とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, April 16, 2017

もっとFluorination (2)

人形町でランチしたときのメモです↓

-和食•やきとり久助
久助ランチ 焼き鳥重 (920 JPY) メモ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ランチタイムはこれ一本。味噌汁と漬物つきです。
席に着くと焙じ茶が出されるんだけど、この焙じ茶、甘い香りがしっかり立っていて旨いです。漬物は、沢庵と胡瓜の柴漬。味噌汁にはとろろ昆布が入っていて一息つくのに良い味です。
さて、主役の鳥重ですが、一番上に振り掛けられている海苔の香りが強く、良い海苔の香りが一閃します。鳥肉は、大山鳥のもも肉らしく、鳥自体の味も掛かっているタレも硬派でシックな味わいです。
鳥肉から立ち昇る焦げた香りが質実剛健な硬派な香ばしさで堪らない。肉質はとっても柔らかく、絶妙な弾力。噛むという所作がとても楽しくなる。上品な旨味であっさりしているんだけど、根底にしっかりしたbodyを感じる。
カウンターに置いてある粉山椒を鳥に掛けて食べてみるとそれほどでもなかったけど、舌に直に載せてみるとけっこう痺れる(薬味無しで食べた方が断然旨いと思う)。
また食べに行きたい絶品鳥重。



閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

AlkylFluor : Deoxyfluorination of Alcohols
Org. Lett., 2016, 18, 6102-6104.

Tobias Ritter教授らの報告で、また、Deoxyfluorinationのお話です。
Rittrer教授はこれまでに精力的にDeoxyfluorinationの研究を行ってきて、PhenoFluorとPhenoFluor Mixという複雑な化合物のlate-stageでのフッ素化も可能とする高選択性を誇るフッ素化剤を開発し、上市させてきました。

see
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-1-deoxyfluorination-of.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-2-late-stage.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-3-is-phenofluor-practical.html

しかし、これらの試薬にも問題があって、
PhenoFluorは種々のフェノールや脂肪族アルコールのフッ素化に対して極めて有効ですが、もの凄く湿気に弱く、保管にも滅茶苦茶気を使わなければいけないとうハンドリング上の大きな欠点があります。
Deoxyfluorination using PhenoFluor

他方、PhenoFluor Mixは、大気中での安定性が高く、ハンドリングの良い試薬となっていますが、脂肪族アルコールのフッ素化には適用できません(Deoxychlorinationと競合してしまう)。
DeoxyFluorination using PhenoFluor Mix

2015年に、安い、安定、簡便をウリに脂肪族アルコールのDeoxyfluorinationができるPyFluorという、ざっくり、PhenoFluor超えを標榜し、Ritter教授をして"実用的"と言わしめる試薬が登場しましたが、使用するDBUやMTBDといったブレンステッド塩基が求核剤として働いて、特に立体障害の大きい基質や複雑な官能基を持つ基質で、収率が低下してしまいます。


で、Ritter教授がPhenoFluor、PhenoFluor Mixの問題点を克服し、PyFluorを超越するDeoxyfluorination reagentとして満を持して(?)発表したのが、AlkylFluorです。

This Work
Deoxyfluorination using AlkylFluor

AlkylFluorは、空気中で安定で、かつ水に暴露しても大丈夫な頑丈な試薬で、マルチグラム
スケールで簡単に合成できます。


値段は高いけど(TCI 8,500 JPY/ 200 mg, 28,800 JPY/ 1g; Aldrich 25,200 JPY/ 250 mg, 63,000 JPY/ 1 g)、他の市販フッ素化剤では容易に合成することのできない化合物にもアクセスできるとして、良い試薬だとRitter教授はアピールしています。

因に、基質一般性はこんな感じです↓


carbohydrateや、アミノ酸、ステロイド、医薬品などを収率良く脱酸素的フッ素化することができ、官能基許容性が高そうです。

それでは最後に、AlkylFluorとその他の市販試薬との比較(可能なもの)を列挙してみましょう↓

AlkylFluor、PyFluorともに報告されている事例が少ないので決定的なことは言えないですが、"reactivity"という観点からは今のところAlkylFluorに軍配が上がるのかなと思います。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のフッ素化メモでした。


