とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, May 31, 2015

CO等価体がサンプルワークを変える (3)

去年の夏に行った沖縄料理屋のメモです。

-がちまい食堂 memo-

-オリオンビール(生ビール) (550 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
期待通りの薄さのビールがヒエヒエで提供される。エクストラコールドライクでまあまずます。薄いビールと低温提供の相性の良さを再認識。


-半タコ半そば定食 (650 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
タコライスと沖縄そばのセット。タコライスも沖縄そばも初めて食べました。
•タコライス:ライスの上にレタス、挽肉、チーズ、サルサが盛りつけられている。子供でも分かる分かり易い旨さ。悪くはないが、凡庸な味。
•沖縄そば:平打ちの軽くウェーブがかった麺は饂飩様。麺の厚さに濃淡があるような食感で、噛むとちぎれるように切れる食感が面白い。味はスナックライクな饂飩といった呈。カップヌードル系の麺を饂飩並みにボアアップさえました的感じ。っていうか、どん兵衛の麺に酷似している。
スープはインスタントのお吸いもののスープをジャンキーにしたような味。あっさり系だけど、人工的な味。
具は、麩みたいなものと万能ネギ、紅ショウガ。紅ショウガは薬味としては強すぎて、味を殺してしまっていると思った。
あと、島とうがらしをかけて食べるのが"通"的な貼り紙があったのでやってみた→島とうがらし調味料は、INFERNO PEPPER FLAVORED VOFKA様の乾いた辛さで、これを沖縄そばにかけると、辛さがup↑し、味が殺される。
それから、もずく酢がヒエヒエで付いてくるんですが、これはとても良かったです。

定食は内税で、それ以外は外税。因に、「がちまい」は沖縄方言で「食いしん坊」の意味らしいです。


閑話休題


CO等価体のメモの続きです。今回メモするCO Alternativeは、N-formysacchalinです。

【特徴】
•アミンの安価なホルミル化剤としてCosey等により開発(Synlett, 2011, 1920.)
•結晶性が高い
•サッカリンから簡単に合成できる

で、読んだ文献はこちら↓

Palladium-Catalyzed Reductive Carbonylation of Aryl Halides with N-formylsaccharin as a CO Source
Angew. Chem. Int. Ed., 2013, 52, 8611-8615.

CO alternativeを使ったカップリングで、ハロゲン化アリールからベンズアルデヒド誘導体を合成しようというお話です。

まず、芳香族アルデヒドの合成法として真っ先に思い浮かぶのは、ベンゾエートの金属ヒドリドによる還元ですが、毎度のお約束で官能基許容性に乏しく、極低温が必要です(そういった問題点を解決した金属ヒドリド還元→http://researcher-station.blogspot.jp/2013/09/partial-reduction.html)。カルボン酸から誘導した場合は、一旦エステルに誘導してから還元した方が無難なのでステップ数が増えといった問題があります

Direct formylationも古典的で、金属-ハロゲン交換によりメタル化した後、DMFと反応させるという方法がありますが、これもお約束で官能基許容性が乏しいので、比較的簡単な基質にしか適用できません(化学両論量の金属試薬の使用もdrawbackの一つに挙げられているけど、ボクは問題とは考えません)。

化学選択性が高い方法として、COガスをreactantに用いたハロゲン化アリールとのカップリング(Palladium-catalyzed reductive carbonylation)がありますが、一般的なプロトコールが僅かしかなかったり、5 barの合成ガス(CO/H2=1:1)が必要だったりします(工業化されてるらしいが、サンプルワークには圧倒的に不向き)。
ref. J. Am. Chem. Soc., 1974, 96, 7761.; Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 154.; Chem. Asian J., 2012, 7, 2213.; J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 15549.

そして、お約束のCO Alternativeを使ったカップリングの話になります。過去30年に渡るCO Alternativeの研究の中で、ヒドロキシ-、アルコキシ-、アミノカルボニレーションに関しては幾つかの成功例が報告されているそうですが、還元的カルボニル化はハードルが高く、外部CO源に熱的に不安定なacetic formic anhydrideをCO源を用いた例が一例報告されているに過ぎないらしいです、しかもカップリングパートナーはヨウ化アリール限定(Cacchi et al., J. Comb. Chem., 2004, 6, 692.)。

ということで、還元的カルボニル化における有用なCO Alternativeの開発がThsi workになります。著者等の戦略は、生成したσ-アシルパラジウムをヒドリドドナー(Et3SiH)で補足してやればアルデヒドがGETできるだろというものです。

で、幾つかのCO Alternativeを試してみます↓


•ギ酸ブチル→主に脱ハロゲン化してアニソールを与える(CO Alternativeの反応性が低い)
•ギ酸フェニル, TCPF→メインはアルコキシカルボニル化が進行。シランと較べてフェニールのPd中心への求核性が高い
•N-formylsaccharin→Excellent!サッカリン(pKa=1.6)はフェノール類(pKa=6-10)より求核性が低い

