とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, October 21, 2012

One-pot Sequenceを極めろ (2)

最近、YEBIS STOUT CREAMY TOPにハマってアマゾンで箱買いしているコンキチです。 

-YEBIS STOUT CREAMY TOP memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
note: chocolate-like, sweet, dark, roast, fruity
taste: roast, creamy, mild, sweet, bitter
とりあえず、とっても美味しい。久々のハマったビール。
クリーミートップ魔法の泡のつくり方
その一、缶から直接飲まず、タンブラーに注ぐ
その二、タンブラーを傾けず、置いたまま、底の中心目がけて注ぐ
その三、泡立つ様をよくよく鑑賞する
その四、極上のきめ細かな泡を堪能する
-DATA-
原材料/ 麦芽、ポップ、窒素
アルコール分/ 5%
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amazon.co.jp


閑話休題


上半期にこんな文献を読んでみました↓

Practical one-pot preparation of ketones from aryl and alkyl bromide with aldehydes and DIH via Grignard reagents
Tetrahedron, 2012, 68, 6557-6564.


千葉大の東郷先生のグループの報告で、前回のブログでメモした論文の発展版に相当する論文です。

前回メモした反応↓

この方法だと、アルキルアルキルケトンはつくれないけど、

This work

本報では、アルキルアルキルケトンもオッケー。さらに極低温も必要ないです。さらに、Turbo Grignardでハロゲン-金属交換を行えば、エステル、シアノ基、ケトン、ニトロ基を有する基質でも適用可能です。

あと今回、Grignard試薬とアルデヒドとの反応により生成する金属アルコキシドの酸化は、ヨウ素ではなく、DIH (1,3-Diiodo-5,5-dimethylhydantoin)を使用しています。ちなみに、ヨウ素を使っても反応は進行するけど、おしなべてDIHの方が収率が良いです(DIH 0.8 eq, K2CO3 2.1 eq.でいける)。



DIHはヨウ素に較べればそりゃあ高いけど、ラボスケールベースではそこそこ手頃で(TCI, 5,600 JPY/5 g; 16,500 JPY/25 g)、非常に低毒性な試薬だそうです。

ちなみに、DIHはヨウ素2 eq.分に相当し、酸化力も高いです。TCIメールによると、「反応終了後に生じるジメチルヒダントインは水洗により容易に除去可能」のようです。

ちょっとやってみたいかな

あっ、あとこのビールホントにおすすめネ↓


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One-pot Sequenceを極めろ

先日、キッコーマンの工場見学(もの知りしょうゆ館)に行ってきたんですが、なかなか良かったです。10年ぶりくらいに行ったんですが、まめカフェっていうキッコーマン醤油を使ったちょっとした飲食店が新たにできていて、これがまた良かったです。

で、まめカフェで食べたモノをメモして見ます↓

-しょうゆソフトクリーム (250 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
特選丸大豆しょうゆを使用したソフトクリーム。しょうゆをクリームに混ぜ込むことで、キャラメル風味が醸し出されています(これは凄い)。ソフトクリーム自体はとってもfattyで、これが醤油によって誘起されたキャラメル味とベストマッチ。ちなみにキャラメル様の香り立ちは(ボク的には)殆ど無し。マジで美味しい。


-生しょうゆうどん (150 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
限定品の再仕込みしょうゆ(もの知りしょうつ館と通販でのも販売)を使用。角張ったところがなく、普通に美味しい。


ところで、お醤油のペットボトルにはいっている横線は、ボトリングの際に泡が立ちにくくするための工夫なんだそうです。


閑話休題


上半期にこんな文献を読んでみました↓

Facile preparation of aromatic ketones from aromatic bromides and arenas with aldehydes
Tetrahedron, 2012, 68, 1436-1442.

