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2010年4月17日土曜日

そんなに課長になりたいの?

奇抜なタイトルに惹かれて、「7割は課長にさえなれません」を衝動買いしてしまいました。あの城繁幸氏の著作です。

この本の多くの部分は、城氏が思い描く日本企業の縮図を物語に落とし込んだもので、まず、年功賃金、正規•非正規社員間格差といった現在の閉塞した社会を描き、その後、労働市場が流動化した場合の明るい未来像で締めくくられています。

で、読了後の感想ですが、はっきり言って、期待はずれでガックシというか、お笑い芸人なみにウケる著作でした。

城氏は、前提の誤った能力主義を否定し、上辺だけの日本型成果主義を否定し、(年齢とは無関係な)職務給を支持している。そして、職務給が定着すれば、ポジションによって賃金が規定され、労働市場の流動化が進むというのだ(職務給と真の成果主義は当然セットだ)。

こういったアイデア自体は正論であろうし、正しいであろうことも数多く述べられているが、あまりに問題を一様に捕らえて論じているため、彼の論調はコンキチには空虚に聴こえました。そして、あまりに問題を一般化しすぎると、誤謬が発生するのは世の常だ。っていうか、職務給の導入や同一(価値)労働同一賃金には、より厳格な成果主義が適用されなければならないだろうし、コンピテンシーも必要だろう。具体的には考課者たるマネジャーをちゃんとした考課者に育て上げなければならず、決して一朝一夕で成るものではない。ついでに、現状維持バイアスを破るのは非常に困難だ。まあ、彼がターゲッティングしているマス•マーケットにはこの程度の物語がちょうどいいのかも知れませんが。

っていうか、そもそもタイトルが良くない。(バブル世代の大卒の)7割は課長にねれないなんて当たり前、っていうか、3割は課長になれるのか?そんなにマネジャーはいらないだろ。っていうか、そんなにマネジャ-ばかり目指してるの?って感じです。

あと、文系の博士の就職先がないのは、日本の大学における社会科学がプアーだからだと純粋に思うんですが、っていうか、文系の研究開発型の企業って思いつかない。

それから、労働市場が流動化すれば、働き方が多様化してみんなハッピーになれそうな感じで締めくくられていますが、本書の明るい未来で登場する「専門職コース」なんて相当前から相当な企業で導入されてるだろ(少なくともケミカル•カンパニーでは)。

多分、本書で展開されている世界は「文系ワールド」なんだろうね。で、もしその「文系ワールド」がホントのことだったら、はっきり言って文系って気持ち悪いな。だって、みんながみんなゼネラリストを目指してるなんてキモイでしょ

ってな感じで、この本はちょっと空想じみたお話に思えました。あと、彼の好きな「昭和的価値観」というフレーズも陳腐だ。

コンキチは城氏には期待しているんだけど、ホントこの本は駄作だと思うな。正直、こんなことなら「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」(see http://ameblo.jp/researcher/entry-10123371622.html)でやめとけばよかったのにと思いますね(残念です)。

あと、給料って産業や業界内での地位によって違う(格差がある)から気をつけようね

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