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2019年6月23日日曜日

はじめての根岸カップリング・梅雨

春イベ終わりました。


ども、オタッキーのコンキチです。
そして、もう閉店しちゃったけど、寒い時季に行った島根県料理のお店で食べたさばしゃぶのメモです↓

島根料理主水 神田淡路町店 memo
-さばしゃぶ (3,160 JPY excluding tax) (二人前だったかな?)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
醤油ベースのお出汁は真っ黒で、どんだけしょっぱいんだよという感じにお色だけど、凄く薄味。このお出汁に玉葱などの野菜を加え煮立たせる。少しぶくぶくいうくらいのほうが野菜由来の甘みが出るという(お店の人談)。その後、さばの切り身(島根沖の天然もの)をしゃぶしゃぶさせていただく。さばはとってもfreshで全くくさみはなく、澄んだ味とよい香りがする。
しゃぶしゃぶして切り身の表面が熱で変色し、外側が温かく内がレアの状態で食べるのが一番旨いです。熱で活性化した外側のダイナミックな味と、内側のレアで上品でしっとりしたお刺身のニュアンスとの融合が素晴らしいい。そして、(真っ黒だけど)薄味のお出汁が素材の味を引き立てる。これぞ、薄化粧の極み。
軽く煮立たせががら食べ進めるので、時折割り用の出汁で薄めてやる。

結構酔っぱらちゃったので殆ど覚えてないけど、とっても満喫しました。接客良かったし。現在は日本橋に移転して「島根の味 日本海の幸 主水 日本橋室町店」として営業しているようです。再訪したいお店です。


閑話休題


先日、有機合成歴二十有余年にして、はじめて根岸カップリングをやりました。反応はエクセレントに進行し、ボク的には"平均への回帰"を無視し"見たものが全て効果"をモロに受けてかなり好印象を持ちました(ノーベル賞反応だし)。

ところで、先日ちょっと苦手な渋谷で開催された有機合成化学講習会に参加したのですが、二日目のランチョンセミナーでロックウッドリチウムジャパン(https://www.albemarle.jp)の製品紹介が行われ、根岸カップリング関連でいい感じに気になったプレゼンがあったのでメモしてみます(Albemarleが2015年にrockwood lithiumを買収しました)

さて、ファイザーでこんな鈴木カップリングをやったそうです↓
D. Daniels (Pfizer), 36th Org. Proc. Research & Dev. Conf. and Exhibition, Prague, 17-19, 10, 2016.

なんでも種々のボロン酸誘導体が押し並べて不安定で、実用に耐え得るボロン酸誘導体はジエタノールアミンの付加体しかなかったそうです。

これに対して、ピバル酸亜鉛から調製した有機ピバル酸亜鉛試薬は容易に単離可能で優れた安定性を示し根岸カップリングに適用できます。

Albemarle / P. Knochel

詳細は分かりませんが、紙に書いたスキーム上で有機ピバル酸亜鉛試薬かなりスマートに見えます。有機ピバル酸亜鉛試薬はオープンエアでも普通にそこそこ手早く取り扱えば問題なさそうです。

プロセス・ディベロップメント的にはファイザーの合成法で正解なのかもしれませんが、探索段階でジエタノールアミンの付加体を試すかと言われたら、ボクは試しません。ボロン酸とピナコールボロネートを試してダメだったら諦めると思います(やってもトリフルオロボレートとMIDAエステルくらい)。なので、有機ピバル酸亜鉛試薬は鈴木カップリングの強力なオルタナティブになり得ると思います。

最後に、有機ピバル酸亜鉛試薬の合成マップまとめです↓

(元の文献読んでないので)良く分かんないけど、ハライドからの有機ピバル酸亜鉛試薬の合成は基本Grignard試薬経由みたいです。なので、

(1) 官能基許容性には劣るんだろうけど、カップリングパートナーによっては熊田-玉尾-Corriuカップリングでよくね?(熊田-玉尾-Corriuカップリングはやったことないけどね)

(2) 直接ZnをインサーションしてRZnXでもいんじゃね?(これもやったことないけどね。はじめての根岸カップリングはRZnXが売ってたので、それを使ったです)

という疑問も湧いてきますが、基質特異性とかあったりするのでしょう。それに、戦術のレパートリーは多い方が良いと思います。

あと余談だけど、根岸カップリングのスタンダードPd cat.ってPEPPSI-IPrでオッケー?

