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2021年1月3日日曜日

実験化学者のための還元的アミノ化入門 (1)

ちょっと苦手な渋谷で鳥料理を食べたときのメモです(増税前です)。

-鳥竹総本店memo-
住所:渋谷区道玄坂1-6-1 

-清酒 1合 (320 JPY+tax)- 
-REVIEW- 
冷やでいただく。けっこう旨い。 

-お通し (180 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW- 
鶏モツとコンニャクの煮物。 
あっさり滋味深の鶏と、適度な大きさのキュービック状に切り出されたコンニャクの食感が良くて旨いです。 






-煮こごり (500 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
鶏の煮こごりです。
鶏のいろんな部位と銀杏が入っている(自信ないけど鰻のキモも入ってるんじゃないかと思う)。で、鶏レバーが入っているのには驚いた。煮こごりにレバーとか初体験です。
煮こごりとしてはかなり野趣的な仕上がり。鰹節様の香味リッチ(rich)で甘みのある少し濃い目のお出汁で固められていて、中の具材のボディの強さとのバランスが取れている。トップ(top)に戴いた生姜も薬味として効果的に働いている。 
兎に角ボリューミーな煮こごりで、具材のセレクトが面白い。 

-鳥なべ (1,200 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
とりのモモ肉と胸肉を使ったすき焼き風のお鍋。 
具材は、モモ、ムネが各4枚と、お豆腐。シラタキ、エノキ、葱、白菜、椎茸、春菊。 
割り下が煮立ってきたら、鶏肉から投入していきます(春菊の香味が鍋全体に広がるのが嫌なので、春菊は入れなかったです)。 
胸肉は弾力に富み軟らかく、淡白な旨さ。 モモ肉は弾力があって深みのある味。大変満足できました。 

-チュウハイ (450 JPY+tax)- 
-REVIEW- 
甘くないシンプルなチュウハイ。炭酸は殆ど気が抜けてるだろって程に微弱。ちなみに、酎ハイ系は、焼酎と割りものは同割らしいです。 

-違う日のお通し (420 JPY???)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
茄子の煮浸し。甘めだけど、旨し。









-やきとり (塩) (270 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ねぎまです(写真左)。
うなぎ串を使用していえう「大串やきとり」はジューシー(juicy)で、ダイナミックな食感が楽しくて、とっても美味しい。
(今回は"塩"で注文したけど、"たれ"は創業以来継ぎ足し続けているそうです。)

-とり肝 (塩) (270 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
こちらも大振りにカットされています(写真右)。
野趣的感じが綺麗(これは見事!)。外殻の張り、口の中で擦り崩れる感触、プリッとした軟らかさといった食感ミックスが素晴らしい。

-ラガービール 大瓶 (630 JPY)-
赤星です。

-煮込み (620 JPY)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
豚もつ(シロとスジらしい)の煮込み。
白味噌仕立てで、あっさりした優しい旨味がふんだん。それでいて、キリッと締まった味で美味しい。
もつはシロもスジもクセなく、旨さだけをしみじみ味わえる。それから、スジは繊維のほぐれる感じが心地よく、筋肉質な肉の味が堪らない。


閑話休題


ども、今日も実験、明日も実験、昨日も実験だった永遠の実験化学者(平社員)のコンキチです(現在は冬休み休養中です)。

さて、今回は還元的アミノ化のメモです。密かに、ボクが大学のラボに配属されて一番最初にやった反応が還元的アミノ化なんですよね。なので、還元的アミノ化に対してはなんとなくノスタルジックな気持ちになります、因みに、ロイカルト反応(Leuckart Reaction)っていう人名反応やりました。

ということで、還元的アミノ化のReview的論文を読んでみたのでメモしてみます。アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)推しの文献です↓

Reductive Amination of Aldehydes and Ketones with Sodium Triacetoxyborohydride. Studies and Direct and Indirect Reductive Amination Procedures

