2016年5月22日日曜日

Diazo Transfer: アミンからアジドへ

北千住の居酒屋さんのメモです↓

-さかなさま memo-

-お通し (411 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
何かが練り込まれたお豆腐に、帆立チックな魚介が添えられている。豆腐からも魚の旨味がする。

-牡蠣 塩煮付け (951 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
珠洲(すず)塩煮付け。岩手県牡鹿産牡蠣4個入り。
塩味の効いたスープが旨い。塩味がとても旨い。スープは温く、穏やかな味つけで、牡蠣の滋味深い味が良く伝わってくる。一緒に入っている大根がほこほこしていて旨い。他、セリ、ネギ、柚子などで香味が整えられている。
大根がスープを良く収蔵していて、塩の旨味を存分に伝えてくれる。

-ぶりかま塩焼き (918 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
京都丹波産のぶり。表面の皮はパリっといていて香ばしく、中の身はとてもfreshかつjuicyで、旨味の波が怒濤のごとく押し寄せてくる。ぶりの味が濃くて旨い。塩の味がとても滋味豊かで、甘みと旨味を感じる。この塩がぶりの旨味を引き立てている。
テーブルに「珠洲の塩」が備えられており、塩味が十分の行き届いていない部分はこの塩をほんの少し振りかけて調整してやるとよい。ぶりの旨味とお塩のシナジーを感じる。
あと、大根おろしが秀逸。大分粗めにおろされていて、ツブツブ感を強く感じる。辛みは無く、大根の優しい甘味を感じる。汁気があまりなく、コリコリした食感が楽しめる(これには驚いた)。箸休めにとても良い。ぶりかまからは旨味しか伝わってこないので、大根おろしの辛味や汁気は余計なものなんどろうと想像します。絶品の領域。

-赤いさき お刺身 (864 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
鹿児島県坊岬産。身は弾力に富み、少し硬さを感じる。鯉のあらいに少し似た食感。味は鯉よりも魚々しくて淡白。
山葵は(多分)本山葵。山葵醤油で食べたけど、塩を振って食べても良かったかも。

-生ジョッキ (616 JPY)-
-REVIEW-
銘柄は、サントリーモルツ。ほんのり柑橘の香りが漂って良い。

-黒龍 本醸造 (800 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
雪冷え〜花冷えでいただく。topにちょっと生臭さを感じる。少し吟醸香を感じる。全体的に穏やかな味わいで、ほんのり優しい甘味、酸味、滋味を感じる。

-雅の詩 (735 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
少し熱めの燗でいただく。上燗から熱燗くらいら?老香がとても素晴らしい。甘•酸•渋•苦•旨味といったtaste mixが、自己主張し過ぎることなく、優しき調和している。
とびっきり旨いやさしい味の紹興酒みたおだよ。香味がとてつもなく豊潤。特A級の味。


他の気になったメーニューに、こんなのがありました↓
•あなご白焼き (石川県奥龍登) 1,026 JPY
•鯛茶漬け 788 JPY
•あっさり珠洲の塩ラーメン 734 JPY
•天然寒ぶりのしゃぶしゃぶ鍋 1,814 JPY (2人前から)
•鯛のダシの湯豆腐的なもの

このお店は、通常メニューの他の本日のメニュー(お魚)があって、捌く前の魚をザルに入れて見せてくれます。また、店員さんはオススメをアピールしてくれて料理を選びびやすいです。店内は清潔でおしゃれな感じ。接客態度も良好。また行きたい店と思いました。


閑話休題


古いんだけど、こんな文献を読んでみました↓

Direct Synthesis of Organic Azides from Primary Amines with 2-Azido-1,3-dimethylimidazolinium Hexafluorophosphate
Eur. J . Org. Chem., 2011, 458-461.

九州工業大学の北村先生のグループの報告で、Diazo transfer試薬を使って、1級アミンからアジドを合成するっていうお話です。

アジドの合成と言えば、ハロゲン化アルキルとアルカリ金属アジドとの求核置換反応が最も一般的な合成法ですが、tert-アジドを合成しようとすると立体障害のために上手くいかないこともしばしばのようです。加えて、アリールアジドを合成しようとした場合、アルキルアジドと較べて基質一般性が低です(求電子剤にハロゲン化アリールやアリールジアゾニウム塩が用いられるが、前者は強力な電子求引性基がないとSNArは困難で、後者はジアゾニウム塩の安定性によって使える基質が制限される)。

で、他の合成法は何があるの?と言うと、1級アミンに対するジアズトタンスファーがあって、本報のお題はこれです。


この種のトランスフォーメーションは、Cu(II)触媒存在下、TfN3を作用させて行うのが一般的にようです(J. Org. Chem.197237, 3567-3569.; Tetrahedron Lett.199637, 6029-6032.; J. Am. Chem. Soc.200224, 10773-10778.; Org. Lett.20035, 2571-2572.; Tetrahedron Lett.200647, 2383-2385.)。
TfN3を用いる反応はマイルドな条件で反応が進行し収率も良いようですが、TfN3に爆発性があるのが問題です。最近ではimidazole-1-sulfonyl azideの塩酸塩が安定でTfN3と同等の反応性を示す試薬として報告されています(Org. Lett., 2007, 9, 3797-3800.; 結晶性で、分解温度である80˚Cより低い温度領域で安定)。

†ところで、「気ままに有機化学」さんの記事によると、imidazole-1-sulfonyl azideの塩酸塩は吸湿性で、衝撃にセンシティブだとか。一方、硫酸塩やテトラフルオロホウ酸塩は、塩酸塩と反応性は同等で、保存の安定性が向上し、衝撃に対するセンシティビィティも低下するそうです(http://chemistry4410.seesaa.net/article/254457550.html)。

ここでちょっと、著者等の以前の報告を紹介↓
Synthesis, 2009, 2943-2944.

著者等は2-azido-1,3-dimethylimidazolinium chloride (ADMC)がRegitz Diazo Transferに有効だという報告をしました。ただ、ADMCはその吸湿性故に単離することが出来なかったと言います。

で、This Workは、ADMCの物性(吸湿性)を改善しつつ、1級アミンに対するジアゾトランスファーに対して有効な試薬を開発するというものです。そして、著者等が新たに開発した試薬が、2-azido-1,3-dimethylimidazolinium hexafluorophosphate (ADMP)です。

ADMPは安定な結晶性の固体として単離され、-10˚Cで少なくとも2ヶ月は保存可能です。安全性に関しては、落槌感度試験と摩擦感度試験で共に陰性、熱分解温度はca. 200˚Cと、ADMPはかなり安全かつ安定な化合物であることが確認されています(でも、アジドなんで取扱いには十分注意な)。ちなみに、TCIで売ってます(13,400 JPY / 5 g, http://www.tcichemicals.com/ja/jp/support-download/tcimail/application/152-27.html)。

さて、1級アミンに対するDiazo Transfer反応はというと、

21 examples, up to 99% Yield

無置換または電子供与性基を有するアニリンは室温でスムースに反応が進行します。モノハロゲン置換アニリンも50˚Cに加熱して反応させれば高収率で対応するアジドが得られます。特筆すべきは、強い電子吸引性基(-CN, -NO2)を持つ求核性の低いアニリンを基質に用いた場合でも、加熱(50˚C)して過剰(2 eq.)の試薬(ADMP)を作用させれば反応が進行することです(それぞれ61%, 63%)。さらに、o-二置換アニリン(2,6-dimethyl)でも円滑に反応が進行します(ADMP (1.5 eq.), DMAP (1.1 eq.), 50˚C, 3.5 hr)。ただ、2,6-dichloroanilineだと収率はたったの22% (ADMP (2 eq.), DMAP (3 eq.), 50˚C, 4 hr)で、著者らはその低収率の原因を求核性の低さのためとしています。

