とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Saturday, August 27, 2016

ボリド、その還元力を問う

まだ、夏ですね。


神田にあるトプカ (topca)っていうカレー屋(夜は居酒屋にもなる)さんのメモです。


-トプカ (topca) memo-

-GUINNESS extra stout (480 JPY)-
鉄板の旨さ

-マトンカリー (1,100 JPY)- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
半ペースト状で、いかにもカレーっぽいspicy taste。ニュアンス的に味噌likeで複雑玄妙、bodyの強さを想起させる香り。 tasteは、けっこう辛い(お店のメニューに書いてある唐辛子マークは3つ)。ボク的にはこの辺の辛さがカレーを美味しく食べれてる辛さのマックス•レベル。トップに載っているネギは箸休めのアクセントとして良し。ジャガイモはホクホクで美味しい。 で、マトンなんだけど、味的には辛さがけっこうキツかったので、その独特な香味を明確に把握することはできなかったけど、複数あるマトンの肉片のうちの一片はかなり旨くて絶品の域。しっとりとした食感、力強いbodyの肉の味。勿論、くさみは全く感じない。 他のマトンのピースは、食感が少しパサついた感じが明確にする。 あと。頂きに冠たるトマトは普通(青臭いね)。 総じて旨いカレーと思います。そして、このカレーにギネスがけっこう合う。

-松竹梅 豪快 一合燗 (380 JPY)- 

-まぐろ中おち (490 JPY)- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
freshで柔らかい酸味と甘み。口の中でハラハラと解けていく。 山葵は多分本山葵だと思う。


-ホヤ (450 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW- 
Wild Tasteなホヤ。子供の頃、田舎で食べていたホヤの味を思い出した。磯の匂いが印象的なワイルド系のホヤ。 




-黒伊佐錦 on the rocks (450 JPY)- 


-すだちサワー (400 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆ 
-REVIEW- 
すだちがいい味出してる。

-銀杏 (350 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆ 
-REVIEW-
盛り沢山の銀杏が殻付きで提供される。殻はペンチを使って自分で割って食べるワイルドなスタイル。



-穴子の白焼 (600 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
猛烈に穴子の魚くささが立ち昇る(好ましい穴子くささ)。味は及第。そのまま or ワサビで食べるのが良い。淡白さの中に穴子独特の滋味あって良い。 甘ダレも付いてくるんだけど、穴子の旨味が台無しになってしまう。



閑話休題


以前、このブログで1,2-還元と1,4-還元について書きました。
see
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (1) 
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (2)
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (3)
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (4)
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (5)
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (6)
"1,2-" or "1,4-", That is the Question (完)

で、それらのブログの中で、α,β-不飽和ケトンのCoCl2•H2O-NaBH4によるC-C二重結合に選択的還元について取り上げました↓

WO2008/010235

この反応は、安価な試薬(CoCl2•H2O, NaBH4)とマイルドなコンディション(15-20˚C)で反応を行えるので、汎用性(基質一般性)が高ければ優れたツール足り得るという印象を受けました。

で、ちょっとだけ調べてみたら、こんな論文(総説)がヒットしました↓

Methods of enhancement of reactivity and selectivity of sodium for application in organic synthesis
Journal of Organometallic Chemistry, 2000, 609, 137-151.

ボロハイにadditiveを加えることで、還元力を上げたり、選択性を出したりすることはよく知られていますが、この文献はその総説です。

この総説を読むまで、CoCl2-NaBHsystemはα,β-不飽和カルボニル化合物のC-C二重結合のみを還元(1,4-還元)する試薬と勝手に勘違いしていたんですが、孤立したC-C二重結合を水素化できる試薬だということが分かりました。しかも、反応条件を適切のチョイスすることによってオレフィンをhydrogenationとしたりhydroborationすることができると書かれています。

ref. J. Org. Chem., 1979, 44, 1014.; Tetrahedron Lett., 1984, 25, 2501-2504.