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Sunday, April 2, 2017

もっとFluorination

ども、(そこそこ前の話だけど)冬イベ(乙)を終えたオタッキーのコンキチです。


E-3(乙)ラスダン後、E-1(甲)を20周周回したけど、伊26をGETできずに哀しい気持ちです。
(ちなみに、高波、萩風、山雲、照月、翔鶴、伊401、谷風、瑞穂×2、U-511がドロップしました)

さて、比較的最近流山に出来た、金土日営業で、しかも土日はAM 9:00から営業というトリッキーな営業を行っているラーメン屋で食べたラーメンのメモです↓

-The Noodles & Saloon KiriYa-
http://tnaskiriya.jugem.jp
基本の『らぁ麺』のスープは、豚骨、野菜ベース(清湯豚骨スープ)に煮干数種(鰯煮干とか)、鯖節、宗田節、枯れ木節、昆布などを使用した魚介スープで。麺は、効加水自家製手揉み麺で、北関東ご当地麺を意識したモチモチ麺を目指したとか(そうなのか)。
醤油ダレは、万上本みりん、キッコーマン醤油、窪田味噌醤油 (野田)、甲子醤油 (野田)、川中島御用溜醤油 (野田)をブレンドした地元愛のタレだそう。
さらに、ネギは下花輪 (流山)、上貝塚 (流山)などの葱を織り交ぜて提供しているよう(入荷が一定でない)。
ところで、店名の「KiriYa」はキリヤさんがやってるからかなって思ってたけど、食品営業許可証に書いてある名前は青木さん、(交付時の)住所が桐ケ谷(キリガヤ)だからかな?ちなみに店舗の住所は西初石。

-らぁ麺 ramen (700 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は平打ちの太縮れ麺。っていうか捻れてる。弾力に富み、コシが強いがキックはほどほどで食べやすい。そして、麺自体がかなり旨い。
スープハ節系(魚介っていうか魚)の香りが一閃。表面にはうっすらと液体ではない脂(多分、ラード)の膜が張っている豚骨テイスト。マイルドでコク深く、嫌な匂いが全くない。脂の良い味で、塩味はけっこう控えめだけど、物足りない感じはしない。
具は、メンマ、焼豚、カイワレ、葱、海苔、緑の物体。スープとは対照的に、メンマと焼豚は(塩味が)濃いめの味付け。メンマは柔らかく、濃くて深い味ながら上品さを感じる。焼豚はsolidで、肉々しさがあって好み(肉の旨味を感じる)。食べ進むうちに、海苔の香味がスープに染み出し、味に奥行きを与える。
かなりレベルの高いラーメンと思いました(オレって、基本、太麺はあまり好きじゃないんだけど、この太麺は旨い!)

-油そば abrasoba 並盛 200 g (600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は、多分、『らぁ麺』と同じ平打ちの太縮れ(捻れ)麺で、旨い味。油そばなので、良く掻き混ぜるわけなんですが、そうすると、この麺がoilでcoatされる。で、その麺に付与されたoilyさが良いです。それにつけても、この麺はホント旨いね。優しい小麦の味がします。
醤油ダレ(塩ダレ?白醤油使ってるのか?)は白く、ちょとしょっぱめだけど、太麺に合う。
具は、メンマ、カイワレ、葱、海苔、焼豚。
あと、油そばには辣油、胡椒、醤油ダレ(黒い)のカスターのセットが付いてくるので、それも試してみる。はじめはプレーンで食べて、その後、胡椒、辣油、醤油ダレをそれぞれ少しづつ振り掛けて食べ進めてみる。
辣油は胡麻油の香ばしい香りとピリッとした辛さがしてとっても良いアクセントになる(これが一番好き)。胡椒も美味しい。そして、胡椒と辣油のコンボもGOOD!醤油ダレは美味しいけどしょっぱくなり過ぎ。
完成度高く、具と調味料による味のバリエーションにも富んでかなり旨い。