こんな感じで、N-formylsaccharinのみExcellentな結果が得られました。そこで、COスースにN-formylsaccharinを使って、最適条件を鋭意検討して設定した反応条件はこちら↓
24 examples, 36-87% isolated yield

官能基許容性は、エーテル、エステル、アミド、アルデヒド、アミン、ニトリル、ジオキソランがあってもオッケーです。
それから、α-一置換の基質はまずまずの収率ですが、2,6-二置換した基質は全然ダメ(trace)です。

あと、反応機構についてですが、当初、著者等はアシルパラジウム種とシランの反応により触媒サイクルが回って行くのだろうと考えていましたが、


といった事実や、


といった事実から、アシルサッカリンが中間体として生成していそうであることが示唆されました(当初の仮説=「アシルパラジウム種とシランの反応により触媒サイクルが回る」が排除されたわけではない)。


さて、N-formylsaccharinのまとめ(ウリ)です↓

a) Palladium-catalyzed reductive carbonylationにおいて、唯一実用的なCO Alternative
b) CO源のN-formylsaccharinの使用は少過剰(1.5 eq.)でよい
c) ボチボチな反応温度
d) 多様な臭化アリールに適用できる
e) 取り扱い易い

やっぱ官能基許容性の高さと、取り扱いの容易さが魅力的と思いました。サンプルワークの幅が広がると思います。

まだ続く.....

沖縄といえば、ガッキー大好きな二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。

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Saturday, May 30, 2015

CO等価体がサンプルワークを変える (2)

かつて柏のそごうに四川飯店がありました。いつか行こうと思っていたのですが、気がつけば閉店。残念な気持ちでいっぱいになりました。

それから月日は流れ、柏四川飯店元料理長の店があるというではないですか。で、 行ってみました↓
-ほんわ華や memo-

-マーボー豆腐ランチ (850 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
マーボー豆腐、ご飯、漬物、スープのセット。
マーボー豆腐が旨い!辛さはさほどきつくなくて、普通な感じ。コク深く、優しい甘みがある。中華系の食欲を誘う香ばしい香味。細かめに切り出された絹ごし豆腐と適度な粘度が醸し出す心地よい食感は、ごくごく飲み干したくなるほどのレベル。勿論、ご飯も進む。
中華系卵スープはコーンの香味が効いていて面白い。
ザーサイは、けっこう薄くスライスされていて、食感が少し物足りないか。

-サンラータンメン (870 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は(前回ブログで書いた)菜工房と酷似した麺。スープはシックで重厚で美味しいんだけど、辣が大分弱い。かなり上品な味。具はシンプルで、挽肉と青物葉野菜。ボク的にはジャンクでボリューミーな酸辣湯麺を期待していたので、ちょっとガッカリ。

-陳麻婆豆腐ランチ (1,200 JPY)-
-RATING- N/A
-REVIEW-
激辛マーボー豆腐、ご飯、漬物、スープのセット。
(この店の)通常(日本人向けにアレンジされたノーマル版)の麻婆豆腐とは様相が大分違う。ノーマル版と比較して、流動性が少ないくソリッドな感じで。挽肉richなことに加えて、麻婆本体の周囲には辣油が滴り広がっている。で、ソリッドな食感に加えて、猛烈にspicy。まず、提供された段階で、料理に鼻を近づけなくても、山椒のspicyな香りが鼻腔を刺激する。挽肉から猛烈なspicy感が放たれている(と思う)。ノーマル版より辛さがup↑しているにはup↑しているが、それよりも山椒の効かせ方が尋常ではない。咽せるほどのflavorと、舌は勿論、口腔内全域が猛烈に痺れる。信じられない程痺れる。
山椒は中国山椒で、デフォルトでは大さじ一杯分が入っているとのこと。初心者は必ず山椒の量を減らしてもらって様子をみたほうがいい。
ごめんなさい。中国山椒を舐めてました。

-あんかけカニチャーハンランチ (1,200 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
チャーハンに白い餡が掛かっている。カニはチャーハンではなく、餡の方に入っている。餡はメレンゲ様のフワフワで不思議な食感。カニ風味のフワフワの餡をすくってチャーハンに掛けて食べるスタイル。チャーハンの味も餡のスープの味も美味しい。カニが滋味深い味を演出。チャーハン自体はしっとり感が残っていて、口の中でハラハラと崩れる感じで美味しい。

-カニ入りチャーハン (1,000 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
しっとり系。口の中でハラハラほどける。上品な味付けながらも、しっかりした味。カニは大きな塊ではなく、細かく万遍なくまぶされ、カニ風味をチャーハン全体に感じさせる。美味。

このお店は、小綺麗で接客がとても良いです。あと、プライス的にはランチが圧倒的にお得です。通いたい店と思いました。


閑話休題


CO等価体のメモの続きです。今回メモするCO Alternativeは、2,4,6-trichlorophenyl formate。読んだ文献はこちら↓

Trichlorophenyl Formate: Highly Reactive and Easily Accessible CO Surrogate for Palladium-Catalyzed Carbonylation of Aryl/Alkenyl Halides and Triflates
Org. Lett., 2012, 14, 5370-5373.

