とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, June 24, 2012

Hartwig Difluoromethylation

先日、ちばき屋っていうラーメン屋に行ってきました。

-ちばき屋 メモ-
支那そば (700 JPY)
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺はコシのある超極細縮れ麺でボクの好みの仕上がり。スープは魚介と獣系のmix(多分)でかなりあっさりしている。中華系の定食屋のスープに酷似しているが、それよりもしっかりした味で粘度を少し感じる。麺へのスープの絡み具合は良好で、はっきり言ってとても旨いオーソドックス系ラーメンに仕上がっている。具は、チャーシュー、メンマ、カイワレ、のり、ネギ。のりはとても美味しい。チャーシューは脂が抜けているが歯ごたえは楽しめ可もなく不可もなくといった印象。オーソドックス系ラーメンでもここまで旨くなれることに驚き。


閑話休題


流行ってるぜフッ素化(-F, -CF3, -CF2H)ということで、こんな文献を読んでみました↓

Copper-Mediated Difluoromethylation of Aryl and Vinyl Iodides
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 5524-5527.

Hartwigの開発したジフルオロメチル化のお話です。

前回のブログでメモしたBaranの芳香族複素環に対するC-Hジフルオロメチル化でしたが、今回のHartwigの報告は、ヨウ化アレーンとVinyl-Iに対するジフルオロメチル化です。


Ar-CF2Hの合成法は、Ar-CHOをSF4, DAST, Deoxofluorといった試薬で処理するのが一般的らしいですが、これらの試薬は水との接触でHFを放出したり、加熱すると爆発的に分解したりするらしいです。

また、最近、網井らによって報告された3段階からなる合成法(上記Scheme中段)では、最初のクロスカップリングが電子不足のヨウ化アリールでしか進行せず、3段階トータルで控えめな収率に留まるようです(Org. Lett., 2011, 13, 5560. 読んでないけど)。

で、著者らが着目したCF2H源は、TMSCF2Hで、これはTMSCF3 (Ruppert-Prakash reagent)をジグリム中、室温でSBHを作用させることで調製できます(70% yield, マルチグラムオッケー)。

最初、著者等は以前報告したトリフルオロメチル化(http://researcher-station.blogspot.jp/2012/03/hartwig-trifluoromethylation-late-stage.html)と同様に(1,10-phenanthroline)CuCF2Hでジフルオロメチル化を試みますが、多くはアレーンとなり、目的のジフルオロメチル体はトレース量しか得られなかったそうです。

で、最終的に見出された条件は↓

14 examples, 37%-quant. (19F NMR yield), 30-90% isolated yield

electron-neutral, electron-rich, sterically hinderdな基質で高収率。アミン、エーテル、アミド、エステル、芳香族臭化物、THPエーテルに対して適用可。ケトンやアルデヒドはジフルオロメチル基のカルボニル基への付加と競合してしまうけど、アセタール保護したケトンはオッケー。

電子不足な基質だとアレーンが主生成物となり、トレース量のトリフルオロアレーンとテトラフルオトエチルアレーンが副生するそうです。

あと、この反応はVinyl Iodideにも適用可能です↓

NMR収率、括弧内は単離収率

著者等はいろいろと検証実験を行い、その結果を考察することで、この反応は、まずCu(CF2H)2-が生成し、これが不安定なCuCF2Hのリザーバーの役割を果たし、その結果CuCF2Hが低濃度に抑えられることによってCuCF2Hはその分解が抑えられてヨウ化アレーンと反応すると考えているようです。

それにつけてもHartwigの仕事って、ホント、スマートでカッコいいなあと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。


ちなみにTMSCF3はTCIで9,300 JPY/5g, 28,800 JPY/25 gで売ってます(http://www.tcichemicals.com/eshop/ja/jp/commodity/T1570/)。

