香料業界を考えるブログシリーズ4回目は、国内香料業界No.2の長谷川香料について、誰でも入手できる資料(IR資料)に基づいて、コンキチの独断と偏見により、勝手に考えてみたいと思います。
で、セグメント別売上高構成比(連結)は↓
IR資料より、合成香料はキャプティブ・ユース主体。フレーバーの国内シェアは推定No.1で、ほとんどの大手食品メーカーとほぼ主力取引を維持しているとか。高砂香料に比べて、フレーバーに特化していると言えるでしょう。
ちなみに、過去数年の有報から窺える取引先は、森永乳業(直近16.1%)、サントリー、花王、キリンビバレッジ、キューピー、アサヒ飲料、日清食品など。
商品の構成比が6.7%(グラフは四捨五入してるので6%になっている)と低く(高砂単体で商品30%くらい)、同社の四季報とかに書いてある「研究開発で実績」という記述を裏打ちしているような数字と思います。
四季報情報によると、【連結事業】フレグランス10、食品84、商品7【海外】17 <07・9>だそうです。
連結の粗利益率は34.6%(単体33.4%)と高砂(30.1%)よりも高く、高付加価値製品が多いような気がする。研究開発費はグループで3,430百万円(対売上高6.9%)です。
コンキチが勝手に思っていることですが、調合ってある種の錬金術だと思うんですよね。というのも、安い原料を調達して、ブレンド技術というブラックボックスを通して、高値で売る(かなり大雑把な例えですが)。で、ブレンド技術は、調香師の確保(育成)とノウハウの蓄積が決定的で、簡単にはまねしがたく、その辺が競争優位につながっていると思う(勝手な想像です)。
一方、合成香料事業の場合、所謂ケミカルカンパニーが競合となる可能性があり競争が激しくなる可能性がある。しかも、けっこうやり尽くされた感があって、新規素材の開発も難しそうな気がする。規制が強化されていく中で、ファイナル製品がトイレタリー商品とか、食品なので、医薬品みたいな付加価値を乗せるわけにもいかないと思うし。なので、高砂は利ざやが稼げそうな医薬中間体の製造(合成)に多様化しているんだと思います(合成香料だけでウハウハできるのなら、そっちをもっと伸ばせばいい)。
そういう意味で、調香というブラックボックスに注力している長谷川香料の戦略は王道かなと勝手に思っています。
アメリカ、シンガポール、中国、タイに海外拠点。
地域別売上高構成比は↓
8割超が国内です。
営業利益率は連結で13%(単体12.8%)。なかなか利鞘のよい商売のようです。
国内の主な拠点は、川崎(技術研究所)、深谷(食品香料、香粧品香料、合成香料)、板倉(食品関連、天然香料、機能性物質)。
従業員は連結で1,068人(内研究員267人, 25%)。単体で856人。平均年間給与は761万円(平均年齢40.8歳)で、高砂より3万円ほど少ないくらい。平均勤続年数17.5年。
筆頭株主は長谷川藤太郎商店で41.9%。同族色が強そうですね。まあ、正しい意志決定が可能ならば、経営の舵を切るスピードが速くて良いのかもしれません。
あと、長谷川香料のIR資料は上場3社中で一番良くできていると思います(国内市場をざっくりと俯瞰する意味で)。
ちなみに長谷川香料は
2007年度大学生就職人気ランキング理系総合ランキング 93位
2007年度大学生就職人気ランキング理系女子ランキング 61位
と学生さんに人気の香料会社なのです。
次回は業界3番手の小川香料いきたいと思います。
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