-swallowらぁ麺 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
燕三条系背脂ラーメン(だからswallow?)。
上品で優しいお醤油の香りの上に、背脂由来であろうか?コク深い香りと胡椒のspicy noteが少々。
背脂がスープの表面にふんだん。プルプルした食感で仄かに甘く、スープの味に奥行きを付与しているように思う。背脂は確かに脂なんだけど(当たり前だけど)、ギトギトしておらず、割とあっさりした脂。
それから、基本、麺(平打ち太縮れ麺)は豚骨醤油魚介のスープに良く合う。
具は、焼豚、メンマ、岩海苔、刻み玉葱。刻み玉葱の上には粗挽きの黒胡椒。黒胡椒が香り高い。玉葱のシャキシャキ感が心地良く、清涼感を付与。黒胡椒と、岩海苔の濃厚な磯の香りがスープの良いアクセントになっていて良い。
かなりレベル高い。

-devil (850 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺は上述した平打ち太縮れ麺。スープの色は黒緑。表面に膜が張っている。はっきりいって見た目のインパクトが凄い。
濃厚な海苔の香りと濃密な魚介の香り(ただの節だけの匂いではない)は、bodyの強烈さを想起させる匂い。 
スープには、はっきりと粘度を感じる。魚介tasteは濃蜜だけど、塩辛かったりするわけではないので、ハードな見た目とは裏腹にけっこう食べやすい。自慢の麺との相性も良い。あと、tailに少し苦味を感じる(これがまた良し)。
具の一番目立つ葉っぱはサニーレタス様(赤からし水菜らしい)。玉葱のシャキシャキした食感と味が濃厚魚介スープの箸休めにbest match!口の中がrefreshされる。で、焼豚の下には水菜(赤からし水菜?)の茎と柚子皮が仕込まれている。水菜の茎はけっこう辛いんだけど、これが良い。あと、焼豚をつまみあげたところで、顔を出した柚子皮から発する柚子の香りがフワっと漂うんだけど、この仕掛けが心憎い。玉葱の上に振り掛けられている赤いい粉は殆ど辛くない(んだけど、何これ?)。
それから、スープの底に黒い粒が残るんだけど、これはイカスミだとか。
お店の紹介文によると、「conc.の烏賊風味。少しビターな仕上がり」だそうです。
いと旨し!


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

PyFluor : A Low-Cost Stable, and Selective Deoxyfluorination Reagent
J. Am. Chem. Soc., 2015, 137, 9571-9574.

Deoxyfluorination (脱酸素的フッ素化)のお話です。
Deoxyfluorinationのパイオニア的試薬と言えばDASTですが、高額であり、爆発的に分解する性質、官能基許容性の制限、副反応 (脱離反応)の進行といった解決すべき問題があります。で、Deoxo-Fluor、XtalFluor、FluoleadといったDASTの熱安定性に対する改良が施された試薬が開発されてきましたが、よりコスト高となり、選択性の改善は限定的のようです。
Deoxyfluorination reagents
(see http://www.chem-station.com/odos/2009/07/dast-dast-fluorination.html)

Tobias Ritter教授らの開発したPhenoFluorは、複雑な天然物のlate-stageでのフッ素化において極めて効果的ですが、コストと安定性には問題が残ります。
see
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-1-deoxyfluorination-of.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-2-late-stage.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2015/05/phenofluor-3-is-phenofluor-practical.html

で、上述した問題点、要は試薬の製造コストの問題と安定性と選択性、を解決した試薬がこちらです↓



PyFluor (2-pyridinesulfonyl fluoride)です。この試薬は従来のフッ素化剤ではできなかったDeoxy-radiofluorination (18F化)も可能です。

さて、どのようにしてPyFluorをデザインするに至ったかですが、著者らは以前こんな研究を行っていました↓

JACS, 2010 132, 3268.

JOC, 2012, 77, 4177.

これらの反応では、フッ化ベンゾイルとアルコールとのエステル化によってフッ化物イオンが生成します。
で、アシルフルオリドの電子吸引性を増加させれば、生成したエステルの置換反応が起こり、脱酸素的フッ素化が進行するのではないかと著者らは考えました。


この発想から、スルホン酸フッ化物のスクリーニングを行い、(コストも込みで)最も有用だったのがPyFluorです。

最適条件は、
・PyFluor : 1.1 eq.
・base : DBU or MTBD (2 eq.)
・solvent : not highly dependent
                 best → toluene, cyclic ethers
                 reasonable yield → DMSO, CH3CN
です。スルホン酸エステルの形成は数分の間に定量的に進行し、続くフッ素化は徐々に進行していきます。