千葉大の東郷先生のグループの報告です。


リチオアレーンをアルデヒドと反応させ、生成したリチウムアルコキシドをヨウ素で酸化することで、ワンポットでアリールアルキルケトンを合成するというお話です。スタンダード・コンディションは、n-BuLi (1.1 eq.), RCHO (1.05 eq.), I2 (1.6 eq.), K2CO3 (3.0 eq.)。

(アリールアルキル)ケトンをどうやって作るかっていうと、ちょっと漠然とし過ぎて抽象的だけど、まあいろいろとがあります↓

a) 2級アルコールの酸化
b) Friedel-Craftsシル化
c) Houben-Hoesch反応

d) Fries転位

e) RCu(CN)M (M=ZnX, MgX, Li)と塩化アシルとの反応
f) CoBr2を用いたArZnBrと塩化アシル or 酸塩化物との反応
g) CuBrとPd(F6acac)2を用いたα-oxocarboxylateとArBrとのdecarboxylative couppling
h) ニッケルが触媒(NiCl2(DME)/dppp/Zn)するArIとニトリルのカップリング
i) アルキルアレーンの直接酸化 (N-hydroxyphthalimide, IBX, H2O2-HBr)
j) 有機金属試薬(Mn, Zn, Cu, Fe)のアシル化
k) Grignard試薬とニトリル or Weinrebアミドとの反応
l) NMP存在下でのGrignard試薬と酸塩化物との反応 (Org. Biomol. Chem., 2011, 9, 5365.)
m) RMgClとVCl3から調製した有機バナジウム試薬とアルデヒドの酸化的反応 (J. Am. Chem. Soc., 1985, 107, 7179.)

とかがあります。まあ、それそれシチュエーション毎に利点有り、問題有りかと思いますが、基質の入手容易性、安価な試薬、簡便な手法という点で本法にはそれなりにかなりの優位性があると思います。

ただ、-78℃という極低温条件はサンプルワークレベルでは問題ないけど、企業化に際してはハードルが高いです。

でも、これってアルデヒドへの求核付加がいけばいいわけだから、基質がAr-Xなら(ボクの大好きな)Griganrd試薬でどうなの?って思った二流大出のなんちゃって研究員でした。

あっ、あとこの反応って、プロピオンアルデヒドを使うと、エノール化が起こって収率が低下するそうです。

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Sunday, October 14, 2012

偏差値70のラブコメなんです

有機化学ラブコメの旗手、喜多喜久氏の新作「ラブ・リプレイ」を読了しました。

またもや東大農学部の有機合成のラボを舞台にした、恋愛に奥手な理系男女のファンタジー・ラブコメです。理系女子×有機化学ラブコメ×ミステリーという謳い文句でプロモーションされてるけど、今回の作品は、有機化学色とミステリー色は大分薄いです。そして、キーワードは「惚れ薬」。

処女作の「ラブ・ケミストリー」のカロン的な高次元の存在により、想いを寄せる幼馴染み理系男子の死の未来を知った主人公理系女子恋愛奥手ヒロインが、幼馴染み理系男子の死を回避すべく、タイムループという未来シミュレーションを繰り返して理想の未来を構築すべく悪戦苦闘するというお話で、ヒロインの純(ピュア)なココロと揺れる恋心がこの作品をたまらなく甘酸っぱいものにしています。

タイムループ(未来シミュレーション)のリミットは10回。タイムループを繰り返すごとに、一難去ってはまた一難といった感じで物語は進行していきますが、結局は予定調和の学園ラブコメ・サスペンスです。そして、この作品の最大の魅力は、ベタベタな予定調和のラブコメ・ストーリーなのです。お互いに奥手な理系男女の歯がゆいベタベタで甘酸っぱいラブコメは、理系男子には満足に足る出来映えと思います。

物語の舞台もラブコメとしての出来も偏差値70と思いました。ちなみに、オレのカミさんって同じ大学の同級生(幼馴染みでは全然ない)なんだけど、大学時代の甘酸っぱい思い出が蘇ってきたね

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Hartwig Fluorination

先日開催された「つくば CRAFT BEER FEST」(9/28〜9/30)でビールを堪能してきたので、そのメモを書きます(自分で言うのもなんですが、相当呑んだね)。筑波大の学生を中心に運営されているというイベントみたいです。まあ、学生が運営してるということで、ちょっとグダグダだったけど、けっこう堪能できましたね。で、呑んだビールのメモ↓