アルキルアジドの合成も可能ですが、塩基のチョイスによって収率(選択性)が激変するようです。例えば、2-phenylethylamineを基質に用いた場合↓


同様にシクロヘキシルアミンを基質に用いた場合も、DMAP (31%)よりもEt3N (85%)が有効な塩基になります。
α-メチルベンジルアミン、トリチルアミン、1-アダマンチルアミンといた嵩高いアミンを基質の場合、DMAPを塩基に用いることで高収率で対応するアジドを合成できます(それぞれ73%、99%、71%)。
まとめると、このジアゾトランスファー反応では、基本DMAPが有効な塩基だけど、より求核性の強い1級アミンを基質に用いる場合はより求核性の高い塩基が良いということです。
あと、塩基は、(1) 「反応で生成する酸の中和」と、(2) 「ADMPの活性」の二つの役割を果たします。
以上、これらのことから導きだされる推定反応機構はこちら↓


塩基が1級アミン(基質)よりも求核性が高い場合、塩基はまずADMPと反応して中間体 Iを形成し、これが1級アミン(基質)と反応して中間体 IIを与え、分子内でのプロトン引き抜きによって目的のアジドを生成します。
他方、1級アミン(基質)が塩基よりも求核性が高い場合、求核性が高い場合はADMPのabを攻撃し、目的のアジドとグアニジンを与えます。

そ最後にADMPの他のジアゾトランスファー試薬に対する優位性をメモしてフィニッシュしましょう↓

ADMP、結晶性の固体で、従来の同種の試薬と比較して安全性と安定性に富み、取扱いが容易。活性は高く、反応の進行にCu(II)触媒も必要なく、副生するのはDMIはaqueous workupで除去が容易。ボク的に興味深いです。 TCIのWeb Site (http://www.tcichemicals.com/ja/jp/support-download/tcimail/application/152-27.html)を見ると、Regitz Diazo Transferにも普通に有効みたいだし(Synthesis, 2011, 1037-1044.)。機会があったら使ってみたい試薬と思いました。
以上、二流大出のテクニシャン (研究補助員)のDiazo Transferメモでした。


2016年5月16日月曜日

クリエイティブ100%伝説

ども、IowaをGETしたオタッキーのコンキチです。


北千住の有名大衆酒場のメモです↓

-大はし memo-

-生ビール 中 (450 JPY)-
銘柄はキリン。ちなみに瓶ビールはクラシックラガー。

-肉とうふ (320 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
とうふは絹。味が良く染みていて旨いが、凡庸なレベル。ちょっとしょっぱくて荒っぽい味。肉は脂身部分が多くて濃い味つけ。これで320円はかなりぼってる。

-こはだす (480 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
量が少ない!味も凡庸。ワサビは練りワサビと粉ワサビを混ぜたようなワサビか?こはだの身には硬さを幾分感じ、酢の酸味もちょっと強め。嫌な臭みは無い。この味とこの量で480円はないな。

-山形正宗 (350 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
原材料/ 米(国産)•米こうじ; alc. 15%; 精米歩合/ 65%
燗がデフォルト。色はうっすら褐色。まあ、悪くない味。辛口の中に柔らかい甘みが感じられる。

-かきミニなべ (700 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
牡蠣の身が4つ入っている。他の具は、ネギ、白菜、春雨ライクなもの。あっさりした白味噌taste。
凡庸な味で全く感動しない。そのそも、牡蠣自体が凡庸。
牡蠣だけがっつり食べたければ、牡蠣が8つくらい入っているバター焼きの方が良いと思う。

ボク的には、味よりも雰囲気(コの字型のカウンター)を楽しむ店と思いました。年配のおじいちゃん店員で、小島よしおばりに「ウェーイ」っていうかけ声出す人がいて、なんか落ち着かない。
全体的の少々荒っぽい接客で、料理が概して高めと思いました(特に刺身に割高感を感じた)。
再訪は無いです。


閑話休題


ぼくがジョブズに教えたこと」を読了しました。
この本の著者は、アタリ(世界初のビデオゲーム会社)の創業者にして屈指の連続企業家(Sreial Entrepreneur)、あのスティーブ・ジョブズのメンター的存在と言われるノーラン・ブッシュネル(Nolan Bushnell)の著作です。 ちなみに原題は、「Finding the Next Steve Jobs
How to Find, Keep and Nurture Creative Talent」です。

さて本書の内容ですが、商魂逞しいジョブズ全開押しの邦題とは裏腹に、ジョブズの話はさほど多くなく、メインはジョブズばりのクリエイティブ人材(念のため断っておくけど、本書でいういうクリエイティブ人材とは、所謂クリエイティブクラスではなくて、腕っこきのAクラス人材のことです。)の特徴・発掘法・社内での活用法について書かれた本です(全部で51条ある)。それはそれでそれなりにためになって面白いと思うんだけど、個人的にもっと面白かったのは、章間の挿話とスティーブ•ジョブズとの回想です。

それでは、ボクの気に入った挿話と、著者の目を通したスティーブ・ジョブズに関してメモします↓

(1) 変化し続ける企業が成功を掴む (イノベーションのジレンマを克服した企業のことだとボクは思います)

多くの会社が、成功したあと、時間の経過とともに変化できずに消えていくといいます。それに反して、自社を根底から作り直し、その結果、繁栄する会社もあるとして紹介されている会社が以下の会社です。

a) ティファニー (宝飾品)
もともと文房具の会社。この事実にはマジ驚きました。

b) ノキア (電話メーカー)
昔は、製紙会社。iPhoneといったスマホ勢にガッツリやられたけど、いまは通信インフラやビッグデータで覇権を握ろうとしてるみたい。
ref.
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20151128001550.html
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO75617580T10C14A8X11000/?df=3

c) バークシャ・ハサウェイ (投資持株会社)
もともと紡績会社。言わずと知れた、オマハの賢人ウォーレン•バフェットの会社。

d) クトルプロダクツ
洗剤の会社。壁紙用クリーナー事業が下火になった とき、壁紙用クリーナーを「プレイ・ドウ」というおもちゃへ転換してヒット。

e) スリーエム (5万5000種類もの製品をつくってる)
もともとミネソタ・マイニング・マニュファクチャリングという名前で鋼玉石(鉱石)を販売していた。 著者曰く、スリーエムは 10年単位で生まれかわっているといい、収益は、発売から5年以内の商品が1/3をたたき出していると言います。 15%ルールでも有名だよね。