因に、4-phenyl-2-butanolを基質に用いてスクリーニングしたときの、フッ素化剤(Sulfonyl Fluoride)の評価結果はこちら(conditions: sulfonyl fluoride (1.1 eq.), DBU (2 eq.), toluene (0.4 M), rt., 72 hr)↓
Yield: combined elimination side products as determined GC.
(SIをみると、もっと沢山のSulfonyl Fluorideに対してスクリーニングしています)

そして、気になる基質一般性はこちら↓

幅広い1級・2級アルコールをフッ素化でき、ステロイド、アミノ酸、フタルイミド、複素環化合物、保護・無保護のアミン・アニリンが許容です。殆どの反応は室温で進行しますが、立体的に混みあった基質は穏やかな加熱(50˚C)が必要になります。あと、3級アルコール存在下、1級と2級のみがフッ素化されます。著者等はlate-stageでのフッ素化にも自身を示しています。残念ながら、酸性度の高いα水素を持つβ-ヒドロキシカルボニル化合は、脱離反応のみが進行してしまいますが。
 (アルドのWeb Siteに、4-phenyl-2-butanolとepiandrosteroneのフッ素化で、フッ素化剤の比較情報があります→ http://www.sigmaaldrich.com/japan/chemistry/chemical-synthesis/technology-spotlights/deoxyfluorination-with-pyfluor.html)

それから、deoxy-radiofluorinationの例です↓


では最後に、PyFluorの合成法と物性とコストについてメモして終わりにしましょう。
まず、合成法はこちら↓


著者等は、上記の最適化されていない合成法における原材料費は180 USD / molで、他のフッ素化剤(例えばDAST)と比較してコスト優位性が高いと主張しています。まあ、現材料費だけ示されてもイマイチピンとこないので、試薬グレードの市販価格を比較してみるとこんな感じになります(TCIのPhnenoFluor MIxは31 wt% as 2-Chloro-1,3-bis(2,6-diisopropylphenyl)-1H-imidazolium Chlorideで計算)↓

last visited April, 2017

選択性と値段の兼ね合いになるけど、PyFluorはけっこうコスト競争力があるように見えます。

PyFluorは融点23-26˚Cの固体で、普通に保存しておけば少なくとも30日は分解物は検出されません。さらにSulfonyl Fluorideは水のエマルジョン中では加水分解されず、熱安定性も良いです(0-350˚Cの範囲で発熱分解しない)。
で、反応(Deoxyfluorination)は空気や湿気を排除する必要がないわけなんですが、これはポイントが高いです。ハンドリングに気を使うフッ素剤が多い中、PyFluorの物性はかなり光ってるとボクは思います。

まあ、オレって今までフッ素化やったことないわけで、この先もやることはないかもだけど、機会があったら試してみたいフッ素化剤と思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の久々のメモでした。


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Thursday, February 2, 2017

Annual Income 2016

冬休みに、ボクの大好きなアメリカテレビドラマの「THE MENTALIST」を鑑賞しました(他に映画2本と安楽椅子探偵ON STAGEも堪能しました)。今回観たのはFinal SeasonであるSeason 7。これで大好きなパトリック•ジェーン(サイモン•ベイカー)とさよならかと思うと残念です。あと、フィッシャー特別捜査官(エミリー•スワロー)がこのシーズンの初っ端から転勤を理由にいきなり降板していて残念でした(シクシク)。

ネタバレだけど、エンディングはジェーンとリズボンのマリッジでフィニッシュで、ホント良かったなーと思いました。


閑話休題


2016年もとっくに終わり、必然的に2016年の年収も確定しました。ということで、ボクが社会に出てから今日に至るまでに得てきた給与収入を晒してみます↓


まあ、まいどのことだけど、中流ド真ん中の社畜です。そして、ボチボチ給料頭打ち確定です(シクシク)

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ところで、TVのワイドシューでやってたんだけど、中学受験のために小学校を欠席する児童(=親が欠席させる児童)が急増しているらしいですね
一応、受験日前(数日間)のインフルエンザ対策っていうのがメイン(or 表向き)の理由らしいですが、なかにはガッツリ学校を休んで塾で勉強している強者(?)もいるようです(特定の塾に通っている児童にみられるそうです)。

正直、そこまでして中学をお受験する必要ってあるのかなって思います。
(ウチの娘も中学受験したけどね。ただウチは中流ど真ん中で裕福な家庭じゃないから、近所の公立の中高一貫校だけど。)

