とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Saturday, February 14, 2015

続•縮合剤の値段(軽く)調べてみました


艦これ冬イベを攻略し終えたオタッキーのコンキチです。丙作戦だったけど天城GETできました。

E-5(丙)は、この編成が思いのほか力強く安定しましたね↓


閑話休題


以前、縮合剤の値段(軽く)調べてみましたという記事を書きました(http://researcher-station.blogspot.jp/2014/08/blog-post_31.html)。その中で、ベンゾトリアゾール系とOxyma系の縮合剤の値段の調査結果を記載しましたが、これじゃやっぱダメじゃね?って思ったので、再調査してみました。

どこが駄目と思ったかというと、それは試薬会社です。要は、縮合剤に最も強いと思われる(ボクはそう思ってます)渡辺化学工業についてサーチするのを失念していたからです。

ということで渡辺化学工業で売ってる縮合剤の値段(定価)を調べてみました↓


やっぱ安いね渡辺化学

最近、思うんですけど、試薬グレードでも値段がメッチャ違う場合がけっこう有りますね。

高成長の時代が(とっくに)終わった日本企業でコスト•カットは必定。できるだけ安い試薬をチョイスしたいと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。

あと、納期(在庫)も考えてね。

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Wednesday, February 11, 2015

DMEAD: Alternative to DEAD

北千住にある、あの「孤独のグルメ」でも紹介されたタイ料理の店に行ってきました。

-ライカノ memo-

-タイ風焼きそば(スープ付) (580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺の形状はきしめんに似た平たい麺。食感は非常に弾力に富み、モチモチしている。味付けはジャンキーで甘みが強い。軽く味噌を想起させる味で、濃いめ。具は野菜(類)と(多分)豚肉。
麺の味はけっこう旨くて、味付けはくどめ。調味料がテーブルに4種類((多分)魚醤, 塩, ピーマンとキュウリのみじん切りの入ったお酢, 唐辛子ベースの何か)用意されている。
途中まで調味料を何も振りかけずに食べていると、ジャンキーでくどめな味に飽きてくるが、調味料を加えると激的な味の変化が訪れてとても面白い。
で、調味料で一番面白かったのが魚醤。くどいくらいの味付けの焼きそばに魚醤をたらして口に運ぶと、魚醤の魚くささが感じられなくなり、微妙にmildな味になる。
それから、お酢の調味料もいい。酢のトゲトゲしさは無く、くどさが緩和され、mildな味へと変化する。
唐辛子ベースの調味料も良い。油っぽさと唐辛子のdryな辛みとの相性が良い。ほどよくspicyになって、あっさり感も出る。

-トムヤムクンスープ麺 Rice noodle Tom yan kun (945 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
スープは、とってもエスニック調のspicyな香りが立ち、少し粘度を感じるとっても美味しいトムヤムクン。パワフルな辛さと酸味の中にcreamyさを感じる。 
麺はフォーで、角の立った蕎麦を思わせる形状で、やや硬めに茹で上げれている。ついでに、茹でムラがあり、硬い部分と柔らかい部分の混ざった独特の食感を醸し出している(この茹でムラハ、パスタ、ラーメン、蕎麦といった他の麺類ほどには気にならない)。麺の味は極めて淡白。トムヤムクンのような濃厚spicyスープに良く合っていると思う。
超エスニックな濃密スープと淡白麺とのシナジーを感じる。

-鶏カーリックライス (スープ付き) (810 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
米はインディカ米で口の中でパラパラ解けていく。ご飯の舌触りが最高に心地よい。控えめなガーリック風味がやんわりと食欲をそそる。全体的に控え目な味付けで食べ飽きることがなく、とても美味しい。そして、具の蒸し鶏が旨い。余計なくさみは無く、鶏の旨味が染出てくる。そのまま食べて旨い。タレは基本キムチライクなtasteで、やんわりトムヤムクン様の香味がして、ピリッと痺れるけっこうパンチの効いた辛い味。で、このタレをかけると、おとなしかったライスの味がとたんに躍動する。ニンニクと唐辛子がとても良く合っている。正にシナジー。
このメニューはクセになりそうな一品。量が少なめで、これだけでは小腹が満たされないのが唯一の欠点。
あと、一緒についてくるスープは、上品であっさりとした中にもエスニック調の香味がまぶされている。具は、ネギ、キクラゲ、白キクラゲ、大根(?)。

-Chang BEER-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
独特のエスニック調(を想起させる)の香味とラムネを想起させる爽やかでfruityな香味がある程度の力感をもって存在する。根底にはsweetnessがあり、とても面白い味。クセになりそう。
-DATA-
原材料/ 麦芽•ホップ
アルコール/ ca. 5%
タイ国内シェア/ 約60%

あと、この店のお水って、chocolateチックなflavorがやんわりする気がするんだよなぁ。また行きたい店と思いました。


閑話休題


けっこう前に出た論文ですが、こんな文献を読んでみました↓

Di-2-methoxyethyl Azodicarboxylate (DMEAD): An Inexpensive and Separation-friendly Alternative Reagent for the Mitsunobu Reaction
Chem. Lett., 2007, 36, 566-567.