最近(2011年)のCO等価体の研究に、Strydstrup等の報告があります。これは、結晶性のCO surrogateを用いたPdが触媒するカルボニレーションで、silacarboxylic acidまたはtertiary acid chlorideがCO供給源として使われています。

J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 18114.

J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 6061.

Strydstrup等の手法はCOの発生量を厳格に制御できるようですが、
aex situでCOを発生さる
b) CO発生にもPd触媒を使う
といった使い勝手の悪さがあります。

そこで、This workでは、著者らの簡便な操作でオペレーションできるphenyl formateの研究をさらにmodifyしてたfomateベースのCO等価体の開発を目指します。具体的には、


(1) CO surrogateとしての反応性up↑を狙って、ギ酸フェニルの芳香環のo-またはp-位に電子吸引基を導入

ref.
辻らは、ギ酸フェニルの芳香環への電子吸引基の導入が反応を加速させると報告している。

Adv. Synth. Catal., 2011, 353, 475-482.


(2) (ラボでの)取り扱い結晶性の試薬の開発。結晶ゆえ安定性も期待できる。

(3) 生成物(エステル)のさらなる誘導体化を簡便に行えるよう、求核剤への活性が高い試薬の設計

を行いました。

で、鋭意検討して導きだされて化合物が、2,4,6-trichlorophenyl formate (TCPF)です。


TCPF-NEt3システムは室温でCOを放出するため、カルボニル化反応も室温という極めてマイルドな条件で反応を実施できます。官能基許容性も良好で、ニトリル、ケトン、アルデヒドがあってもオッケーです。そして、得られたトリクロロフェニルエステルは種々のカルボン酸誘導体へと容易に変換可能です。

ところで、TCPFのCO発生能は極めて高いです↓


ところで、著者等に提示する基本方法は、基質(ca. 0.5 mmol)、触媒、配位子、TCPF (2 eq.)、溶媒を混ぜておいて、最後に塩基を加えて素早く密閉して反応を行うというものです。で、この手法で基質にブロモナフタレンを用いて反応を行うと、室温では反応はあまり進行せず、反応温度を上げてもlow yieldだそうです。

これは、

(1) 室温で反応が進行しないのは、ブロモナフタレンのPd触媒への酸化的付加が遅いから
(2) 加熱して反応を行って収率が低いのは、(a) 即座に発生するCOが、そのπ-酸性のため、ブロモナフタレンのPd触媒への酸化的付加を阻害する。(b) 即座に発生したCOが気相に抜けてしまう(実際、80℃で反応を行うと反応直後に激しい気泡が発生する Organic Square, 49, 2014.)。

ということが考えられます、

要は、COの発生速度とカルボニル化反応(酸化的付加)の速度のミスマッチが低収率の原因ということです。なので、TCPFのslow additionすることによりこの問題を解決することが出来ます。

ちなみにこのカルボニル化反応ですが、普通のglasswareを使って20 mmol scale (2-ナフチルトリフルオロメタンスルホナート 5.57 g)で実施実績があります(この場合、滴下ロートから塩基を滴下してCOの発生速度を制御し、容器内の内圧が上がらないようにコントロールしている)。はっきり言って、普通のガラス器具である程度の量をサンプルワークできるのは価値が高いと思います。

それから、carbonylationで得られるトリクロロフェニルエステルから、どれくらい他のカルボン酸誘導体に持っていき易いかです↓

なかなかいい感じと思います。

どれでは、2,4,6-trichlorophenyl formateのウリをまとめます↓

a) 結晶性のCO surrogateである
b) 外部COの必要ないin situ法である
c) 室温でCOが発生する
d) formateの使用は"near-stoichiometric"で良い
e) カルボニレーション反応で得られるトリクロロフェニルエステルは、アルキルエステル、アミド、チオエステル、カルボン酸に、簡便かつ高収率で誘導可能

サンプルワークのシーンでけっこう使い勝手が良さそうな試薬と思いました。

続く.....