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の亜鉛試薬メモでした。


2016年4月30日土曜日

DMPU:その傾向と対策

話題になったのはだいぶ前ですが、関ジャニ∞の大倉くんのお父さんが社長だっていうんで、どんなものかと帰り道に寄り道して鳥貴族に行ってきました(相当遅れてるね、オレ)。

鳥貴族ってあまり良く知らなかったんですが、280円(税抜)均一とジャンボ焼鳥をウリにしてるらしいですね。

まずは、実地レポート↓

-ザ•プレミアム•モルツ 400 ml (302 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
普通に旨かったね

-ホルモンねぎ盛ポン酢 (302 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
「ハートと肝を繋いでいる希少部位と、砂ずりの皮をボイルし、あっさりポン酢とネギをたっぷるかけた」という一品。
キュキュッとプリキュッとした食感が楽しい。冷製なので味が閉じている感じで味が"カタイ"印象。でも、まあ、旨いです。ポン酢との相性が抜群なので、よく掻き混ぜて食すべし。けっこう硬派で淡白な味。多分、軽く火で炙って食べた方が美味しいかも。

-モモ貴族焼 (塩) (302 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
もも肉と白ネギを交互に刺し、オリジナルの天然塩で焼き上げたという品。
もも肉がジューシーで食感良く肉自体の味も良い。ネギも悪くない。但し、とても塩辛い。シャープな塩味が強過ぎる。ミネラル系の味が感じられなかった。純粋に塩の振り過ぎで、料理を台無しにしている。

-きもたれ (302 JPY)-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
レバーの食感は僅かにプリプリ感が残っていて悪くないが、味というか香味が良くない。口の中に嫌な臭みがいつまでも残る。
さらに、レバーのbodyの強さに対してタレの強さと量が圧倒的に不足している。

-むね肉明太子マヨネーズ焼-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
国産魚卵を使用した一品。
明太子マヨネーズは普通に旨いが、むね肉はパサパサした食感で味気ない。

全体の印象は、ホルモンねぎ盛ポン酢以外の焼鳥メニューはボリュームがあり、四十路のボク的にはかなりお腹いっぱいになりました。焼鳥2本で302円(税込み)というプライシングは、一見すると高いと感じるかもしれないけど、1本当たりのボリュームがデカいです。
クリンリネスと接客はかなり良い。(ボクが今回行った店の)店内のレイアウトが面白くてけっこう機能的で、半分煙といった感じ。
良心的な店だとは思うけど、調理技術が残念。(多分バイトの)焼き担当の若者が自信満々で焼鳥に塩を振りながら焼いてるのが見えたんだけど、その味付け塩辛過ぎるから。素材の良さを完全に消してしまってるとボクは思いましたね。まあ、普通のチェーン居酒屋なのでしょう。ボク的にはビールはかなりお得で、ホルモンねぎ盛ポン酢は及第。塩加減さえ良ければモモ貴族焼はそれなりにいい線いってると思いました。商品を適切にセレクトすれば何回か足を運んでもいいかなと思える店と感じました。

因に、鳥貴族でコスパの高いメニューベスト3はこちらになります↓

1位   ビール
2位   もも貴族焼
3位   鳥かまめし

それから、280円均一の鳥貴族の焼き鳥の原価は、

ネギマ/ 170円
レバー/ 60円
皮/ 30円
つくね/ 110円

のようです。
焼き鳥屋さんで注文するときの参考にしてみましょう。
(see http://ameblo.jp/eatnyan/entry-10879871311.html)


閑話休題


こんな古い文献を読んでみました↓

Substitution of HMPT by the Cyclic Urea DMPU as a Cosolvent for Highly Reactive Nucleophiles and Bases
Helvetica Chimica Acta, 1982, 65, 385-391.

