ちょっと古い文献を読んでみました↓
A Mild and Efficient Alternative to the Classical Swern Oxidation
J. Org. Chem. 2001, 69, 7907-7909.
自分はまだやったことありませんが、Swern酸化っていう超有名な反応があります。有機合成に携わる人なら知らぬ者無しと思いますが、この反応はDMSOが活性化されて生成する中間体が熱的に不安定であるため、けっこう低温(below -60℃)が必要です。なおで、プロセス開発してる人はあまりやる機会はないかもしれません(-60℃を実機で実現するためには、特殊な合金で造った釜が必要だからね。普通の釜だと歪んじゃう)。
あと、ちょっと調べて分かったんだけど、最も一般的な活性化剤は(COCl)2だと思うんだけど、最初の報告例ってTFAAを使ってたんだね。
Swern酸化のおさらい↓
Activation of DMSO with TFAA
Activation of DMSO with (COCl)2
(COCl)2を使ったSwern酸化の問題点っていったら、極低温が必要っていうことが1番で、(COCl)2の取り扱いにはけっこう神経を使うといったところかと思います。
で、著者らの改良Swern酸化は、DMSOの活性化に2,4,6-trichloro[1,3,5]-triazine (cyanuric chloride, TCT)を使用すること。それにより、
a) TCTは安い
b) THF中で反応できる
c) 反応温度-30℃でO.K.(一応、0℃でも副生成物の生成なしにdimethyl alkoxysulfonium saltが形成するけど、クロロ体やチオメチルエステルの副生を避けるために反応温度を-30℃に設定したようです)
といったメリットがあります。
全部で20の実施例があって、その内訳ですが↓
Primary Alcohol→Aldehyde: 8例, 20-93% conversion(内6例は70% conversion以上)
Secondary Alcohol→Ketone: 4例, 90-94% conversion
N-Protected α-Amino Al.cohol→N-Protected α:-Amino Aldehyde: 8例, 20-90% conversion
あと、カルボン酸まで酸化されてしまっても、TCT/SBHで還元することで、対応するα-アミノアルデヒドへがtotal good yieldでゲットできると述べています。
ref. Tetrahedron Lett. 1999, 40, 4395.
単離収率の記載は実験項の1例だけで、N-benzyloxycarbonyl-2-amino-3-phenylpropionaldehydeが90% isolated yieldで得られるというのがあるだけで、あとはNMRで決定したコンバージョンしか記載されておらず、ついでに通常のSwernコンディションとの比較もないので、どれくらい有用かというのは明確ではありませんが、なかなか使えるのではないかとコンキチは思っています。
この論文の続報とか、何か知っている人がいたら教えて下さい。
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