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2006年10月2日月曜日

「ものづくり」の戦略モデル

業種/製造業の会社に勤務する、なんちゃって研究員のコンキチです。

最近、コンキチが購読している某メルマガの影響でHarvard Business Review(以下HBR)を読み始めています。

同雑誌に対するコンキチの率直な感想は↓

かなりレベルが高い

と思います。

以前は、
日経ビジネスAssocieや、日経ビジネスPRESIDENTといった雑誌を読んでいたのですが、HBRとは内容に天と地程の開きがあると思いました(広告が多すぎで、矮小な内容も多く、変にライターの個人的思想を刷り込むような内容が鼻につくんですよね)。

とまあ前置きはこれくらいにして本題に入ります。


先日HBRの8月号を読了したのですが、その特集が製造業のイノベーションでした。一製造業会社員として感じることがあったので、そのメモがてらブログってみたいと思います。

1) コネクト・アンド・ディベロップ(C&D)戦略
P&Gが展開するコネクト・アンド・ディベロップ(Conect & Develop)戦略という、系統だった、コラボレ−ションからインベーションを生み出すシステム。アイデアを生み出しても、自社にそのアイデアを実現するだけのリソースが(完全には)無い場合、それを補完するリソースを外部に求め、開発コストと時間を節約するイノベーション・モデル。自社に足りない技術的リソースを見つけ出すことを常態化しているところが凄いと思いました(といっても社内のイノベーションを疎かにしているわけではない)。

そういえば、何年か前に読んだ「キヤノン高収益復活の秘密」にも似たようなことが書いてあったような気がします。確か、昔のキャノンはなんでも自前主義でやろうとしていて、研究開発費が嵩む割には利益につながらなかった。で、「何でも自前主義」を改めることで(他社の技術的リソースを導入)、製品開発の速度が上がり、高収益体質になったというようなことが書いてあったと思います(うろ覚え)。


P&Gはそういった行動をシステムに組み込んでいることが凄いのだと思いました。

あと思ったのが、こういうC&Dが有効に機能するのは、P&Gが強力な財務基盤を擁していることに加えて、B to Cビジネスにおける強力な販売チャネルをおさえている(牛耳っている)からかなと思いました。つまり、

a) 強力な財務基盤が無いと、こいういったシステムを構築しようと思う心の余裕が出てこないと思う
b) 製品は結局P&Gの商品として上市されるわけで、P&Gを介さなければ製品を販売しCASHを回収することは不可能だし、P&Gというブランド力は絶大(だと思う)。しかも、プロジェクトはP&G発であり、圧倒的に主導権を握り易い立場にあると思う。

ということです。研究開発型の企業であっても、企業の目標は、技術の自己満足(自慰行為)ではなく、利益を生み出すことなのだとしみじみ感じた論文でした。

2) イノベーション・エコシステム
定義は

「複数の企業がそれぞれ持てるものを提供し合い、一つのソリューションにまとめて顧客に提供するコラボレーション」

だそうです。本論文の言葉を借りれば、

「ガソリンや高速道路(といった補完的イノベーション)が整っていないことろにフェラーリ(というエクセレントな技術
を備えた製品)を売り込むことはできない」

ということで、

本論文でのアップル・コンピュータiTunes Music Storeの例が分かりやすかったかなと思います。

デジタル著作権の管理に対するソリューションやブロードバンドネットワークのいった補完的イノベーション普及を待つという「機が熟すのを待つ」戦略が成功をもたらしたという話です。

相互補完関係を必要とする技術を売るときは、補完関係にある他社技術の普及・整備がクリティカルになる場合があるということです。良い技術であれば売れるというわけではなく、その技術を活かす基盤が整備されていなければ、顧客はその技術を買っても、宝の持ち腐れとなるばかりになるということで、技術の独りよがりは禁物ということでしょうか。

3) スマート・サービス
ITを駆使してハードにネットワークを組み込み、様々なサービスをタイムリーに提供する機会をとらえ、顧客を囲い込む戦略。はっきりいって、コンキチの従事する化学工業には適用不可な戦略だと思いますが、製造業であっても「サービス」で利益を挙げるという考えが興味深かったです。

こんなところが、一製造業の研究員がちょっと思った所感です。

化学の本ばかり図書館に揃えすに、こういった一流の経営雑誌を購読した方が、研究員の利益に資する効率的研究に役立つのではないかととても思う最近のコンキチです。

(でも、殆どの人は読まないでしょうけれど)

以上、二流大卒のなんちゃって研究員の独白でした。


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