浅学なボクには衝撃的でした。特に、ティファニーと3Mにはマジ驚きました。


(2) 今は常識だけど、かつて(当時)はクレイジーだと酷評されたアイデア(テクノロジー)

a)「人がしゃべる際に用いる高貴な器官を、下等で愚にもつかない金属で代用するなど、不可能だとしかいいようがない」
蓄音機の実証試験を見たフランス科学アカデミーのメンバー ジーン・ブイヨー 

b)「空気より重い機械が空を飛ぶなど不可能だ」
英国王立協会会長 ケルビン卿(1895年) 

c)「馬は今後もずっと使われる。自動車は目新しいだけで、一時の流行に終わるよ」
ミシガン銀行頭取がヘンリー・フォードの弁護士に対し、フォード・モーターには投資しないほうがいいと諭した言葉 (1903年) 

d)「5台分くらいなら、コンピューターの市場があると思うよ」
IBM取締役会長、トーマス・J・ワトソン (1943年)

e) 「ビデオなんて、最初の6ヶ月は売れるかもしれないが、それ以降、市場をつかむことはできないと思う。合板の箱を毎晩眺めるなんて、みんな、すぐに飽きてしまうはずだ」
 20世紀フォックスのトップ、ダリル・ザナック (1946年)

f)「コピー機の市場は、世界全体で5000台が限界だろう」
のちにゼロックスを創業する人々に対し、製品化できるほどコピー機に市場はないと説明したIBM幹部の言葉 (1959年) 

g)「個人が自宅にコンピューターをもつべき理由など存在しない」
デジタルエクイップメント社社長、ケン・オルセンが世界未来協会年次総会で語った言葉 (1977年)

これらの事例から、権威の意見が必ずしも正鵠を射ているわけではない(むしろ正反対である)ことが分かります。ボク的には「権威に対する服従」へのアンチテーゼにしたいです。
(余談だけど、「ヤバイ経営学」では優秀であるはずの経営トップの企業買収に係る意思決定の酷さが書かれています(正に勝者の呪い)。)


(3) スティーブ•ジョブズとの回想 (スティーブ・ジョブズも人間だった)
現実歪曲フィールド(Reality Distortion Field)を自在に操る、傍若無人の創造性の孤高のカリスマというイメージの強いスティーブ・ジョブズに、人非人的で強靭な精神力を持ち決して弱みをみせないといったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、 彼もまた普通の人と同じように、悩み、不安になり、くよくよして相談相手を求めるという極めて人間的な一面があったとジョブズのメンターたる著者の口から語られているところに本書の最も大きな価値があるとボクは思いました。やはり彼も人間だからそれなりの葛藤があったんだろうとは想像できますが、メンターと目される人物(上から目線の第三者)からの証言はデカイと思いました。
(あのジョブズでさえくよくよするんだから、自分がくよくよするのは当然だって安心します。)


それでは、最後にボクがもっとも感銘を受けた一文で締めたいと思います↓

人生とは、基本的に、
自分にあったエコシステムの構築だといえる。 


斯くありたいと切に思います。以上、二流大出の超絶凡人級テクニシャン(研究補助員)の読後感想メモでした。




2016年5月6日金曜日

外食産業の憂鬱 (4): 外食チェーンを斬る

Polaキタァァァーーーーー!!!!!


ども、オタッキーのコンキチです。千葉の渋谷こと柏Cityで食べたCurryのメモです↓

-AYUBOWAN 日替わりカレー (500 JPY) + ラッシー (150 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
この日の日替わりカレーはチキンカレー。お店の人に「辛いですよ」と言われたが、それほど辛くはなく、ボク的には中辛程度。
ナンとライスのどりらかを選択できる。で、ライスをセレクト。ライスは絡め固めに仕上げられたサフランライスで、ナッツがところどころに散りばめられ、パセリが添えてある。カレーはスープ状(多分、スリランカスタイル。スリランカスタイルは、スパイスだけで味を整え、スープのようになるらしいです)。spicyな良い香りがやんわりと立ち昇る。啜ってみると、正にスープ。ソリッドなtasteながら、丁度良い塩梅の辛さでいつまでも啜っていたくなる味。
具はチキンとジャガイモとあとなにかのベジタブル。
カレーとサフランライスの相性が良い。
チキンが良い味を出している。程よい噛み応えで、ソリッドtasteのカレーとbest match!
ラッシーは「明治ブルガリアのむヨーグルト」を強く想起させ、カレーとサフランライスに良く合う。


閑話休題


「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。」という本のメモの続きです。

この本では外食(チェーン)店の良し悪しを評価するという神をも恐れぬ記事が書かれています。さすがにダメだししている店の実名は挙げていませんが、伏せ字であったり、その(チェーン)店特有のメニューを記述しているのでリアルネームを推測することができます。

以下、ボクが本書から憶測したダメだしショップとおすすめショップを紹介していきます。それでは、ダメだしショップからいきます(一応、2014年5月執筆時での評価です)↓

【ダメだしショップ】
Entry 1   多分、コ○ス (CO■O'S)
「包み焼きハンバーグ」というメニューより実名が推測される。以下、メニューの著者寸評要約。
-包み焼きハンバーグ-
リン酸塩の味がすごい。増量のために植物性タンパクもかなり入っている。pH調整剤、乳化剤、着色料も入っている。ソースの味をおもいっきり濃くしてごまかしている。グルソー(グルタミン酸ナトリウム)が0.3%ほど入っている。
(感想)
リン酸塩の味ってどんな味するんだろう?あと、グルソー(グルタミン酸ナトリウム)0.3%って、どんだけ人間定量マシンなのって思いました。
-ミックスピザ-
冷凍食品。チーズはチーズフード。
(参考)
チーズフード: プロセスチーズ、ナチュラルチーズを溶かして、小麦粉に加えて乳化剤、香料などを混ぜて固めたもの。製品中のチーズ分の重量が51%以上。「チーズフード」のようなニセモノチーズを使っているのは世界世界でも日本だけ。
-シーザーサラダ-
クルトンがへなっとしていていつ焼かれたかわからない。レタスはセントラルキッチンで2〜3日前に切ったもの。チーズは注文が出てからかけたと思われれ(生きていた)。
-デニッシュ-
かかっているのはメイプルソース(かえでの樹液100%のメイプルシロップに安いガムシロップを混ぜて増量させたもの)。

Entry 2   多分、サイ○リヤ (Sai■eriya)
ファミレス界の中では「ひとり勝ち」と呼ばれる某大手イタリアン•チェーンとして紹介。以下、メニューの著者寸評要約。
-ペペロンチーノ-
小麦粉がよくない。10分も経たずに出てきた=(おそたく1時間以上前に)ゆで置きしている。
-ドリア-
全体が水っぽい。チーズと"じっくり仕上げた本格ホワイトソース"がひどい。チーズの味がまったくしない。断言はできないが、チーズに水2割は入っている味(本物のチーズを砕いてリン酸塩よ水を入れて、回して固める)。ホワイトソースは水っぽい味で、よほど水でのばしているらしい。
(感想)
「チーズの味がまったくしない」ってことはさすがにないんじゃないかな?