大分古い文献を読んでみました。


DMPU (N,N'-dimethyl-N,N'-propyleneurea, 1,3-dimethyl-2-oxohexahydropyrimidine)のお話です。

HMPA (or HMPT = Hexamethylphosphoric Triamide)は強烈な配位能を有する非プロトン性極性溶媒として広く知られており、その溶媒効果によって(主に)有機リチウム試薬の反応性を向上させたり、選択性に影響を及ぼしたりすることが教科書等にも記載されています(有機金属化合物の会合状態を変える)。

HMPAの共溶媒としての機能が優れていることは周知のことと思いますが、それと同時に発癌性が疑われている物質としても有名で、HMPA様の効果を狙いたい場合はまず代替溶媒をチョイスするのが基本と思います。そして、代替溶媒としてはやはりDMPUが最右翼でしょう。ということで、今回はHMPAとDMPUの物性やそれらをco-solventに用いた場合の反応の収率や選択性に係る比較を行っている論文をメモします。

まず、DMPUの基本的性質ですが、みんな分かってると思うけど、吸湿性で水と任意の割合で混合します。DMPUを含有する炭化水素やエーテル溶液からは水洗でDMPUを取り除くことができますが、CHCl3やCH2Cl2といったハロゲン系の溶媒はDMPUを良く溶かし、15%のDMPU水溶液を三回抽出すると80-90%のDMPUを回収することができるって書いてあります(随分とザックリだなぁ)。

DMPUとHMPTの物性の比較はこちら↓


両者の物性はなかなか良く似通っています。ちなみに、DMPUの5員環のアナローグであるDMEU (N,N'-dimethyl-N,N'-ethylene urea, 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone)もHMPA様の効果があるんだけど、DMEUの溶解性がイマイチなために低温での使用には向きません。DMEU:THF=1:2の混合溶媒は-30˚Cを下回るとDMEUが析出してきます。

一方、DMPU:THF=1:2混合溶媒では-90˚Cでも均一で、-78˚C以下の反応条件下でDMPUが析出することはまずないそうです。さらに、低温(-90˚Cとか-78˚Cとか)ではn-BuLiとの反応は極めて遅く、DMPUより反応性の高い基質が系内に存在していれば、DMPUはそれとn-BuLiとの目的の反応を阻害しません。THF/DMPU=2:1の混合溶媒中、-35˚Cでin situでLDAを調製することも普通にできて、生成したLDAも-78˚Cから-35˚Cの範囲で少なくとも3時間は安定です。

それでは次に各種反応における溶媒効果をみてみましょう↓








HMPA、DMPUともに試薬量(数eq.)の添加でも劇的な選択性の変化を誘起する効果もあるけど、十分な効果を得るためには通常20-30%程度の添加が必要なようです。あと、一般的にDMPUでHMPAと同等の効果を得るためには、幾分多めのDMPUの添加が必要となります。

オレも有機リチウム試薬を使った反応でDMPU入れてみたことあるけど、劇的に反応性が変わって驚いたことがあります。まさに、

困ったときのDMPU頼み

以上、二流大出のDMPUメモでした。


2016年3月22日火曜日

TMSジアゾメタンの話 (Büchner–Curtius–Schlotterbeck reaction)

アキバで食べた担々麺のメモです。


-神田担々麺・陳麻婆豆腐 雲林坊 秋葉原店
「汁あり担々麺」 (830 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺は細麺でやんわりwaveがかっている。で、この麺が旨い。自然な感じの食感(日本のラーメンの麺の味と食感)で、小麦の旨さがにじみ出てくるような感覚。
スープは日本人仕様と思われるマイルドな味に整えられている。山椒の香味が心地よく舌を刺激して、清涼感を感じさせる。マイルドな辛旨で、胡麻の良い香味がとってもgood!非の打ちどころが見当たらない。
具は、ネギ、もやし、ニラ(?)、挽肉。
山椒の効かせ方が秀逸。