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Sunday, May 10, 2015

CO等価体がサンプルワークを変える (1)

楽しかったGWも終わり、哀しい気持ちで仕事モードに復帰したコンキチです。

今年は、のんびりしたGWを過ごしましたが、去年は子供たちを連れて遊園地に行きました。GWでも全然混まない遊園地に。

GWでも混雑しない遊園地があるのか?と思われる方もいるかと思いますが、チバラキにはあるんです、野田のジャスコの近くに位置する「もりのゆうえんち」という遊園地が。目印は国道16号近傍に聳えるでかい観覧車です。設備は大分ちゃちいけど、待ち時間は皆無で、ちっちゃいおこちゃまたちのはベストマッチの施設と思います。

で、もりのゆうえんちに行った際にお昼ご飯を食べた店をメモしてみます(もりのゆうえんちは入園は無料)。

-菜工房 memo-

-酸辣湯麺 (1,059 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
酸辣湯スープは、酸と辣が見事に効いていてgood!。胡椒のspicy感も良く出ていてよても良い感じ。上品tasteとジャンキーさが融合している、まさに上品にジャンキーな味わい。
麺は半透明極細ストレート。コシは無いが、極細麺の束が口の中をくすぐる感覚がとても楽しい。歯切れもよく美味しい。
で、極細の麺の束がスープを存分に絡め、アツアツで怒涛の迫力を感じる。
具も豊富。溶き卵、筍、豆腐等々、異なる具の全く違った食感が口の中でミキシングされ踊っているようだ。
器は大きめで、極細麺が癒着せずにしっかりばらけていて食べ易い。
これず酸辣湯の醍醐味と感じされる秀作と思いました。

-海老のチリソース煮 (1,080 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
プリップリのfreshな食感の海老にマイルドなチリソースは万人が食べ易いjuicy tasteに仕上がっていると思います。

-蟹肉炒飯 (972 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
炒飯はどちらかというとしっとり系で、食べ飽きない味。口の中での崩れ具合が良い。で、レタスが入っている、個人的に炒飯に入っているレタスは嫌いなんだけど、程よく油が絡んでいて、しんなりしていて、さほど違和感を感じなかった(レタスのシャキッとした食感が炒飯と合わないと思うんですよね)。具は、玉子、葱、蟹肉、蟹肉はけっこう肉感があって、満足に足る量が入っている。ただ、少しカニくささが鼻につく感じ。

-焼きそばランチ (1,620 JPY)の焼きそば-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺は細麺で、基本、つるつるした食感。ところどころに焦げた部分があり、そこが香ばしくてとても旨い。焦げ部分の食感も好み。焦げが見事なアクセントになっている。それから、具がとてもfresh & juicy。


閑話休題


静岡県立大学の眞鍋先生が開発した一酸化炭素等価体を用いたカルボニル化を何回かに分けてメモしてみます。

一酸化炭素(CO)はC1化学において重要な化合物で工業的にも用いられていますが、周知の通り、無色•無臭•可燃性の有毒ガスで、ラボでは使い勝手が悪く、気軽に使える物質ではありません。スケールが小さければ小さいほど、反応を仕込む際にげんなりするのではないでしょうか?(っていうか、ラボではあらゆるスケールでげんなりします、ボクは。)ボク的には、ラボ•ユースで使いたくない試薬トップ10に入ること間違い無しと思います。

上述したラボ•ユースの面倒くささから、COガスの使用を回避するためにCO等価体の研究がなされてきています。これまでに見出されたCO等価体として、ギ酸誘導体や金属カルボニル錯体などがありますが、CO等価体からのCO生成条件がキツイ条件だったり、co-catalystとして高価な金属を使用しなければならない等問題、多大な改善の余地があります。

で、眞鍋先生のグループが見出した、よりマイルドな条件でCOを生成するCO等価体はこちら↓


まずは、phenyl formateを用いたカルボニル化に関する論文をメモしてみます。読んだ文献は↓

Palladium-Catalyzed Carbonylation of Aryl, Alkenyl, and Allyl Halides with Phenyl Formate
Org. Lett., 2012, 14, 3100-3103.


「ハロゲン化アリール→カルボン酸エステル」というトランスフォーメーションは、「ハロゲン-金属交換して二酸化炭素と反応させてカルボン酸とした後エステル化する」というのがコンベンショナルと思いますが、有機金属を発生させるため官能基許容性に乏しいです。ステップ数も多い。

このトランスフォーメーションにおける化学選択的な合成法に、ハロゲン化アリール、アルコール、一酸化炭素ガスを用いたパラジウムが触媒するカルボニル化がありますが、ラボでCOガスは使いにくいのでCO alternativeを探しましょうというお話です。

CO alternativeにはギ酸誘導体がありますが、これまでの報告例では効率が悪いそうです。directing groupが必要だったり、co-catalystとしてルテニウム触媒が必要だったり、強塩基が必要だったり、高温が必要だったり、高圧が必要だったり、大過剰のformateが必要だったりして、その結果、使える基質が制限されます。
(Synth. Catal., 2010, 352, 1205,; J. Org. Chem., 2003, 68, 1607.; Tetrahedron Lett., 1991, 32, 4705.)