Entry 3   多分、すたみな○郎なんじゃないかと思います
「食べ放題チェーンで有名なS」と紹介。
成型肉使いたい放題。肉団子、ハム、ソーセージ、そのほとんどが植物性タンパクではないかというほど配合率が高い。


他にもダメだしされた店はあったけど、ボクの力ではどの外食チェーンなのか憶測できませんでした。続いて、著者おすすめチェーンの紹介です↓

【オススメショップ】
Entry 1   きっと、大○屋 (OO■OYA)
全国チェーンでは群を抜いている。セントラルキッチンを採用せず、店の厨房で調理することが方針。
以下、メニューの著者寸評。
-豆腐-
毎日店内で手づくり。つくりたてはおいしい。豆腐にかかっている削り節は店内で鰹節から削っている。ネギも店で切っている。心意気がいい。
-ホッケ-
上手く焼けている。冷凍で来て、凍った状態でそのまま焼いているであろうが、加工してから焼くまでの温度管理がきちんとしている。店で焼いている。
-トンカツ-
成型肉でない。冷凍ものではない(1回凍らせると繊維の中が壊れるからパサつく)。スライス肉を仕入れているのではなく、かたまりから切っている。生パン粉をきちんとつけている(パン粉の角が立っている。工場であらかじめパン粉をつけてから運んできたなら、途中で肉の角の部分のパン粉がとれてしまう)。
-ご飯、ひじきの煮物、切り干し大根、漬け物-
残念。ご飯はパサパサで、多分前日の残り。ひじき、大根、漬物は仕入品。特に漬物は化学調味料でベタベタしている。

Entry 2   多分、神○バーなんじゃないかと思う
明治創業の老舗ビアホール(1店舗だけ)と紹介されている。神保町のランチョンかとも思ったけど、メニューの内容から、オレの大好きな神○バーなんじゃないかと思います。著者曰く「外食店の鏡」。以下、メニューの著者寸評。
-ソーセージ盛り合わせ-
うまい。植物性タンパクの打ち込みはしていない。
-串かつ-
自分で肉を切っている。タマネギはシャキシャキで冷凍でない。肉いいものを使っていて、冷凍でない。付け合わせのキャベツの千切りもおいしい(必要以上に水にさらしていない)。
-コロッケ-
ここの厨房でジャガイモをゆでて素材からつくっている(冷凍の食感じゃない)。油がいい。
-川エビの唐揚げ-
上手に揚がっている。きれいな油。
-ピザ-
生地は仕入れかもしれないが、冷凍ではなく生。ここで具材をのせてオーブンで焼いている。
-生ビール-
おいしい。タンクローリーで運んでいると思う(揺らすと味が落ちる)。
-マグロの刺身-
角がピンと立っている。切り立て。

Entry 3  きっと、ス○ロー
回転寿司チェーンで数年前から売り上げトップ。社長が職人出身。以下、メニューの著者寸評。
-イカ-
きとんと表面に包丁を入れて食べやすくしてある。アルバイトにきちんと切り方を教えている。
-シャリ-
温かくてgood。シャリがおいしい。ちゃんと店舗で炊いている。
-ネタ-
店舗の厨房で処理している。サクで仕入れて切って、あぶるものはあぶっている。
(ほかのチェーンは、たいていは、ネタとあたかじめ切ったものが各店舗に配送される)

あと、実名で下記のチェーン店が"おすすめ"の評価を獲得しています。

Entry 4   カレーハウスCoCo壱番屋
Enrty 5   ロイヤルホスト
Entry 6   吉野家
Entry 7   サルヴァドーレ•クオモ
Entry 8   餃子の王将
Entry 9   バーミヤン
Entry 10   がってん寿司
Entry 11   丸亀製麺
Entry 12   和幸
Entry 13   ケンタッキーフライドチキン
Entry 14   サブウェイ
Entry 15   ミスタードーナツ
Entry 16   スターバックス
Entry 17   神戸屋
Entry 18   ドンク

上記おすすめチェーンはあくまでこの本の著者の見解です。ところで、この本の著者は週プレNEWSでこんなことを書いています↓

<引用開始>
激安食品は流通チェーンや外食チェーンが私利私欲に突っ走った結果としてあるもの。安さを維持するために原材料費や人件費を削減する努力は否定しません。ただ最近、度が過ぎないか?と。………中略………盛り付けるだけ、温めるだけの仕事にやる気は生まれませんから、手を十分に洗わず厨房に入ったり、爪が伸びた状態で食材に触れたり、それを注意すらされることもなく現場の士気は下がるばかり…。
<引用終了>
ref. http://wpb.shueisha.co.jp/2016/02/09/60605/

要は、倫理に反してまでコストカットに走っちゃだめでしょっていうことと思います(クリンリネス教育に投資しないのも行き過ぎたコストカットだ)。
そうすると、ボク的には、

A) 餃子の王将のスパルタ研修 (2010)   従業員を搾取(この研修、典型的な洗脳だよね)
B) 丸亀製麺の竹すだれのカビ問題 (2013)   飲食店がこれじゃダメでしょ
etc.

なんて思うんだけど、どうでしょう。

上述したお店の中でで書いてある店はボクも行ったことがあって、この本の著者とは意見を異にするところもあるので、(需要ないと思うけど)次の記事でボクの見解を述べたいと思います。

つづく.....


2016年5月5日木曜日

外食産業の憂鬱 (3): 食料自給率からみる外食産業の真実?

伊401キタァァァーーーーー!!!!!

神風キタァァァーーーーー!!!!!

ども、オタッキーのコンキチです。神田で食べた担々麺のメモです↓


-ほうきぼし+ 神田店 担々麺 (850 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
焙煎胡麻と特性ブレンド唐辛子、濃厚鶏白湯スープが決めての担々麺で、辛口の中太麺。山椒の他に8種類のスパイスを効かせた辛旨麺に仕上がっている。
このほぼストレートの中太麺、穀物の旨味がにじみ出てくる旨い麺。
スープにはfattyなとろみがあり、山椒の香りがtop noteとして感じられる。で、スープの味は、山椒のしびれ的要素は控えめで、mildな辛さで滋味深さ。
具は、ナッツ、肉味噌、もやし、小松菜、揚げ麺。
お酢が合うと書いてあった(長崎ちゃんぽんみたいだな)ので、お酢を加えてみると甘みが出る(悪くない)。
担々麺風ニィーウェーブ拉麺と思いました。
(とっても旨かったけど、ボク的には雲林坊の担々麺の方が好みかな)

あと余談っていうかちょっと下世話な話だけど、このお店の噂のきれいだっていうおねえさん店長に会えるかななんて淡い期待をして入店しましたが、ノー•オネーサンでフィニッシュでした。


閑話休題


「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。」という本のメモの続きです。

日本にはボクの大嫌いな食料自給率という指標があります。で、何のための算出してるか良くわからない日本の食料自給率は39%です(平成26年度のカロリーベース)。まあ、ザックリ40%です(http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html)。
というこは、60%が輸入品であるということになります。

ここで、Question。
みなさん(特に主婦的な方)はスーパーで食材を購入すると思うんですが、スーパーに並んでる食材で輸入品が6割並んでるっていう実感ありますか?

ボクはスーパーで買い物するのが好きなんですが、個人的に国産品が圧倒的に多いと感じますね、真剣で。

ちなみに、スーパーで売られている食材は、
a) 卵、牛乳、米はほぼ100%国産
b) 野菜は9割以上が国産
c) 魚や肉は8割が国産
なのだそうです。

ウップ、60%が輸入品っていってたじゃない?これ、どぅゆことぉぉぉーーー?っていう疑問が湧いてくるのが自然と思います。

ついでに言わせてもらうと、
小麦は9割以上が輸入(要は、お菓子、麺類)
スパデティなどは半輸入
だと言います。

そして、スーパーで売られている食材は、輸入品よりも国産品が圧倒的に多い現実を鑑みると、次のような結論が導きだされます。

外食、中食が大半の輸入食材の受け皿になっている

なぜこのようなことが起こるかというと、スーパー(小売業)では産地を表示しなければならないけれど、外食•中食では産地の表示義務(品質補償)がないからです。みんなスーパーではけっこう産地を気にして国産品をメインに買うじゃないですか?実際、消費者は国産品を優先的に選ぶようです。

こういった事情があるので、スーパーで売れない外国産の食材が外食(中食)に回ってくるそうです。具体的には次のようなものが外国産食材として出回っていると言います(一般論として)↓

1) 宅配ピザにのっている野菜
2) ファミレスの野菜食べ放題
3) 焼肉店の野菜•きのこ類
4) 立ち食いそばの野菜天ぷら
5) 形が揃っていてきれいな焼鳥
6) 九州産アジフライ(中国で加工している)
7) 冷凍枝豆(ほとんどが中国産)。参考までに枝豆の旬は春から初夏な。
etc.