ただ、この総説では、JOC (J. Org. Chem.197944, 1014.)とTL (Tetrahedron Lett.198425, 2501-2504.)の論文の主張に基づいて、hydrogenationはhydrocobaltationを介して進行すると解説されていますが、他の文献にも目を通してみると、この説は完全に排除はできないものの劣勢のようです。今回は、そこら辺のメモを以下にまとめてみようと思います。


まず、CoCl2/NaBH4を使った還元の初出は1979年のJOCだと思います↓
Selective Reduction of Mono- and Disubstituted Olefins by Sodium Borohydride and Cobalt (II)
J. Org. Chem., 1979, 44, 1014.


この論文では種々の一置換、二置換、三置換オレフィンの還元が検討されていて、CoCl2の使用は触媒量でもよく、一置換および二置換オレフィンの還元は進行するものの、三置換オレフィンではno reactionという結果が示されています(冒頭のアリセプト合成では、三置換オレフィンを還元してるけど)。この論文で著者等は、NaBH4とCoCl2からCo metal、Co(BH4)2、さらに複雑なコバルトヒドリド(CoH2, etc.)が生成するのではないかと考えています。


その後、1984年のTLでこんな報告がなされています↓
Hydroboration or Hydrogenation of Alkenes with CoCl2-NaBH4
Tetrahedron Lett., 1984, 25, 2501-2504.




Hydroboration of Alkens with CoCl2/NaBH4




Hydrogenation of Alkens with NaBH4/CH3OH-CoCl2 in THF


アルコール溶媒(MeOHとかEtOH)中で反応を行うことでhydrogenationが進行し、THF中で反応を行うとhydroborationが進行します。
この論文で著者等は、THF-CH3OH中では"CoH2"が、THF中では"BH3"が生成し活性種として働くと考えています。


ところが、さらに2年後の1986年のJACSではこんな報告がなされています↓
Studies on the Mechanism of Transition-Metal-Assisted Sodium Borohydride and Lithium Aluminum Hydride Reductions
J. Am. Chem. Soc., 1986, 108, 67-72.

この論文では、
(1) CoCl2-NaBH4 systemを使ったニトリルの還元
(2) CoCl2-NaBH4 systemを使ったオレフィンの還元
((3) LiAlH4-CoCl2 systemを使ったハロゲン化アルキルの還元)
のメカニズムが検討されています。

で、オレフィンの還元にフィーチャーしてみると、

a) MeOH中、CoCl2にNaBH4を作用させると、激しい水素ガスの発生を伴って、> 95%でコバルトボリド(Co2B)が生成する
b) Co2B単独ではリモネンを還元できない
c) Co2BとH2ガスでリモネンを還元できる
d) THFまたはTHF/MeOH (12:1)溶媒中、Co2BとNaBH4 (or LiBH4)の組み合わせではリモネンは還元されない(この条件下、水素ガスの発生は抑えられている)

といった現象が観察されています。これらのことから、オレフィンの還元にはCo2Bの形成とNaBH4の分解に伴う水素ガスの発生が必要のようです。

さらにニトリルの還元ですが、


a) Co2B単独もしくはCo2Bと水素ガスではニトリルは還元されない
b) Co2BとベンゾニトリルをMeOH中で混合すると、ベンゾニトリルはCo2B表面に強く吸着する。Co2Bがニトリルを活性化する。
c) 反応液のpHが重要
TBA (t-butylamine-borane)のメタノール溶液はCo2B存在下でも安定であるが(液性は中性のまま)、NaOMeを加えてpH 8-9にするとベンゾニトリルは還元されベンジルアミンを与える(水素は発生しない)。NaBH4, Co2B, MeOHの混合物はNaBH4の分解を伴いpH 8.5-9.0になる。
d) これもpH依存性の証左か?↓

といったことが報告されています。オレフィンの還元とは様式が明らかに異なっています。著者らはボリド表面で活性化されたニトリルに、溶解して非配位性のNaBH4からのヒドリドの付加によって還元が進行するというのが最も可能性が高そうだと述べています。


ちなみに、CoCl2-NaBH4はアジドの還元にも使えます。

14 examples, 91-98% Yield
Synthesis, 2000, 646-650.