なにで読んだのか覚えてないけど、ミツバチとか働き蟻の二割くらいは働かないっていう話を読んだ気がします(しかも、働かない固体を取り除いた後でも、二割くらい働かなくなる)。で、そういった傾向はいろんな社会や組織にみられると(うろ覚えだけど)。

このような傾向が人間の社会•組織にも適用できるとすると、お受験の費用対効果はガッカリしてしまうほど小さく思えます。学業でドロップしない確率(各ステージにおける成功確率)が80%だとすると、中学受験に成功したからと言って、その後の人生の成功確率を滅茶苦茶ザックリ勘定してみると、

0.8(中学)×0.8(高校)×0.8(大学)×0.8(社会)=0.4096

たったの四割ですよ。ついでに言うと、社会に出てから過ごす時間は中•高•大学(10年+α)よりも圧倒的に多い訳で、一般の多くの人が送るであろう会社人生を送る上で、異動や転職、場合によっては分社化、買収、合併といった劇的な環境の変化により、その都度ドロップの可能性がつきまとうと予想できると思います。なので、実質成功率はもっと低くなるとオレは想像します。まあ、ここで言ってる成功っていうのは"言語的能力と数学的能力"を駆使する分野でってことなので、他の分野、例えばスポーツ、音楽、藝術、芸能といった"言語的能力と数学的能力"を駆使する仕事よりも圧倒的に少数の人しか成功しない分野に挑戦してみるのも良いかもしれません。それに、価値観は人それぞれなので、マックジョブで日銭を稼ぎ、趣味の世界に没頭して生きていく人生も幸せ(=成功)かもしれません。

そういえば最近、モンスターペイシェントが増えてるらしいです(これもワイドショーでやってた)。医師(医療従事者)に対して理不尽な要求をしたり脅迫したり暴力を振るう患者が増えている。特に暴行は一発アウトでガッツリ犯罪だけど、病院は警察沙汰にするのには及び腰で、現場のお医者さん(医療従事者)は泣き寝入りしているらしいです。
一生懸命お勉強して、(私大の場合)高額な授業料を払って、やっと手にした医師の地位なのに、知能の低いモンスターペイシェント(理不尽な要求をしたり脅迫したり暴力を振るのは低能の証左)に絡まれなきゃいけないなんて、どんだけ罰ゲームだよって思います(30年くらい前はお医者様様だったような気がするなぁ)。

っうか、勉強って作業は一生続くものだと思うんだけど、小学生もころからガリガリ勉強するのって疲れちゃうんじゃねーの?ってボクは思います。混み混みのTXで、でっかいランドセル背負って通学してる小学生とかみると、人ごとながら大変だなって思います。だって、小学生って友達と遊びたいじゃん。オレなんて、放課後遊びたいから、授業中に宿題やってた口だし。

兎角、人生の波を上手く乗り切って生きるのは難しいなと思う、二流大(駅弁大)出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。






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Sunday, January 15, 2017

My Dear Grignard Reagent (4): initiatorの名はDIBAL-H

年が明けましたね。しかも、半月も過ぎてしまいました。会社通いがダルい今日この頃です。


門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし
by 一休宗純

何かを成すためには人生は決して長いものではないと、最近、改めて富に感じるコンキチです。

昨年末、ボクの大好きな神田まつやのゆずきりを食べたときのメモです↓

-神田まつや ゆずきり (900 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
冬至(12月21日)のあるWeek Dayの期間限定品。淡路町界隈の冬の風物詩ですね
蕎麦はまつやのスタンダード品に較べ細打ちで柔らかく弾力に富んでいて心地良い食感。色は鮮やかな黄色。目で見て楽しい。柚子の柑橘の香りが、強すぎず、弱すぎず、程よい塩梅に効いていてとっても良い香り。蕎麦の穀物様の香りも立っているか?
口の中でも柚子の香味が良い感じ。とっても爽やかで、finishの"S(柑橘系の硫黄臭)"的な苦味が素晴らしい。そして、この蕎麦(ゆずきり)がまつやのツユにとっても良く合う。
薬味には葱と山葵。
並んでも喰うべき一品(不本意ながら並びました)。


