北千住の立ち呑み割烹のお店のメモです↓
-割烹くずし 徳多和良 memo-
-吉乃川 吟醸三年古酒 (500 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
雪冷。上品な老香がたまらなく良い匂い。綺麗な味。finishに苦み。基本的に淡麗辛口で濃厚bodyのお酒(なんだと思う)。
-しめさば (300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
薄く切り出された刺身に酢の香味は感じられない。とても軟らかくて、口に含むと適度の脂と強烈な旨さが伝わってくる。とても可愛らしい味で凄く旨い。あと、薬味は本山葵。
-エビス 生ビール グラス (300 JPY)-
-エシャレット土佐煮 (300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
灰汁っぽさが全くない。もの凄く上品な味付け。こんなに上品な味のエシャレットがあっていいの?と思う逸品。
-あん肝 (300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
淡白で、甘くて、上品で、濃密な味わい。プリンのような滑らかな舌触りで、どうしていいか分からないくらい旨い。一瞬チーズを想起させるような味。あっさりしていて、非常に滋味深く、mild taste。
-たちばなの蔵 純米 (500 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
雪冷。香り立ちは殆どしない。淡麗辛口の中に僅かに上品で優しい甘みが漂う(これがいい)。変なクセが無く、多分、大概の料理に凄く良く合うと思う。
-さより天ぷら (300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
アツアツ。白身の旨さが怒涛の勢いで押し寄せてくる。抹茶塩でいただく。
-春霞 (500 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
雪冷。sharpなalcoholicな香りが微弱に香る。味わいもaharpだが、穏やかで上品な甘みと弱いmilky tasteを感じる。一言で言うと、スレンダーな甘さが特徴的。
-えぼ鯛の昆布じめ (300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
皮付きの切身に、山葵、菊の花、つま、紫蘇が添えられて提供される。お刺身は凄く繊細な味。野趣的な"魚の味"に加えて、仄かな甘み(白身の焼き魚の見られるような甘み)、淡白な滋味、昆布締めによるものだろうかヌルっとした感触を感じる。総じて、とても可愛らしい味だ。
薬味の山葵自体は旨いが、無造作に刺身につけて食べると、折角の繊細な味が消されてしまうので、山葵はつけてもその量を極少量に抑えるべき。また、醤油もつけ過ぎると、醤油の味にえぼ鯛の繊細な味が掻き消されてしまうので注意。っていうか、何もつけずにそのまま食べた方がいいかも(充分美味しい)。菊の花を乗せて、ほんのちょっぴり醤油をつけて食べるのがお洒落だと思う。
-スパークリングワイン (白) (300 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
キリッと締まった硬派な香り。tasteは締まっているが、ちょっと甘い(明確に「甘口」という甘さではない。甘ったるいわけでもない)。
特筆すべきは、あんきもとのマリアージュで、とても素晴らしい。
-島らっきょう (300 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
もろみ味噌が添えられている。島らっきょうは瑞々しさはあまり無いが、少し鄙びた感じの味が郷愁を誘う。で、脇に添えられている"もろみ味噌"が秀逸。色調は赤みが強い。tasteは、甘くて、もろみ-like(そのまま)な香味と味噌っぽい(そのまま)ニュアンス(でも、味噌感はあまり強くなく、むしろ弱め)のlightかつ玄妙な味(アンビバレント)。もろみ味噌に含まれるあずき色の粒々は、口の中で簡単に潰れ、食感も小豆ライク。
多分、島らっきょうの"鄙びた感"が"もろみ味噌"を引き立てているのではないかと思う。"もろみ味噌"の旨さを味わう為の料理と思いました。
