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2018年6月29日金曜日

孤独のグルメ聖地巡礼 in 八丁堀:とってもニラリッチなニラ玉なんです。

突然ですが、シブヤに行ってきました。しかも、八丁堀にある。
最近、孤独のグルメ聖地巡礼ごっこがクセになっているんですが、本日深夜0時17分放送予定のお店「中華シブヤ」さんに行ってきました(最寄駅は宝町です)。

ところで、八丁堀って江戸時代に船を通すために掘られた長さ八丁の掘の名前に由来するんですってね。

では以下、メモです。

-中華シブヤ memo-

-ビール (480 JPY)-
中瓶になります。「ビール」とオーダーすると黒ラベルが出てきましたが、スーパードライもあるようです。
やっぱ、油リッチな中華には、さっぱりした淡色ラガーが合います。

-エビチリ (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ソースが普通に旨い!大振りのエビは、歯を入れると表面に張りを感じ、内はプリプリでfresh。それから、ケチャップの旨味が映えます。お店の人は"チリ"と略して呼んでいます。






-ニラ玉 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
オムレツ風に玉子に覆われたニラ玉。玉子からはみ出ているニラのfreshな香りと玉子の柔らかみのある良い匂いが漂う。
玉子は表面にはある程度の硬さがありつつも内部はトロトロ感があって絶妙な仕上がり。
玉子の覆いの下には"大量のニラ"と豚肉が隠されている。はっきり言って、ニラの量は驚くほど大量で、まさにニラリッチ。ニラはとってもfreshでgrassyな香味rich。豚肉もしなやかな食感で普通に旨い。そして、玉子・ニラ・豚肉の三者のシナジーは小宇宙が弾ける旨さ。
味付けがまた絶妙で、やさしい甘さで程よい塩味。濃過ぎず薄過ぎずで、中華としてはあっさりめと思うけど、存在感のある味でなんとも旨い。そして、心安らぐ味に仕上がっています。ふんだんに油を使っていると思うんだけど、油の重さを全く感じません。


このお店、ホールは男子(といってもおじさん)、厨房は女子(といってもおばさん)が担当です。6人がけのテーブル2つに、4人がけのテーブル3つの計24席。雰囲気は普段使いの街の中華屋さんで、その狭さ故に落ち着きます。
中国料理→本場の味を再現
中華料理→日本人向けにアレンジ
と言いますが、中華シブヤはまさに"中華"であって、高度にジャパナイズされた中華屋さんと思いました。

あと、他のお客さんが食べてたチャーハンが美味そうで気になりました。追加注文しようか逡巡したんですが、加齢とともに「量」が食べれなくなってきていて、今回は断念しました。近いうちにチャーハン喰いに行きたいです。

近所にあったら通い詰めること必至の店と思いました。

以上、孤独のグルメ聖地巡礼放送先取りメモでした。

2018年6月28日木曜日

流行ってるぜ〜、パラダサイクル (2):G2へのIMPROVEMENT

クラフトビール大好きコンキチです。ということで、うまいクラフトビールショップ
のCRAFT BEER MARKETに行ったこきのメモです。

CRAFT BEER MARKET 淡路町店

-お通し (300 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
ガーリックがやんわり効いているポテトサラダ。 

-アウトサイダーブルーイング マスカット・ベリーA バーレーワイン (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 9%。
champagne-like note。木苺様の香り。イチゴジャム様の味。とっても柔らかくてデリケートな香味。とても可愛らしい。まるで、呑む苺。 Excellent!!! 


-COEDO 毬花 〜Marihana〜 (780 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 4.3%。
tea-like note,grassy note, grapefruit note,etc. grapefruitを基調とした圧倒的な香味。 finishはgrapfruitのbitter。 インドの青鬼をmildにした感じのtaste。



CRAFT BEER MARKET 吉祥寺店

-ハーヴェストムーン バーリーワイン (千葉) (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
100 ml。All. 8.0%。
strawberryの香り。適度なroast香。中程度の渋味とbitter。その中からstrawberryの香味が立ち昇る。そして、cake-like。メチャクチャ旨いぞ!!!




-Stillwater Artisanal Surround (メリーランド) (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 10.0%。
alcoholic, minty, 少しだけcamphorous(?)で清涼感のある香り。
tasteはもの凄くfull bodyで、earthy, bitter, high roast。圧倒的にpowerfulでとっても美味しい。



-自家製腸詰 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
表参道「TAMA」秘伝の熟成された旨味を再現。10〜14日間かけて熟成させているらしい豚バラとロース、背脂で仕込む腸詰めは中国のメイクイルー酒と沖縄の白コショウ・ピイバチで香り付けされているらしいです。
で、食べた感想です↓
スライスされた状態で提供される。独特のクセになりそうな酸味が特徴的。solidな食感で乾いた感じがしてジャーキー感がある。凝縮感のある深い味わいでちょっと面白い味。ビールのつまみとして最適。薬味には葱と甘辛味噌が付く。そのまま食べて良し。葱と合わせて良し。味噌を塗って食べて良し。全部(葱と味噌)載っけて良し。