さらに、外食は原産地の表示義務のないので、輸入野菜が増えるそうです。スーパーで食材(の産地)を吟味して国産品を購入しても、外食で知らぬ間に輸入食材を食ってたら、意味のない気持ちになりますね。勿論、外国産だから全てダメとか国産が常に最高というわけではないですが。それに、安い輸入食材のおかげで財布を気にせず腹一杯になれることも悪いことではないですし。乱獲大好きな某産業に至っては、輸入しないと市場に十分なブツが回らないでしょう。ただ、騙された感は拭えませんね。実際問題として、食品産業の不祥事は枚挙にいとまがありません(see http://researcher-station.blogspot.jp/2013/11/blog-post_8191.html)。ボク的には、食品偽装は日本の文化なんじゃねって思うくらいのレベルです。なので、外食で輸入食材を多用しているという話を聞くと、どうせコストダウン(or コストカット)のために安っすい食材使ってんだろというのが一番に心に浮かびます。

"安さ"は一つの正義かもしれないけど、安いのには相応の理由があるということを努々忘れてはいけませんね。それが、合理化によるものなのか、労働者を搾取しているからなのか、安全をないがしろにして偽装しているからなのかってことを考えながら外食(中食)先を選びたいものです。

二流大出のテクニシャン(研究補助員)の読書感想文はまたつづきます.....


2016年5月4日水曜日

外食産業の憂鬱 (2): それはソバなのか?

人形町で食べた天丼のメモです↓

-天ぷら 中山 天丼 (1,100 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
沢庵と蜆の味噌汁付きです。
天丼は黒くて、硬派な醤油flavorが特徴的。今まで食べたことのある天丼のタレと較べて、相当辛いです(でも旨い。蕎麦の例えると並木の薮のツユのようだ)。
タネは海老×2、キス、穴子、茄子。
アツアツのご飯の上に揚げたてでアツアツの天ぷら、この醍醐味は、北の国からの五郎さんばりに「堪らない」。
海老はプリップリで、キスはホクホク。穴子はキスより濃い味でしなやかな食感かつホクホクしている。キスと穴子は、その淡白な味にやや荒々しくて無骨で硬派な味のタレがベストマッチ。さらに、このタレとご飯の相性が抜群でとても旨い。やっぱ、甘めのタレより辛めのタレの方がご飯に合うよね
丼の中に小宇宙を感いる一品でした。
あと、沢庵のひなびた味が郷愁を誘って良かったです。また食べに行きたい。


閑話休題


「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。」という本のメモの続きです。

(いるかどうか知らないけど、このブログの愛読者ならご存知の通り)お蕎麦大好きコンキチです。

ということで、今回のお題は「蕎麦」です。
蕎麦はもっぱら食べ歩くのが好きだけど、家でも乾麺を茹でていただきます。家で蕎麦を食する場合、乾麺も蕎麦つゆも銘柄は決まっています。あんまり教えたくないけど、乾麺は、おびなたの「蕎麦通のそば」か「更科八割そば 」、つゆは上野藪そば総本店プロデュースの「上野藪そばつゆ」を使っています。いまこところ、このコンビナーションがボクの中のベストです。ボク的にはこのコンビネーションでゆで太郎の100億倍は旨いです。
(「上野藪そばつゆ」は近場のスーパーで売っていないので、切らしてしまったときは、ヤマサの「江戸蕎麦芝大門更級直伝せいろつゆ」を使ってます。あと「竹やぶのつゆ」もいいんだけど、ちょっと高いんだよね。)


ところで、スーパーなどでお蕎麦(乾麺)を選んでいると、"蕎麦"として売られているのに、蕎麦粉よりも小麦粉リッチな"ソバ"が散見されます。っていうか、【蕎麦粉>小麦粉】な商品はむしろレアです。
では、何故【小麦粉>蕎麦粉】な商品が大手を振って店頭に並んでいるかというと、そばの乾麺はそば粉が最低3割入っていればいいからです(法律で決まっている)。
ボク的には蕎麦粉よりも小麦粉の方が多い代物がそばと称して売られていることが不愉快でしかたがありませんが、これはまだマシなほうです。というのも、立ち食いそばの場合は、消費者(顧客)がそば粉の含有率を確認する術はなく、そば粉の含有率が1割、2割は当たり前だというのです(JAS法等の法律には抵触しない)。ついでに、リン酸塩を加えると舌触りがツルツルするそうです。
さらにもう一つ、国内で流通しているそば粉の8割は中国やアメリカ産だと言います。

そいいえば、以前、あの柏竹やぶの阿部孝雄氏が書いた「竹やぶの蕎麦」を読んだんだけど、平成の世になってそば粉は8割強が輸入で、国産は輸入の4.5倍の値段だといいます(多分、平均してだと思う)。そして、寒暖の差のある高地でとれたうまいそば粉は2%程度しかないと。平成9年当時、そば粉一俵(45 kg)が(ピンからキリまでで)3千円から12万円までの価格帯を形成していたそうです。これは、IKKOばりに

どんだけぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜

っていう感じです(だって40倍だせ)。小麦粉ミックスすると、原価差は異次元級ですよ。さらに、ツユに対する投資を考えると、旨い老舗系とコスト•カット&薄利多売系チェーン店との原価差は銀河系スケールでしょう(笑)

まぁ、笑い事ではないんですけど、このことは日本の食の質が劣化している証左と思います(お蕎麦だけじゃないけど)。

ついでに書かせてもらうけど、「三たて(挽きたて、打ちたて、ゆでたて)」が金科玉条のように絶対的に旨いんだとアピールしているコスト•カット&薄利多売系(チェーン)店もあるようですが、阿部氏は「三たて」はつきつめると(必ずしも)うまくないと宣います。一言で言うと個体差ということになろうかと思いますが、もうちょっと詳しく書くとこんな感じかな↓

(1) 挽きたて
•粉の香りや味がバラバラになり、味がまとまらずちぐはぐになり、味がまとまらなくなる。
•前日に挽いてうまいものもあれば、1週間置くとうまいものもある。
•玄蕎麦も収穫したてのものより、3ヶ月くらい置いたものを挽いたほうがうまくなるそばもある。勿論、新鮮なうちに挽いたほうがうまい場合もある。

(2) 打ちたて
•打ちたてのそばをゆでるとき、釜の中に入れても沈まずに浮いてくる(こねたときに含まれた空気のせい?)。こういうそばを無理にゆでてもシャキッとしたつやのあるそばにならない。
•竹やぶでは、少なくとも冬場で30分以上、夏場でも20分以上は置く