この条件下では、CO2H, CO2Me, OH, OCH2O, NO2, Me2C=CHR, CNといった官能基があっても許容です。また、この反応の際、コバルトボリド (Co2B)の析出が観察され、これがNaBH4の分解を触媒し水素を発生させ、接触還元(様の反応)を起こすと著者等は考えています(但し、還元反応の活性種がCoH2であることを排除できないと述べている)。

CoCl2-NaBH4による還元は、なかなか一筋縄では説明でいないメカニズムで進行するようです。基質によって(特に、ニトリルとその他)水素源となる活性種が異なるようですが、Co2Bが触媒として関与が有力のようです。

以上、CoCl2-NaBH4についてチョッピリ造詣を深めることができた二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。



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Tuesday, August 16, 2016

アミンからオキシムへ:mCPBA in AcOEt at rt.でアミンを酸化する

ども、艦これ2016夏イベントを(一応)攻略し終えた、チバラキ在住のオタッキーのコンキチです。

ところで、チバラキと言えば、先日(といっても7月のはなしだけど)、柏の葉キャンパス駅前で『柏の葉サマーフェス』なるものが開催されたんですが、ボクの大好きなクラフト•ビールも吞めるっていうんで行って来ました。で、そのメモです↓

-ファーイーストブルーイング 馨和 KAGUA Rouge (700 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
alc. 9.0%。
重厚な味わいと山椒のアフターフレーバー。ロースト麦芽を使用し、香ばしいしっかりしたボティ感。アフターテイストの山椒のスパイシーさが特徴で、お肉にばっちりな重厚な味わいの一品。2014年ANA国際線ファーストクラス採用。香港インターナショナルビアアワード2年連続金賞ビール。
やんわりとしたfruity & citrus note。口に含むと、まずnaturalなsweetnessを感じ、その後すぐにcitrusが押し寄せる。赤ワイン様のrichなbodyを堅持しつつ、finishには山椒様の清涼感を伴った独特のspicy。発泡感は全体的に弱いんだけど、finishに集約された発泡感が山椒のspicyをエンハンスする。温度が上がってくるとberry感とchemical感がUP↑するんだけど、これがまた良い。文句無しにとっても美味しい。Japanese Tropical!

-ブルームーン (600 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
オレンジアロマ香る全米No. 1クラフトビールらしいです。
オレンジキュラソーの傑作「コアントロー」を彷彿させる鮮烈で濃厚なオレンジの甘い香りが迸る。口に含むと猛烈な甘い香りとは裏腹に甘みは微弱。そして、とってもcreamyで、orange系のcitrus & spicyがやんわりと漂う。面白いビールと思いました。

-インドネパールレストラン ハリオンのタンドリーチキン (2P) (300 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
骨無しのチキン。普通に旨いし、2Pで300円は超リーズナブルでは。コスパ非常に高し。

-ル•ジャルダン•ゴロワのキッシュ盛合せ (4種) (1,000 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
生地は薄めで、アパレイユがプルンプルンに仕上がっている。キッシュって旨いね




-uca's kitchen 鶏肉のフォー (500 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
スープは薄味だけど旨い。鶏ガラベースだろうか?
具は鶏肉、もやし、ネギ、パクチー、フライドガーリック。パクチーとフライドガーリックの香味のスープへと移る速度が速い。で、これに伴う香味の変化が楽しい。そして、フォーに合った味付けと思いました。あと、フォー自体が旨い。
淡白であっさりとした優しい味に仕上がっていてとっても旨かったです。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

m-CPBA Mediated Metal Free, Rapid Oxidation of Aliphatic Amines to Oximes
J. Org. Chem., 2016, 81, 781-786.

