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2014年11月25日火曜日

カップリングでニトリルつっこんでみました (田辺三菱製薬)

今年のまだ寒い時期(増税前)に久しぶりに上野藪そばに行ったんですが、鉄板の旨さでした。そのときのメモです↓

-上野藪そば総本店メモ-

-きつねそば (850 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
蕎麦はかなり細い。大分柔らかくなっているが、心地よい食感が残っていて、噛のが楽しい。雑味がなく根底にひそんだ力強いbodyを感じる蕎麦。
ツユは全体的に少し辛めの締まった味で、酸味が特徴的。といって、濃いわけではなく、むしろ薄めと思うんだけど、味が足りてないわけではく、蕎麦にmatchした上品なツユと思った。
具にはお揚げと葱が浮かんでいる。油揚げは薄く、oilyさを感じさせない上品かつ充分な旨味のあるお揚げに仕上がっている。そして、葱がとても旨い。心地よい甘味がたまらない。温蕎麦の一つの完成形なんだろうと思いました。

-揚げぎんなん (690 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
表面がやんわりoily。肉厚で凄くジューシーなプリップリな銀杏で、ホクホクする。かかっている粗めの塩がまた旨い。fresh, juicyで滋味深い味。絶品の域と思いました。

-ヱビス中瓶 (650 JPY)-


何度行っても良い店です。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Practical and Scalable Synthesis of a Benzonitrile Derivative via Palladium-Catalyzed Cyanation with Potassium Ferrocyanide
Org. Process Res. Dev., 2014, 18, 693-698.

田辺三菱製薬のプロセス改善の報告です。

まずはじめに、下に示すようなベンゾニトリル誘導体のメディシナル •ルートを開発しました↓


そして著者らは、このメディシナル •ルートに対して、二つのドローバックがあると指摘します。

一つ目は臭化アリールからニトリルに誘導するまでのステップ数の多さで、二つ目は、極低温条件です。これらの問題点を改善するために、著者らは臭化アリールの1段階でのシアノ化を試みます。で、最初に試した条件はこちら(Weissman's conditions)↓


"CN"ソースであるK4[Fe(CN)6]は安価で、食品添加物としても使用されている無毒な物質で、 全てのシアニドが反応に関与するようです。要は、いいヤツです。それにも関わらず、製造スケール(企業化)での報告が僅かしかないのは、シアニドは潜在的な触媒毒であるため、一般的にシアニド源を溶かさない反応条件が求められ、これがスケールアップを難しくしているそうです。

あと、上記schemeの条件で反応を行うと、88-100%コンバージョンで、ホモカップル体が最大0.53 area%副生して、これの除去が困難だそうです。ついでに、XPhosは特許で保護されています。

ということで、クロス•カップリングによるシアノ化の条件検討を進めていきます。

その結果↓

a) スクリーニングの結果、リガンドはP(o-tol)3がベスト
b) DMAc-toluene混合溶媒。
触媒の失活は、高濃度の"CN"ソースの存在下、Pd(0)が酸化されて[ArPd(CN)3]-, [HPd(CN)3]-, [Pd(CN)4]2-といった不活性種の形成によってもたらされると考えられる。また、"CN"ソースにK4[Fe(CN)6]を用いた反応で、Pd(CN)4]2-がゆっくりと形成するという報告があります(J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 8527.)。貧溶媒にトルエンを用いることで、"CN"ソースの濃度を低減を試みた。トルエンの効果は明確ではないが、期待通りに働いた。また、トルエンrefluxは溶存酸素の脱気効果が期待できるかもしれない(Org. Process Res. Dev., 2014, 18, 246-256.)。
c) K4[Fe(CN)6]•H2Oの物質移動が律速
d) 溶存酸素の影響によって再現性が低下
e) magnetic stirringによるK4[Fe(CN)6]•H2Oのすりつぶし効果が顕著。市販品を砕いてimpeller stiringで反応を行っても効果なし。43 vol% PhMe in DMAc中では、100% DMAcより粒径が大きい。overhead stirringで<43 vol% PhMe in DMAcであれば、K4[Fe(CN)6]•H2Oの粒径の大きさに問題なさそう

といったことが分かってきました。

で、最適条件です↓
160 kgスケールに量上げしても、トルエン-DMAc混合溶媒の組成を調整することで、満足いく収率と純度に仕上げることに成功しました。

めでたしめでたしと言いたいところですが、ボク的には微妙な気持ちもします。確かにステップ•エコノミーは非常に優れていると思いますが、クロス•カップリングでシアノ基を導入する反応は、少なくともこの基質に関しては、ちょっと気難しい反応のような気もします。

メディシナル•ルートのn-BuLiを使った極低温反応は、教科書的にはマイルドなコンディションで実行できるGrignard試薬に置き換えることが可能なはずです。一瞬、モルホリンユニットを持つ基質ではGrignard試薬の調製が難しいのかなとも思いましたが、下記Grignard試薬が市販されているので、問題はなさそうです。


クロス•カップリングでシアノ基導入はチャレンジングな試みで、それを制したのは素晴らしいと思うけど、オレだったら、きっとGrignard試薬を使うと思います(原価計算したわけじゃないから、なんともいえないけど)。でも、サンプルワークでは積極的に使ってみたいかな

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。




2014年11月23日日曜日

"投票"という"行為"は果たして正しいのか?

