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2025年12月15日月曜日

液相のH-ボラノホスホネート法でキメラオリゴつくりました (東京理科大学)

突然ですが、馬刺しの美味い店を見つけました。
お馬さんと言えば森下のみの家が有名で、下足番もいて店舗も非常に趣きがあって、
ボクの大好きな北村有起哉さん主演の「たそがれ優作」にも登場したお店で、勿論馬刺しもあって美味しいんですが、発見したお店はそれ以上のクオリティーの店と思いました。
以下メモです(っていうか、北村有起哉さんオレと同級生じゃん)。

-酒処皓太 memo-
住所:流山市南流山3-1-14 旭ビル1F


-赤武 F 片口 (200 ml) (990 JPY, visited Nov. 2023)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
酒米:吟ぎんが。日本酒度:+2。酸度:1.4。
ふんわりとした甘い香味といい感じの酸味。
それから、呑み口のいい果実の香味とミルキーノート。
フィニッシュにはやんわりした辛口と切れ上がり。




-お通し (440 JPY, visited Nov. 2023)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
おひたし、烏賊と大根の煮物、蕪の漬け物。
おひたしは、粘りのある青菜に鰹節と茗荷をチョイの。
烏賊と大根の煮物は、烏賊がドライで大根が烏賊の香味が染みまくり。
蕪の漬け物は、薄切りの蕪がいい感じの薄味に漬かっている。
いずれも上品美味しい。


-本日のおすすめ刺身 (780 JPY, visited Nov. 2023)-
-REVIEW- ★★★★★
-RATING- 
この日は、鰤、鯵、葉鰹から一種類を選ぶということで、鯵をセレクト。
肉厚で弾力に富み、ねっとりとした舌触りで綺麗な味。
お醤油は、チョイ甘めの出汁醤油でしょうか。


-知多 (S) 水割り (680 JPY, visited Nov. 2023)-
知多の水割りに間違いはありませんね。









-馬の赤身 (よか馬刺し) (980 JPY, visited Nov. 2023)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
馬の赤身は生刺身。
肉厚で軟らかくダイナミズム溢れる噛み心地。
ちょい獣感のある野趣的な味わいで、淡白な味の濃さ。
これは、マジ旨い。


-九州ラーメン (700 JPY, visited Nov. 2023)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
超あっさりの豚骨ラーメンですね。
綺麗な味わいのポークエキスを感じるスープ。
極細麺はパウダリー感を感じるか感じないかくらいの固茹で。
勿論、麺とスープの相性は抜群。
具は、もやし、葱、木耳、メンマ。
細かく刻まれた木耳のコリコリ食感がいいアクセント。
薄めのメンマは、しっかりした食感で普通に美味しい。



-瓶ビール サッポロ エビス (760 JPY, visited Nov. 2024)-
中瓶です。










-お通し (440 JPY, visited Nov. 2024)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
切り昆布煮、鰯の煮付け、ポテサラ。 
ぬるネバの切り昆布煮は穏やかな味付けで、極細の昆布の舌触りが好き。
鰯の煮付けは程よい甘味。締まった身のキックが心地よく、フィニッシュに感じるチョイ苦味が滋味深い。総じて旨味深い。
ポテサラはアッサリ系で口当たり良て好き。

 

-馬の赤身(よか馬刺し) (1,100 JPY, visited Nov. 2024)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
食感、噛み心地、味わいが相変わらず最高です。
再リピート必至の旨さで、間違いないですね。
醍醐味が違います。


-ハラス焼き (780 JPY, visited Nov. 2024)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
脂がかなり乗った部位から、締まったしなやかさでキリッと塩味の入った部位まで味わえる。
そのままで充分美味しいんだけど、レモン汁を搾り掛けると旨さスパーク。
レモンはたっぷりの果汁が搾れる分量が添えらえていて嬉しい。



-酎ハイ (450 JPY)-
-RATING- ★★★★
-REVIEW- 
プレーン。
穏やかな口当たりで好き。







-おにぎり (明太子) (330 JPY)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
海苔が香りが濃ゆい。そして、香り高い。
しっとりしたご飯は小粒な粒立ち感。 
普通に美味しい明太おにぎり。 