閑話休題


けっこう前の文献なんですが、こんな文献を読んでみました↓
(きっかけは、My Dear Grignard Reagent: Grignard Reaction in CPME (Grignard Reactions in Cyclopentyl Methyl Ether Asian J. Org. Chem., 2016, 5, 636-645.)やMy Dear Grignard Reagent (2): 2-MeTHF、推して参ります (Comparative Performance Evaluation and Synthetic Screening of Solvents in a Range of Grignard Reactions Green Chem., 2013, 15, 1880-1888.)のリファレンスだったからです)

Activation of Mg Metal for Safe Formation of Grignard Reagents on Plant Scale
Org. Proc. Res. Dev., 2002, 6, 906-910.

Schering AGの報告です。
そして、また、しつこくGrignard反応関係のメモです。
今回のお題はGrignard試薬調製の一番最初のステップである、

"マグネシウムの活性化"

の話です。しかも、プラントスケールでセーフティーにってやつです。

学生の時分に先輩から聞いたんだけど、フェニルグリニアを調製するときに調子こいてるとビフェニルができるぞって言われました。
実際、オレがM2になったとき、後輩がGrignard反応が上手くいかないっていうんで、生成物のNMRとってみてみたらビフェニってたね(ビフェニルが生成していた)、確か(もう随分前のことなので、記憶が軽く曖昧)。

前にも書いたけど、Grignad試薬の調製段階ではWruts反応が競合する可能性があります。Griganrd試薬を調製時に、なかなか反応が進行しない場合(だいたい、目視と温度変化で判断すると思うけど)、反応を発進さえるための選択肢の一つに"加熱"がありますが、"加熱"はWrutsカップリングを引き起こすリスクを高めます。
なので、Grignard試薬調製においては、マイルドな条件で反応を発進させることが最良と思います(他のあらゆる反応でもそうだけど)。

さらに、工業的にGrigard試薬調製はけっこう難しくて、そのinitiation stepにおける事故の危険性が高いです(例えば、反応がなかなか発進しないからといってRXを加え続け、何かのキッカケで反応が発進したときに、ガッツリRXが入った状態になっていて、一気に反応(発熱反応)が進行して爆発する)。

なので、マイルドなGrignard試薬調製はリスクアセスメント的にも重要です。

マイルドな条件でGrignard試薬を調製する方法には幾つか方法がありますが、この論文に書いてある方法には以下の手法が挙げられています↓

(1) マグネシウムの形状を選択する
マグネシウムにはturnings、powder、chips、Rieke magnesiumがあり、その特性は以下の通りです↓

"turnings" 取扱いが容易。長時間の撹拌はグラスライニングの反応容器(お釜)を摩損させる可能性が。

"powder" より高活性である反面、金属表面が酸化されやすく、自然発火する可能性もある。(第2類危険物に該当すると思う)。

"chips" 高純度で、"turnings"よりも表面積が小さく反応性も劣る。

"Rieke magnesium (MgCl2 + 2 K → Mg + 2 KCl)"  金属微粒子で高活性。発火性が高い。(特に大スケールでの)金属カリウムの取扱いは憂鬱。

ボクは"turnings"しか使ったことがないけど、これが実験室でも工業的にも最も一般的に用いられているマグネシウムのはずです。ハンドリングとか安全性とか酸化皮膜の問題をトータルに考えたら基本"turnings"一択なんだろうと思います。

(2) 酸化皮膜を取っ払う
古典的な方法だと思うんですが、鉱酸で金属表面の酸化皮膜を洗って、金属の活性面を出してやる方法です。ボクはやったことないけど、洗浄に使った酸や水の除去は工業スケールでは極めて困難なんだそうです。

(3) Dry-Stir法
不活性雰囲気下で"turnings"を撹拌する方法。"turnings"上の酸化皮膜が減少し、金属の活性面が現れるそうです。GL釜が摩損する可能性があるのでSchering AGではlarge-scale activationではやらないそうです。
ボクはアルゴン気流中、赤外ランプを当てながら1時間くらいmechnical stirring (小スケールのときはmagnetic stirring)するのが好きでした。