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DFMS: Baran's New Reagent

最近愛読している「めしばな刑事タチバナ」(漫画)に名代富士そばのカレーかつ丼なる商品が紹介されていて、その味を確かめてみたと思って、とうとう初めての富士そばに行ってきました(ちなみに、「めしばな刑事タチバナ」はジャンク・グルメ紹介漫画だ)。

いざ富士そばに入ってみたんですが、ボクって一応蕎麦喰いなので蕎麦食べたくなるじゃないですか?
(一応、富士そばも蕎麦屋なので)オーダー変更して「かつ丼セット」=かけそば(大盛り)+かつ丼+温泉卵をチョイスしました(なんとか、かつ丼をたのむことでカレーかつ丼の雰囲気を維持した感じ)。ということで、富士そばメモです↓

-富士そば 神田今川橋店 かつ丼セット (690 JPY)メモ-
-RATING-   激マズ
-REVIEW-
・かつ丼/ 学税時代学食で売ってたかつ丼ライクな味と食感。はっきり言って、油が良くない(けっこうクサい)。
・蕎麦/ ソバは茹で加減が不均一で全然ダメ。とても不味い。ツユもスーパーで売ってる市販品級。しかもデカイお椀に全てのツユが入っていてネギまで投入済みで提供される。ワサビの不味さも天下一品。「スーパーの味を店舗で」以上にダメダメ。

ちなみに、店内のクリンリネスも全然ダメで、店員も愛想がいいとは言い難かったですね。っていうか、どうでもいいけど、良いところが一つもない。


閑話休題


今年上半期に読んだ論文のメモです↓

A New Reagent for Direct Difluoromethylation
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 1494-1497.

またPhil S. Baranの報告で、heterocycleのダイレクト・ジフルオロメチル化のお話です。ジフルオロメチル化は、(i) アルデヒドをSF4やR2NSF3 (DAST, Deoxofluor)で処理する方法や、(ii) ハライドとTMSCF2CO2Etとのクロスカップリング/加水分解/脱炭酸、(iii) Ar-CF2Brのラジカルデブロミネーションなどがあるようですが、いろいろと問題があるみたいです。

で、著者らが見出したのがZn(SO2CF2H)2 (DFMS)という試薬(CF2HSO2ClをZn(0)と反応させて合成する)。

22 examples, 30-90% Yield

こいつを使うとマイルドな条件(室温)で反応が進行し、オープンフラスコでオッケーで、電子欠乏部位で選択的に反応が起こるようですこれは、前回のブログでメモしたBaranのとダイレクト・トリフルオロメチル化とは対称的で、その点についてorthogonalityをアピールしています (see http://researcher-station.blogspot.jp/2012/06/700-jpy-rating-review-innate-c-h.html )。


また、使用する溶媒によって伴う位置選択性も変わります↓



さらに、チオールやエノンへも適用可↓


それにしても、凄いバイタリティーとクリエイティビティとプロダクティビティだなと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

あ、あとDFMSはアルドで18,400 JPY/gで売ってます(http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/aldrich/l510084?lang=ja&region=JP)。


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Saturday, June 23, 2012

ダイレクトにlate-stage trifluoromethylation

先日、柏にある東池袋大勝軒いちぶんに行ってきました。で、そこで食べた中華そばのメモです。

-中華そば (700 JPY) メモ-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
麺は細麺と中太麺を選択可能で細麺をチョイス。ただ、個人的にはどうみても中太にしか見えなかったが、モチモチしてプッツリとした食感のとても美味しい麺。
スープは上品で粘度を感じる魚介系も塩味が足らず、麺の強さにうまく対応できていない。
具はナルト、タマゴ、焼豚、海苔、シナチク、万能ネギ。




閑話休題


今年上半期の読んだ論文のメモです↓

Innate C-H trifluoromethylation of heterocycles
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2011, 108, 14411-14415.