-新竹の子の天ぷら (400 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
凄くアツアツの状態(揚げたて)で提供される。抹茶塩でいただく。竹の子がてっても旨い。シャキシャキしていて、軟らかくて、甘くてjuicy。
衣はpopな感じの軽やかな油のtasteがしてとっても旨い(天ぷらの衣はあまり掻き混ぜていなかった)。
このお店、凄く狭いんだけど、お店の人達の動きに無駄がなくて、狭いスペースながら、コンパクトな動きでうまく回していると思いました。何度でも通いたい店と思いました。
閑話休題
中央大の竹内先生が書いた「10年後、生き残る理系の条件」を読了しました。
結論から言うと、
もの凄くまっとうなことが書いてある本
と思うとともに、
日本のエスタブリッシュメントに対して再び暗澹な気持ちになりました(再認識)。
是非、読むべし(特に若い人)
と思いました。
さて、まっとうな理系の処世術(心構え)については竹内先生の本を熟読していただくとして、以下、エレキに疎い全くの畑違いのケミストが本書を読んで感じたエレキ業界の印象などを中心にメモしていきます。
ここ数年、我が国のエレキメーカーの凋落っぷりがしきりに囁かれていることと思います。大手家電メーカーの
いち素人の表層を軽く嘗めただけの感想を述べると、「軽電は最早コモディティ、終わったな」です。
しかし、そんないち素人の感想は間違いであることが本書を読んで分かりました。確かに、テレビやパソコンのコモディティ感が半端ないのは社会のコンセンサスかと思いますが、東芝のフラッシュメモリ(SSD)やソニーのイメージセンサは現在にあってなお充分な競争力を保持しているそうです。
いち一般人のボクは完璧に誤解していたけど、半導体は今でも成長産業であるそうです。半導体は設備投資型産業でその製造のほとんどが自動化されていてることに加えて、世界的に見て日本のエンジニアの給料は安いほうだそうです。即ち、P/Lに占める人件費は軽微。よって、半導体を日本でできない理由は、コスト面では、全くないのだそうです。実際、半導体の多くが先進国のアメリカに牛耳られているそうです(インテル、クアルコムとか)。ついでに、ビッグデータを蓄えるストレージ産業(要はSSDでしょ)もこれから成長が見込まれるのだとか。
(因みに、半導体の世界トップ10には米国企業が5社、韓国企業が2社、日本企業は東芝1社のみランクイン)。
こういった現実から導きだされる国内エレキの凋落の原因に対する答えは一つで、要は
やり方がまずい
んでしょう。
例えば、東芝勤務時代(10年くらい前)の竹内先生は、SSDに搭載されるメモリコントローラーの開発を国内システムLSIメーカーに働きかけていたそうですが、市場が小さいからとどこのメーカーにも断られます(正にイノベーションのジレンマ)。しかし、インターネットサービスやクラウド・コンピューティングの進展によって、今では大きな市場に成長しているそうです(インテル、マーベル、LSIといった海外メーカーが早期参入した)。
それから、日本のシステムLSI事業は失敗の典型例だと竹内先生は仰ります。アメリカ企業などの先行企業がはじめた事業がうまくいきそうになると、競って参入するも、先行企業を追い越せる技術も事業をまわすためのエコシステムも作れずに、最後は皆で撤退するって感じらしいです(確固たる戦略もなしにレッド・オーシャンに突っ込んで行く。正に、バカ丸出し)。
さらに、竹内先生が開発に携わったフラッシュメモリ事業でも、事業が立ち上がり始めると、それまでは「できっこない」と言っていた人達が手のひらを返して参入してきたそうです。そして、そんな流行にのって参入してくる人達はそのうち負けて撤退し、「日本の半導体はダメだ」と嘯くのだそうです。未だにフラッシュメモリは日本が強いというのにです。
ついでに、2012年に会社更生法の適用申請して、米マイクロン・テクノロジーの子会社になった旧エルビーダメモリは、マイクロン・テクノロジーの急成長の原動力になったそうです(これはDRAM市場がV字回復したため。竹内先生もDRAM市場のV時回復は予想できなかったそうです)。
(エルビーダメモリは、もともとはNECと日立製作所が1999年に設立したNEC日立メモリで、2003年の三菱電機からDRAM事業を譲り受けた)
