じ。(味は落ちるが)九段一茶庵や蕎上人に酷似したお蕎麦。


閑話休題


さて、今年上半期に読んだ文献のメモです↓

“Greener” Friedel−Crafts Acylations: A Metal- and Halogen-Free Methodology
Org. Lett., 2011, 13, 2232-2235.

GlaxoSmithKlineの論文で、メタルフリー、ハロゲンフリーでFriedel-Crafts Acylationを行うという内容です。さらに、極めて小さいE-factor (高いmass productivity)を実現しています。さすが、REM (Reaction Mass Efficiency)という環境指標を考案した企業だけのことはあります。

で、反応条件はこんな感じの反応です↓

9 examples, 53-87%。個人的にこの反応で一番凄いと思ったことは、クロロベンゼンでも反応が進行するってことです(収率はイマイチだけど)。これは凄い。

で、代表例はこれ↓
エクセレントなプロシージャーです。

あと、共溶媒の添加でメリットが出る場合があります。

上段は、さらなるアシル化と分解を抑制するのに役立ち、中段は、高沸点溶媒の添加で反応温度アップ。下段は、希釈効果でover reactionを抑えます。

最後に、著者等は自社化合物の合成にこの反応を応用しています↓

昔、Friedel-Crafts使ったプロセス•ディベロップメントでかなり苦労したことがあるコンキチ的には、この反応、機会があれば、是非使ってみたいと思いました。

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Sunday, November 27, 2011

エコ・フレンドリーにオレフィンを開裂せよ

先日、久しぶりに秋葉原のヨドバシカメラのレストラン街に行って、<CHABUTON>のラーメン喰ってきました。


-鶏旨らぁ麺 コラーゲンボール添え (750 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺はスナック系の極細ストレート(かなり好み)。スープは鶏の濃厚かつ上品な味がgood!とても美味しい。バジル風味のコラーゲンボールが添えられていて、これを加えると、oilyなベジタブル感が広がる(個人的の、これはいらない)。スープの表面には油が浮かべていて、最後までアツアツ感が楽しめる。具はズッキーニなど、細小サイコロカットされた食材がちりばめられていて、見た目にも楽しい。
(ただし、この店舗における店員の質は良質とは言えない)


閑話休題


さて、今年上半期に読んだ文献のメモです↓

Oxidative cleavage of alkenes using an in situ generated iodonium ion with oxone as a terminal oxidant
Org. Lett., 2010, 12, 5640-5643.

4-ヨード安息香酸もしくはヨードベンゼンをオキソンで酸化してヨードニウム塩をin situで発生させ、こいつを使ってオレフィンを開裂させるというお話です。


オレフィンの開裂というと、オゾン酸化やオスミウム酸化が真っ先に頭に浮かびますが、その安全性とか装置の制約とか毒性とかが問題になり、愉快な反応とは言い難いと思います。この反応ではアルデヒドの調製は難しいですが、軽く凄いなって思います。(逆説的に、オゾニドって凄いなとも思う)

4-iodobenzoic acidとOxoneの使用量と成果物の生成比との関係はこんな感じ↓

14 examples, 33-90% yield。ちなみにこの反応、ヨウ素源としてはヨードベンゼンでもO.K.です。

あと、著者等が提案する推定反応機構はこちら↓

それから、反応速度は、結合が開裂する二重結合にフェニル基が置換している基質や、リジッドなcis-ジオールで速いようです。

基質一般性は、構造に結構依存しそうですが、この条件で二重結合が開裂するのは魅力的と思いました。

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Sunday, November 13, 2011

滅日

元経産省官僚の古賀茂明氏が現役官僚時代に上梓した「日本中枢の崩壊」を読了しました。


感想を一言で述べれば、官僚機構(公務員システム)ではインセンティブ設定が破綻してるなということでしょうか。要は、自身が所属する官庁の仕事をムダに増やすことが評価の対象で、国家のために費用対効果を高めても全く評価されない。マジで狂ってる。それから、先輩(の施策)を批判するのは最大級のタブーだそうです(この無謬性も変態じみてる)。

あと、この本を読んで分かったことをメモしてみます↓

a) ダメな自民党から民主党へと政権交代したが、民主党は(やっぱり)ダメダメだった
b) 保護主義は(第一次産業も含めて)産業の競争力を奪う
c) 零細農家の多くは兼業農家かじっちゃんの趣味。農業生産額先進国第二位
d) 官僚は一度入省すると、その官庁は終の棲家になる
e) 無能な民主党では公務員制度改革は無理
f) 民主党議員は労組とべったり(組合は一年生議員の選挙活動を支援する)
g) 長妻氏は厚労相時代、全省的に激しいサボタージュにあったと推測される
h) 永田町言葉の特徴→「しっかりと」といったあまり意味のない表現で、ニュアンスを出す(無能宰相の菅直人が得意だった)。あと、「きっちり」とか「是々非々」とかも無能な政治やがよく言うよね。
i) 霞ヶ関言葉「○×等」と「等」を入れた場合、後で拡大解釈するための布石 「前向きに」は「やる」。「慎重に」は「やらない」
j) 橋龍は、晩節は散々だったけど、構造改革・行政改革に燃えていた(経済財政諮問会議つくったのは彼の内閣だしね)。女癖は悪かったようだけど、一廉の人物ではあったと思うな。
k) 「一元化」→「一体化」は後退。例えば、「幼保一元化」は最近「幼保一体化」と言い直しているが、「一体化」は完全に一緒にするというわけではないという意味を含んでいるという。一つの建物のなかに幼稚園と保育園がそれぞれ独立して入っていれば「一体化」されたといえる(物理的な一体化。中身は全く前と同じで、所管するのもそれぞれ文科省と厚労省)。
l) 「人事院からの(内閣人事局への)機能移管なんて絶対にできるはずないよ。僕だってやろうとしたけどできなかったんだよ」 by 石原伸晃。けっこうヘタレだな。
m) ヤマトホールディングスでは、管理職には全員、評価の順番がついていて、下位1割は、たとえ失点がなくても、自動的に入れ替えられるシステムになっている。古賀氏はこの人事システムを官僚機構に導入することを提案している。