閑話休題


今回はTMSジアゾメタンに関するTipsです。


TMSジアゾメタンは、中性条件下、非常にマイルドかつ迅速にカルボン酸の選択的O-メチル化剤が可能で、ほとんどの官能基に影響を与えないとされています。なので、概して不安定な官能基が共存するかるカルボン酸のメチルエステル化をする際に実験室で多用されているのではないでしょうか。

不安定な官能基と言われて思い浮かぶ官能基の一つにホルミル基があると思います。で、ホルミル基を有するカルボン酸をメチルエステル化する場合、ファーストチョイスとしてTMSジアゾメタンをセレクトしたくなる気持ちでいっぱいになるかもしれません。

が、多分うまく行きません。

というのも、ジアゾメタンがホルミル基やカルボニル基ともマイルドな条件で反応するからです↓
Organic Reactions, 1954, 11, 57.
(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, Diazomethane)

J. Org. Chem., 1979, 44, 4064.
(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, Diazomethane)



ちなみにこの反応、Büchner–Curtius–Schlotterbeck reactionっていうらしいです。


TMSジアゾメタンでも反応します↓

塩入先生の報告↓

Heterocycles, 1981, 15, 975-979.

ということで、ホルミル基を有するカルボン酸のメチルエステル化を試みると結果はこうなります(実際、以前経験した)↓



気をつけよう 
ジアゾメタンと 
カルボニル

二流代出のテクニシャン(研究補助員)のTMSジアゾメタンの話でした。



2012年12月16日日曜日

DDQちょっぴり調べてみました

←10月に新蕎麦を打つ機会があって、そのとき打った(といってもしっかりサポートしてもらったんだけど)蕎麦です(ボケてるけど)。

それにつけても、そば打ちは難しいね。特に、水まわしと菊ねりはホントに超絶難しい。


閑話休題


先日、「DDQつかってみました」っていうエントリー書いたけど、折角なんで参考文献読んでみました。


で、面白いなあと思ったことなんだけど、MPM基の脱保護って溶媒効果がかなり顕著にでるんだね↓



CH2Cl2の使用で反応が加速し、その比率が増えるほど反応速度も速くなります。だいたいスタンダードコンディションは、CH2Cl2-H2O=18:1〜20:1。論文を読む限りでは、電荷移動錯体の形成はかなり速そうです。

前回のエントリーで、DDQの加水分解について言及しましたが、水の使用量が少量であることに加えて(ついでにDDQは水に溶けない)、電荷移動錯体の形成に伴いDDQの電子不足状態が緩和されることで、加水分解を受けにくくなるのかなとか妄想しますが、詳しいひとがいたら教えてください。

あと、MPM基とDMPM基が共存する化合物の場合、DDQ (1.2 eq.), 5℃っていう条件でDMPM基を選択的に切断できます。

また、MPM基、DMPM基、Bn基のうち、Raney-Ni (W2 or W4)を使うことでBn基のみを選択的に切断することもできます(W4は活性が強くて二重結合も還元されちゃう)。ちなみに、Birch還元では選択性が全然でなくて、Pd-CはBirchよりはマシだけど選択性がpoor。Pt-CやRh-Al2O3だとベンジルの芳香環が還元されてシクロヘキシルになっちゃたり、二重結合が還元されちゃいます。

ref.
Tetrahedron Lett., 1982, 23, 885-888.
Tetrahedron Lett., 1984, 25, 5397-5400.
Tetrahedron, 1986, 42, 3021-3028.

