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2016年8月16日火曜日

アミンからオキシムへ:mCPBA in AcOEt at rt.でアミンを酸化する

ども、艦これ2016夏イベントを(一応)攻略し終えた、チバラキ在住のオタッキーのコンキチです。

ところで、チバラキと言えば、先日(といっても7月のはなしだけど)、柏の葉キャンパス駅前で『柏の葉サマーフェス』なるものが開催されたんですが、ボクの大好きなクラフト•ビールも吞めるっていうんで行って来ました。で、そのメモです↓

-ファーイーストブルーイング 馨和 KAGUA Rouge (700 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
alc. 9.0%。
重厚な味わいと山椒のアフターフレーバー。ロースト麦芽を使用し、香ばしいしっかりしたボティ感。アフターテイストの山椒のスパイシーさが特徴で、お肉にばっちりな重厚な味わいの一品。2014年ANA国際線ファーストクラス採用。香港インターナショナルビアアワード2年連続金賞ビール。
やんわりとしたfruity & citrus note。口に含むと、まずnaturalなsweetnessを感じ、その後すぐにcitrusが押し寄せる。赤ワイン様のrichなbodyを堅持しつつ、finishには山椒様の清涼感を伴った独特のspicy。発泡感は全体的に弱いんだけど、finishに集約された発泡感が山椒のspicyをエンハンスする。温度が上がってくるとberry感とchemical感がUP↑するんだけど、これがまた良い。文句無しにとっても美味しい。Japanese Tropical!

-ブルームーン (600 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
オレンジアロマ香る全米No. 1クラフトビールらしいです。
オレンジキュラソーの傑作「コアントロー」を彷彿させる鮮烈で濃厚なオレンジの甘い香りが迸る。口に含むと猛烈な甘い香りとは裏腹に甘みは微弱。そして、とってもcreamyで、orange系のcitrus & spicyがやんわりと漂う。面白いビールと思いました。

-インドネパールレストラン ハリオンのタンドリーチキン (2P) (300 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
骨無しのチキン。普通に旨いし、2Pで300円は超リーズナブルでは。コスパ非常に高し。

-ル•ジャルダン•ゴロワのキッシュ盛合せ (4種) (1,000 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
生地は薄めで、アパレイユがプルンプルンに仕上がっている。キッシュって旨いね




-uca's kitchen 鶏肉のフォー (500 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
スープは薄味だけど旨い。鶏ガラベースだろうか?
具は鶏肉、もやし、ネギ、パクチー、フライドガーリック。パクチーとフライドガーリックの香味のスープへと移る速度が速い。で、これに伴う香味の変化が楽しい。そして、フォーに合った味付けと思いました。あと、フォー自体が旨い。
淡白であっさりとした優しい味に仕上がっていてとっても旨かったです。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

m-CPBA Mediated Metal Free, Rapid Oxidation of Aliphatic Amines to Oximes
J. Org. Chem., 2016, 81, 781-786.

タイトルそのまんまで、アミンを酸化してオキシムをつくるお話です。

20 examples, 78-95%
ウリは、

a) Metal free
b) Mild reaction conditions (at rt.)
c) High oxime selectivity (oxime selectivity > 90%, lower byproduct formation)
d) Commercially available oxidant (m-CPBA)
e) Shorter period, easy workup

です。

あと、この論文、インドの研究機関(ICT)のなんだけど、インドの室温は30-32˚Cなので注意して下さい(30-32˚Cって論文に書いてあった)。まぁ、ご愛嬌といったところです。

さて、オキシムの合成といってすぐに思いつくのは、アルデヒド/ケトンにヒドロキシルアミン塩を作用させる方法で(オレはそれしか思いつかない)、脂肪族アミンの酸化によるオキシム合成はオルタナティブな合成法になりますが、脂肪族アミンは酸化反応に対してセンシティブで、アルデヒド、ニトリル、ニトロ化合物、イミンなどの副生成物の混合物を与えがちで選択性に難ありというのが定説のようです。なので、脂肪族アミンを酸化して選択的にオキシムに誘導する反応の開発は、今尚、重要な仕事の一つに数えられているようです。

著者等はベンジルアミンをモデル化合物に選んで、種々の酸化剤(m-CPBA, 50% H2O2, Oxone, 70% TBHP, Sodium perborate, Potassium peroxydisulfide, Urea hydrogen peroxide, 過酢酸)と溶媒(Pet ether, Toluene, CHCl3, CH2Cl2, Acetone, CH3CN, EtOH, MeOH, AcOEt, Glycerin, H2O, DMF)を検討した結果、酢酸エチルを溶媒に用いて、室温(30-32˚C)でm-CPBAをきっちり2 eq.作用させるのがベスト•プラクティスだということを見いだしました(溶媒効果がけっこうでる。あと、収率向上のためにはm-CPBAのモル比も重要)。

基質一般性はこちら↓

benzaldehyde oximeはE/Z=86:10(一番左上)で、それ以外の置換ベンジルアルデヒドオキシムはE-選択的。(ベンジルじゃない)脂肪族アミンから誘導されるオキシム(最下段の5化合物)はE-体とZ-体の混合物として得られます。

それにつけても、こんなにも簡便な操作、マイルドな条件、短時間で高収率でアミンからオキシムに変換できるなんてちょっと驚きです。
ちなみに、遷移金属を使った空気酸化も報告されてますが、反応温度は100-120˚Cと高温で、反応時間も10-16 hrと長時間を要するようです。

本報はとっくの昔に誰かがやってそうな話だと思いましたが、そうではないんですね。論文になってるくらいだから(企業がノウハウとして隠している可能性は否定できないけど)。

シンプルなアイデアだからといって、もう誰か思いついてやってんじゃね?って勝手決めつけて諦めてしまうのは良くないねと改めて思う、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


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