10年以上振りにコンデジを購入したコンキチです。



←この小さな体躯と、スピードアクセスがガジェットとして優れていると思うんですよね。
実際、凄く重宝しています。


閑話休題


衆議院が解散されましたね
ボク的には、アベノミクスは失敗に終わり、我が国がスタグフレーションに覆われるのではないかと夢想しています。でも、自民党よりも"マシ"な政党が全く見当たりません。まあ、最初から投票する気ありませんけど。

よく、投票人口比的一票の格差を問題にしてる人とか、投票することは意思表示でありとりあえず選挙に行こうとか言ってる人がいますが、無責任極まりないと思いますね、ボクは。

だって、民主主義のデフォルトって、

バカの意見も尊重しなくちゃいけないじゃないですか

バカの一票も賢人の一票も価値は一緒ってことです。


っていうことで、今度の選挙に向けてボクこう言いたいです↓

バカは投票を控えろ
賢人の一票とバカの10票分を等価交換せよ

と。

まあ、でも投票人口比的一票の格差なんて定数減らせばあっという間に解決できるのに、そんな簡単なことさえできない政治屋さん達に投票するのもバカくさいですけどね。

ついでに、我が国の社会保障費に端を発する財政問題なんて、欲の皮の突っ張った有権者(老人)とそれにおもねる政治屋さん達とのデキレースじゃないですか。一千兆円超の借金を自分たちの孫子の代に押し付けて、逃げようとしてる浅ましさを感じます。

そう考えると、投票所になんかに行く暇があったら、政治に依存しない生き方を考えた方がいいと思う、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の休日の昼下がりでした。

2014年11月16日日曜日

tert-BuONaを酸化的開裂に使ってみましょう

昨日、艦これ秋イベントを終了したオタッキーのコンキチです。


とりあえず、秋月、Prinz Eugen、野分、大鯨、朝雲、清霜、天津風といったレア艦をGETできました。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Transition-Metal-Free and Chemoselective NaOtBu-O2-Mediated Oxidative Cleavage Reactions of vic-1,2-Diols to Carboxylic Acids and Mechanistic Insight into the Reaction Pathways
Org. Lett.201416, 2876-2879.

NaOtBuと酸素でビシルナジオール (vic-1,2-diol)を酸化的に開裂させてカルボン酸を得るというお話です。

コンベンショナルな同種のトランスフォーメンションというと遷移金属(Cr, V, Mn, Ru, W)のオキソ錯体を方法があるそうですが、高温(up to 70˚C)が必要であり、選択性が低いケースもあるようです。

で、This workです↓


ウリは遷移金属フリーとマイルドな反応条件です。

電子吸引基を持つ対象なvic-1,2-ジオールだと、反応はスムースに進行します(70-96%)。それに対して、電子供与性置換基を持つ基質では収率が低下します(60%)。

塩基にNaOiPr、NaOMe、NaHを使用しても反応が進行します(収率はNaOtBu > NaH > NaOiPr > NaOMeの順)。

そして、著者等に提案する反応機構はこちら↓


低温で反応を行って、benzyl誘導体の生成も確認しています。


あと、vic-1,2-diolユニットに加えてアリルアルコールユニットを有する基質の場合、vic-1,2-diolユニットの酸化的開裂とアリルアルコールユニットの酸化がone-potで出来ます↓


NaOtBuと酸素を組み合わせることで、マイルドコンディションで酸化が進むなんて驚きです(って、既視感を覚えますね http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja904224y)。


2014年11月9日日曜日

固体亜鉛試薬がカップリングを変える?

