JR東日本の多角化戦略のメモの続きです。
お題は、「広告事業」↓
現在、広告ビジネスの隆盛は、アトム(Atom)経済からビット(Bit)経済へと移行している。ただ、例外があります。それは電車広告。そして、特筆すべきは特定の首都圏における優良セグメントに対するリーチ力でしょう。なんといっても東京経済圏は我が国における最強最大の市場でしょう。で、山手線や京浜東北線といった首都圏の交通の動脈を担う路線は、巨大市場へのアクセスを牛耳るっているわけだ。その顧客は、我が国の大経済圏で働くビジネスパーソンであり、学校が最も集中するエリアへと通学する学生であったりする。おそらく、彼ら彼女らは金離れの良い優良顧客なんでしょう。だって、給料の高い首都圏で働くビジネスパーソンと、学費と生活費が嵩む私立校に通学する子女は金離れが良さそうな気がする。
ある大手広告代理店によると、「首都圏十数駅をカバーさえすれば、女子高生50%以上にリーチできる」そうだ。
また、キリンビール幹部は、「生活線上にある交通広告のなかでも、ドア横広告は商品機能をよく読み込んでもらえる。ここだけは"都市型マス媒体"」と評価しているそうだ。
さらに、車内額面と駅パネルなどに1ヶ月掲出するコンポ商品(2,000万円以上)に、「申し込んでも取れない」(大手代理店営業)と超売り手市場だそうです。
ちなみに、関東電鉄媒体売上高総額1,127憶円(2008年度)のうち、JR東のシャアは49.4%(っていうことは、ざっと556憶円)。広告だけで556億の売上をたたき出すJRって凄くないですか?
ところで、電車広告のお値段はこんな感じ↓
1) トレインチャンネル/ 390万円
提出路線: 山手・中央・京浜東北線, 期間: 1週間 (10-3月期), その他条件: スポットCM
2) つり革 (アドストラップ)/ 130万円
提出路線: 山手線, 期間: 4週間, その他条件: 編成
3) まど上/ 185万円
提出路線: 3線群, 期間: 4-5日間, その他条件: シングル
4) ドア上/ 550万円
提出路線: 首都圏全線, 期間: 1ヶ月 (10-3月期/A型)
5) 中吊り/ 440万円
提出路線: 首都圏全線, 期間: 平日2日, その他条件: シングル
6) ステッカー/ 770万円
提出路線: 首都圏全線, 期間: 1ヶ月 (A期), その他条件: 戸袋
7) ドア横/ 2,800万円
提出路線: 首都圏新型車両, 期間: 7日 (A期), その他条件: 新型車両の4面+201系の通路1面
8) 車体広告/ 1,500万円
提出路線: 山手線, 期間: 4週間, その他条件: 11両、2編成
9) ADトレイン/ 1,510万円
提出路線: 山手線, 期間: 半期 (A期), その他条件: 11両
以前のブログ(see http://researcher-station.blogspot.jp/2009/09/blog-post_4412.html)にも書いたけれど、莫大かつ良質なトラフィックを集客するJR東って凄いよね。リアルワールドでこれほどのトラフィックを集めることのできる企業はまれだ。っていうか、ビットワールドであってもそんな企業は稀でしょう。しかも、時間帯、エリアなどによるセグメンテーションやターゲッティングも容易だろうから企業の方でも使い勝手がいいかもしれない。不特定多数に働きかける新聞、雑誌、ポータルサイトよりも効果的なプロモーションが可能なわけですよ。
とまあ、これまで徒然なるままに駄文を弄してJR東の多角化事業をメモしてきました。で、改めて思ったのが、JR東のビジネスは「集客業」だということです。で、鉄道という巨大なインフラは、「集客」を効果的に行うための一ツールに過ぎないのだろうと。で、JR東は集めた客を囲い込むように多角化している。つまり、JR東の多角化事業は、「集客業」の補完事業なわけです。だから、本業と全然関係ない領域に多悪化して業績を悪化させておいて、コングロマリット・プレミアムなんて嘯くどこかの企業とは違うんですよね。少なくとも、コンキチはそう思います。ということで、JR東シリーズもこれで打ち止め。
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