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2014年8月31日日曜日

縮合剤の値段(軽く)調べてみました

ここ四ヶ月間艦これをやり過ぎたせいか、視力が激しく減退してしまったオタッキーのコンキチです。


先日(8月上旬)、夏の風物詩"新子"を食べてきました。初めての"新子"だったんですが、なかなか良かったです。まあ、寿司屋で食べたんですが、その寿司屋は数年前まで何回か飲み会で使ったことがあったんですが、最近になってランチにジャブ程度に通いはじめています。ということで、"新子"かたがた最近食べたものをメモしてみます↓

-新子の握り(三枚付け, 二貫) (税別 600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ほのかな甘い香りを伴った、乾いた小肌様の匂がやんわり漂う。ネタの新子はこの世のものとは思えないほどの柔らかさで、赤ちゃんを想起するほどの繊細さだ。口の中では仄かな甘味が広がっていく。酢の刺激や塩辛さは殆ど感じられず、食感も味もとても繊細で、かなりハイブローな味。
シャリは温かみがあり(nearly人肌)、柔らかめ。一貫食べた後くらいに硬さが安定してBestな状態になるような気がする。
ボク的には、新子より普通の小肌の方が分かり易い旨さで好きかな(っていうか、オレって世の中で小肌が一番好きだけど、小肌の匂いは好きじゃないんですよね。だから、酢で小肌の匂いがかきけされてる方が好みかも)。

-にぎり 並すし (税別 1,200 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
(多分)赤身、イカ、鰹、玉子、鉄火巻(3種)、タコ、海老、小肌。
赤身はかなり旨い。juicyで張りのあるしっとり感がたまらない。
イカは飾り包丁が入っていて美しく、透けて見えるほど薄い。そして、この薄さがいい。イカの淡白で弾力のある旨さを存分に味わえる。ネタのシャリの間には海苔と山葵が仕込んであって、イカの食感、淡白さ、海苔、山葵の相性の良さが爆発している
鰹は凄くfreshでcreamy。深みのある味わい。食感はとても柔らかく、もの凄くあっさりした淡白なローストビーフのよう。
玉子はデカ旨。
立てかけてある野蒜ライクな漬け物が箸休めにとっても良い。漬かり具合が抜群の塩梅で、しゃっきりとした食感。食べると口の中がすっきりする。とても美味しい。
鉄火巻がまた凄く旨い。鮪と一緒に胡瓜、芽ネギ、紫蘇が巻き込まれた三種類。まず鮪が美味しい。そして、胡瓜、芽ネギ、紫蘇それぞれとのハーモニーが楽しめる。
タコのお寿司には山葵がけっこう効かせてあって良い。多めの山葵の量が薄めに切り出された煮ダコにBest Match!!!山葵との相性が抜群な海苔が巻いてる仕事に細やかさに感動。
小肌の細工がとっても綺麗で見ていて楽しくなる。酢の加減がとても良く、舌触りは滑らか。とっても旨い。

-ばらちらし (税別 1,300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
(多分)赤身、海老、蟹、蛸、椎茸を基調に具を誂えたばらちらし。はっきり言って、旨い!大根の新香、刻み葱、ブルーベリー、牛蒡の新香、とびっこ等がアクセントになってとても良い。基本的に具(ネタ)はどれもプリプリしていて美味しいんだけど、特筆すべきは椎茸と牛蒡と思いました。
煮しめされた椎茸の味付けが感動的に素晴らしくって、その柔らかい甘さは筆舌に尽くしがたい。あと、牛蒡の新香が破滅的に旨い!
それから、前述したようにブルーベリーが載ってるんですが、最初、「おいおい鮨にブルーベリーかよ?」って思ったんですが、果実味溢れるブルーベリーの酸味が良いアクセントになって、口直しに最適でした(違和感が全くなかった)。
あと、山葵に注目。ちらし用の山葵は粗くすりおろされているのかつぶつぶ感がある。充分な辛味に加えて、芳醇な甘味が感じられ、ちらし寿司が引き立っていると思う。

