Transition Metal-Free Cross-Coupling (1)の続きです。で、読んだのは、林民夫先生のグループの報告で↓
tert-Butoxide-Mediated Arylation of Benzene with Aryl Halides in the Presence of a Catalytic 1,10-Phenanthroline Derivative
J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15537–15539.
この報告でもフェナントロリン誘導体とMOt-Buを使います。フェナントロリン類を幾つか試していて、(安い)1,10-phenanthrolineでも反応は進行するんですが、ベスト•プラクティスは、4,7-dephenyl-1,10-phenanthroline。baseにはMOt-Buを使っていて、一番いいカチオンはNa (Na > K >> Li)。
そして著者らは、次のような推定反応機構を提案しています↓
ハロゲン化アリールはsingle electron donorと反応し、ラジカルアニオンを経てアリールラジカルを生成することが知られているそうです(Free Radicals in Organic Chemistry, John Wiley and Sons, Chichester, 1995, chapter 15, pp 181-189.; Acc. Chem. Res. 1978, 11, 413-420.)
あと、MOt-Buは、ヨウ化アリールに対してsingle electron donorとして働くことが報告されているそうです(J. Org. Chem. 1986, 51, 3593-3597.)。
それから、速度論的同位体効果(KH/KD=1.07)の検討から、律速段階は、シクロヘキサジエニルラジカル→シクロヘキサジエニルカチオンと推測しています。
マジで遷移金属なくてもカップリングするんだな。
Transition Metal-Free Cross-Coupling (2)につづく.....
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