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2022年12月18日日曜日

水はなぜ加熱されるのか?(マイクロ波スーパー初級者編)

ども、外食大好き星人のコンキチです。
浅草は国際通り沿いにある天麩羅屋さんに行ったときのメモです。
西浅草近くまで来ると、観光客が少なくていいですね。
(ぶっちゃけ、浅草はおのぼりさんをターゲッティングしたお店があると思います。例えば、「うますぎて申訳ないス!」なお店とか)

-天婦羅 多から家 (visited Jun. 2022)-

住所:台東区浅草1-11-6 

-ビール 中瓶 (アサヒ スーパードライ) (500 JPY)- 


-天婦羅 A (1,600 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
かきあげ1、えび2、山芋、梅じその天婦羅盛合せ。 
アツアツで、サクッとした薄衣で、時間が経過しても衣に油が回らず、サクサク感を維持し続けている。 
天ツユは甘めの蕎麦つゆ様な味。 
天タネは何れも美味。
山芋の食感がホント堪らなく素晴らしく、熱をしっかり纏った山芋の旨いこと。
かき揚げは(多分)芝海老と烏賊たっぷりで、内部はクリーミーで、外側の衣はサクサク。プリプリででシャクシャクでフレッシュな海老と、熱量を保持したアツアツの烏賊が淡白な旨味のコンボが最高に美味しい(全く烏賊くささが無いです)。
 油はいい匂いで甘い(ほんの僅かに油の重さを感じる)。


閑話休題


なんとも意味不明なタイトルですが、今回はマイクロ波のお話です。
我々ケミストにとってマイクロ波といえば電子レンジ(モレシーとかチンするし)であって”マイクロ波化学”なわけです。
で、マイクロ波化学をケミストが贔屓目で見ると、半分化学で半分物理だと思います。
そう、多くのケミストが苦手な、あの”物理”がそのベースにガッツリと存在します。

正直、ボクみたいな半端なケミストは、「マイクロ波=サクッと加熱できればいいよね」っていう軽いノリの認識なのではないでしょうか?
要は、マイクロ波のこと全然分かってないです。

ということで、今回はマイクロ波の加熱対象として最もポピュラーな物質の一つである"お水(water)"を題材にして、マイクロ波の(多分、初歩的な)物理学的側面をフィーチャーしようと思います。

純粋な水をレンチンする機会あまり多くないかもしれませんが、水をたっぷり含む食品を良く加熱します。スープとかご飯とか冷凍食品とか冷凍食品とか凍らせたご飯とか凍らせたお肉とか。
で皆さんは、冷凍食品とか凍ったご飯やお肉とかをレンチンした時に、解凍を失敗したことはありませんか?
具体的には、早く解凍しようと思って出力を上げてチンしたら、部分的に凍っていたり、部分的に煮えていたりと、いい感じに温まらない現象が起きたりしてませんか?
こうした事象が発生するのは、電子レンジで使われている周波数2.45 GHzのマイクロ波では、(液体の)水は加熱できますが、(純粋な)氷はほぼほぼ加熱できないからです(因みに、水蒸気も加熱できません)。
電子レンジによる凍った食品の加熱様式は、外周の氷が少し溶けて生じた水をマイクロ波で加熱し、その熱の伝熱によって周囲の氷を溶かし、溶けた氷=水が加熱され......といったサイクルで"あたため"が進んでいくのでしょう。なので、出力を弱めてゆっくり処理しなければいけません。
せっかちモード(高出力・短時間)で処理すると、温められた水の伝熱が十分に進まず、僅かに溶けた水部分のみが選択的に加熱されるのです。

ハイ、それでは冷凍食品解凍失敗事例に見られる水と氷の加熱について、もうちょっとサイエンティフィックな視座から考えてみましょう。

マイクロ波の加熱モードには次の三つがあると考えられています

(1) 誘電加熱:誘電損失による。電気双極子モーメントを持った誘電体の加熱(液体、固体に関わらない)。
(2) 磁性加熱:磁性損失による。磁性を有した試料や導電性試料の加熱(液体のほとんどは磁性をも持たないが、磁場由来の渦電流により電解質溶液は間接的に加熱される)。
(3) ジュール加熱:導電率由来。電解質溶液や導電性試料の加熱。

つまり、マイクロ波による加熱の効率は、誘電損失、磁性損失、導電率によって決定されます。そして、水を加熱する場合に最も重要なのは誘電加熱のようで、誘電損失を理解することが加熱のメカニズムを理解するのに必要です。

誘電体にマイクロ波の電場が印加されると、電気双極子が回転して電場の向きと平行になろうとします(配向分極)。電場の揺さぶりに沿って同調しようとするわけですね。しかし、実際にはマイクロ波の電場の振動と分極の発生との間に時間差が生じます。我が国で加熱に使用される周波数2.45 GHzのマイクロ波は1秒間に24.5億回振動するんですが、分子の電気双極子モーメントは周囲の分子との束縛によりこの振動に追従できません。で、この遅れがエネルギーの損失として熱に変わるんですね。

よくマイクロ波によって分子が振動して加熱される的なことを言っている人がいますが、マイクロ波の振動に対する遅れが熱に変わるんですね。

ちなみに、(純粋な)氷がほぼほぼ加熱されないのは、水素結合により強固な結晶構造が構築されているため分子が動かないからです。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のマイクロ波化学スーパー初心者級の"水はなぜ加熱されるのか?"メモでした。
これで、あなたも今日から凍った食材の解凍職人ですね。


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