-並ちらし (税別 1,300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
具は(多分)赤貝ひも、牛蒡の新香、蛸、鯛、鱸、海老、干瓢、沢庵、鰹たたき、玉子、烏賊、赤身、椎茸など。
赤貝ひもはチュルンチュルンのプリュっとしていて旨い。牛蒡の新香は鉄板の旨さ。(多分)鯛は上品でしっかりした旨味の淡白さで、きめの細かい食感。(多分)鱸は鯛よりもより淡白で弾力と張りがある。やや筋張った感じがあるところがちょっと残念。干瓢はやや濃いめの味付けだけど、凄く旨い甘さで感動的。くすんだ山吹色の沢庵はボク好みの濃いめの味。(多分)鰹たたきは上品な香ばしさ、しっとりとした食感、落ち着いた酸味で超絶旨い。玉子のボリュームは重厚ながら控えめで上品な甘さがGood。赤身は(メバチマグロなのだろうか?)しっとりjuicyで、酸味と甘味が楽しめて美味しい。


あと、ランチの握りやちらしはセットになっていて、茶碗蒸しとお椀とサラダが付きます。で、ここの店の茶碗蒸しがちょっと変わってて面白いんです。コーンとチーズが仕込んであるんです(だだボクの大好きな銀杏が入ってないのは残念)。


-生ビール 中(税別 600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
アサヒの生ビール。泡もビールももの凄くクリーミーで、とっても柔らかい舌触り。全体的に淡い味ながらも、圧倒的なcreamy感が旨さを押し上げている。あと、醸造酒って生ものにあわせるのがけっこう難しいと思うんだけど、ここのビールでfishy aftertasetを感じることは全くなかったです。

ちなみに、この店の大将は横浜銀蝿のヴォーカルを彷彿させる容貌で、二代目は三瓶をスリムにして超絶かっこ良くした感じの坊主頭です。それにつけても千円ちょっとでこんなに旨くてセンスのいい盛りつけのメシが食えるなんて加山雄三ばりに幸せだなって思う今日このごろです(今月もカミさんと一緒にランチに行く予定です)。


閑話休題


全開の記事繋がりで、トリアゾール系縮合剤とOxyma系縮合剤の値段(試薬グレード)を軽くジャブ程度に調べてみました(間違ってるかもしれないけど)。




単位物質量当たりの値段と活性、安全性を考えると、ボク的にはOxymaにもの凄く魅力を感じます(OxymaはChem. Rev., 2011, 111, 6557.でけっこう絶賛されている see http://researcher-station.blogspot.jp/2013/11/2.html)。

それから、比較的最近開発されたCOMU (Aldrich)の値段が思ったより安くて驚きました。サンプルワークレベルでは十分使える値段と供給量です(それだけ、安全性や活性等に魅力がある証左でもあるのかなと思います)。まあ、それでもけっこう高いわけですが、そのプライシングの高さを克服する処方箋として、「OxymaとCOMUをミックスして使う」っていうのに興味を覚えます(前回ブログでメモした論文に書いてあった http://researcher-station.blogspot.jp/2014/08/blog-post.html)。具体的な条件は調べてないから不明だけど、積極的に調査してみる価値「大」と思いました。(追記 2014.9.23 OxymaとCOMUの混合使用は固相合成の例で、両者ともけっこう過剰量を使用するというもので、ボクが夢想したプラクティカルなものでは全然ありませんでした Org. Lett., 2012, 14, 612-615.)。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のSearch Resultでした。


2014年8月24日日曜日

究極の縮合剤を探せ

チバラキ在住のコンキチです。

以前、練馬にあるそば二十三(http://www.soba23.jp)っていう店で出してる"つけ蕎麦"がテレビでやっていて興味を持ったんですが、自分、練馬に行く用事が全くなかったので、チバラキ界隈で件の"つけ蕎麦"を疑似体験できる店はないかとサーチしたところ、ありました。"千葉のシブヤ"と恥ずかしい感じで形容される柏Cityに。で、増税前に行ってきました↓