Phil S. BaranのC-Hトリフルオロメチル化のお話です。

23 examples, 33-96% Yield

反応はマイルドな条件で進行し、オープン・エアでオッケー。官能基許容性も高く、様々な電子状態の複素環に対して適応できます。置換箇所が複数ある基質では選択性はでるものの位置異性体のmixtureになってしまいますが、late-stage C-H trifluoromethylationを具現化している点は純粋に凄いと思います。

しかしながら反応条件は、NaSO2CF3 (3 eq.)とtert-BuOOH (5 eq.)で反応させて、反応が完結しなかったらさらにNaSO2CF3 (3 eq.)とtert-BuOOH (5 eq.)を加えるというお世辞にもスマートなプロシージャーとは言い難いように思います。

あとこの反応、普通に撹拌して反応を行うと発熱が凄くて、試薬がぶっ壊れてコンバージョンが上がらない(ってことだったような気がする)。なので、無撹拌状態(=有機相と水相が分離した状態)、もしくはあまり調子にのって強撹拌しない条件で反応した方が、良好な撹拌状態で反応を行った場合よりも系内の発熱が抑えられ、コンバージョンもUP↑するという検討初期段階のデータがあります。

で、実際の反応ではどんな操作してるのかと思って、SIを見てみたら、基質、NaSO2CF3, CH2Cl2, H2Oのmixtureに0℃で強撹拌下、ゆっくりとtert-BuOOHを加えて、その後室温に昇温するっていうものでした。

ちなみに、気ままに創薬化学さんの記事によると、「すでにいくつかの製薬会社で使われている」らしいです(プロセス・ケミストはあなどれないね)。
see http://medchem4410.seesaa.net/article/246126702.html

あと、この反応の特徴として著者等はorthogonalityと溶媒の適切な選択による位置選択性のチューニングを挙げています↓


最後に、著者等の考える推定反応機構はこちら↓



以上、メモでした。

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Sunday, June 10, 2012

日本人の真実 (2)


←紫陽花の季節がやってきましたね。これから梅雨かと思うとうっとおしいですが、雨に濡れて映える紫陽花は、梅雨時の清涼剤です。


閑話休題


随分前に読んだ本なんですが、リチャード・フロリダ教授(トロント大)の執筆した「クリエイティブ・クラスの世紀」っていう本があります。その本では、トレランスな都市がクリエイティブ人材を引きつけ発展を遂げるということが書かれており、(当時の)国別のクリエイティブ・ランキングが発表されています。ちなみに、ランキング(当時)は↓

1位 スウェーデン
2位 日本
3位 フィンランド
4位 アメリカ
5位 スイス
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.
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となっており、我が国「日本」は堂々の第二位です(当時)。

当時この本を読んだボクは、日本の「トレランス」はけっこう脆弱だと思っていて、

トレランスのマイナスポイントに
a) 移民政策に対して否定的。
b) 前例主義的。官僚主義的。
c) 実益よりも儀式を重んじるところがある。
d)エスタブリッシュメント(っていうか頭の堅い爺さん)が幅を効かせている。

といったことを挙げ、

プラスポイントとして
a) 宗教に対して寛容(っていうか関心がない?)。
b) 世界に冠たるオタク文化がある(最近富みに市民権を得てきたと思う)。
c)過去においては大陸からの文化を柔軟に吸収してきた。
d)気が弱く自虐的なせいか、他国の人と激しく対立しない(=仲良くなる確率が上がる)。和を持って尊しとなす。
e) 原爆を落とした国とも仲良く出来る。

ということを考えていて、プラスマイナス相殺すると、日本もそれなりに寛容性がある国家なのかもしれないと結論付けました。see http://researcher-station.blogspot.jp/2007/12/blog-post.html


ところで、最近、先のブログで書いた通り「日本人は、とっても世俗的(合理的)で、血縁・地縁を嫌うとっても個人主義的な生き方をしている」と主張している本を読んだんですが、その主張が真実なら、この特性こそが(上記プラスポイントとかぶる部分はありますが)日本(人)のトレランスの源にしてクリエイティビティを発揮する根拠かなと思いました。

