ESSENTIAL EYELAを読んでみました。
東京理科器械の読み物で、2005年秋から創刊(?)されているようで、最新版はVol.3です。
で、Vol. 3の特集記事で、分子科学研究所の魚住教授のインタビュー記事を読んだのですが…..
研究内容は、ナノ触媒を用いた精密AQUEOUS REACTIONだそうです。まあ、読み物なので詳しい話は書かれていませんが、インタビューで感銘を受けた事柄が少々ありました。
それは、「平等」に関することです。
魚住先生の発言を引用
私は日本でよくいう「公平」とか「平等」という言葉はあまり好きではない。公平という言葉は日本語として非常に曖昧で、「ユニフォーメーション」と「フェア」という二つの意味がある。ユニフォーメーションというのは昼寝している人も、一生懸命働いている人も、同じ年に入社して同じキャリアなら同じ給料ですね。フェアというのはよりよくやっている人には好待遇があり、やっていない人には悪い待遇が当然。どっちをもって公平・平等と呼ぶかは非常に難しいですが、研究の世界ではやはり、あらゆる意味でフェアであるべきと思っています。だから私は、ユニフォーメーションが嫌いです。
さらに、フェアな環境を構築するためには、評価する側と評価される側の信頼関係が必要であると続きます。
言い得て妙なりと思いました。どこぞのわけの分からない人間の占いや、スピリチュアルな話なんかよりも言葉の重みが違うと思いました。やっぱり、何かを成し遂げた人間の発言には、紙面を経由してであっても、真実の重みがあると感じましたね。
フェアという考え方は、研究の世界以外のあらゆる世界において有効だと思います。
よく、「結果平等」「機会平等」の議論を耳にすることがありますが、両者とも幻想に過ぎないとコンキチは考えています。結果平等は言うに及ばず、平等な機会の供与というのも現実には全く有り得ない話ですから(例えば、我々日本人と東南アジアとかアフリカに人々との機会は果たして平等か?とか、英語圏で生活する人は、世界唯一の共用語である英語を学ぶ必要がないとか。金持ちの家に生まれた子供と貧乏人の子供の境遇とか)。
で、「フェア」という考え方は、完璧では決して有り得ないだろうけれど、セカンド・ベストくらいにはなるのではないかと思います。
「フェア」の精神。そんなものを大事にしていきたいとコンキチは思います。
あと、魚住先生の研究テーマは水中での反応ということで、GSCに通じるテーマです。企業に勤務する研究員は、反応以後の、分離・精製プロセスにおいても、AQUEOUS REACTIONのグリーン性を毀損しないようなプロセスを設計していかなければならないのだろうと強く感じました。
そういえば、何年か前にSharplessが提唱したClick Chemistryを思い出しました。水中で、マイルドかつ選択的に反応が進行し、生成物は固体で、濾過することで定量的に目的物を取得できるといったNO WASTEを謳ったコンセプトだったと思います。確か、アジドとアルキンの [3+2]付加環化反応による 1,2,3-トリアゾールの合成で達成できる反応だったような気がします。
それにつけても、注目されている気鋭の研究者は、脂ぎってるなあと感じる二流大出のなんちゃって研究員のコンキチでした。
二流大出のなんちゃって研究員の徒然なる独白でした。
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