-七賢 純米酒 片口 (1,070 JPY, visited Oct. 2025)-
-RATING- ★★★★
-REVIEW-
酒米:ひとごこち/あさひの夢。
甘華やいだ香りがちょっと鼻につく。
フィニッシュに微弱な発泡感?からのしっかりした米の味わい。 飲み進めていくと、温度上昇のためか、苦味の輪郭がクッキリすると共にボディも上がってきた感じ。 


-お通し(440 JPY, visited Oct. 2025)-
-RATING- ★★★★
-REVIEW-
明太胡瓜、冷奴、お新香。
明太胡瓜はフィッシーリッチな辛い明太子をあっさりめのマヨの油でコートした感じでクルーミー感もある。
冷奴は食べるラー油的なものを掛けてあって、家で真似してみたい。
お新香は青菜と蕪にオレンジのもの。何もいい漬かり具合で美味しい。特にオレンジの漬物はフワヤワな不思議な新食感と瑞々しいジューシーとも言える味わいでとても印象深い。ひょっとして柿?でしょうか。知らんけど。


-しんぞう (850 JPY, visited Oct. 2025)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
軟らかくしっとりした舌触りで清純味わいも、根底には馬の強い味が仄かだけどしっかり。
薬味のニンニクを載せて食べると旨さ爆裂。ニンニクで甘味のある醤油が映えるウルトラ・コンボ。 
整った食感と味で、完成度が高いと思いました。

  
-甲府の鳥もつ煮 (720 JPY, visited Oct. 2025)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
マイルドな甘辛なタレがとてもいい匂いです。
レバとハツ、キンカン、それから砂肝も入っていたかもしれません。
レバの軟らかく擦り潰れる食感と綺麗な野趣的な滋味が堪らない。
ハツの強い味と強いキックが強すぎずいい塩梅でフレッシュさも感じる。
キンカンは味めて食べたんですが、淡白めな黄身の味が清楚でポップな楽しい食感。 
総じて、とても上品でハイレベルなもつ煮に仕上がっていると思いました。


-手づくり豆腐 (どんぶり豆腐) (780 JPY, visited Oct. 2025)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
濃厚な味で風味絶佳。
フレッシュさを想起させるプルッとした舌触り
あったかくて凄く美味しいです。
これは気に入った。


-越後味噌の焼きおにぎり (450 JPY, visited Oct. 2025)-
-RATING- ★★
-REVIEW-
味噌の甘塩っぱさが濃ゆい。
柑橘チックな香味が豊なんだけど”甘い”。
 あと、おにぎりの中の方がゆるめでボクの好みじゃなかったです。 
ボク的には、イマイチかな。 


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Solution-Phase Synthesis of Boranophosphate and Boranophosphate/Phosphorothioate/Phosphate Chimeric Oligonucleotides via the H‐Boranophosphonate Method
J. Org. Chem., 2025, 90, 8966-8985.

東京理科大学の和田先生のグループからの報告で、H-ボラノホスホネート法を用いたキメラオリゴの液相合成のお話です。

和田先生のグループは、H-ボラノホスホネート法を用いた固相合成によってキメラオリゴの合成を既に達成しています。

この手法はインターヌクレオチド結合にPB修飾を施す合成法として素晴らしいと思うんですが、固相合成ゆえの定番の問題があります。即ち、「大量合成には向かない」問題です。
そして、この"固相合成"のスケーラビリティ問題の解決法は液相合成が定番の解ということで、和田先生らは液相合成によるPB修飾オリゴの合成法の開発に着手するわけです。

最も安直な発想として、H-ボラノホスホネート法を液相で行うっていうのがあると思うんですが、中間体のH-ボラノホスホネートジエステルがシリカゲルカラム精製下で不安定で、液相反応におけるジヌクレオシド H-ボラノホスホネートジエステルの単離収率は中程度に留まり、3-mer以上のPB-ODNs(オリゴデオキシヌクレオチド)はもっぱら固相合成で合成されるといいます。

こうした中間体の不安定性を回避する方法にボラノホスホトリエステル法があります。


ボラノホスホトリエステル法ではモノマーユニットとしてデオキシリボヌクレオシド 3'-ボラノホスホジエステルを用い、もう一つのヌクレオシドの5'-水酸基と縮合させ、シリカゲル精製下で安定なボラノホスホトリエステル結合を形成させます。しかしながら、モノマーユニットの反応性が低く満足に足る収率を得ることはできません。