閑話休題


第二世代 (Pd G2)のメモです↓

第一世代のprecatalystは、弱い塩基では室温で活性化できないという問題点があって、それを改善したのが第二世代のprecatalyst (Pd G2)です。
Buchwald教授等は、Albert等の開発したトリフェニルホスフィンの配位した2-アミノビフェニルのパラダサイクル(J. Organomet. Chem.2005690, 422-429.; J. Organomet. Chem.2007692, 4895-4902.)にインスパイアされ、第一世代のフェニルエチルアミン骨格を2-アミノビフェニルに置き換えることでprecatalystのNH2の酸性度が高まり、より容易に活性化されるであろうという仮説を立て、第二世代precatalystの開発に至ります。

J. Am. Chem. Soc.2010132, 14073-14075.

実際、第二世代のprecatalyst (7L = Pd G2)は、室温下、リン酸塩や炭酸塩で活性かされ、Buchwald教授の仮説は例証されました。第二世代のprecatalystを用いた鈴木カップリングの例です↓

ちなみにこの反応で使用されているボロン酸は(高温下や、長時間反応で)プロトデボロネーションし易い基質ですが、Pd G2 precatalystを使用することで、マイルドかつ短時間で高収率です。

さらにPd G2 precatalystは次の基質や反応に対して高い一般性を示します( first general methodなんだそうです)↓
a) 無保護の5員環の複素環式化合物を用いた鈴木-宮浦カップリングに対して(J. Am. Chem. Soc., 2013, 34, 12877-12885.)
b) 種々のトリフルオロボレート塩 (Ar-BF3K, Alkyl-BF3K) (Org. Lett., 2012, 14, 4458-4461.; J. Org. Chem., 2013, 78, 4123-4131.; Org. Lett., 2013, 15, 3342-3345.)
c) フロー系でのアルキニル化 (Chem. Sci., 2011, 2, 2321-2325.)
d) C-Hアリール化 (J. Org. Chem., 2012, 77, 658-668.)

個人的にG1→G2のインプルーブメント感は感動的と思います。弱い塩基でマイルド・アクティベーションはとても魅力的に思えます。この第二世代あたりからBuchwaldのパラダサイクルprecatalystが大々的に耳目を集めるようになってきたように思います。

次回、さらなるインプルーブメンを施したPd G3メモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G2編」でした。

2018年6月24日日曜日

流行ってるぜ~、パラダサイクル (1):Buchwald's Palladacycle G1 Precatalyst

最近全然行ってないけど、mAAchに入ってる常陸野ブルーイング・ラボに行ったときのメモです。

-セゾン ドゥ ジャポン Saison du Japon (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 5.0%。米麹と柚子を使用したジャパニーズセゾン。
fruity, citrus, spicy。とっても香り高く、ワインのように高貴な香り。White Ale様のtaste。全体的にスレンダーで、夏のうだるような暑い日に飲んだら最高だと思う一杯。

-酒粕クラッカー Original sake lees cracker (380 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
completeにパリパリではなく、ちょっとやんわり湿った感のあるクラッカー。香味豊かなビールのお供によく合うシンプルな味。普通に旨い。名脇役的な一品。

-【Lab限定】常陸野シードル Hitachino Cider (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 8.0%。茨城県北部の奥久慈リンゴから醸造し、2年間発酵熟成させた一杯。
注がれた直後はかなり泡立っているけど、すぐに泡が引きます。泡の香りはシャンパンライクで鄙びた感じの良い匂い。仄かに甘い香りも。それから、アップルジュース様、僅かに蜂蜜様の香り。あと、良く分かんないけどとってもいい香りがする。
tasteはスレンダーな甘さで締まった辛口テイスト。finishはcitrus、それから微弱な炭酸が舌を押すように刺激して心地よい。

-エスプレッソスタウト Espresso Stout (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 7.0%。エスプレッソ珈琲のような深い香りと、苦味、酸味を合わせもった芳醇な味わいの重厚黒ビール(Coffee Flavored Stout)。
coffee flavorが特徴的。chocolate-like、糖蜜様の香り。
tasteはchocolate様の洗練された甘さと、糖蜜様の少し野暮ったい甘さ、creamy感、それから、もの凄いroastとroast由来と思われる酸味を感じる。
漆黒の旨さ。

-HITACHINO SESSION IPA FRESH 20 (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
常陸野セッションIPA フレッシュ 20。日本一のホップ生産地である秋田県横手市、そして常陸野ネストビールの額田醸造所、この二つの場所で採れた20種類の新鮮なホップをブレンドして醸造したセッションIPA。
原材料/ 麦芽・ホップ
アルコール分/ 4.5%
もの凄くfantasticなfruity note。上品で心がときめく。
tasteはけっこうdryなcitrus & (少し)spicy。finishには、ややdeepなbitter。

-与謝野フレッシュCC YOSANO Fresh CC (680 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Beer Style: Pale Ale
ABV: 4.5%
京都府与謝野で栽培された、カスケード種、センテニアル種を採りたて、フレッシュな
状態で使用した香り豊かなペールエール。
grapefruit-like, citrus note。蜜柑様のfruityさとsweet note。素晴らしく良い香り。
tasteはlight typeで、spicy, citrus。finishにはbitter。このbitterがlight typeのbodyやspicy, citrusな香味とBest Match!

