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2008年3月17日月曜日

ノー・マネー、ノー・フリーダム

先日発売された、橘玲著の「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」を読んでみました。

(密かにコンキチは、橘氏の著作、ゴミ投資家シリーズ、小富豪シリーズをコンプリートしています)

かなり俗っぽいタイトルですが、過去の著作同様に硬派な内容に仕上がっていると思います。道徳的に声を大にしていうのは憚られるようなことが、率直に語られている良書と思いました。

今回の著作では、(過去の著作と重複する部分もけっこうありますが)FXやオプションを題材とした知的パズルとして面白い読み物もあり(一生やることはないと思うが)、軽い頭の体操にもなって楽しいです。

では、以下にコンキチの心の琴線に触れた部分(赤)コンキチのコメントをメモしてみようと思います↓

1) ノー・マネー、ノー・フリーダム
著者がカンボジアを訪れた折、操舵手兼ガイドの若者が著者へのセリフです。
人が働く動機というのは、総括的には様々あると思いますが、最もファンダメンタルな部分は、生活の糧である「マネー」を得るためでしょう。「仕事は自己実現」なんていう台詞を吐く人も多数いるかもしれませんが、仕事で自己実現でない状況に陥ったからといって、マネーを得る手段を放棄してしまう人は少数派でしょう。嫌な会社でバカな上司のアホな指示に従順に従うのも、そこから得られるキャッシュ・フローにより、生活の自由度を確保するためでしょう。
人生金じゃないなんて言葉も耳にしますが、潤沢なマネーは、人生における選択肢を広げ、自由の範囲を拡大させることができるというのが、貨幣経済における真理だと思いましたね。

2) 貨幣経済というのは、信仰によって支えられている。
高度に洗練された貨幣経済の発達により、世界中の取引が簡便かつ効率的になり、豊かさが広く衆生に行き渡る。それが、「貨幣経済への信仰」による救いなのだと思います。
世界最大宗派は、世界三大宗教のいずれでもなく、「貨幣経済への信仰」なのです。
資本主義は貧富の格差は広げていくかもしれないけれど、「貧」の部類であっても、その経済力の絶対量を増加たらしめるものであると思います。

3) 保険とは、不幸なことが起きると賞金がもらえる宝くじの別名なのだ。
氏の過去の著作においても、折りをみて触れられていることですね。お金の流れを鑑みると、保険と宝くじは全くの同義としか言いようがありません。道徳的な見地から、「保険=宝くじ」なんてことを言う輩は不謹慎と思われるかもしれませんが、こういった真理を学校教育で教えて欲しいものです。

4) リタイアメントとは、生活資金の源泉を労働市場から資本市場に移すことをいう。
言われてみてはじめて認識しましたね。確かにそういうことです。ファイナンシャル・インテリジェンスとファイナンシャル・リテラシーを磨くことなしに、ハッピー・リタイアメントは実現しそうにありませんね。こういう真理を学校教育にも期待したいものです(絶対無理でしょうが.....)。

5) 自由とはたんなる観念ではなく、個人の経済力から生み出されるのである。
人はこの世に生まれ落ちた瞬間から、多くの外的要因に束縛され、支配されることとなります。国家に支配され、家庭環境に束縛され、慣習に支配され、社会規範に束縛され…..みたいな感じで。そして、人生を歩んで行く上で、どうしても世界最大宗派である「貨幣経済という信仰」=「マネー」に頼っていかざるを得ない。
人生とは経済的独立をゴールとしたゲームに近しいと強く思うのです(まさに人生ゲーム)。

こんなところが、コンキチの心に深く刻みこまれた部分でしょうか。それにつけても、氏の文章って、分かり易くて、冷笑的で、読者を引き込んで行く魔力を感じます。

ちなみにコンキチは、橘氏の著作の中では、「雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays」が一番好きです。理由は、「シニカルな真理」がよく表現されているから。二流大出の窓際研究員的には、とってもオススメの本です。買うのが嫌だったら、図書館で借りて読んでみるといいかと思います。

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