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2009年5月24日日曜日

ミス•ウィスパー

P&G式 世界が欲しがる人材の育て方―日本人初のヴァイスプレジデントはこうして生まれた
という本を読了しました。



著者はP&Gの日本人初のヴァイスプレジデント(副社長かな)となった和田浩子女史です。

コンキチは米国企業には詳しくありませんが、P&Gのマーケティング力やC&D (Connect & Development)といった研究開発力が有名な誰もが認める、エクセレント•カンパニーと思います。

ちなみにコンキチの根拠のないフィーリングによる独断と偏見のエクセレント•カンパニー10傑は、Apple, Google, 3M, P&G, Starbucks, Amazon, セブンイ-レブン•ジャパン, BASF, GE, Berkshire Hathawayですかね(完璧に独断と偏見です)。

で、この本を読んでやっぱP&Gって凄いなあと思った点を以下に列挙します↓

1) 人材育成力
P&Gは内部昇格制(Promotion from within)を採っていて、人材育成を重視しています。この本を読む限りでは、コンピテンシーにかなり重きを置く昇格制度を採用しているようです。さらに360°フィードバックをやっているとか。MBAホルダーもいちからスタートだとか。ただし、年功序列ではない。コンキチの狭い知識の限りでは、人事制度の文脈でコンピテンシーと360°って同時に(ミックスして)語られる事って無いような気がします(気のせいだったらすみません)。コンピテンシーを周知徹底させた上での360°だったら効果あるのかなあと思いました。

2) リクルーティング
P&Gでは採用活動において、RQI (Recruit Quality Index)というインデックスを用いているそうです。凄いね。採用候補者の能力を定量化する作業ですね。多分コンピテンシ-ベースのような気がする。しかも、採用後にもRQIの検討をしているとか。まあ、完璧には遠いのだろうけど、採用時の情報の非対称性をただ学歴やフィーリングで乗り越えようとするのは芸がない。革新的な取り組みと思いました。

3) 多様性
P&Gではdiversityを重視しています。グローバル企業で各国の人材を抱えているから必然なのかもしれませんが、組織編成にも人材が偏らないような配慮がなされているようです。コンキチはフロリダ教授のクリエイティブ経済をけっこう信じているのですが(see http://researcher-station.blogspot.jp/2007/12/blog-post.html; http://researcher-station.blogspot.jp/2008/07/rise-of-creative-class.html)、クリエイティブ経済下では多様性が最も重視されます。多様性がクリエイティブ人材を引きつけるのです。極端な例だけど、閉鎖的な(博士を使いこなせないどこぞの国の)企業にスティーブ•ジョブズのような人材を寄せ付けることはできないし、使いこなすこともできない。多様な価値観を持つ人材を受け入れることで、才能の取りこぼしがないんだよね。


この本では、女史が入社した(当時はP&Gサンホーム)1977年からのお話で、かなり古い話も多いのですが、なかなか面白い読み物でした。我が国ではなじみイマイチ薄い外資の巨人を垣間みる本としてはそれなりに参考になったと思います。

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