以上、メモでした。


2012年9月17日月曜日

DDQつかってみました

ダース・ヴェイダーとルーク(4才)」を読んだんだけど、凄くいいね!
子煩悩なシスの暗黒卿ダース・ヴェイダー卿が子育てに悪戦苦闘するという、なんともシュールで微笑ましいパラレル・ワールドが描かれています。
スターウォーズ好きには、思わずクスクスと笑いがこぼれるほどの秀逸な仕上がりになっていると思うけど、純粋な子供向けの絵本としてはちょっと使えないよね(ちっちゃい子供はSWを理解していない)。近年まれに見る大人向け絵本って位置付けで評価してあげたい作品と思いました。


閑話休題


ところで最近、初めてDDQを使ってみました(100 gくらい)。で、初めて使うっていうことで、愛読しているe-EROS(電子版のEncyclopedia of Reagents for Organic Synthesis)読んでみたんですけど、DDQって水と接触させるとHCNが発生するんですね

"indefinitely stable in a dry
atmosphere, but decomposes in the presence of water with the evolution of HCN. Store under nitrogen in a sealed container"

"Since DDQ decomposes with the formation of hydrogen cyanide in the presence of water, most reactions with this reagent should be carried out under anhydrous conditions."

って書いてあります。

でも、Greene's Protective Groups in Organic Synthesisに書いてある。PMBエーテルのDDQ使った脱保護ってCH2Cl2-H2O系で反応やってやりするんですがどんな感じなんですかね?(rt., 40 minで84-93% yield)。


http://www.chem-station.com/odos/2009/06/pmb-mpm-protectiondeprotection.html
Tetrahedron, 1986, 42, 3021.
Tetrahedron Lett., 1986, 27, 3651.
Tetrahedron Lett., 1984, 25, 5397.
Tetrahedron Lett., 1982, 23, 885.

まあ、じゃばじゃば青酸が発生するわけじゃないと思うけど注意したいものです。


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追記

東京化成の取り扱い注意試薬ラボガイドにも書いてありますね↓
・(DDQは)水中でシアン化水素が発生して分解する
・【廃棄】可燃性の用材の溶かして焼却。望ましくは、DDQ専用の廃棄容器を準備し、他の廃液とは別にする。


2012年9月9日日曜日

六価クロムつかってみました: Cr(VI)の行方

去年食べた蕎麦のメモです↓

-蕎処理彦 生粉 (800 JPY) memo-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
田舎蕎麦ライクの太い蕎麦でぼぞぼぞしていて食感が悪い。茹で加減が均一でなく、技術に問題がある。ツユはカツオの良い香りが漂い、強めのツユに仕上げているつもりだろうが、太くぼぞぼぞした蕎麦に対して圧倒的に弱い。
店主は蘊蓄が多くて押し付けがましい。何故が自分の蕎麦に自信満々なんだけど、ボク的には基礎から修行し直して欲しいと思いました。店は民家で素人の道楽が高じた感じ。クリンリネスも失格で蕎麦もビジネスとしても明らかに落第と思いました。


閑話休題


2012年だというのに、時代に逆行するかのごとくはじめてJones酸化やってみました(0.5 mol = 500 mmol scaleで)。まあ、6価クロムつかった反応なんですが、クロムって3価が1番安定らしいですね。っていうことはJones酸化を経て還元されたCr(VI)はどういう経路でC(III)に落ち着くのだろうかという疑問が湧いてきます。まあ、6価から3価には1段階では移行できないから、酸化状態(酸化数)の異なるクロム間でレドックスが起こってるのかななんて思ってちょっと教科書を読んでみました↓


R1R2CHOH + Cr(VI) → R1R2C=O + Cr(IV) + 2H+
R1R2CHOH + Cr(IV) → R1R2C=O + Cr(II) + 2H+
Cr(II) + Cr(VI) → Cr(III) + Cr(V)
R1R2CHOH + Cr(V) → R1R2C=O + Cr(III) + 2H+

あと、バルク溶媒としてのアセトンが過剰の酸化剤と反応して生成物のoveroxidationを抑えるって書いてありますね。どういう反応条件でアセトンが反応するのか分かんないけど、酢酸と蟻酸に酸化されるのかな?こんな論文あるし↓