けっこう有名な試薬だと思うので知ってる人も多いかと思いますが、DMEADというDAD系の光延試薬の話です(DMEADはエステルユニットがmethoxyethylです)。

光延試薬は、ボクの学生時代のボスのご学友である光延旺洋先生(故人)によって開発された試薬で、その有用性は全ての有機合成化学者にとって周知のことと思います。その立体反転(SN2)に対する信頼性の高さは他に類をみず、様々な光学活性化合物の合成に使われていますが、オリジナルなメソッドにはそれなりに問題点もあります。で、DEADに関してよく指摘されている問題点は、

a) DEADは爆発性が報告されていること
b) 副生するヒドラジン誘導体の分離が難しく、毒性があること
c) 求核剤のpKaの制約

といったところでしょうか。

a) DEADは爆発性が報告されていること」については、代替試薬としてDIADがあり、工業的に用いる場合はこの試薬を使うのが一般的と思いますが、「b) 副生するヒドラジン誘導体の分離が難しく、毒性があること」、「c) 求核剤のpKaの制約」に対するソリューションにはなり得ません。そこで、b), c) のインプルーブメントに対する取り組みがなされてきました(とは言っても、DAD系試薬には潜在的に爆発性があるので注意)。

で、今回は「c) 求核剤のpKaの制約」はおいといて、「b) 副生するヒドラジン誘導体の分離が難しく、毒性があること」に対するインプルーブメントを効率的に達成したのがDMEADです。

光延反応後に副生するDMEAD-H2をaqueous workupで除去できるというのがウリです。例えば、こんな具合に↓


DEAD-H2やDIAD-H2が水に殆ど溶解しないのに対して、DMEAD-H2は水に良く溶けます。水(と有機溶媒)に対する溶解度はこちら↓

DMEAD-H2の水に対する溶解度の大きさと、トルエンに殆ど溶解しないという特性が光ります。本報の代表例ではTHF中で反応を行っていますが、特に問題なければトルエン中で反応を行い、aqueous workup時もトルエン抽出するのが最も効率が良さそうです(通常、光延反応に仕様される溶媒は、THF, PhMe, CH2Cl2と思います)。

また、万が一aqueous workupでDMEAD-H2を取りこぼしたとしても、DEAD-H2やDIAD-H2と比較してDMEAD-H2はかなり極性が高いため、カラム精製による除去も容易です。

以上のことから、DMEADは光延反応後に副生するヒドラジン誘導体の除去がかなり容易であろうことが分かりました。後は、DEADやDIADと比べて反応性はどうかってことだと思います。

で、本報ではDIADとの比較をしていています↓


pKa 3.44から10.20の5種類の基質を試していて、だいたい活性は同程度といったところと思います。ボク的には、DEADとDIADの活性はほぼ一緒という認識なので、DEADもDIADもDMEADも同程度の活性なんだろうと考えます。

あと、DMEADのその他物性はこんな感じ↓

Appearance/ Light Yellow Prism
Melting Point/ 40-41˚C
Decomposition Temp. 210˚C (927 J/g)
Soluble in THF, Toluene, CH2Cl2, etc.
http://www.toyobo.co.jp/seihin/fc/dmead.htm

それでは、最後に価格(試薬グレード)を比較してみましょう。

DMEAD (Mw. 234.21, CAS# 940868-64-4)
   WAKO   75,000 JPY / 100 g, 176 JPY/mmol
   TCI   7,100 JPY / 5 g, 333 JPY/mmol
   Aldrich   27,000 JPY / 25 g, 253 JPY/mmol

DEAD (Mw. 174.16, CAS# 1972-28-7)
   WAKO   55,000 JPY / 100 g, 96 JPY/mmol
   TCI (40% in PhMe)   30,000 JPY / 250 g, 52 JPY/mmol
   Aldrich   N/A
   Alfa Aesar   59,400 JPY / 100 g, 103 JPY/mmol

DIAD (Mw. 202.21, CAS# 2446-83-5)
   WAKO   11,000 JPY / 100 ml (d 1.039-1.049), 21 JPY/mmol
   TCI (40% in PhMe)   19,000 JPY / 250 g, 38 JPY/mmol
   Aldrich   68,000 JPY / 500 g, 28 JPY/mmol
   KANTO   25,500 JPY / 100 g, 52 JPY/mmol

確かにDMEADは高いけど、ラボレベルではそれほど気にする必要はない値段と思います。ヒドラジンカルボキシレートの除去の容易さを考慮すれば、ラボレベルではファースト•チョイスにセレクトしてもいいんじゃないかとボクは思います。

どうでしょうか?あなたも明日からDEADの替わりにDMEADを使ってみませんか?