挙げ句の果てに、国内自動車メーカーの技術開発幹部からは、「もう日本の電機メーカーには何も期待していません。うちはシリコンバレーでやります」と言い出される始末です(最近の話のようです)。
あと、本書では不採算事業(テレビ、パソコン、半導体、携帯電話、液晶パネル、etc.)を切り離して、重電(電力、社会インフラ事業)に軸足を移すことで復活を遂げた日立製作所が、ある種の成功事例のように取り上げられていますが、日立のこれまでの経営方針を鑑みると相当擦った揉んだがあったと推察されます。だって、2008-2009年頃の日立の経営者は、「脱"選択と集中"」とか「コングロマリット・プレミアム」とかアホなことぬかして、W不採算事業の「ハードディスク事業」と「薄型テレビ事業」を中核と位置づけて大赤字垂れ流してたからね。
see
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/05/blog-post_30.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2009/01/2_31.html
どうでもいいけど、エレキメーカーの経営幹部は成長したくないの?って思ってしまいます。近年、国内エレキメーカーがイマイチな経営成績しか残せていないのは、不採算部門であっても、そこで働く従業員をそう簡単に切ることができず、彼等彼女等の働く場を確保しなければならないという事情もあるのかもしれませんが、経営者だったらそんなの言い訳にしてはいけないし、結局、「最後は
本書の終わりの方で、竹内先生は国内エレキメーカーの経営幹部に対してこう嘆いています↓
「失敗の原因を作った人が、若い現場の人をリストラする一方、自分は失敗の責任を取らずに担当事業を変えて組織の中の生き残り、意思決定者となる.....」
「(竹内先生が)日本の半導体がダメなわけではなく、エレクトロニクスが日本人に向いていないのではなく、単にやり方が悪かっただけ」と主張すると、先輩方からお叱りをうけ、時には反発は感情的で、最後は「竹内は生意気だ」くらいで終わることこもあるそうです。
さらに竹内先生は、「やり方を変えるとうのは、意思決定者を変えるということですから、今責任のある立場の方にとっては自分の立場が危うくなるということ」とも述べています。
瀧本哲史氏は自身の著作「君に友だちはいらない」の中で、『大きな世の中のパラダイム・シフトというのは。「世代交代が引き起こす」』、『古いパラダイムを信じている前の世代を説得して意見を変えさせるのは不可能であるし、それに労力を注ぐのは時間の無駄』と述べていますが、古いパラダイムを信じている国内エレキメーカー経営幹部(古くさいエスタブリッシュメント)にも同様のことが適用できそうな気がします。
竹内先生の本はエレキ分野について書かれていますが、竹内先生がエレキ分野に対して感じる憂いは日本の他の分野にも多分に当てはまっているのではないでしょうか?『どこかの企業がはじめた事業がうまくいきそうになると、競って参入する』といったトレンドに乗るという業界内の横並び的な発想はどの業界でも枚挙に暇がないように思えます。結局は、どこも一緒だなと。
さて、社内政治で上手く立ち回り、リスクを回避することに心血を注いで幹部に昇り詰めた、脳ミソにカビが生えたようなおエラ方に幻滅する人もいらっしゃるかもしれませんが、STEM (Science, Technology, Engineering, Mathematics)系社畜の方々はそう悲観することはないと思います。だって、
科学者が仕えるのは会社でもなく、
上司でもなく、
サイエンス一択なんだから
そう考えると、社畜ライフが楽しくなってきませんか?下手にエラくなったって面倒な事務仕事と責任押し付けられるだけだし、サイエンスから離れていくだけですよ。だったら、そこそこいい給料で、科学に対して誠実に仕えて、日々の小さな発見に小さな喜びを感じていた方が幸せじゃありませんか?(そして、早く帰って旨いもの喰ったり、旨い酒呑んだりする)
それに、アホな上司に無駄に媚び諂う必要もなくなりますよ。だって、サイエンスに誠実に仕えることこそ唯一の絶対的正義なんだから。
なにはともあれ、STEM系社畜に幸あれ!!!
と思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の読書感想文でした。
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