J. Org. Chem., 1996, 61, 3849-3862.

かつて還元的アミノ化に使う還元剤はシアノボロハイ(NaBH3CN)推しだったそうです。シアノボロハイの特徴は次の通りです。

a) 比較的強い酸性溶液中で安定(〜pH 3)
b) pHにより選択性が変化する。pH 3〜4ではイミンよりもアルデヒドやケトンが優先的に還元される(高いpHだとこの反応は遅い)。pH 6〜8では、よりbasicなイミンが優先的にプロトン化されて、アルデヒドやケトンよりも速く還元される。
c) 芳香族ケトンや塩基性の弱いアミンでは反応が遅くsluggish(5 eq.のアミンを必要とすることもあるとか)。
d) cyanideのコンタミが懸念される。毒性が高く、workupでHCNやNaCNが発生する危険性有り。
e) 毒物なので管理が面倒。

シアノボロハイの最大の問題点はその毒性(無機シアン)だと思います。より毒性の低い試薬の探索という流れで還元的アミノ化用の代替試薬が探索されました。代替試薬としては、borane-pyridine, Ti(OiPr)4/NaBH3CN, borohydride exchanged resin, Zn/AcOH, NaBH4/Mg(ClO)4, Zn(BH4)2/ZnCl2, electrochemical reductive aminationなどがありますが、一言で言うと"イマイチ"のようです。

唯一、アセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)のみが使い勝手の良さと、シアノボロハイに比肩する性能を発揮したと言うわけです。で、アセトキシボロハイには、

a) ケトンよりもアルデヒドを選択的に還元する(β-ヒドロキシケトンは除く)。
b) 三つのアセトキシ基の立体効果と電子吸引性がB-H結合を安定化し、マイルドな還元特性を実現する。
c) 当然、シアノボロハイ(毒物)より低毒性

といった特性があり、シアノボロハイにとって替わる還元的アミノ化の還元剤へと上り詰めていきました。

アセトキシボロハイを使った還元的アミノ化のスタンダードな反応条件はこんな感じになります↓

a) 窒素雰囲気下(不活性ガス雰囲気下)、カルボニル化合物とアミン(1〜1.5 eq.)の混合物に、室温下、1.3〜1.6 eq.のNaBH(OAc)3を作用させる。
b) 反応促進のために1〜2 eq.の酢酸を添加する場合もあり(常に有効とは限らない)。
c) 反応溶媒は1,2-ジクロロエタン、THF、CH3CNが推奨で1,2-ジクロロエタン(DCE)がBEST。水やMeOHは非推奨。MeOH中ではカルボニル化合物の還元が速く、水中ではアセトキシボロハイが分解する(三類の禁水試薬だからね)。


そででは実際の反応ですが、ケトンの還元的アミノ化の特徴はこうです↓

a) 一般的に、1級脂肪族アミンは芳香族アミンや2級脂肪族アミンより反応が速い。
b) 環状2級アミン(モルホリン)は鎖状2級アミン(ジエチルアミン)より反応が速い。
c) 立体障害の大きいジイソプロピルアミンは反応しない(反応条件にもよるんでしょうが)。
d) アセタールやケタールは許容(反応しない)。
e) 小員環の脂肪族環状ケトン(シクロブタノンからシクロヘキサノン)が最も活性が高い。シクロブタノンは反応性が高すぎて、ベンジルアミンとの反応では過剰のアミンを用いてもmono-体とdicyclobutylbenzylamineの混合物を与える。
f) シクロオクタノンやシクロデカノンのような少し大きめの環状ケトンや、2-ヘプタノンのような脂肪族ケトンは幾分反応速度が遅い。
g) 反応性が低いケトンは、芳香族ケトン、エノン、嵩高いケトン
h) シッフ塩基形成が遅いと、ケトンの還元と競合する(そんなときは、ケトンを沢山つかったり、逐次投入すると収率が改善するかも)。