タイトルそのまんまで、アミンを酸化してオキシムをつくるお話です。

20 examples, 78-95%
ウリは、

a) Metal free
b) Mild reaction conditions (at rt.)
c) High oxime selectivity (oxime selectivity > 90%, lower byproduct formation)
d) Commercially available oxidant (m-CPBA)
e) Shorter period, easy workup

です。

あと、この論文、インドの研究機関(ICT)のなんだけど、インドの室温は30-32˚Cなので注意して下さい(30-32˚Cって論文に書いてあった)。まぁ、ご愛嬌といったところです。

さて、オキシムの合成といってすぐに思いつくのは、アルデヒド/ケトンにヒドロキシルアミン塩を作用させる方法で(オレはそれしか思いつかない)、脂肪族アミンの酸化によるオキシム合成はオルタナティブな合成法になりますが、脂肪族アミンは酸化反応に対してセンシティブで、アルデヒド、ニトリル、ニトロ化合物、イミンなどの副生成物の混合物を与えがちで選択性に難ありというのが定説のようです。なので、脂肪族アミンを酸化して選択的にオキシムに誘導する反応の開発は、今尚、重要な仕事の一つに数えられているようです。

著者等はベンジルアミンをモデル化合物に選んで、種々の酸化剤(m-CPBA, 50% H2O2, Oxone, 70% TBHP, Sodium perborate, Potassium peroxydisulfide, Urea hydrogen peroxide, 過酢酸)と溶媒(Pet ether, Toluene, CHCl3, CH2Cl2, Acetone, CH3CN, EtOH, MeOH, AcOEt, Glycerin, H2O, DMF)を検討した結果、酢酸エチルを溶媒に用いて、室温(30-32˚C)でm-CPBAをきっちり2 eq.作用させるのがベスト•プラクティスだということを見いだしました(溶媒効果がけっこうでる。あと、収率向上のためにはm-CPBAのモル比も重要)。

基質一般性はこちら↓

benzaldehyde oximeはE/Z=86:10(一番左上)で、それ以外の置換ベンジルアルデヒドオキシムはE-選択的。(ベンジルじゃない)脂肪族アミンから誘導されるオキシム(最下段の5化合物)はE-体とZ-体の混合物として得られます。

それにつけても、こんなにも簡便な操作、マイルドな条件、短時間で高収率でアミンからオキシムに変換できるなんてちょっと驚きです。
ちなみに、遷移金属を使った空気酸化も報告されてますが、反応温度は100-120˚Cと高温で、反応時間も10-16 hrと長時間を要するようです。

本報はとっくの昔に誰かがやってそうな話だと思いましたが、そうではないんですね。論文になってるくらいだから(企業がノウハウとして隠している可能性は否定できないけど)。

シンプルなアイデアだからといって、もう誰か思いついてやってんじゃね?って勝手決めつけて諦めてしまうのは良くないねと改めて思う、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


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Monday, August 15, 2016

その構造、アミニウム?ウロニウム?

夏ですね。

今夏も大好きな新子を食べることができました↓


新子の香りって凄く繊細で、絶妙な塩梅の酢の香りと相まって、なんとも言えない可愛らしい香りを醸し出すんだよなぁ。舌触りももの凄く繊細で、この世のものとは思えない、なんとも形容し難い可愛らしい味わいで、真剣、癒されます。
(ちなみに、添えてあるのはカボチャの漬け物)

折角なので、去年食べた新子の写真もアップ↓


今年は去年より早めに食べにいったんだけど、去年が四枚付けで今年が三昧付け。初夏の限られた時期にしか食べられない夏の風物詩は、その食べる頃合いをはかるのが難しいです。


閑話休題


先のエントリーで、ベンゾトリアゾール系縮合剤のメモを書きましたが、その関連で(大分有名な話だけど)HATUに代表されるAminium (Guaniinium)/Uroniumタイプの縮合剤の構造についてメモしてみます(以下、HATUを例に挙げてメモしていきます)。

まず最初に、Aminium (salt)、Uromiun (salt)って何よ?っていう話ですが、HATUで説明すると、Bis(dimethylamino)methylene基がベンゾトリアゾールの"N"に結合しているのがAminium (N-form)で、"O"に結合しているのがUronium (O-form)です。


HBTUはHOBtとtetramethylchlorouronium塩(TMUCl)との反応によって誘導されるんだけど、当初はBOPのアナローグとしてUroniumタイプの構造だと考えられていました。


しかしながら、後にX線結晶構造解析から実際はAminium塩(guanidinium N-oxide)であることが示され、HBTU, HATU, HAPyUはAminium構造であることが分かっています(Chem. Rev., 2011, 111, 6557.)。

ところで、これらの試薬のO-form (Uronium salt)は絶対に取得できないのかというと、そんなことはなくて、合成法を工夫することで調製可能です。ではどうするのかというと、後処理を迅速に行うことと、三級アミンを使用しないことです。

Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 441-445.