(3) ゆでたて
•水で洗ってすぐに出すと、水がそばに多くからまって、そばの風味が半減する(水切れの問題)。
•生そばの場合、ゆでたあとアッと言う間にのびてしまうので、水が切れるか切れないかくらいのタイミングがベスト(と阿部さんは思っている)。


あと、グルメ蕎麦漫画「そばもん」でも、けっして間違いではないとしつつも、「三たて」の不完全性を指摘しています。漫画「そばもん」では、竹やぶの阿部氏とは見解がいささか異なります。以下、「そばもん」の見解です↓

(1) 挽きたて
問題なし。挽きたては香りもよく、作る側から言ってもよくつながり作りやすい(古い粉ほど扱いにくい)。

(2) 打ちたて
•打ちたてのそばは、まだ粉と水分がなじまず、空気も抜けていない→湯の中に潜ってくれない→つかっているのは半分だけ=空煮え=芯がありくちゃくちゃする
•切ってから時間が経ちすぎたそばは重くなり、釜の下に沈んでしまって浮いてこない。
•夏場なら30分、冬場で1時間はおいてから煮るのがちょうどいい。

(3) ゆでたて
•(当たり前だけど)水がちゃんと切れていないと、水っぽい。
•藪系の店は「茹でたて」を出すが、ちゃんとひと水切ってある。

さらに、「そばもん」によると、「三たて」は元々そば屋から出た言葉ではないそうで、田舎の習慣から生まれたと言います。
a) 農作業の後に振る舞われるそばを大勢で食べるときに、一度にみんな茹でるので、後に食べる人の分は、切れたり、くっついたり、団子になったりしてしまうので「茹でたてがよい」。
b) 粉も古いとつながらないから「挽きたてがよい」。
c) 麺にしてからあんまり放っておくと、ひびが割れたり、切れたりするから「打ちたてがよい」。
という牧歌的な戒めということらしいです。まあ、ちょっとしたドメスティックなヒューリスティクスですね。

大分話が脇道に逸れた感がありますが、要は、コスト•カット&薄利多売系チェーンが、そのソバに付加価値を付与するためには、消費者に情報を摂取させるしか術がないということです。

以前も書いたけど、いつものあれです↓

客はソバを食ってんじゃない!!
情報を食ってるんだ!

です。
see.
http://researcher-station.blogspot.jp/2009/08/blog-post_02.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2013/06/b_19.html

cf.
http://researcher-station.blogspot.jp/2014/04/blog-post.html

ボクも情報ではなく、料理そのものを食べるように気をつけたいものです。
二流代出のテクニシャン(研究補助員)の外食メモは、まだつづきます.....


2016年5月2日月曜日

外食産業の憂鬱 (1): 成型肉の真実

今はもう無くなってしまった、ヨドバシAkibaに入っていた<CHABUTON>で食べたニューウェーブ系ラーメンのメモです↓

-<CHABUTON>ヨドバシAkiba店 レトロモダンなカレーらぁ麺 Retro Modern Curry Rahmen (増税前 750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
2013年秋の期間限定ラーメン。
麺は平打ちのほぼストレート。柔らかく、コシは無いがモチモチ感がある。好みの麺ではないが、悪くない。
スープの第一印象はspicy。ただこのspicyさは最初だけ(胡椒がスープの表面 or 側面に軽く振ってある)。カレー風味自体にspicyさは感じられず、mildな味に仕上がっている。優しく、郷愁を誘う味。エッジは無いが、地味に旨い。
具は、海苔、焼豚、ホウレン草、刻み玉ネギ。刻み玉ネギが良いアクセントになっている。
焼豚は薄めで、脂部分の顕著な塊はなく、とても柔らかい。味的にもけっこう美味しくて及第。

-<CHABUTON>ヨドバシAkiba店 CHABUTON式創作トムヤムらぁ麺  (増税前 750 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
2014年春の期間限定メニュー。
具は、鶏挽肉、もやし、茸、葱、プチトマト、パクチー、糸唐辛子。
辛味と酸味が特徴的なスープと、平打ちでツルツルした麺の相性が良い。麺はフォーとラーメンの中間のような味と食感で、スープをあまり積極的に絡めにいかない(これがトムヤムクンスープに合致している)。また、麺の味が前作(http://researcher-station.blogspot.jp/2011/04/vs.html)と較べて改善されているように思う(フォーの感じよりも小麦感が出ているような気がする)。
スープの酸味と具のプチトマトの酸味に加えて、添えられているレモンの酸味のハーモニーが楽しい。特にレモン汁を振りかけると、辛味が軽減し、甘味が増してマイルドな味になる。パクチーがエスニック&エキゾチック感を高めている。力作。

-<CHABUTON>ヨドバシAkiba店 ざるつけ麺  (780 JPY)-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
スープにはコショウが振りかけられていて、spicyが一閃。甘酸っぱいエスニック調のジャンクなtasteは好み。もやしたっぷりで、スープの味としゃっきりしたもやしの相性は抜群。しかしながら、麺が嫌いなタイプの麺。半透明の淡黄色平打ち縮れ麺はツルツルしていて、コンニャクライクな食感で、スープになじむとは言い難い。そして、冷えた麺に温かいつけ汁の組み合わせなんだけど、麺をつけるにつれ、スープの温度が猛烈な勢いで奪われていく。ボク的には駄作。

<-CHABUTON>ヨドバシAkiba店 トマトスープらぁ麺 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
2014年冬の期間限定メニュー。
まずエスニック調のspicyな香りが微妙に漂う。スープはトマトの香味が閃。そして、(鶏肉と野菜をじっくり煮込んだスープなのだが)豚を想起させる獣の香味が上品に漂う。このトマトに獣のコラボレーションがとても良い。スープは少しとろみがついていて、口内の五感への刺激をエンハンスする。
麺は平打ちの薄い極軽wavy。ツルツルした食感が心地良い。自己主張するわけでなく、控えめな味の麺で、悪くない。スープの味を存分に味わえるように上手く設計されていると思う。
具はゆで玉、プチトマト、チャーシュー、ネギと底部に刻んだミョウガライクなもの。プチトマトは酸味が強く、フルーツ感を演出。チャーシューは脂身少なく、良い味で旨い。底のミョウガライクなものは口直しに良い。
一緒についてきた粉チーズを加えてみると、fattyな香味が付与(増強)される。
ニューウェーブを地で行くらぁ麺と思いました。


閑話休題


ファミレスでメイプルソースっていうのがあるそうです。で、このシロモノはかえでの樹液100%のメイプルシロップに安いガムシロップを混ぜて増量させたもので、香りがとぶので香料を添加していると言います。某左翼作家原作のグルメ漫画美味しんぼの山岡さんや海原雄山に言わせれば、ニセモノということになります。

このように、外食産業ではニセモノをあたかも本物のように偽って顧客を欺いている企業があると「「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。」という本がボクに教えてくれました。

この本を読んで一番衝撃を受けたのは、先にもちょっと述べた成型肉です(恥ずかしながら、初めて知りました)。
成型肉とは、骨のまわりから削り取った端肉や内蔵肉を結着してつくったものです。結着剤にはリン酸塩が使われ、その他にも、植物性タンパク、乳タンパク、卵タンパク、ビーフエキス、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素が添加され、どんな形にも作り上げることができると言います。