This workはCO alternativeにギ酸フェニルを用いたPd-catalyzed carbonylationのインプルーヴメントです。
for Aryl, Alkenyl, adn Allyl Halides: 21 examples, 62-99% yield
for Heteroaromatic Bromides: 10 examples, 64-99% yield

formateがBnエステルやEtエステルではダメ。
官能基許容性は、エステル、シアノ、ケトン、アルデヒドがあってもオッケー。
ニトロ基を除いて、4-位と2-位の置換基は反応に影響せず、立体障害も収率に深刻な影響を及ぼしません。

この反応、目的物の生成がギ酸フェニルの減少に対応しているころから、ギ酸フェニルからのCOとフェノールの生成が律速段階だと想定されます。

また、ギ酸フェニルの分解速度はこんな感じ(多分、これとても重要)↓


0.5 hr/ ca. 40% conversion
1 hr/ ca. 60% conversion
2 hr/ ca. 80% conversion
3 hr/ ca. 90% conversion
4 hr/ ca. 90
6 hr / almost complete conversion

この分解反応はPd cat.とリガンドを入れて反応を行っても反応速度は全く変わりません。

それから、推定反応機構はこちら↓


で、この反応のウリですが↓

a) directing groupが必要ない
b) cocatalystが必要ない
c) COガスを使用しない
d) 大過剰のformateは必要ない

です。

続く.....

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Monday, May 4, 2015

PhenoFluorMix : Beyond PhenoFluor

千葉県知事の森田健作(本名:鈴木栄治)がフジテレビで毎週日曜の朝8:55-9:00からやっている「千葉からの贈り物」っていう番組があります。この番組は、森田知事が千葉県各所の名所、名勝、名物を紹介しまくる千葉県プロモーション番組で、ボクはこの番組に関してだけは森田知事を非常に高く評価しています。だって、ちゃんと継続的に千葉県をプロモーションしてるから。何年か前の宮崎県知事とは全然違います。

で、その番組で紹介されていたイタリアン•レストランに無性にそそられたので行ってきました。


-遊食伊太利庵 丁字屋栄 memo-

-モレッティ BIRRA MORETI (500 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
light typeのビール。穀物系様の香味がするも、かなり淡いというか薄い。良く言えばスッキリ。どうってことのない味。
-DATA-
原材料/ 麦芽、ホップ、とうもろこし
アルコール分/ 4.6%
原産国名/ イタリア

-Bランチ (1,680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
アンティパストミスト、パスタ、自家製パン、コーヒーのセット。
アンティパストミストは普通に美味しい(★★★)
パスタは選択制で、「本日シェフのオススメパスタ=ホタルイカとルッコラのアーリオオーリオトマトソース」をセレクト。パスタは平打ちで食感がツルツルモチモチで楽しい。ホタルイカは大振りで柔らかく、弾力があって滋味豊か。肝のくさみが適度にあって、fresh感とのバランスの良さを感じる。トマトのプチプチした感触も残っていて、トマトのfresh % Juicyとルッコラのherbalのハーモニーが良い。(個人的に、具にホタルイカを使うなんて挑戦的と思った)(★★★★☆)
自家製パンは2個いただける。ボクが選んだのは、ベーコンパンと明太子パンをチョイス。あと、食パンをいやしい目で見つめていたら、食パンをサービスしてくれた。いろんな種類のパンが入ったバスケットの中から所望するパンを選ぶと、パンを温めて持ってきてくれてけっこう美味しい。で、凄く秀逸だったのが自家製(藤右ェ門オリジナル)のアンチョビバター。バジルの香味とアンチョビの塩魚くさい香味の詰まったこのバターが絶品。食パンをセレクトして、このオリジナルバターを堪能するのがオススメ(★★★★★)

古民家を改装した店舗は、シックで落ち着いたレトロな雰囲気を感じさせてくれて落ち着きます(まさに大正浪漫と勝手に思う)。

ちなみに、アンチョビバターは隣のベーカリー蔵日和で売ってます。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

PhenoFluorMix: Practical Chemoselective Deoxyfluorination of Phenols
Org. Lett., 2015, 17, 544-547.