-つけ蕎麦 六文銭 魚介つけ汁蕎麦(かつお風味) (740 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
麺は田舎蕎麦様の太い蕎麦で、褐色。黒い星も入っている。かなり硬く弾力が凄いが、芯まで粉っぽさは無く、表面はつるつる。
ツユはアツアツで提供され、かつお風味の強い醤油ベースの甘くてやや辛味のある味付けで、ラーメンのスープみたいだ。具は、油揚げ、ネギ、もやし、かつお節、そぼろ。
太く弾力に富む蕎麦をアツアツの汁につけると、蕎麦にやわからみが出てモチモチ感がアップ↑蕎麦とツユのマッチングも悪くない。太い麺に対して、ラーメンのスープライクなややジャンキーでしいこい感じツユが合っている。
ただ、食べ進んでいくうちに、ツユの温度がどんどん下がっていき、おいしさも減↓そいいった意味で完成度は低い。ツユの濃度がおちていく感じがしなかったことは評価できる。(麺は300 gか400 gのどちらかを選択できる)


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

COMU: scope and limitations of the latest innovation in peptide acyl transfer reagents
J. Pept. Sci., 2013, 19, 408-414.

COMUの紹介論文です。

今日までに様々な縮合剤が開発されてきましたが、その中でも最強との呼び声高いのはCOMUでしょう(多分)。


COMUは、優れた脱離能を有するOxymaユニットと、反応性の高いジメチルモルフォリノコアからデザインされたウロニウム型の縮合剤になります(X線や13C NMRからCOMUはウロニウム塩(O-form)であることが確認されている。Chem. Eur. J., 2009, 15, 9404-9416.; Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 441-445.)。

ちなみに、OxymaユニットをもつHOTUやTOTUはカップリングにおいてエピ化し難く(Chem. Rev., 2011, 111, 6557-6602.; Ger. Offer. DE 90-4016596, 1991)、高いアシル化能を有します。そして、ジメチルモルフォリノコアを有するHDMB, HDMA, HDMCはその優れたパフォーマンスが知られているようです(Chem. Rev.2011111, 6557-6602,; J. Org. Chem., 2008, 73, 2731-2737.)。


以下、COMUのアピールポイントです↓

(1) Oxyma系試薬の中で最も活性が高い
(2) HOTUより、DMFに対する溶解性が50%高い(ジメチルモルフォリノコアの導入)
(3) HBTU, HATUより、DMFにおよそ4倍とける。HDMCより高い溶解性(Oxymaユニットの導入)

(4) 副生成物(縮合剤のカス)が水に良く溶けて、workupで容易に除去できる
(5) 反応の終点を色の変化で判断できる(用いる塩基に依存する)
(6) 立体障害の大きいカップリング・ジャンクションで、高い反応性(Oxyma部位のフレキシビリティが効いている。これに対して、ベンゾトリアゾールユニットはリジッドである。)
(7) モルホリン環があるので、1 eq.の塩基の使用でオッケー (ラセミ化対策に有効)
(8) ペプチド合成において。HOBt類縁体やHATUよりラセミ化しにくい(Sigma-AldrichのWeb Siteにも紹介記事→http://www.sigmaaldrich.com/japan/chemistry/chemical-synthesis/technology-spotlights/comu.html)
(9) COMUとOxymaをミックスして使うのもあり
(10) 普通のアミドやエステルの合成においても、HATUやHBTUよりも優れていて、パワフル(Chem. Eur. J., 2012, 18, 9024-9031.)
(11) Oxymaベースの試薬のみが、tert-ブチルアルコールのような三級アルコールのアシル化が可能
(12) 酸のpreactivationが不要
(13) 危険な自己触媒的分解はみられない(Chem. Eur. J., 2009, 15, 9404-9416.)