続いて、アルデヒドの還元的アミノ化の特徴です↓

a) アルデヒドの還元が望みの還元的アミノ化と競合する可能性があるが、前述のスタンダードな条件で、ほとんどのケースで還元的アミノ化が効率よく進行する。
b) (やはり)ジイソプロピルアミンのような嵩高いアミンを用いると、アルデヒドの還元が起こる。
c) (やっぱり)一級アミンとの反応では、ジアルキル化されたアミンを与えがち。
d) ホルムルデヒドとグルタルアルデヒドの水溶液を用いた場合、アセトキシボロハイを沢山使えば10 mmolスケールでは高収率(文章は4 eq.って書いてあったけっど、Tableには1.3-1.6 eq.って書いてある)。但し、大スケールでの保証はない。



ここまで基質としてカルボニル化合物について言及してきましたが、塩基性の弱いアミンを使ったときはどうなのかも気になるところです。

電子吸引性置換基を有する芳香族アミンの還元的アミノ化では、シアノボロハイはイマイチな結果に終わるようですが、アセトキシボロハイはかなり有望です。
一置換アニリン(p-nitro (pKa 1.02), p-carbethoxy, p-cyano, p-chloro (pKa 3.98), p-bromo)であればスタンダードコンディションで大体反応が進行します。

2-ニトロアニリン (pKa -0.29)や、2,4-ジクロロアニリン、2-アミノチアゾールは難しい基質ですが、反応条件をモディファイ(カルボニル化合物:1.5-2 eq., NaBH(OAc)3:2-3 eq., AcOH:2-5 eq.)すれば、なんとかなります(アルデヒドとの反応で60-96%)。

さらに、こういうの(スルホンアミド)もいけます↓

2,4-ジニトロアニリン (pKa -4.26)と2,4,6-トリクロロアニリンは反応性の低い難しい基質で、ベンズアルデヒドとの反応では、還元的アミノ化に先んじてアルデヒドの還元が進行してしまい目的物が全く得られません。それでも、過剰のアルデヒドとアセトキシボロハイを逐次投入していけば、そこそこの収率で目的物を取得することができます。

ところで、先に一級アミンを用いた場合にジアルキル化が問題となる場合があることを書いましたが、こういったケースでは小過剰のアミンを加えることで反応が改善することがあります。しかしながら、γ-アミノエステルやδ-アミノエステル、シクロブチルアミンには効果的ではありません。また、シンナムアルデヒドやヒドロシンナムアルデヒド、ある種の直鎖のアルデヒドを用いた場合にも起こりやすいです。

そして、ちょっとびっくりするのが、予めイミンを形成させてアルデヒドのない状態で還元しても、ジアルキル化体の副生がみられるということです。γ-およびδ-アミノエステルのケースでは下のスキームのような説明が可能です。
Synlett, 1994, 81-83.

なにはともあれ、著者らはジアルキル化問題を解決すべく、手始めにイミン形成について検討を行い、DCE, THF (THF-d8) MeOH (CD3OD), CDCl3の三種類の溶媒についてイミン形成速度を検討した結果、アルジミン形成ではMeOHがダントツに速く最強であることが分かりました(ケトンとのエナミン形成はMeOHが一番だけど、かなり遅い)。

(ジアルキル化が問題となる)アルデヒドの場合は、MeOH中でアルジミンを形成させて、そこにボロハイ(NaBH4)を突っ込むというStepwise One-Pot ProcedureでHigh YieldかつVery Short Reaction Timesで対応する二級アミンをGETできることが分かりました(5 examples, 83-90%)。


他方、ケトンの場合もStepwise One-Pot Procedureが有効なんですが、DCE中でエナミン形成させてアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)で還元するのが良いです(2 examples)。


ハイ。ここまでをまとめますと、

還元的アミノ化のファーストチョイスはアセトキシボロハイ(NaBH(OAc)3)でキメッ。
ジアルキル化に悩まされるアルデヒドを使う場合は、MeOH中でアルジミン形成させて、普通のボロハイ(NaBH4)でキメッ。

ってことでヨロシク。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の還元的アミノ化メモでした。

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