しつこく、Tobias Ritter教授のグループの報告で、脱酸素的フッ素化の話です。

Ritter教授によって開発されたPhenoFlourは高活性、高選択性、高い官能基許容性を示す優れたフッ素化剤ですが、水の存在下で極めて加水分解し易く、そこが最大の弱点となっています。使ったことはないけど、はっきり言って相当水分(湿気)に弱そうです。

この水分(湿気)に弱いという惰弱な性質をRitter教授もけっこう気にしているのか、買うし分解対策のimprovementを報告しましたが(PhenoFluor: Practical Synthesis, New Formulation, and Deoxyfluorination of Heteroaromatics Org. Process Res. Dev.201418, 1041-1044. see http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-3-is-phenofluor-practical.html)、今回の報告はもうちょっと画期的なimprovementで、水に対して安定なPhenoFluorMixという試薬を開発しました。

PhenoFluorMixは、N,N'-1,3-bis(2,6-diidopropylphenyl)chloroimidazolium chlorideとCsFの1:2 (by weight)混合物(モル比換算で1:6)で、N,N'-1,3-bis(2,6-diidopropylphenyl)chloroimidazolium chlorideとCsFをバイアル中でよくシェイクして調製します。

本報で報告されている反応はフェノール類の脱酸素的フッ素化で、反応自体は相変わらず禁水条件が必要ですが、試薬自体は水に対して安定で、湿気っても反応に処する前にしっかり乾燥させてやれば無問題なフッ素化剤に仕上がっています(PhenoFluorMixは加水分解されない)。

水分に対する安定性から、PhenoFluorMixはデカグラムスケールで調製可能(まあ、よく混ぜるだけなんだけど)で、Sigma-Aldrichから市販もされています(cat. no. 797537)。大気中に放って置いても、少なくとも4ヶ月は分解は見られません。

 23 examples, up to 99% yield

この報告で、Ritter教授のグループが先に報告しているJACS (J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 11482.)とOPRD (Org. Process. Res. Dev., 2014, 18, 1041.)でPhenoFluorを使って試している基質と比較可能なものはこちら(反応溶媒は全てトルエン)↓


基質に対して、PhenoFluorは1.2 eq.の使用で、PhenoFluorMixはN,N'-1,3-bis(2,6-diidopropylphenyl)chloroimidazolium chlorideベースで1.5 eq. の使用です。

まあ、信頼性なども考慮すると、ざっくりPhenoFluorMixでいいのかなという気がします(初出の2011年のJACSではPhenoFluorは短時間なら空気中で取り扱いオッケーって書いてあったけど、本報だとグローブ•ボックス使えって書いてあって、使い勝手が格下げされてるし)。

それから、ちょっと面白いのが、Ritter教授等はPhenoFluorMixを用いた反応はPhenoFluorを経由しておらず、PhenoFluorの単なるin situバージョンではないかもと考えていることです。この辺りは、今後のさらなる研究成果を待ちたいところです。

販売元のアルドは"使いやすくなった脱酸素的フッ素化剤"として売り出してるだけあって、実際かなり使い勝手は向上していると思いますが(http://www.sigmaaldrich.com/japan/chemistry/chemical-synthesis/technology-spotlights/phenofluor_mix.html)、250 mgで2万円(計算が間違ってなければca. 11万円/mmolだと思うんだけど)はぶっ飛んでるよね(http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/aldrich/797537?lang=ja&region=JP)。

以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)のフッ素化剤メモでした。

PhenoFluorMix。いいフッ素化剤です

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PhenoFluorはどれくらい頑張れるのか? (3) : Is PhenoFluor "Practical"?

去年行った丸ビルに入ってるお蕎麦屋さんのメモです。

-一茶庵 丸山 memo-

-せいろ (一番粉 基本のそば) (865 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
エッジノ立った中細の蕎麦は独特の噛み心地。モチモチした楽しい食感。噛み進めると、仄かに香る蕎麦のflavorが落ち着く。蕎麦自体がうっすらと甘みを帯びている気がする(全体的に九段一茶庵ライクな蕎麦)。
ツユはカツオ節と思われる香りが軽く一閃。bodyは十分で、甘みもけっこう感じる。
このツユが、エッジの立った甘い香りのする蕎麦と凄く良く会う。ハーモニー×ハーモニー。食べていて楽しい。

-伝心 本醸造 (福井県) (595 JPY)-
-REVIEW-
おすすめの呑み方をお店の人に聞いたら、「燗」か「熱燗」という回答か返ってきたので、熱燗でいただく。
お酒はクセが殆どない辛口。finishにやんわり仄かな優しい甘みと微弱な酸味。悪くない。これはこれでよし。

あとこのお店は6Fに入っていて、見晴らしが凄くいいです。下界を見下ろしながら蕎麦を喰うのはもの凄く気分が良かったです。


閑話休題


PhenoFluor絡みの文献メモの続きです。


PhenoFluorは、その開発者であり、late-stage fluorinationの提唱者であるRitter教授がノリノリで推しまくっていたフッ素化剤で、過去に報告されてきたフッ素化剤(法)と比較して大きなアドバンテージがあります。