そして、成型肉は牛肉だけに限らず、トンカツ(成型トンカツ)にも及びます。この場合、モモや肩、バラなどの端肉やクズ肉(赤身だけ)に植物性タンパク、乳タンパク、卵タンパク、増粘多糖類、着色料などが加えられます。

ちなみにスーパーのサイコロステーキは成型肉で「成型肉」の表示がされています(あんまり肉食べないんで、これも初めて知りました)。スーパーで売られている成型肉には「成型肉」であることを表示しなければいけませんが(表示しないと法律違反で罰則を課せられる)、外食産業ではその限りではありません。実際の成型肉をステーキ肉と称している売っていたファミレス(フォ○クス)があったそうです(http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/140/index1.html)。

まあ、成型肉だって、ちゃんとその旨を表示した上で販売してるならいいじゃんと思うかもしれませんが、調理が適切でないと危険な場合があります。
成型肉にはインジェクションという技術があるそうです。インジェクション(注入肉)とは、人工的に「霜降り」を作り出す技術で、スーパーでは牛脂注入肉、牛脂注入加工肉と表示されています。で、このインジェクションなんですが、牛肉で成型肉を加工する段階で、牛肉の表面についている大腸菌などが、インジェクターの針で肉の内部に入ってしまいます。このような肉をレアやミィディアムで食べるととても危険だというわけです(「ステーキのどん」、「ペッパーランチ」で大規模な食中毒事件が起こった。これか?→https://www.fsc.go.jp/sonota/kankei-shouchou_sonota.html)。

【参考】牛肉の場合、出血性大腸菌がつくのは表面だけで、豚肉や鶏肉は表面だけでなく内部まで寄生虫(豚)やサルモネラ菌(鶏)に汚染されている危険性があるそうです。

真剣、コエェェェーーーーー

仮にも食品を扱う会社がこの体たらくとは、正直、信じ難いです。

食肉に限ったことじゃないけど、安っすい店(商品)ってそれなりに安く上がる理由があるんだよね。それが合理化といった正当な理由に基づくものならwellcomだけど、偽装したり従業員を搾取したりした結果の安さだとしたらどん引きですね。

ところで、サーロインステーキってあるじゃないですか。スーパーだと、

輸入品   600 JPY / 100 g
国産品   800 JPY / 100 g

で販売されているそうです。

なので、外食で680 JPY / 150 g的なプライシングのステーキライクなものがあったら、それはズバリ成型肉という結論に達するようです。
成型肉は繊維と繊維が不自然なくっつき方をしているので、結着部分は箸などで簡単に切れ、ボロっとはがれるそうです。気になったら試してみましょう。

つづく.....


働くPhosphazene

千葉の渋谷こと柏Cityのラーメン屋さんのメモです↓

-めん王 若柴本店-
R16店舗の正面を見ればすぐわかると思うけど、渡邊美樹ばりに「ありがとう」を強調する、怪しげな店。はっきり言って、ちょっと宗教がかってると思います。
-めん王 濃厚情熱の味噌ラーメン(細麺) (増税前 690 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
甘めで濃いめの味噌スープは、縮れた細麺に良く絡む。細麺はつるつるした触感でライトタイプ。たっぷりのもやしが載っており、これが濃いめのスープと調和している。普通に美味しいが、ただそれだけ。感動は無く、想定内の味。使用している味噌は北海道紅一点。細麺に使っている小麦粉は柄木田製粉の龍王。

-めん王 醤油ラーメン (増税前 500 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
昔ながらの中華スープベースのスープ。麺(細麺)がスナックライクで、つるつるしていてそこそこ旨い(悪くない)。で、デフォルト状態のところにおろしニンニクを加えると、スープにエッジが立ってきて格段に旨くなる。

-半チャーハン (増税前 300 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
普通に美味しくて、コスパ高い。パラパラ感に改善の余地があると思うけど、味つけは良い。

塩ラーメンも味見したけど、スープの輪郭がぼやけていて全然ダメでした。
あと、帰りしなにサービスでもらった饂飩を家で茹でて食べたら、すこぶる旨かったとです。
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-麺屋こうじ ラーメン memo (増税前 700 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
麺は中太ストレート。コシが強く、噛んだときに歯に返ってくる弾力が楽しい。味も良い。麺自体はとても良く出来ていると思う。
しかしながら、スープはいただけない。濃厚豚骨魚介スープは、獣の臭みは感じないけど全体的に塩気が弱く、fatty感とoily感が強い。豚骨魚介の味自体は悪くないと思うが、fatty-oilyなflavorが塩味全体をぼやかしているように感じる。それから、スープの粘度が極めて高い。
麺に対するスープの絡みは悪くないと思うが、スープのfatty-oily感に麺が覆っているようで、ピントのはずれた味に感じる。
スープがトロトロで強烈にfatty。一緒についてくる割りスープ(昆布ベースで、椎茸様のキノコ入り)を全て加えても焼け石に水の脂っぽさ。 具はメンマ、焼豚、ホウレン草(?)、ネギ、海苔、魚粉。
スープが「超濃厚」だから好みに応じてスープ割りで薄めることを推奨しているが、スープ割りで均一に薄める行為は、丼内も麺や具をこねくり回す所作で、美しくない。加えて、濃度をいい塩梅に加減するのは極めて困難だと思う。なので、完成度が極めて低いと言わざるを得ない。
麺は北海道産小麦を使った全粒粉麺。
「焼豚にはこだわっていて、提供する直前に専用のグリラーで炙る一手間をかけ香ばしくしており、食欲を一段と駆り立てる」とアピールしているが、ロースト感は弱く(多少あるけど)、焼豚も脂身が気になり、味も貧弱な部類で旨くない。
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-兎に角 ANOTHER LEAF 端麗ラーメン (700 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
まずコショウのspicy noteが一閃(表面にコショウが振ってある)。魚介系醤油の薄口スープ。麺は(中)太のほぼストレートで、プツンプツンという歯切れで、あまり自己主張しない味だが旨い(米に例えるならササニシキか)。麺にスープが意外と絡んでくる。味的には悪くないと思うが、淡過ぎてもの足りない。具はチャーシュー(中の下的な味)、メンマ、ネギ(ちょっと大きめに切ってあって食感良し)、海苔。

-兎に角 ANOTHER LEAF 辛油そば(750 JPY)-
-RATING-
-REVIEW-
麺は太麺で、モチモチのほぼストレート。
具は、焼豚、刻まれた焼豚、メンマ、葱、海苔、高菜、辛味玉(辛い成分の粒)。
醤油とoily tasteで、節系のflavorがやんわり香る。
麺はとても旨くて、味つけとの相性も良い。
ただ、唯一の欠点で、致命的の残念だったのが、味つけが濃すぎること(マジで高血圧になりそうなほどしょっぱい)。それなりにしっかり掻き混ぜたつもりだったけど、底にタレが沈降していて、上部と下部の濃淡の差が激しい。そして、基本辛い(しょっぱい)。っていうか、とても(塩)辛い。唐辛子の辛さも含まれる。最上部の薄味taste部分は丁度いい塩梅で旨いが(そでもけっこうしょっぱい)、中盤以降は味覚障害者じゃyないと食えないんじゃねってレベルで塩辛くて、オレはつらかったです。
スープ割りができるというので、お願いしてみた。で、2割ほど残し、を加えて、ラーメン様に食べてみた。割りスープは超濃厚なカツオ節フレーバーで、粘度がもの凄く高い(ドロドロしてい)。creamyな部分もあるが、割りスープを加えてもつけ汁の辛さと塩辛さは殆ど緩和されず、くどさがアップ↑する。