なかなか使えそうな感じです。値段は58,500 JPY (100g, Sigma-Aldrich; Mw. 428.27)。サンプルワークレベルでは充分活躍できそうな試薬と思いました。

(オレも1回使ったことあるけど、反応速かったです。あと、色も変わりましたね)

F(エフ) II

艦これはじめてぼちぼち4ヶ月。昨日、雲竜GETしたオタッキーのコンキチです。


昨年の冬に行った焼肉屋のメモです(3年前にも行ったのでそのときのメモも一緒に)↓

-焼肉処 くらちゃん memo-

-和牛中トロにぎり (455 JPY/1貫)-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
はっきりいって、熱がかかってない状態だと旨くないなよ思いました。

-特上あぶりにぎり鮨 (455 JPY/1貫)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
牛肉が炙られて活性化してましたが、シャリが全然ダメ。やっぱ、素人さんが握っても握りになってないと思いました。

-レバー刺し (849 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW (規制される前)-
ちょと肉厚にカットされているため、食感が悪い。もう少し薄切りにした方がいい。

-馬刺し (903 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
お馬さんは鉄板の旨さ。

-くらコロホルモン (860 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
名前は似てるけど、シロコロホルモンとは全くの別もの。シロじゃなくて、ギアラって感じ?

-国産牛ホホ焼 (725 JPY)-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
硬かったり、筋張った部分があったりと、あまり楽しめなかった。ツラミ好きのボクとしては非常に残念

-野菜焼 (525 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
玉ネギ、ネギ、しいたけ、人参、ナス、サツマイモの盛り合わせ。とてもおいしい。サツマイモって大人にあってから、バフバフ感が嫌で、食べれなくなったんだけど、これは旨かった。あと、玉ネギ、ネギ、しいたけがexcellentに旨い。

-牛サガリ (840 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
柔らかくも、適度な噛みごたえがあって、噛むほどに旨味が染み出てくる感じで良い。

-鹿児島産地鶏刺し (945 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ちょっと食べにくいところもあったが(噛み切れないところとか)、小さく切り取って食べると鉄板の旨さ。デフォルトで塩・胡椒がやんわり振ってあり、胡麻油ベースのタレが付いてくる。胡麻油タレを付けずに食べると、あっさりとしたケモノっぽい味わいと弾力が楽しめる。で、胡麻油ベースのタレをつけて食べると、旨さがさらに引き出される感じ。そしてワサビ(多分西洋ワサビ)をつけるとより一層旨さが広がる(この料理にワサビは付いてこないんだけど、一緒に頼んだトントロについてきたワサビを付けてみた)。


閑話休題


この前読んだBenzylic Fluorination (see http://researcher-station.blogspot.jp/2014/07/fe.html)関連論文(っていうか、同じauthorの論文)を読んでみました↓

A Polycomponent Metal-Catalyzed Aliphatic Allylic, and Benzylic Fluorination
Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 10580-10583.


アルカンのフッ素化のお話です。

主なアルカンのフッ素化は、取り扱いが難しかったり、選択性の無い試薬を量論量使用しなければならないそうです。例えば、

i) F2 (JACS, 1956, 78, 2793-2797.; JACS, 1956, 78, 4992-4995.; JACS, 1957, 79, 3084-3089.; JACS, 1976, 98, 3034-3035.; Acc. Chem. Res., 1988, 21, 307-312.)、

ii) cobalt trifluoride (CoF3) (J. Fluorine Chem., 1986, 33, 337-346.; J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1991, 445-447.; polyfluorinationが起こる)

iii) cesium fluoroxysulfate (CsFO4S) (Tetrahedron, 1989, 45, 2737-2742.; 潜在的に爆発性がある)

なんていうのがあります(はっきり言って、使いたくない)。

で、This workで著者等は、Selectfluor、N-hydroxypyhalimide (NHPI)、相間移動触媒 (KB(C6F5))、Copper (I) bisimine錯体からなる触媒システムを構築し、これをaliphatic、benzylic、allylicな基質に対するフッ素化に適用しました。

72% yield
MeCN, reflux, 2 h

他16 examples

置換基がついていないシンプルなシクロアルカン(5 examples)では33-72% yieldでモノフルオリドが得られます。また、アダマンタンを基質に用いた場合、反応温度によって選択性が変化します。

非環式の基質では、位置異性体のmixtureが得られます。

あと、benzylicとallylicの例↓

基質一般性や選択性、収率はどうかと思うけど、テゥルンテゥルン炭化水素をモノフルオロ化できるのは凄いと思いました。