< 25℃, 1 hr;  2: 50%, 1: 41%
without cooling, 4 hr; 3 was obtained

J. Am. Chem. Soc., 1948, 70, 3352.

GCあればアセトンの挙動がdetectできたんだろうけどな(今の研究所にはGCないので)。もう二度とやりたくない反応だけど、アセトンの行方には興味津々な二流大出のなんちゃって研究員でした。

2012年7月29日日曜日

HPLC Tips

a) カラムの理論段数は粒子径に反比例
b) カラム内送液に必要な圧力は粒子系の二乗に反比例


2012年3月4日日曜日

アツく染め上げろ!

カミさんに貰ったチョコレートをチビチビやっているコンキチです↓


これサケ呑みで甘党の人間(コンキチ)にはなかなか良いです


閑話休題


さて、有機合成に携わっている人が1番お世話になっているものの一つに、TLCがあると思います。TLCの発色剤にはいろいろあって、そのレシピは、研究室ですぐに使える 有機合成の定番レシピ東大金井研などが詳しく、他にもいろいろなレシピ群が多くのサイトで公開されています。

ボクが個人的に愛用している(使ったことのある)発色剤は、アニス、ハネシアン (CAM)、PMA、ニンヒドリン、ヨウ素-シリカで、そのうち加熱が必要なのが、アニス、ハネシアン (CAM)、PMA、ニンヒドリンの四つ。加熱系発色剤の場合、ディップ or スプレーした後加熱する訳ですが、この時、ヒートガンを使っていると気付きにくいんだけど、ホットプレートでヒーティングしていて明確に気がついたことがありました。

そんなの常識だよとみなさん周知していることかもしれませんが↓

ハネシアン (CAM)は、アニス、PMA、ニンヒドリンよりも控えめな温度で加熱しないと、焼けすぎて、(特に)低濃度のスポットを見落としてしまう。
逆にハネシアンに適した温度では、アニス、PMA、ニンヒドリンの焼けが悪い。

ということに気がつきました。要は、発色剤には最適発色温度があるっていうことで、何でも馬鹿に一つ覚えで加熱しとけばいいというものではないということです。まあ、当たり前って言えば当たり前なんでしょうが、恥ずかしながらコンキチは2年くらい前に初めて気がつきました。せっかなのでメモしておきます。


2012年1月9日月曜日

"I"のチカラ

←去年行ったなかなか秀逸な蕎麦屋です(店の名前は関やど)。

で、食べたもののメモです↓

-大(おお)せいろう 800 JPY memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
瑞々しく、良い食感。蕎麦の甘みがツユで誘起される。ツユは中庸で良い塩梅で旨い。そば粉は北海道沼田産。

-月の柱 にごり酒 大極上中汲 750 JPY memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
湯呑みで提供される。温度域は花冷えか。微発泡性。かなり上品な味。酸味が効いていて甘さはくどくない。bodyも強い。はっきり言って旨い。

ここのお店、席に通された後なんですが、塩味の効いた桜の花びらのとっても上品な香りのお茶を持ってきて貰えます。また、これがエクセレント!店内も趣きがあり、是非再訪したいお蕎麦屋さんでした。


閑話休題


今回は超原子価ヨウ素の話を書きます。しかも、ちょっと古い文献なんですが、名古屋大の石原一彰先生のグループが開発したIBSのおはなしです。

IBSに関しては、若き有機合成化学者の奮闘記さんの記事でも紹介されていて、日産化学も展示会とかでアピールしているので、広く周知されていることと思いますが、先日、IBSを使う機会があってなかなか好感触で嬉しかったのでメモしてみます。

IBS (2-Iodoxybenzesulfonic Acid)は、IBXの"S"アナローグで、IBXの高活性化研究より生まれた触媒で、その活性はもちろんIBXよりも高いです。で、触媒量の2-Iodobenznesulfonic Acid(もしくは、そのNa or  K塩)をOxone (2 KHSO5・KHSO4・K2SO4)で酸化することでIBSを系内で触媒的に発生させクルクル回すことで、潜在的に爆発性が懸念されるペルヨージナンの存在量を極微量(0.1 mol%〜1 mol%)に抑えることで安全性を担保しています(実機対応可能)。