例えば、フッ化アリールのコンベンショナルなフッ素化には、Balz-Schiemann reaction (Chem. Soc. Rev.200837, 308.; Synthesis2010, 1804.)がありますが、シンプルな基質限定のようです。また、複雑な基質に対するフッ素化は、Buchwald等のaryl triflateに対するPd-catalyzed nucleophilic fluorination (Science2009325, 1661.)やRitter教授のaryl stannaneを用いたAg-catalyzed electrophilic fluorinationが報告されていますが、前者は禁水条件が必要なことに加えて、構造異性体の混合物を与えることが問題となり、後者は毒性のあるaryl stannaneを合成しなくてはなりません。こういった問題のソリューションとして、安全性が高く優れた選択性を示すPhenoFluorが開発され、その有用性がRitter教授によって示されてきました(J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 11482-11484.)。

さらに、汎用性の高いlate-stage aliphatic fuluorinationは皆無で、PhenoFluorを用いたdeoxyfluorinationのみが満足するに足る官能基許容性を満たす唯一のフッ素化法だとRitter教授は主張します(J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 2470-2473.)。(シンプルなアルコールに対するdeoxyfluorinationの報告はあるが、官能基許容性に制限があったり、脱離反応が起こったり、試薬が危険だったりする)

開発者であるRitter教授によって、PhenoFluorはその優れた有用性がプロモーションされてきましたが、決して完全無欠といわけではなくて、水にとっても弱いという弱点があります。で、その弱点を克服する手法が示されているのが、

PhenoFluor: Practical Synthesis, New Formulation, and Deoxyfluorination of Heteroaromatics Org. Process Res. Dev.201418, 1041-1044.」

で、今回はそのメモです。

このOPRDのなかでは、弱点を回避したPhenoFluorの実用的合成法と芳香族複素環式化合物に対するDeoxyfluorinationが報告されています。

まず、PhenoFluorの合成法についてです。


上記schemeは2011年のJACS (Deoxyfluorination of Phenols J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 11482-11484.)で報告されている合成法です。で、問題点はfinal step。Ritter教授が(おそらく)ドヤ顔でプラクティカル•ユースできると推しに推しまくってきたPhenoFluorですが、最大の弱点は湿気にメチャクチャ弱いことです。


この水に対する弱さ(加水分解されやすさ)が合成過程にも影響を及ぼします。PhenoFluor合成の最終工程ではCsFを溶かすためにMeCN中で反応を行っていますが、MeCNは乾燥が困難で、そのため残存する水分のためにPhenoFluorの収率と純度を十分にコントロールできないという問題が生じました(初出の2011年のJACSでは最終工程の収率は87%で報告されている)。

で、この問題に対するソリューションは単純にMeCNを使わないことで、乾燥トルエン中であればPhenoFluorは加熱下であっても壊れません(加水分解されることによって生成するウレアは確認されない)。

「オイオイ、CsFを溶かすためにMeCNを使ってたのに、トルエン中じゃCsF溶けねーだろっ」というツッコミが聞こえてきそうですが、まあ、その辺の工夫もあるようです。

要は、使用するトルエンとCsFの量が重要っていうことです。さらに、CsFに関してはメッシュの大きさや撹拌速度も重要になってくると言います。まあ、溶けないから細かくしとけってことですね。論文には、反応を仕込む前に原料のchloroimidazolium saltとCsFを良く磨り潰せって書いてあります(因に、オリジナルの2011年のJACSではCsF (4 eq.), MeCN, 60˚C, 24 hr)。
あと、トルエンとCsFをガンガン使ったり、強撹拌することで反応時間が短くなるそうです。(当然、マグネチックスターラーだと磨り潰し効果が出るから、スケールアップしてメカニカルでやるときは要注意ね。精製は濾過してMeCNで洗う)


次に、芳香族複素環式化合物に対するDeoxyfluorinationの実施例はこんな感じ↓


右下の例が示す様に、より電子不足の環で選択的に反応が起こります。

最後に、PhenoFluorの取り扱い関係についてメモします↓
a) 短時間であれば空気中で取り扱い可能
b) 普通に湿った空気中で保管していると加水分解する
c) CsFは吸湿性なので、使う前に注意深く乾燥させなければならない (減圧下、200˚C, 25 hr)
d) sure seal bottle入りの0.1 M トルエン溶液が市販されている(加水分解対策=品質•信頼性の向上)