おでんやさんのメモです↓

-大多福 memo-

-お通し(前菜2点盛)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
冷製の魚(鮪か?)の煮物が印象的。冷たくて、心地良い硬さの身。上品ないい味で、ヒンヤリとした感触が面白い。


-がんもどき-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
箸で 割くと椎茸の香りが拡散して食欲がそそられる。銀杏も入っていて凄くrichな味。尾張家のがんもと甲乙つけ難い。
(銀杏が入っていないときもある)

-焼とうふ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ほんのりといい感じに出汁が効いてとても好き。豆腐の食感もgood。

-巻ゆば-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
クセになるような乙な味。ちょっと香ばしい感があって、出汁がサポートしている感じで良い。

-大根-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
あっさりして上品な出汁をふんだんに吸い込んだ大根。出汁の旨さを存分に楽しめる。大根の甘味に加えて、汁の旨味の洪水が上乗せされて押し寄せてくる。出汁の味を味わうのには、大根が一番だなとしみじみ思いました。

-キャベツ巻-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
玉葱と挽肉を胡麻油で炒めたものがキャベツで巻いてある。やっぱり、キャベツの葉はかなり歯応えを失っている。味付けがマイルドな分、キャベツを深く味わいたいと感じ、その食感が気になってしまう。おでんには向かないタネと思いました。

-うずら卵-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
穏やかな出汁には、普通の玉子よりもうずらの卵のほうが合ってるんだろうと思う。卵の味が濃厚で旨いです。

-茶飯 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
新香と赤だし付き。胡瓜と大根の新香の味が心に染みる。茶飯はほんのり甘味がある。これにおでんの汁を掛けていただく。お出汁は薄味だけど、昆布のフレーバーが凄く濃厚かつ上品。飯を搔き込むと旨さの波が口腔に、胃袋に、五臓六腑に押し寄せてくる。
それでも、中程まで食べ進めると飽きてくるんだけど、そこに薬味(葱とセリみないなもの)を加えると、もう一段階味が花開く、なかなか旨し。

-ねのひ純米の酒 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
雪冷え→やさしい味。穏やかな味。フィニッシュに甘さがほんのりと立つ。
→人肌よりも幾分熱い程度の燗。あまり自己主張せず、丸みのある味わい。それに加えて、ほんのり果実味を感じさせる甘さが立ち昇る。

-葱まぐろ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
絶品!まぐろが柔らかくて、心地良い弾力があって、ジューシー。滋味深い味が滔々と染み出てくる。からしをつけると、これまたとても旨く、鮪の味が引き締まる。葱は上品な出汁を充分に吸っていて、何とも言えないとろっとした絶妙の旨さ。で、鮪と葱を交互に食べると、味のコントラストが楽しめて旨面白い。感動的な味。

-鶏玉子-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
玉子の表面には大分色が付いているが、そこはあっさり出汁なので、玉子の味がしっかりと楽しめる。まず黄身の味が押し寄せ、次いで周囲の白身そして出汁の旨さといった順番で味のウェーブが来る。お出汁が玉子の味を引き立てている。

-小玉葱-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
もの凄く秀逸。しんなりとしつつも、一個まるまるの形を保った小玉葱は、食感も楽しめる。で、良く煮込まれていて甘味を醸す繊維の隙間に美味しいお出汁がしたたり落ちるほどに入り込んでいる。この出汁と葱・玉葱系の相性が抜群。素材の甘味ととろっとした食感、そのに出汁由来の昆布の旨味のシナジーがとても旨い。驚くほどの旨さ。

-錫んチロリでだされる燗酒 (700 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ベースの酒は多分白鶴の樽酒。白鶴の樽酒は吞んだことがなかったけど、樽酒というと樽の木様の香りがけっこう立ってるというイメージがありますが(例えば、菊正宗とか)、錫のチロリで燗をつけられたその酒は、思いの外マイルドで、クセが無く吞み易いサケだった。それから、"錫のチロリ"が凄くいい雰囲気出してて楽しいです。
カウンター限定のようです。

-ヱビスビール大瓶 (750 JPY)-

-茶そば (680 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
ツユはけっこう甘い。少し気になるくらい甘く、濃いめだ。茶蕎麦は緑が鮮やかで、角が立っているように思う。薬味は山葵と万能葱。万能葱はボク的にはいただけない。これを食べていたとき、店主とのトークが猛烈に弾んでいて、ちょっと蕎麦の味から注意が逸れてしまったんだけど、多分、凡庸な味だったんだと思います。

 大多福のホスピタリティーは凄いです。おでんは食べ易く直前に切って出してくれる。店主のトークは面白いし、店員の接客も良いです。カウンターでしか食べてないんだけど、テーブル席ではミニおでん鍋がセットされて常にアツアツのおでんを楽しめるようです。
あと、おでんのツユはつぎ足し。生前、中村勘三郎が月一で訪れていた店らしいです。オレが通いたいから、みんな来ないで欲しいです。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Synthesis of Solid 2-Pyridylzinc Reagents and Their Application in Negishi Reactions
Org. Lett., 2013, 15, 5754-5757.