クリエイティブ・シティは、クリエイティブ人材の集積が必要になるんだけど、地方(血縁・地縁)を捨てて、夢を実現(生きたいようにいきる)すべく東京などの大都市を目指し、一人一世帯(や核家族)という居住様式で生きる世界でも類例をみない(かつての若者といまの)若者の超個人主義的な価値観こそが、しがらみや古い掟に捕われない寛容性の一側面をあらわしているのかなと感じました。

ちなみにボクは、面倒なしがらみで制約されるムラ社会は大嫌いで(大学入学を機に上京してそのまま)、全ての宗教(勿論三大宗教も込み)はクソだと思っている(死んだら骨は海に散骨して欲しい)、典型的な世俗的日本人なのかもしれません。

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日本人の真実

先日、浜町で蕎麦を喰ってきたんですが、かなりハイレベルなお蕎麦でした↓

-浜町藪そば メモ-
せいろそば (大盛り) 790 JPY
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
超極細の蕎麦は、食感が良く、コシ強く、力強い味わいで、よく噛んで味わう系。極細なのでのど越しもよく、喉でも蕎麦を存分に味わえる。ツユは辛口でしっかりしたbodyを感じる。しょっぱいだけでなく、優しい甘さも適度にある(辛さの後に甘みがあらわる感じ)。そして、蕎麦とツユがbest much!当初、ツユは徳利無しで提供されたため、いかがなものか思ったが、蕎麦に余分な水分があまり無いため、ツユが水気で薄まるのは気にならないレベルだった。
雰囲気良く、接客も悪くない店と思いました。


閑話休題


先日、橘玲の新作「(日本人)かっこにっぽんじん
」を読了しました。
日本人を括弧でくくるという、いささか人を食ったようなタイトルですが、その内容である日本人の特質の考察は注目に値すると思いました。


一言で言うと、
「日本人は、とっても世俗的で、血縁・地縁を嫌うとっても個人主義的な生き方をしている」
と要約されるようです。


本書では、

日本人の特性というと、「和をもって貴しとなす」といったものが象徴的だけど、それはなにも日本特有のもではないという。そもそも、所謂日本人特有と言われている基質は、洋の東西を問わず、あらゆる農耕社会に共通な特質だといいます。

農耕社会では、その特性上「土地(なわばり)への執着」が生まれます。バブル経済全盛に流行った「土地神話」も日本に特殊な現象ではなく、全ての農耕社会は1万年前から土地神話に呪縛されていたと言います。
また、「島国根性」という言葉も、囲いをつくって敵から土地を守るというという農耕社会の基本原理で(例: 万里の長城)、「開放的な農村」は原理的に存在しないと言います。
そして、農耕社会における最も重要な特徴は「退出不可能性」=「ムラ社会」で、その共同体の一員としてずっとその土地に住み続けなければいけない社会であると解きます。そういった閉鎖空間では、共同体のなかで対立が生じたときに行う政治は、「妥協による全員一致」以外にあり得ず、「身分」=「各自の社会的な役割」の固定(「分」を守って生きる)が起こるそうです。

ちなみに、タイは日本以上にものごとの白黒をはっきりさせることを好まず、面子と気配りを重要視し、政府は日本以上に何も決められず(無責任社会、責任回避社会)、位階(ヒエラルキー)社会だと言います(ラオスはタイに輪をかけてそういった傾向が顕著らしい)。

それじゃあ、日本人固有の特性とはなんなのかというと、それは、世界でも稀に見る高い「世俗性」だそうです(ダントツでNo. 1に世俗的)。これは、ロナルド・イングルハート(アメリカの政治学者)の価値マップから明らかにされたといいます。また、世界価値観調査では、日本人は、ダントツで国にために戦う気がなく、ダントツで日本人としての誇りがなく、ダントツで権威や権力を毛嫌いする特徴を有するという結果が示され、日本人の極端な世俗性と整合します。さらに、日本、中国、韓国、アメリカの四カ国中で、日本は最も個人主義的な生き方をしているという調査結果もあるそうです。
ちなみに著者は、大伴家持の句であったり、オリジナルの仏教を世俗化した日本式インスタント仏教、戦前戦後における日本人の変わり身の早さなどを例に挙げて、日本人の世俗性は伝統的なものだと主張しています。


