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2016年11月13日日曜日

My Dear Grignard Reagent (2): 2-MeTHF、推して参ります

一気に秋が深まりましたね。


人形町で所謂立ちソバを食べたときのメモです↓



-きうち もりそば (290 JPY) MEMO- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW- 
蕎麦は中くらいの太さ(普通)。NUT様の香りがする。かなり硬めで角の立った触感で、喉越しは良いが、歯への当たりが強すぎる。ほんの僅かだけど、粉っぽい感じがする。茹であがった蕎麦は、かごであげている。瑞々しい見た目で、水っぽさはない。NUT様の香りがする割には、咀嚼した際に口腔内に広がるflavorは貧弱に感じる。
ツユは少し赤みを帯びている。かつお節様の香りが一閃。少し甘めで穏やかな味だが、bodyが弱いわけではない。それでも、強すぎるコシで決して細くない蕎麦に対して 当たり負けするのではないかと思ったが、そんなことはなく、意外にもバランスがとれている。ツユは全量蕎麦猪口に入れられて提供され、最後まで水っぽくならないのには感心する。
蕎麦にツユがよく絡んでいると思う。 薬味はワサビと葱。ワサビは粒々感があって鮮烈な辛みと甘みに加えて、さらにoilyな味と舌触り、違和感のあるエグ味を感じる。明らかに、ひなびた感のある蕎麦と良く合う山葵とは違う。あと、ちょっと度の過ぎた鮮烈な香味が蕎麦の味を全てかき消してしまう。 立ち蕎麦としては群を抜いており、コストパフォーマンスも高いと思う。


閑話休題


しつこく、Grignard反応のはなしです。
先日のブログではCPME中でのGrignard反応の挙動についてメモしましたが(http://researcher-station.blogspot.jp/)、今回はGrignard反応の溶媒効果についてのメモです。

読んだ文献はこちら↓

Comparative Performance Evaluation and Synthetic Screening of Solvents in a Range of Grignard Reactions
Green Chem., 2013, 15, 1880-1888.

幾つかのGrignard反応について溶媒効果を明らかにし、2-MeTHFが一番という結論を導きだしています。特に、Grignard試薬調製時のWrutzカップリングの抑制に有効みたいです。

本報で検討してる溶媒は、Et2O, THF, 2-MeTHF, CPME, DEM, Toluene, Diglymeの6種類。各々の溶媒の物性まとめです↓


この中で著者らがSafetyでGreenerだと注目しているのが(当然)2-MeTHFとCPMEです。なので、ここでちょっとGrignard反応における2-MeTHFとCPMEの特性をおさらいしてみましょう↓

2-MeTHF:
a) 5M程度までの高濃度Grignard溶液を調製できる(Green Chem., 2010, 12, 381.)。
b) THFよりも酸と塩基に対して安定。
c) 過酸化物を形成ににくい。
d) 水と混ざらない。
e) 乾燥しやすい。
f) 遺伝毒性と変異原性は陰性 (Merck, OPRD, 2011, 15, 939.)。

CPME:
a) 過酸化物を形成しにくい。
b) 水との共沸混合物を形成するので乾燥しやすい。
c) 遺伝毒性と変異原性は陰性 (Merck, OPRD201115, 939.)。

こんな感じです。

で、溶媒効果はどうなのよ?ってことですが、
まず、ベンジルグリニアとMEKの反応における溶媒効果の結果です↓


因に、臭化ベンジルはWurtsカップリングが起こりやすい基質です。で、X=Br, Clの両方で2-MeTHFが素晴らしい選択性を示しています(Et2Oは同等以上だけど、溶媒としての好ましさが圧倒的に違う)。
ついでにこの結果から、Girignard反応の正否は極性パラメーター(単体)では説明できないことが示唆されます。
あと、個人的にちょっと驚いたんだけど、トルエン単一溶媒でGrignard Preparationが出来るんですね。

それから、3-Bromoanisoleを用いたとき(Aryl Grignard reaction)の溶媒効果の結果↓
(因に、3-Chloroanisoleでは反応が進行しません)


ここでも、2-MeTHFの優位性が光っています(Et2Oは除く)。

参考までに、THF中、Turbo Grignardを使ってハロゲン-金属交換を行って反応を行うとこんな感じで、まあ、普通にTHF中でGrignard反応やるのと同様の結果になります。

(著者等は、Turbo Griganrdを用いる手法は、Griganrd試薬調製時のMgの活性化が不要で、反応も室温で進行し(もっと低温でも進行するよね、確か)、(それ故)Wrutz反応による副生成物の生成がトレース量に抑えられるという利点を挙げています。ついでに、2-MeTHF溶液も市販されています(Alfa Aesarで売ってるのは確認した))。

あと、3-Bromoanisole (Aryl Grignard reaction)の医薬品(Tramadol)合成への応用です↓


2-MeTHF、かなりいい感じですね

さらに、3-メチルチオフェン (Heteroaromatic Gregnard reaction)を用いた場合↓


2-MeTHFがチャンピオンデータです。

以上、試した基質は少ないけれど2-MeTHFって『いいね!』っていう気持ちで一杯になります。

今後、Grignard反応における溶媒としての2-MeTHFの動向に注目していこうと思った二流大学出のテクニシャン(研究補助員)でした。


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