それからdrawbackについても言及しておきましょう↓
a) PhenoFluorは427 g•mol-1でwasteful
b) 風の噂で聞いたけど、固体のPhenoFluorは評判が悪い(多分、保管下における品質の問題)。そのためか、固体のPhenoFluorは製造中止になり、在庫販売のみになっている。http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/aldrich/sfl00001?lang=ja&region=JP (last visited May, 2015)
c) トルエン溶液になって安くなったって言ってるけど、まだまだ高いです (45,000 JPY/mmol) http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/aldrich/795291?lang=ja&region=JP (last visted May, 2015)

まあ、気軽に使える感じは全くしませんが、その性能には目を見張るものがあると思います。1 step前の前駆体であるchloroimidazolium saltまではRitter教授のグループで50gスケールでの合成実績があることに加えて、さらにその一つ前の前駆体であるカルベン(http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/aldrich/696196?lang=ja&region=JP)が売っていることを鑑みると、素人考え的には、ちょっと工夫して使ってみてもいいかもしれないななんて思ったりもします。

あとちょっと思ったんだけど、PhenoFluorの保管温度って、固体で-20˚C、トルエン溶液で2-8˚Cって書いてあるんだけど、室温保管じゃダメなんですかね。論文ではトルエン溶液では安定で、熱に安定って書いてあって、湿気に相当弱いんだから、室温保管の方がいいと思うんだけど。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の、恐れ多くもRitter教授の論文にケチをつけまくった、メモでした。

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Sunday, May 3, 2015

PhenoFluorはどれくらい頑張れるのか? (2) : "Late-Stage" Deoxyfluorination of Aliphatic Alcohols

去年の4月に食べに行った両国にあるラーメン屋のメモです↓

-まる玉らーめん (680 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
creamyで、とっても優しいoilyさのポタージュと形容したくなるような鶏白湯スープは凄く上品。
硬さ普通でオーダーした麺は、博多ライクにかなりの細麺で、食感良く、スープに合っていて良い。
具は、あおさ、刻み青ネギ、チャシュー。あおさと供にスープを啜るとoilt tasteが緩和されすっきり感up↑。チャーシューは薄く、臭みの無いoilyさで、塩味が効いていて味も良い。
はっきり言って、とっても旨い。欠点らしい欠点が見当たらない。しいて言えば、チャーシューは「煮豚だろ」とか「チャーシューのoilyさが少しくどくないか?」といった程度。excellent!!!


閑話休題


PhenoFluor絡みの文献メモの続きです。今回は、
Late-Stage Deoxyfluorination of Alcohols with PhenoFluor J. Am. Chem. Soc.2013135, 2470-2473.」
のメモです。


この論文では、脂肪族アルコールの"Late-Stage" Deoxyfluorinationを謳っています。


基本反応条件は、

PhenoFluor/ 適量
DIPEA/ 2.0 eq.
(KF/ 2.0 eq.)
反応時間/ 2-20 hr
溶媒/ CH2Cl2 or PhMe or dioxane
反応温度/ 23-80˚C

Hunig's baseは反応時間短縮に効果があり、KFは脱離反応を抑制する効果があります(KFは、反応の進行に必須ではない)。

他のフッ素化剤との比較はこちら↓

Fmoc-セリンのメチルエステルは、そのβ-ヒドロキシル基は脱離(脱水)しやすく、カルバメート基の分子内環化によってアジリジンを形成しやすいそうですが、PhenoFluorによるフッ素化ではそういった副反応は見られません。さらに、PhenoFluorを用いた反応は室温でも進行するので、熱に弱い基質にも適用できます。

脂肪族アルコールのフッ素化は上記二基質の他に、天然物や医薬品かそれらの誘導体といった比較的難しい基質15例で一般性を検討していて、30-92% yieldです。

で、この脂肪族アルコールのDeoxyfluorinationの特徴としては、

a) キラルな二級アルコールでは、エピ化や脱離が起こることなしに、立体反転したフッ素体を与える
b) 二級アリルアルコールはSN2機構で反応が進行し、SN2'生成物はできたとしてもごく僅か
c) ケトンやアルデヒドがあってもオッケー(既報では、geminal difluorideを与えることしばしばで、チャレンジングな基質。Synthesis2002, 2561-2578.)

挙げられます。さらに、多価アルコールのDeoxyfluorinationにおける選択性(フッ素化の優先度)は次のようになります。

d) 1級、2級、3級のアルコールが混在するとき、1級が選択的にフッ素化される
e) 2級アルコールがアリルアルコールでない場合、反応は非常に遅く、β,β'-二置換の場合は全く反応しない
f) 3級アルコールは、アリルアルコールでないかぎり、反応しない
g) 水素結合を形成している水酸基は不活性

このd-gで示される識別は、他のDeoxyfluorinationではみられないそうです(これは凄い)。

PhenoFluor: Practical Synthesis, New Formulation, and Deoxyfluorination of Heteroaromatics Org. Process Res. Dev.201418, 1041-1044.」に続く.....

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