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


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Sunday, February 8, 2015

オキサゾリジノンが愛しくて


艦これの冬イベントやってるんですが、香取をGETしたところで資材(燃料)が尽きて休憩中のオタッキー•コンキチです。

これ、E-4乙作戦の最終形態ね↓



閑話休題


学生時代(もう十数年前になるけど)、光学活性化合物を扱っていたので、Evansの不斉補助剤の論文などもジャブ程度に読んでいたりもしました。

で、このEvansの方法は、補助基を導入してジアステレオ選択的に反応を行った後、補助基を切断するわけですが、その条件っていうのは"LiOH/H2O2"っていうのが一般的なんだろうと思います(いろんな論文のschemeによく書いてあったような気がする)。

どうして、普通に加水分解じゃなくて、過酸化水素を加えて酸化的に切断するんだろうと疑問に思って十数年。久方ぶりに気になったので、ちょっとだけ調べてみました。

答えはやはりEvansの論文の中に有り。1987年の古い論文ですが(当たり前か)、こういうことらしいです(Tetrahedron Lett., 1987, 28, 6141-6144.)↓


要は、補助基を外す際に、exocyclicendocyclicに結合が切断させる可能性があって、"LiOH/H2O2"の条件だと"exocyclic"選択性がとても高いということです。

例えば、補助基を切断してカルボン酸を得る場合、LiOHで加水分解(Tetrahedron Lett. ,1987, 28, 1123-1126.)するのに対して、"LiOH/H2O2"でLiOOHを発生させて酸化的に切断する(workupでNa2SO3で処理して、過酸をカルボン酸に還元する)方が圧倒的にexocyclic選択的に反応が進行します(LiOHによる加水分解だと、けっこうendocyclicな切断が起こる場合がある)。

"LiOH/H2O2"以外の切断方法だと、環外のカルボニル基周りが立体的に混みいっていいない場合はecocyclicに結合が切断され望みの生成物と補助基が回収され、R基が嵩高いとendocyclicの補助基のカルボニル基での反応が競合してくるそうでが、"LiOH/H2O2"だと、そういった嵩高い基質でも圧倒的にecocyclic選択的に切断できるというのが素敵なところです。

それから、LiOHによる加水分解で問題となるオレフィンの共役化(異性化)対策にも"LiOH/H2O2"条件は効果的です↓

Tetrahedron Lett., 1986, 27, 4957-4960.

オキサゾリジノンの切断方法には、LiOBn, Ti(OBn)4, BrMgOMe (J. Am. Chem. Soc., 1982, 104, 1737-1739.; Tetrahedron Lett., 1987, 28, 1123-1126.; J. Am. Chem. Soc., 1985, 107, 4346-4348.)、LiBH4 (Tetrahedron Lett., 1986, 27, 4957-4960.)などが有りますが、これらと比較しても"LiOH/H2O2"が最もexoxyclic選択的だと言います。

で、このLiOOHの特異な選択性は、

a) "HOO-"はその塩基性の低さ (pKa (HOOH) = 11.6 vs pKa (HOH) =15.8)のために、"OH-"による加水分解よりも反応が可逆的であろうこと
b) "OH-"による加水分解の選択性は四面体中間体形成の相対速度に支配され、"HOO-"による開裂の選択性は結合開裂の相対速度によって決まるであろうこと
c) 水中で、"HOO-"は溶媒和エネルギーが小さく、"OH-"より大分小さいサイズの求核剤であること

といったことから発現していると著者(Evans)等は考えているようです。


うーん、そうだったのか。(恥ずかしくも今更ながら)疑問氷解です。

Evansのchiral auxiliary(ボクは使ったことないけど)って最早古典的と言っていいほど貫禄があると思います。で、古典的=教科書的な反応って、なんか根拠無く勝手に分かった気になってるところがありますが、それじゃあいけないですね。"古典"こそ、その"理"を知って使わなければダメだなと改めて思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。

あと、one more thingで、非環式の基質の結合切断にも選択性が出ます↓


(allylic 1,3-strainによってpivaloylのカルボニルが電子的に活性化されているのだろうと考えているようです)


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