-NEST BEER WHITE ALE memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
SharpでCitrusなニュアンスの爽やかなビール。淑女をイメージさせるワインのような香り高さ。トップはシトラス系の爽やで上品な香りのハーモニーが流れる感じで、軽くminty?柔らかくマイルドな舌触りで、Yeastの香りも残る。ライトボディーだけれど、モルトの甘い香味がよくでているよう。フィニッシュはオレンジ様の酸味と甘味のシナジー。すっきり爽快系。

-Ushiku Chateau Beer Helles memo (右下)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
日本人が好きそうな淡色ラガー。ちょっと不快な匂い。麦の香味。比較的ライト。

-Ushiku Chateau Beer Pilsner memo (左下)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
light type。フィニッシュにbitterと僅かなcreamy。不快な匂い。

-Ushiku Chateau Beer Belgian White memo (左上)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
バナナ様の魅惑的で濃密な香り。とっても柔らかな口当たりで、fruityな香味が口の中いっぱいに広がる。topからfinishにかけての力強い"fruity"さは秀逸。相当にレヴェルの高いtropicalで蠱惑的でとっても美味しい。

-Ushiku Chateau Beer Pale Ale memo (右上)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
バランスのとれた秀逸な香味を持つ、普通にとっても美味しいペールエール。ちょっと焦げたfruity noteと熟れた果実の香味が素晴らしい。beautifulな香り。その美しい香りのニュアンスがそのまま味へと引き継がれる。とってもfruity。

-Tsukuba Craft Beer Fest Original Beer memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
学生が木内酒造の施設を借りて醸したBeer。とにかく強烈なキック。麹様の香り。根底の力強さを感じさせる香り。今までに味わったことのない味。硬派さと上品な香り高さを併せ持つ玄妙な香り。味は香りの強さに較べて穏やかだが、麹様のニュアンスを引き継ぎつつ充分なコクがあって旨い。フィニッシュは軽妙なfruityさがある。難しい味だが美味しいBeerに仕上がってている。

-Ushiku Chateau Beer Dunkel memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
香りのイメージは、吸い込まれるような漆黒のニュアンスで地を這うようなイメージ(黒部ビールにかなり似た香りだけど、earthyさが殆ど感じられないのが大きな違い)。とても好ましい甘い香り。力強いbody。濃厚な糖の味わい。とってもdeliciousな味!


閑話休題


上半期にこんな文献を読んでみました↓

Copper-Mediated Fluorination of Aryl Iodides
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 10795-10798.

Hartwigのグループの報告です。

近年、こんな感じの芳香環のフッ素化が報告されていますが、電子吸引性置換基のついた基質でしかうまくいかないらしいです↓

(左側はBuchwald et al.; Science, 2009, 325, 1661.)

で、著者らの仕事はこちら↓


強い金属-フッ素結合は、C-F結合を形成させる還元的脱離を競合する副反応よりも遅くしてしまうらしく(Nature, 2011, 473, 470.; Science, 2009, 325, 1661.)、高次の銅を介した反応を設計することが適切らしいです。

で、著者らはarylcopper (III) fluorideからの還元的脱離が、非配位性のカウンターイオンや弱い電子供与性の配位子によって促進されるという仮説を立て、検討を続けます。

著者らがチョイスした触媒は、(RCN)nCuXなんですが、これらの試薬はマルチグラムスケールで合成可能です。


で、ニトリルユニットはtBuCNが一番よくて、カウンターイオンはOTfがグッドです(OTfはSbF6より再現性は高いらしいです)。で、tBuCNが結合したCuOTf錯体は、真空下、室温でおいておくと(tBuCN)4CuOTfから二つのニトリルが抜けて(tBuCN)2CuOTf(酸素に安定で大気中でゆっくりと湿気を吸う)になるそうです。

基質一般性はこちら↓


ちなみに、系内に存在する水やニトリルのα-水素がareneが副生を促進させます。

あと、著者らが各種実験事実と考察から導き出し、提案してる反応機構↓



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