反応溶媒は、CH3CN > CH3NO2 (使いたくない) >  EtOAc (ちょっと反応が遅い。けど、よりエコ・フレンドリー)が使えます。反応温度は70℃(加熱しないといけないのが欠点)。反応後のOxone残は濾過で簡単の除去できてとっても楽チン。aqueous workupで触媒由来成分も除去できます。

で、石原先生の論文では、IBXとIBSの反応の比較を行っているんですが、溶媒による影響が大きくて面白いです↓

CH3CN/H2O (2:1) → 12h, 24% conv. (IBS-catalyzed)    / 10 h, 88% conv. (IBX-catalyzed)
EtOAc/H2O (4:1)   → 12 h, <5% conv. (IBS catalyszed) / 12 h, 45% conv. (IBX-catalyzed)
CH3NO2                → 2 h, >99% conv. (IBS catalyzed)   / 6.3 h, >99% conv. (IBX catalyzed)
CH3CN                  → 1.6 h, >99% conv. (IBS catalyzed) / 24 h, <5% conv. (IBX catalyzed)
EtOAc                    → 10 h, >99% conv. (IBS catalyzed) / 24 h, <5% conv. (IBX catalyzed)

それから、粉砕Oxone (powdered Oxone)を使うと、単純に表面積がup↑するので反応(再酸化)が促進します(OxoneはCH3CN, CH3NO2 , EtOAcに溶けない。supporting informationでは、magnetic stirringで粉砕していた)。そして、1級アルコールの酸化で、Oxoneの使用量を制御することで、アルデヒド(powdered Oxone 0.6 eq.)とカルボン酸(powdered Oxone 1.2 eq.)を選択的に合成することができます。さらに、IBSはシクロヘキサノールの選択的酸化が適用可能です。

あと、DFT計算から、stoichiometricな反応では、IBSによる酸化反応の律速段階はIBX同様hypervalent twisting stepで、IBSの方がIBXよりtwisting barrierが小さく(I-OSO2結合 > I-OCO結合)、反応速度が速いという結果になるそうです。しかしながら、触媒サイクル全体でみると、律速段階はOxoneによるI (III)→I (V)の再酸化と考えるのがリーズナブルであろうということのようです(powdered Oxoneの使用で反応が促進される)。

references
J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 251-262.
Aldrichimica Acta, 2010, 43 (3), 83-91.
WO 2009/028676
日産化学のパンフレット

オペレーションがシンプルで、酸化反応としてはかなり安全性が高そう。そして、なかなかエコ・フレンドリーさ。はっきり言って、沢山の人に広めたい反応と思いました。

あと、pre-IBSの仲間たちは純正化学や東京化成から入手可能。そして、IBSよりもさらに高活性なMIBSのpre-cat.もアルドから入手可能です↓

2011年12月10日土曜日

Hydrogenolysisの真実

けっこう前に、岐阜薬科大の佐治木先生の論文を読んだんですが、それに関連したメモです。

オレフィンのパラ炭使った接触還元って、極性の高い溶媒ほど反応速度が速かった(alcohol > EtOAc > hydrocarbon)と記憶してるんですが( 確か、新実験化学講座か実験化学講座に書いてあったと思う)、水素化分解ではその様相が異なります。

例えば、ベンジルエーテルの水素化分解では、トルエン中での反応速度を「1 」としたときの相対反応速度は次のようになります↓

ref. Greene's Protective Group in Organic Synthesis


一方、シンナミルアルコールのTBSエーテルを還元すると、その溶媒効果は次のようになります↓

ref. Tetrahedron, 2004, 60, 6901-6911.


ベンジルエーテルとTBSエーテルの切断では、溶媒の反応促進作用が逆転するみたいです。