先のブログでは、世界と国内の香料産業のザックリとした市場規模をジャブ程度にサーチしてみました。そして、国内市場は、世界市場(といっても各ドメスティック市場の集合ですがね)に比して圧倒的にフェレーバーの販売金額が大きいということを学習しました。
で、今回は国内市場をもうちょっと詳しくみてみますかね。
まずは、長谷川香料のIR資料によると、国内大手5社の国内市場におけるマーケットシェアは↓(国内の大小様々な香料会社は3桁に達するようですが、総合香料メーカー的な香料会社はそう多くありません)
a) 上位10社の単体売上高の合計を100としている。
ということが注意ポイントです(純粋に香料だけじゃないということ。それから高砂香料工業と小川香料は連結と単体の乖離がけっこう大きいです)。
大手4社の合計で70%超の市場占有率ですから、国内市場は寡占市場といって良いでしょうね。しかも、上位5社のシェアも少なくともここ数年たいした変動はないです。
上場3社の有報には競争が激化みたいなことが書いてありますが、新規参入の危険は皆無に近いと思うし、産業的にも安定していて(トイレタリー商品や加工食品は安定した需要があるし)、もっと競争の激しい産業に比べたら、ぬるま湯につかったようなぬくぬくした匂いがします。
長谷川香料のIR資料では、香料市場への参入障壁として
1) あまり大きくない市場規模
2) 大きな設備投資と研究開発費
3) 品質保証体制の確立
というのをあげています。
長谷川香料IR資料とオーバーラップしますが、コンキチ(素人)の個人的勝手な見解としては、
1) 顧客ごとにカスタム製造していると思うのでスケールメリット(規模の経済)が生かしにくい(香料業界は多品種少量製造と言われています)。市場自体もたいして大きくもなく飽和しているのでなおさら。
2) パヒューマーとフレーバリストの確保が困難。多品種少量のカスタム生産においてシェア(生産量)をのばそうと思ったら、優秀な調香師の確保が決定的になると思います。パヒューマーやフレーバリストの養成学校もあるようですが(日本FF学院とか)、マイナーですよね。パヒューマーやフレーバリストになるための明確なキャリアパスって答えられますか?そういった意味で調香師の人件費と育成費用がかかるという意味では研究開発費は大きなウェイトを占めるのかと思います。
3) ブレンド技術のノウハウ(調合技術)の蓄積。全くの一からつみあげたら超時間かかりそうで大変そうです。
といったことの方が障壁になっていると思うのですが、どうでしょう?
割と高い参入障壁があり、香料を含有するファイナル製品は、安定した需要があって、かつすぐに消費されて行きます(ジュースとかシャンプーとか完璧消費材です)。「化学」セクターの中では、産業としての魅力度は高いと思います。
とまあ、香料市場を大雑把に概観したところで、次回のブログでは、国内大手4社の各論についてコンキチ(素人)の戯れ言を綴りたいと思います。
余談ですが、コンキチが就活していたころ(10年くらい前)は、有報をはじめとするIR資料を簡単に入手することはできなくて、四季報とかを見てせっせと葉書を出していましたが、便利な世の中になったものですねえ。
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