気になったことのメモはこんな感じかな。


古賀氏は、現在の日本が凋落ぶりは危機的状況にあり、一刻も早い改革が必要だが、国家の中枢の危機感は希薄だとおっしゃる。しかしながら、改革派官僚の最右翼の古賀氏をスポイルするような政党では、改革はおぼつかないでしょう。もう、我が国は行くとことまで行っちゃわないと(尻に火がつかないと)、真剣に改革しようなんていう気にはならないでしょう。そういう観点から考えると、ダメダメな民主党を敢て応援して、彼の党に一度日本をケチョンケチョンに叩き潰してもらった方が、結果的に構造改革が推進されるんじゃないかななんて思った二流大出のガテン系研究員でした。


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Tropylium Ionの新展開

先日、御徒町の蒙古タンメン中本に行って蒙古タンメン(770 JPY)を(初めて)食べてきました。

で、その感想です↓

-蒙古タンメン memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
味噌ラーメン(タンメン)に辛めの麻婆豆腐(挽肉無し)を載せた商品。麺は白色の中太で微弱にウェーブ。十数年前のリンガーハットのチャンポン麺とうどんの中間の食感か?甘めの無難な味噌ラーメンに麻婆を載せた安直なラーメンは普通に美味しいけど、ただそれだけで特筆すべきことはない。アンは硬めで(形崩れ防止?)好みではなく、大量に入っているキャベツは茹で過ぎで食感悪く邪魔。再訪しようとは全く思いませんでした。
後日、サッポロ一番ミソラーメンに挽肉無し麻婆豆腐載っけて食べたら普通に美味しかったですけど、蒙古タンメンも、味の相性のみに依存したその程度のレベルのラーメンと思いました。


閑話休題


今年上半期に読んだ文献のメモです↓

Tropylium Ion Mediated α-Cyanation of Amines
J. Am Chem. Soc., 2011, 133, 1260-1262.

aromatic cation (シクロプロペニウムカチオン)を用いて反応開発してきた著者らが、今度はトロピリウムイオンに目をつけました。で、本報は、トロピリウムイオンでアミンをイミニウムイオンに酸化し、そこのCN-を作用させてアミンのα-位をシアノ化するというお話です。


ちなみにこのトランスフォーメーションをDDQ, KCN, !8-C-6で行うと、α-シアノ化はベンジル位が優勢となります(C-H結合の結合解離エネルギーからはベンジル位での反応が期待される)。

で、著者らはトロピリウムイオンとDDQを使った場合の選択性の相違は、下図に示すようなelectron donor-acceptor complexを仮定すると上手く説明できるのではないかと考えています(electron donor-acceptor complexは、J. Am. Chem. Soc., 1989, 111, 2954.で報告されているらしいです)。


あと、こんな基質ではaza-Cope転位が起こります↓

(トロピリウムイオンによるN-アルキル化はジフェニルの立体障害により抑えられると著者等は考えている)

トロピリウムイオンの電子的・立体的チューニングや他の官能基導入とかが今後の展開としてあるのかな?


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Saturday, November 12, 2011

Aromatic Cation Activation (4): CyclodehydrationのためのCyclopropenium Cation Activation

先日、映画「ステキな金縛り」を観てきたんだけど、最高にイイね
主演の(ボクの大好きな)深津絵里が最高にキュートで良いです(この髪型にグッときました)。(個人的な)最大の見所は、ふかっちゃんの金縛りシーン(ホント秀逸な演技)。

オレって10年くらいプロセスやってたせいか、豪華絢爛な映画よりも、こんな映画が好きです。三谷(関連)作品はそこそこ観てますね。例えば↓












閑話休題


今年上半期に読んだ文献のメモです↓

Cyclopropenium-Activated Cyclodehydration of Diols
Org. Lett., 2011, 13, 740-743.

Lambert等はこれまで、アルコールの塩素化カルボン酸の塩素化Beckmann転位に自身の開発したAromatic Cation Activationを適用してきましたが、今回はジオールのCyclodehydrationによる環状エーテル合成に応用しています(10 examples, 81-95% Yield)↓

(X=OMs, in situで3,3-ジクロロ-1,2-ジフェニルシクロプロペンを発生させます)

従来のジオールのcyclohydrationの問題点には、選択性の欠如、過酷な反応条件、調製が面倒な試薬の使用、いやらしいバイプロの生成といったものがあるようです。

で、今回、著者等が開発した方法だと、穏和な条件下、高収率、高選択性で反応が進行します。また、メシル化された化合物は生成せず(基質: 1,4-ジオール、1,5-ジオール、1級アルコール)、α-ヒドロキシエステル、ベンジル保護された1,2-ジオール、ニトロアルコールを基質に用いた場合でも、β脱離することなしに反応が進行します。

あと、2-hexen-1,6-diolを基質に用いると、SN2'型の生成物が得られます↓



それから、フェノール性水酸基でもオッケーで、クロマンを合成できます↓



最後に、グラム・スケールでの反応で実用性をアピール↓

(Ms2Oのみだとno reaction。Ms2O, Et3N, 12 hで18% yield)


個人的に、機会があったら使ってみたい反応です。ちなみに、Ms2Oじゃなくて(COCl)2でシクロプロペノンを活性化するとSN2率が甘くなります。


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