Knochel等の報告です。

鈴木カップリングにおいて、2-ピリジルボロン酸はその不安定さ故に反応はイマイチな場合がしばしば起こります。この問題に対するコンベンショナルでベストな対策はMIDAエステルやピナコールボロネートの使用ですが、2-ヘテロアリールボロネートで一般的にみられるプロトデボロネーションが懸念されるためか、穏和な条件が求められ、一般性にも乏しいようです。

本報では上述した問題のソリューションとして、air-stableな固体亜鉛試薬を用いた根岸カップリングを提案しています。

で、著者等が提案する亜鉛試薬は二つ。"2-pyridylzinc pivalate"と"2-pyrydylzic halide complex"です。

"2-pyridylzinc pivalate" approach
まず、"2-pyridylzinc pivalate"に関してですが、著者等が最近開発したorganozinc pivalate approachを2-pyridyl位でのカップリングに適用しました(Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 9205-9209.; Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 9428-9432,; Org. Lett., 2013, 15, 1302-1305.)。


Zn(OPiv)2は無色透明固体で、ピバル酸とジエチル亜鉛から定量的に調製できる(空気、湿気に安定)。

2-pyridylzinc pivalateは流動性のある固体として得られ、不活性雰囲気下で安定です。空気中では1時間の放置プレイで10-31%分解します(空気中での長期保存は無理だが、秤量する分には問題なし)。

で、2-pyridylzinc pivalateを使った根岸カップリングです↓

14 examples, 67-98% Yield

官能基許容性はケトン、エステル、フリーのN-H、ニトリルがオッケー。また、カップリング反応条件において、トレース量の水や酸素があってもオッケーです(テクニカルグレードの溶媒を使ったり、"under air"で反応を行っても収率が殆ど落ちない)。


"2-pyrydylzic halide complex" approach
次に"2-pyrydylzic halide complex"を使ったアプローチですが、この手法は2-pyridylzinc halideにリガンド(溶媒分子)を作用させ錯形成させることで、湿気に対する安定性を増強させるというもので、いくつか先例(チックな報告)があります。例えば、Cherette等のbipyridyl-ligated zinc carbenoidesは大気中での安定性が改善されています(8ヶ月反応性を保持 J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 4508-4509.)。また、Sheverdina等はアルキルおよびアリール亜鉛化合物を1,4-ジオキサンの錯体として結晶化させています(Dokl. Akad. Nauk SSSR, 1959, 124, 602-605.; ibid, 1959, 128, 320-322.; ibid, 1960, 134, 853-855.)。それから、Noltes等の調製した有機亜鉛化合物は錯形成させたものの方が錯形成させていないものよりも加水分解されにくいようだという報告があります(J. Orgnomet. Chem., 1964, 1, 377-383.; ibid, 1965, 3, 222-228.)。

で、著者等の開発した方法はこちら↓


6種類のリガンド(2,2'-ビピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N'-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン)のスクリーニングを行った結果、錯形成したのは1,4-ジオキサンと1,2-ジメトキシエタンの二つで"ligandles (THF錯体, THF中で反応を行っているので)"よりも空気中での安定性が格段に向上します(1,2-ジメトキシエタン錯体は1,4-ジオキサン錯体のざっくり半分くらいの安定さ)。

それで、dioxanate試薬の空気中での安定性はというと、1時間経過で96%残存、1日経過で66%残存、10日経過で5%残存といった具合です。

そして、dioxanate試薬を使った根岸カップリングです↓

11 examples, 61-99% Yield

因に、dioxanate試薬の分解物は反応を邪魔しません。

以上、著者等は2タイプの固体亜鉛試薬を用いた根岸カップリングを提案したわけですが、ボク的には、turbo Grignardを使って調製した有機亜鉛ピバレートを用いて根岸カップリングするっていう方法に大きな魅力を感じました。

n-BuLiは極低温を必要とするし、有機リチウム試薬が残存していた場合、それをエバポするのは気分が悪いです。また、dioxanate試薬の空気安定性は魅力的ですが、亜鉛試薬の収率(ヨードメトリーで決めてる)がイマイチなことに加えて、カップリングに使う触媒もマニアックな感じがして、気軽に使える感じがしません。それに対して、有機マグネシウム試薬の熱安定性とマイルドな条件下でのハロゲン-金属交換反応は、よりプラクティカルで魅力的と思うんですよね。

それから、ちょっと思ったんですが、亜鉛試薬の調製も根岸カップリングもTHF溶媒中で行っているので、"one-pot"でも良くね?って思うんですが、どうでしょうか?(多検体サンプルワークでは、一方のカップリングパートナーを固体でストックできるっていうメリットがあると思うけど)。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。