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2013年3月4日月曜日

フルオロホルムを固定化せよ

先日、念願叶ってとうとう神田新八(酒吞みなら一度は行かなければいけない店)に言ってきました(写真は神田祭のときに撮った)。

以下メモです↓

-神田新八 memo-
〒101-0044 千代田区鍛冶町2-9-1
TEL: 03-3254-9729
さすがに噂の居酒屋だけあって、酒の品揃えは目を見張るものがあります。ただ、噂通りプライシングもかなり高めでした。

-お通し=桜えび+大根おろし-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
桜えびのプリプリ、ツルツル感がたまらない。味わいも深く美味。

-森伊蔵 (room temp., neat) 980 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
芋のわりにかなり淡麗。悪くはないが面白みのあまり感じられない味。oilyさも微弱。焼酎の上善如水というイメージ

-お刺身5点盛り 2,100 JPY-
-REVIEW-
厚めに切られた赤身と(多分)のど黒がとても旨い。濃厚な味と食感が楽しい。(多分)皮ハギはしっとりモチモチ感がなくて少し素っ気なさを感じる。蒸しアワビもあったけど気付いたらなくなってて食べれなくて残念。

-ひこ孫 900 JPY-

-るみ子の酒 あらばしり純米生原酒 880 JPY-

-アウグスビール 780 JPY-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
シックで硬派な味の中にも優しさある味わい

-エビス (生) 780 JPY-

-穴子白焼 1,280 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
冷えていて少し不満。でもまあ美味しい。

-穴子天ぷら 1,380 JPY-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
アツアツで白身の旨さが迸る。ホクホクですおよ。

-馬刺盛り合せ 2,580 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
タン、レバーは食べれず。多分、コウネ、フタエゴを食べたと思うんだけど、お馬さん特有の重力感のある味。食感に少し不満。

-旬野菜の天ぷら 1,180 JPY-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
きのこがメイン。普通に美味しい。

-揚げぎんなん 680 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
揚げてあることで、焼きぎんなんとは異なり食感が均質でまんべんなく柔らかい。はっきり言って秀逸な味。

-ふぐひれ酒 1,100 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
普通にとっても旨い

-あつあげ焼 580 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
普通に美味しい


閑話休題


昨年、こんな文献を読んでみました↓

Trifluoromethylation of α-Haloketone
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 16167-16170.

トリフルオロメタン (CHF3, フルオロホルム, HFC-23)は、テフロン製造時に生成する副生物で、およそ20,000 - 25,000 ton/year産出されているらしいです。その性質は、bp. -82℃, nontoxic, ozone-friendly, 大きな温室効果 (100年のスパンでみると二酸化炭素の11700倍=地球温暖化係数は11700), 大気中には264年滞留し、年間5%ずつ増えているらしいです。

で、副生したフルオロホルムをどうするかっていうのは次の二択で↓

a) ぶっ壊す (なんの生産性もなし。焼却するのは難しいし金がかかる)
b) フッ素化学に役立てる  (反応性低い)

になります。

ということで、反応性の低いフルオロホルムを有機フッ化物に変換するってことは、とっても重要なタスクになっているそうです。ちなみに、フルオロホルムの利用法にはこんなものが有ります↓

1) CHF3 + I2 → CF3I
550℃の高温を要する気相の触媒プロセス。ca. 80% conversion, ca. 60% selectivity。
J. Fluorine Chem. 2012, 140, 7; ACS Synp. Ser. 2005, 911, 57.

2) フルオロホルムのDirect Cupration←これ著者らの前の仕事


CuCF3を用いたハロゲン化アリールやボロン酸のトリフルオロメチル化が報告されています。
J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 20901.←これ著者らの前の仕事


で、本報で報告している著者らの仕事は、CuCF3を使ってα-ハロケトンをハロゲンをトリフルオロメチル基で置換するっていうものです↓


これまでカルボニル化合物のα-トリフルオロメチル化は、エノラートやシリルエノールエーテルへのラジラルや求電子的な付加はあったけど、求核的な反応は本報が初めてらしいです(「C=O」と反応しちゃうから難しい)。

生成物は、反応液中では少し不安定らしく、バッファーにTREAT HF (Et3N・3 HF)を加えると生成物の分解が抑制されます(CuCF3の20-30 mol%)。

通常、有機銅は塩化物に対して反応性が低いらしいのですが、この反応は余裕でクロリドと反応して、高収率で目的物を与えたりします。ただ、ピリジンとクマリンの誘導体やRCOCH(R')X (R'=Me, X=Br; R'=Ph, X=Cl)、α-ハロエステルは反応性が低いそうです。

安くて、すぐ使えるフルオロホルムをアトムエコノミカルなCF3源に活用するっていうのが素敵な仕事と思った、二流大出のなんちゃってテクニシャン(研究補助員)のメモでした。

 

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