迅速な後処理が必要というのは当然異性化(O-form→N-form)を防ぐことが目的(=三級アミンを完全に排除しても異性化が進行しないわけではない)なので、ラージスケールでのO-form(リッチな試薬)の調製は困難でしょう。なので、市販試薬は(大部分が)N-form (Aminium salt)のはずです(O-formの構造が描いてある試薬メーカーもあるけど)。

あと、HBTUとHATUは、N-form (Aminium salt)よりO-form (Uronium salt)の方が活性が高いと言われていますが、実際の反応条件とかを鑑みて、そこまでアピールするほどのクリティカルな違いなの?って思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。
O-form (Uronium salt)とN-form (Aminium salt)のこれでもかっていう反応性の(バカでも分かる)明確な差異が報告されている論文があったら、浅学なボクに教えて下さい。


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ベンゾトリアゾール:その傾向と対策

水無月をGETしたオタッキーのコンキチです。



昨年のまだ三月のことだけど、復活したかんだやぶそばに行ったときのメモです。


-せいろうそば (1,340 JPY+Tax) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
grassyな野趣的な香味。蕎麦は角が立ったところは無く、柔らかく、食感ゼロの中で心地く跳ねる。(なにもつけずに)そのまま食べて美味しい(浅草の大黒屋に似た香味)。
ツユはとっても良い鰹節の香りがフワッと立ち、上品な甘さの後、シックな辛さを感じる。バランス良いしっかりした味の辛口のツユでとっても旨い。grassyな野趣的な蕎麦との相性が良く、蕎麦を手繰るのが楽しくなる。
薬味は山葵と葱。どちらもひなびた感じの辛さで、この"ひなびた感"が蕎麦にベストマッチ。
ホント久しぶりに食べたけど、超旨いね。

-ねりみそ memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
酒類を注文すると付いてくる(今回はエビスの大瓶 (670 JPY+Tax)を注文)。
コク深い甘みの後に、締まった辛味。とても旨い。刻まれた牛蒡の柔らかい漬け物チックなものが入っていて、その食感と濃厚な味がアクセントとしてとても良い。究極の酒のツマミと思いました。因にこのねりみそは土産にもなっていて、自宅で楽しむこともできます(原材料:みそ、ごぼう、砂糖、鴨油、一味唐辛子、さば節、醤油、味醂)。

復活した神田の藪、蕎麦は相変わらず最高。建物は白を基調としたスッキリ•小綺麗に仕上がっていて好感触です(並木の藪も改装したけど、雰囲気がとても似てる)。これからも味と伝統をしっかちろ守って欲しいお店です。


閑話休題


以前、カルボジイミドを用いた脱水縮合のadditiveとしてのベンゾトリアゾールの用途をメモしましたが(see http://researcher-station.blogspot.jp/2013/11/2.html)、もう少しだけベンゾトリアゾールに関して造詣を深めてみました。

(ボクはあんまり使ったことないんだけど)ベンゾトリアゾール系の縮合剤といえば、ホスホニウム塩系(BOP, PyBOPとか)とアミニウム/ウロニウム塩系(HBTU, HATUとか)があるかと思いますが、それらのメモです(主に、Chem. Rev., 2011, 111, 6557.)。

PHOSPHONIUM SALTS
まずホスホニウム塩系縮合剤(BOPを例にした)のメモ。反応機構はこちらです(活性種が何なのかについては議論の余地があるようですが)↓