因みに、3-mer以上のPB-ODNsの液相合成の報告例はないそうです。
で、著者らの出したファイナル・アンサーは、不安定なH-ボラノホスホネートジエステルを安定なボラノホスホトリエステルにワンポットで変換することです。

そして著者らは、ボラノホスホトリエステルへの誘導を成功させ4-merのPB-ODNを合成し、それらをブロック縮合することによって12-merのPB-ODNの液相合成を達成しました。
ブロック縮合の採用は総反応数を削減し、分離困難な(n-1)-merのようなショートマーの副生の回避に有効です。

それでは、著者らが選んだd(TPBAPBGPBCPBTPBAPBGPBCPBTPBAPBGPBC)の配列のPB-ODNの合成を概観していきましょう。
まず2-merを合成し、2-mer同士の縮合で4-merをします。仕上げは4-merのブロック縮合を繰り返して12-merを合成していきます。

upstream側の2-merビルディングブロックは、H-ボラノホスフェートモノマーを3'-位の水酸基がTBDPS保護されたヌクレオシドの5'-水酸基と縮合させた後、酸化的にエステル化することでジヌクレオシドボラノホスホトリエステルとし、シリル基を脱保護した後、H-ボラノホスホニレーションすることで調製します。

ここでポイントとなるのは著者らが新たに開発したFmoc基を有するH-ボラノホスホニレーション試薬です。
著者らの最初の検討では下図に示す試薬(pyridinium H-boranophosphonate)とBOPClの組合せを使ったんですが、バイプロの副生によりイマイチな結果だったんですよね(トータル< 50% yield)。

pyridinium H-boranophosphonateはその高い極性ゆえに溶解する溶媒が制限され使い勝手がイマイチであるのに対して、新試薬は結晶性で種々の溶媒に対して良好な溶解性を示します。つまり、いいヤツです。

続いてdownstream側なんですが、ジヌクレオシドボラノホスホトリエステルとするまでは同様で、その後、脱トリチル化を施します。

続いて5'-upstreamと3'-downstream 4-merビルディングブロックの合成です↓

upstream側はいい収率(83%)なんですが、dwonstrem側はシリル基とFmoc基の除去の際に予期せぬメチル基の脱離が起こり中程度の収率(49%)に留まっていて、この点について著者らはインプルーブメントが必要だと述べています。

最後は4-merビルディングブロックのブロック縮合でフィニッシュです。

こうして、何はともあれ液相でPBオリゴの合成を達成しました。
普通のオリゴ合成の感覚だと12-merで収率4.2%(84%×83%×6%)というのは圧倒的に物足りないと思うんですが、PBオリゴは合成難易度が圧倒的に高いので、まあええでしょう。
(固相合成ではH-ボラノホスホネートモノマーや縮合剤をメッチャ使います)。

さて、PBオリゴの液相合成の成功に気を良くした(ボクの想像です)著者らは、次にPB/PS/POキメラオリゴの合成に取り掛かります。
著者らはが選んだ配列は、d(APOTPBCPSGPBAPOTPBCPSGPBAPOTPBCPSG)です。
実際の合成はこちら↓

PB-ODN同様、まず2-merを合成します。

H-ホスホネートジエステルとH-ホスホノチオエートは、H-ボラノホスホネートジエステル同様に酸化的エステル化によって、それぞれホスホトリエステルとホスホロチオエートトリエステルへと変換されます。

そして、続くブロック縮合を敢行することで、見事12-merのPB/PS/POキメラオリゴの合成に成功します。

収率7.8%(89%×67%×13%)でしょうか。
配列は異なるんですが、オールPBの方が収率が低く、ボラノホスフェート導入の難易度の高さが窺えるように思います。

収率に改善の余地はあるものの、合成難易度が極めて高い12-merのPB-ODNとPB/PS/POキメラオリゴの液相合成をリーズナブルな化学両論量のビルディングブロックの使用で達成したことは素晴らしい成果だと思いました。
この成功の要諦は、
(1) 不安定なH-ボラノホスホネートジエステルの安定なボラノホスホトリエステルへの変換
(2) Fmoc基本を有するH-ボラノホスホニレーション試薬の開発
(3) ブロック縮合
でしょうか。
最後に、著者らはインターヌクレオチドの保護基と精製法(SECとか)の最適化が収率向上に繋がるのではないかと締め括っています。

以上、安直に疎水性タグとか応用できないのかなとか思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)のキメラオリゴ液相合成メモでした。

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