そして著者は、

a) アメリカニズムは、アメリカが人種のるつぼなるがゆえにグローバルスタンダードとなり世界を浸食していき、その流れはグローバルスタンダードであるがゆえに止められない(例えば、アメリカでは人種、宗教、性別、年齢で社員を差別することは許されない。結果、定年は存在せず、履歴書には生年月日を書く欄も写真を貼る場所もない)。

b) グローバリゼーションは先進国と発展途上国との間の格差をフラッット化する一方で、先進国内の格差を拡張する。

c) よって、先進国はダウンサイジングを迫られることで、国民の「夢」や「希望」がない世界になる。

d) 経済的には行き詰まりを伺わせる先進国だが、ソーシャルメディアの出現により、人は評判獲得競争(評判経済)により参入しやすくなった。そして、人は貨幣より評判を選好する。貨幣経済→評判経済への転換がポスチモダン。

e) 社会そのものは変われなくても、伽藍(ムラ社会, 閉鎖系)→バザール(自由と自己責任が一体, 開放系)への転換は個人としては十分可能であり、バザール世界の住人の増加が伽藍世界を壊す圧力となる。

と続け、

最も世俗的な日本人が、自由な自己表現のできる社会を構築(伽藍→バザール)すれば、徹底的に世俗的(合理的)な人々によって構成される、誰もが自由に自己表現・自己実現できる社会が形成され、ユートピア=(退出可能な開放系の社会である)最小国家のフレームワークが実現できる。

という著者の夢で締めくくられています。


本書でとりあげられたサーベイの有意性や、著者が最近傾倒し、本書の論拠の一部となっている進化心理学のプレゼンスをボクは評価できないけど、これまでの「日本人像の常識」を真っ向から覆す「新たな日本人像」の提案は非常に興味深く、刺激的と思いました。


それから、本書では幾つかの(ボクにとっては)センセーショナルな内容がけっこうまぶされています。例えば↓

・新渡戸稲造の「武士道」は、新渡戸の「日本人の理想像」を創造(フィクション)したものに過ぎない(新渡戸が明治維新を迎えたのは7歳。武士道は歴史研究家でもない新渡戸ななんお資料もないカリフォルニアで書かれたもの)

・「菊と刀」を著したベネディクトの仕事は、日本占領に備えて日本人とアメリカ人の違うところを探すことが前提にあった(日本人の特殊性にのみフォーカスされた)=「日本人論」は輸入品

・温帯ベルト仮説(ジャレド・ダイアモンド, アメリカ進化生物学者)=「農耕文明は気候の違いを超えることができない」→近代以降の世界史の展開にも適用

・日本のサラリーマンはアメリカの労働者よりもいまの職場が嫌いで、会社への忠誠心が低いという社会調査の存在

・福祉国家の試みは破綻した(福祉国家は、人口の少ない寒冷地で、住民が一カ所(首都)に固まって住んでおり、資源に恵まれているような国でしか成功しないモデルである。例えば、
スウェーデンの人口は約1000万人。ちなみに神奈川県の人口は約900万人)

etc.....

この本の著者を、「研究者でもないくせになにを言ってるんだコイツは」と批判するのは容易いし、いろいろとツッコミたいところもあるけど、橘氏の視座というかアイデアはとても刺激的で魅力的にもみえる。読んでみて損はない本ではないかなと思いました。
(彼は、昨年の震災・原発事故以降、センチな論調で未来について語ることが多くなったような気がする。ボク的にはそういった筆致はあまり好きではないが、氏のシニカルな表現はまだまだ健在で、そのセンチさを補ってあまりあるほどと思います。)

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