前に食べた油そばはかなり旨かったんだけど(http://researcher-station.blogspot.jp/2013/11/2.html)、辛油そばは残念な感じでした。
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-王道家 ラーメン (650 JPY)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
(麺の固さは普通でオーダー)濃厚豚骨醤油でしょうか?粘度が高く、Oily & Creamyで辛め(しょっぱめ)の味。咽せるような獣臭は無いが、全体的にうっすらと獣臭に覆われている。
麺は黄色平打ちの中太で軽くwaveしている。モチモチで旨い麺。
具はほうれん草、海苔、チャーシュー、刻みネギ。ほうれん草はクタクタでイマイチ。海苔はスーピとの相性が良い(スープの重さを軽減してくれる)。チャーシューは豚肉感に溢れsolidな感じながらも、蒸した鶏肉にも似た味で、ほんのり薫るsmoky flavorは秀逸。
食べ進め、残り1/4程度でしょっぱさがup↑塩ダレが底の方に滞留していた為か?かなり塩辛い。ニンニクチップを加えて塩気をごまかすとなかなかgood!
店内に入ると全体的のうっすらと獣臭が漂っている。厨房は丸見えで、従業員は基本口数が少なく、所作は豪快。ホールの床がぬるぬるしているので、滑って転ばないように注意しましょう。
ボクが訪問した日は、従業員は6名(内、そこそこ年配の女性が1名)。厨房はマッチョ系男子3人+女性。マッチョ男子は全員整髪料で頭をキメていて、その内1人は腰パン。そこそこ年配の女性店員が鼻穴に指を突っ込んでいたのにはちょっと辟易。あと、オレのラーメンを持ってくるときちょっとスープをこぼしてたね。ホールの接客係は唯一愛想の良い坊主頭の男性だった。
神経質な人にはあまり向かない店と思います。
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-こってりらーめん誉 みそらーめん (720 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
5種類の味噌と数十種類の素材を使用した1番のおすすめメニューらしいです。
背脂が浮いているけど、ギトギト感は無くサラサラしていて、ニンニクの効いたミソスープはMild & Creamyのあっさり系で、少し粘度を感じる。けっこう上品で洋風チックなミソスープという印象。
麺は中太でwavy。蒲田菅野製麺製の特注麺。サクッとした歯の入りの良さと、中程度のモチモチ感で普通に美味しい。
麺とスープの相性は良く、バランスのとれた味。
具は、チャーシュー、もやし、ネギ、ニラ、メンマ。国産豚を使用した自家製チャーシューは、毎日1本づつ炭火で炙っている自慢の一品らしいいが凡庸な味。
基本的に分かりやすくてシンプルな美味しさのラーメンといった印象。


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-夢館 和風らーめん (720 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は軽くwaveした細麺。柔らかく、コシは無いが、のびた感じではなく、ツルンとした 喉越し。良い意味で没個性的な麺。
スープは魚介節の風味が超濃厚に白いスープでとてもあっさりしている。とても上品な味。表面に浮いている控えめな油だけで、かなりのoilyさを感じるくらいのあっさりさだ。
で、この没個性的な麺は、スープを啜るのに最適化されている。このラーメンはスープを楽しむためのラーメンだ。
具は、焼豚、メンマ、ネギ。
焼豚はとても柔らかくて美味しい。余分な脂感がない。
メンマもとても柔らかくて、優しい味。
けっこうふんだんに入っているネギは薬味としてとてもいい感じで、箸休めとしても良い。
具もスープのために最適化されていると思いました。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

P2Et Phosphazene: A Mild, Functional Group Tolerant Base for Soluble, Room Temperature Pd-Catalyzed C-N, C-O, C-C Cross-Coupling Reactions
Org. Lett., 2015, 17, 3370-3373.

Merckの報告で、BuchwaldのPalladacycle Precatalyst(G2, G3)の系で、Baseにホスファゼン塩基を使ってみるとイイよというお話です。

BuchwaldのPalladacycle Precatalyst(G2, G3)の系では、アルカリ金属塩基が使用されますが、NaOtBuやLiHMDSは塩基に弱い官能基には適合せず、それ自身が求核剤として作用する場合があります。一方、より塩基性の弱いK3PO4, K2CO3, Cs2CO3といった無機塩基は(反応条件下で)溶解せず、一般的に60˚Cの高温が必要とされます(室温で反応が進行するBuchwaldのPalladacycle Precatalyst使う意味が半減するし、基質の分解に繋がる)。

こういった問題に対する安直なソリューションは「じゃ、有機塩基使えばいんじゃね?」ですが、通常のアミン塩基は十分な塩基性がなかったり、反応を阻害してしまったり、反応条件下で分解してしまったりして、なかなか一筋縄では上手くいかないようです。

そして、もう一歩進んだソリューションがThis Workで、「有機超強塩基を使ってみようよ!」です。有機超強塩基に使用によって期待される効果は、
a) 溶ける=均一系。不均一系反応より堅牢
b) (ネーミングそのままだけど)強い塩基性(CH3CN中でpKBH+ 〜47)
c) Lewis塩基中心周りがとっても嵩高いので、触媒反応の阻害を最小限に抑えられるし、有機超強塩基自体が求核剤として作用することもない=基質一般性が高い
d) 塩基の立体や電子状態をチューンできる
です。
ちなみに、有機超強塩基が遷移金属が触媒する反応とともに用いられた研究例は殆どないようです。

で、まずは有機超強塩基のスクリーニングから。著者らがセレクトした反応はこちら↓


この結果、概してP2Etホスファゼンが段違いに活性が高く、トルエン、THF、CPME、DMSO、NMP、tert-amyl alcoholといった幅広い特性•種類の溶媒が使用可能であることが分かりました。

さらに、P2Etを塩基に用いた場合、求電子剤が塩化物やヨウ化物でも(上のFig.で R=H, Br→Cl, or I)、上Fig.の各種求核剤と高収率で反応が進行します。
bromide: 7examples, 82-99%
cloride: 7 examples, 90-95%
iodide: 7 examples, 82-100%

それから、Ester Robustness Testもやっています。C-Nカップリングにおいてエステルユニットを持つ基質はClaisen縮合やエステルアミド化といった副反応が生じるためチャレンジングな基質だと言います。で、Ester Robustness Testはエステル(安息香酸エチルかethyl 3-phenylpropionate)を系内に入れて、目的の反応の収率と添加したエステルの回収率を見るんだけど、P2Etの成績は優秀で、高収率で目的のカップリング反応が進行し、エステルも定量的に回収されます(C-NカップリングでTHF, 25˚Cの場合とNu-H=HO-H, THF, 25˚Cの場合)。NaOtBu、LiHMDS、Zn(HMDS)2を塩基に用いると、目的の反応もエステルの回収も全然ダメで、Cs2CO3だとエステルの回収率は高いけど目的の反応の収率がイマイチです(C-NカップリングでTHF, 25˚Cの場合)。


それでは、最後に複雑な基質を用いた反応例を↓


かなり官能基許容性が高いと思います。

あと、SI読んでて気づいたんだけど、この一連の反応のスクリーニングってパラレル合成でやってるんだよね。相当スピードアップがはかられると思うんんだけど、かなりレベル高くね?ちょっと驚きました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。