-常陸さばサンド Hitachi Mackerel Sandwich (600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
茨城県産の肉厚な鯖をオリジナルビネガーでマリネした、心地よい酸味と旨みが後引く絶品サンドとのコピー。
食べた感想は↓
こんがり焼き色がついた味の濃いHotなパンでサンドされているのは、冷たい鯖のマリネ(意表を突かれました)。鯖のマリネはかなりビネガーの効きが強いが、鯖が旨い。口の中で好ましいサバフレーバーが広がる。こんな感じで旨いことは旨いんだけど、パンの熱量と冷たい鯖との温度ギャップが好みでないので、可能ならサンドされてる鯖もHotな方が旨いんじゃないかと思いました。


閑話休題


有機合成界で流行ってるのか流行ってないのかよく分かんないけど、おそらく流行ってるであろうのパラダサイクルについてメモします。Buckwand教授のヤツはもう第四世代まで出てるんだから、全く流行ってないってことはないでしょう。ということで、クロスカップリングのビッグネームの一人であるStephan L. Buchwald教授の論文をメモしていきます。


まずは、
Buchwald教授がThe Strem Chemicalsに寄稿したNew Palladium Precatalysts For Cross-Coupling Reactions (The Strem Chemicals vol. XXVII No.1, January 2014.)からのメモです。

この寄稿論文はPalladacycle precatalystの歴史から始まります。

で、初出のパラダサイクルプリキャタリストはこちら↓

In 1995 Hermann and Beller
precatalyst 1は、P(o-tol)3とPd(OAc)2とのシクロメタル化(PhMe, rt., 16 hr)によって調製されます(Angew. Chem. Int. Ed., 1995, 34, 1844-1838.; J. Eur. Chem., 1997, 3, 1357-1362.)。TONsは200,000にも及ぶケースもあるという高活性っぷりで、単なるP(o-tol)3とPd(OAc)2のコンビネーション以上に効果的です。

その後、次のようなprecatalyst達が生み出されてきました↓


2: ヘック反応に有用 (Chem. Commun., 1998, 3, 1361-1362.)
3: 塩化アリールを用いたC-Nカップリングに有用 (Buchwald et al. Org. Lett., 2003, 5, 2413-2415.)
4: ヘック反応、鈴木カップリン、C-Nカップリング、ケトンのα-アリール化に有用。種々のフォスフィン配位子と結合可能(Angew. Chem. Int. Ed.200241, 3668-3671.)
5: 塩化アリールを用いた鈴木カップリングに有用。オープン・エアで反応しても活性が落ちない。(Chem. Commun., 2001, 17, 1540-1541.)

そして、いよいよBuchwaldの、所謂、第一世代 のpalladacycle precatalyst (Pd G1)が登場します↓

6•Lから誘導されたLP(0)は、C-Nカップリング(J. Am Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.; Chem. Sci.20112, 57-68.; Org. Lett.201012, 4438-4441.; Org. Lett.201012, 4442-4445.)やC-H activationによるacetoxylation (Org. Lett.200911, 1173-1175.)、C-Nカップリングのフロー•ケミストリー(Angew. Chem. Int. Ed.201049, 9469-9474.)、根岸カップリング(Angew. Chem. Int. Ed.201352, 615-619.)に対して有効な触媒となります。

アニリンと4-chloroanisoleとの反応は定量的に進行します。


ちなみに、この反応を他の(普通の)触媒を使った場合は↓

Pd2(dba)2 : 25%
Pd(OAc)2 : < 10%
[(allyl)PdCl2]2 : < 10%

という結果で、Pd G1の高活性っぷりが分かります。

あと、求核性の電子吸引性置換基を有するアニリン誘導体と、難しいカップリング•パートナーと言われている活性化されていないアリールクロリドとの反応成績はこちら↓



Good Yieldで好感触です💌

"第一世代 (Pd G1)"の初出は、A New Class of Easily Activated Palladium Precatalysts for Facile C-N Cross-Coupling Reactions and the Low Temperature Oxidative Addition of Aryl Chlorides (J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.)だと思うんだけど、そこでは幾つかの基質に対して室温以下の反応温度で、いい収率を叩き出しています↓


Buchwaldの第一世代のパラダサイクルprecatalystはair-stable, moisture-stableで、C-Nカップリングなどに対する高活性な触媒前駆体です。そしてその活性化は、K2CO3などの弱い塩基で80˚C、金属アルコキシドで室温、金属HMDS塩基で-20˚Cで進行すると言います。イイネ、Pd G1。

次回、Pd G1をインプルーブメントしたPd G2のメモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G1編」でした。