N-アシルアミノ酸を用いた場合は、5(4H)-oxazolone経由で反応が進行する可能性もある(ラセミ化の危険)。

で、代表的な試薬はこちら(ベンゾトリアゾールじゃないのも入ってるけど)↓

構造を見れば一目瞭然だけど(BOPの反応機構のschemeにも描いてあるけど)、BOPとAOPは副生成物としてHMPAが出来るので、それを改善しようと開発されたのがPyCloP、PyBroP、PyBOP、PyAOPで、ジメチルアミノユニットがピロリジンで置き換えられています(これで、HMPAは生成しない)。
あと、AOPとPyAOPはBOPやPyBOPよりも概して高活性で、AOPはAOPよりも僅かに活性が強いそうです。

AMINIUM/URONIUM SALTS
次はHATUやHBUTに代表される(とボクは思っている)AMINIUM/URONIUM塩系縮合剤のメモです。(HATUを例にした)機構はこちら↓


代表的な試薬はHBTUとHATUの二強だと思うけど、他にもいろいろ報告されています↓


ここに挙げたのはアミニウム/ウロニウムユニットが対称なものだけだけど、非対称なものも報告されています。
あと、カウンターイオン(PF6とBF4)だけ違い試薬がありますが、活性の違いは殆ど無いみたいです(WAKO Oraganic Square, 2013, Vol. 46, 2-6.)。
それから、ピロリジノ誘導体(HBPyU、HAPyU))はテトラメチル誘導体(HBTU、HATU)よりも活性が高く、ピペリジノ誘導体(HBPipU、HAPipU)は活性が(テトラメチル誘導体よりも)低いと言います。


ところで、ホスホニウム塩系試薬とアミニウム/ウロニウム系試薬ってもっと具体的にどんなところが違うの?っていう疑問が湧いてくると思いますが、反応の活性について以下にメモしてみようと思います。

まず、ホスホニウム塩系試薬とアミニウム/ウロニウム系試薬の最も大きな違いは、ホスホニウム塩系試薬はアミノ基と反応しないけど、アミニウム/ウロニウム系試薬はアミノ基とは反応するっていうことだと思います。こんなふうに↓


こうした副反応は、カルボン酸の活性化が(嵩高いなどの理由で)遅い場合や、過剰のアミニウム試薬を使用したときのしばしば起こるようです(ボクはまだグアニジンをディテクトしたことはないけど)。実際、カルボン無しで、Hünig's baseの存在下、フェニルアラニンのフルオレニルメチルエステルの塩酸塩にベンゾトリアゾールのアミニウム塩系縮合剤を作用させると対応するグアニジンが生成します(ホスホニウム塩系縮合剤ではではグアニジンは形成しない)。

J. Org.Chem., 1998, 63, 9673-9683.

しかもけっこうの生成速度が結構速い。通常は、カルボン酸の活性化(活性エステルの形成)が充分速く、カルボン酸に縮合剤を作用させた後にアミンを作用させるので問題になることは少ないかと思いますが、頭の隅に入れておきたいものです。ちなみに活性エステルの形成は速いです(Fmoc-diethylglycineの例)↓

J. Org. Chem., 1998, 63, 9673-9683.

Fmoc-Deg-OHとHCl•H-Phe-OFmとのペプチド結合形成反応の結果はこちら↓


ピロリジノ誘導体(HAPyU, PyAOP, PyBOP)はジメチルアミノ誘導体(HATU, AOP, BOP,)よりも僅かに優れた活性を示し、(この中で)最も活性が高いというHAMDUはその不安定性からイマイチな結果に。HDTUはカルボン酸(Fmoc-Deg-OH)の活性化には凄く有効だけど、対応する活性エステルの活性はOAtやOBtエステルよりも低いです。

総論としては、ホスホニウム塩は対応するアミニウム/ウロニウム塩よりも僅かに活性が低いというのが一般的な見解で、嵩高いカルボン酸を基質に用いる場合はホスホニウム塩の使用が推奨されるらしいです(アミニウム/ウロニウム塩を使うとグアニジンが生成して望みの反応が進行しない可能性がある)。

以上、主にベンゾトリアゾール系縮合剤に関する二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


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