邦題「スティーブ・ジョブズの流儀」を読了しました。
コンキチが教祖様とあがめるSteve Jobsのビジネス手法をフィーチャーした本です。
この本を読むと、ジョブズは偉大なストラテジストであり、偉大なイノベーターであり、偉大なマーケターであり、偉大なCEOであることが解ります。
例えば、スティーブは次のようなことをよく熟知しています↓
a) 集中戦略(集中と選択)を理解している
b) サンクコストの愚を知っている
c) 顧客体験を重視している
d) 顧客は自分が何を欲しいのかを知らないことを知っている(コンキチの尊敬する鈴木敏文会長も同様のことを述べていたと思ったな)
e) プロモーションが上手なのは、AppleのCMをみれば分かるでしょう
f) イノベーションを熟知している
g) オペレーションには細部が重要であることを熟知している
etc.
実際、ジョブズがアップルに復帰してからの同社の飛躍は、素人目にも凄いと思う。確かにG4 Cubeでは失敗しちゃったけど、それ以外の成功は素晴らしいばかりと思います(失敗しても、固執して引きずらないしね)。
で、特にイノベーションに関する造詣深いとコンキチは思いましたね、ジョブズは。
例えばジョブズは、
「創造性というのは物事を結びつけることにすぎない」「クリエイティブ担当者にこれはどうやったのかと訊けば、彼らは少々罪悪感にとらわれる。実際には何もしていないからだ。彼はただ見ただけだ。見ているうちに彼らにははっきりする。過去の経験をつなぎ合わせ、新しいものを統合することができるからだ。それが可能なのは、彼らがほかの人間より多くの経験をしているから、あるいはほかの人間より自分の経験についてよく考えているからだ。•••••不幸にも、それはごくまれにしか起こらない。この業界の多くの人々はあまり多様な経験をしていない。だからつなぎあわせる点の数が足らず、問題に対する幅広い視野が欠けた直線的な解決策に終わってしまう。人間の経験に対する理解が広くなればなるほどデザインは向上する」
と語っています。
ちなみに、Macの極めて美しいGUIも、もともとはゼロックスで開発されたものだし、iMacの登場で一躍有名になった(と思う)USBもインテルが開発したものだ。Wi-Fiもアップルが普及したようなものと思います(本書でもそのように言及されている)。iPodのスクロールホイール(という発想)も、エレクトロニクスの世界では当たり前だったという(マウス、PDAの側面についたサムホイールとか)。
イノベーションに関するコンキチの好きな言葉↓
希代の天才が、「何もないところからアイデアを生み出す」というイメージはロマンがあって魅力的であるが、危険なフィクションである。イノベーションや創造性というものは、そのイメージほどミステリアスなものはない。すでに開発されたアイデアを取り入れ、それを新しい状況に適用しているにすぎない。
see http://researcher-station.blogspot.com/2007/01/blog-post.html
とも合致していると思う。
あと、ちょっと驚いたんだけど、Appleって2007年、SCMについて世界第2位だそうです(ARMリサーチという市場調査会社のリサーチ結果。1位はノキア。当然トヨタよりも上位にランクされている。)
最後にコンキチの琴線に触れたジョブズ語録をメモ↓
デザインとは見かけのことだと思っている人がいる。だがもちろん、もっと掘り下げれば、それはじつは機能のことだとわかる。
自分が何をほしいかなんて、それを見せられるまでわからないことが多いものだ。
イノベーションは研究開発予算の額とは関係ない。アップルがMacを考え出したとき、IBMは最低でも100倍の研究開発予算を使っていた。イノベーションとはお金ではない。人材であり、彼らをどう導くかである。それをどれだけ理解しているかである。
イノベーションについて意識したことがあるかと訊かれて↓
ない。私たちが意識するのはすぐれた製品をつくることだ。『革新的になろう!勉強しよう!これがイノベーションの五ヵ条だ。全社に掲示しよう!』というふうには考えない。(イノベーションを体系化しようとするのは、)かっこよくなろうとして、かえってかっこ悪い人間みたいなもの。見ていて痛々しい。•••••マイケル•デルのダンスを見るようなものだ。本当に痛々しい。
http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9C02E7D8113BF933A05752C1A9659C8B63
それにつけても、凄いね。スティーブ・ジョブズって。
本書の邦題が「ああ、教祖様」だったらもっと愉快だっらのになんていうことを考えてしまう、二流大出のMac信者なのでした。
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