(4) 装置の乾燥
これはラージスケール(=工業スケールのお釜)の話なんだけど、装置の乾燥は重要で、複雑な配管を有する場合は特に要注意です。さらにこの論文によると、装置の表面は、完全の乾燥したように見えても水の薄い膜でコーティングされていることがしばしばあるそうで、Grignard Prepararionの発進を確実なものにする為には、含水率が0.02% (200 ppm)未満になるまで複数回溶媒でリンスしてた後、不活性ガスでブローして乾燥し、微陽圧に保つんだそうです。

(5) Grignard試薬を加える
前回作ったGrignard試薬を少量加えてGrignard Preparationを行う方法。本報で"excellent method"と表現されています。実機でのGrignard試薬調製で安全にオペレートするにはにはコレです。実機でのGrignard Preparationはけっこう難しいんですが、この手法はもの凄くイケてるとレクチャーされたことがあります。ラボスケールだけど、ボクも5 Lスケールで何回かやったことあるんだけど、とってもスムースに反応が発進しましたね
実際に実機で適用されているだけのことはあります。
この方法の唯一の問題点は、当たり前だけど、一番最初にGrignard試薬を調製するときはこの方法が使えないということです。因に、Grignard試薬の調製は、小スケールであれば比較的容易かつ安全にオペレートできるので、最初は小スケールで調製して、それを"種"に段階的にスケールアップしていけば、いい感じにGrignard試薬を調製できると思います。

(6) Vidride (Red-Al)
言わずと知れた強力な金属ヒドリド還元剤です。Vidrideは定量的に水分、アルコール類、過酸化物を取り除き、金属表面を活性化します。(この論文では、boiling ether中で金属マグネシウムの対して(5-12 mol%)のVitrideを加えるとか、乾燥エーテルにVidrideを加えて蒸留して反応に使うっていう活性化法が解説されていますが、普通にハライド加える前に添加してやればいんじゃねーの?って思います。実際、この論文でもそういう方法で実験してるし)。
因みん、この手法は、大スケールでのSimmons-Smith反応におけるZnの活性化にも使われてりうそうです。

(因みにボクのラボでのお気に入りの活性化法はDry-Stir法+ヨウ素添加のコンボです。)

著者等はこれらの活性化法の中でVidride法に興味を持ちます。そして、DIBAL-Hも同様の目的で使用できることに気がつきます。DIBAL-HのVidrideに対する優位性には次のようなものがあります↓

a) DIBAL-H (20%程度のトルエン溶液やヘキサン溶液)の方がVidride (65%トルエン溶液)より取扱いが容易(65% Vitride溶液はかなり粘性が高いです)。
b) Vitrideだと放出されたメトキシメタノールがGrignard試薬と反応してしまう。

ということで、著者等のVitrideを用いたマグネシウムの活性化実験が始まります。


上記2種類のアリールブロミドに対して、1 mol%のDIBAL-Hをinitiatorに使用してGrignard試薬の調製を検討しています。その結果分かったことはこちら↓

A) 活性化(反応の発進)に要する時間はTHFの量に依存(固液反応なんだから、活性化剤の濃度が高い方が良いのは当然。他の活性化剤でも同様に観察される事象。)
B) Mgに対して5 volsのTHFがBest!(因みに、これより濃い条件では試してない。5-30 volsの範囲で検討)
C) 得られるGrignard試薬の収率はそれぞれ(左から)、87%、92%、95%。
D) 室温で60分経っても反応が進行しない場合、もう1 mol%のDIBAL-Hを加えると数分で反応が起こる(濃度が薄い場合)
E) DIBAL-H (initiator)の有無による反応の発進具合の違いはこちら↓
F) magnesium "turnings"は、活性化においてベンダーによる違いは確認されない。
G) 1年以上経過した"turningsの活性化には、2 mol%のDIBAL-Hを使って24 hr以上を要する。
H) 10 mol%までDIBAL-Hを加えても、Grignard反応における不純物のプロファイルに変わりなし。

他の活性化剤との比較実験はnothingだけど、信頼性はありそうですね、DIBAL-H。

こうしてDIBAL-Hのinitiatorとしての実力が証明されたので、著者等はこれをパイロットスケールでのGrignard反応へと応用して行きます。こんな風に↓



(上記2つの反応で、Mgの活性化に5 volsではなくて20 volsのTHFを使っているのは、多分、最低撹拌の都合上からだと思います。)

さらに、Wurtzカップリングが起こりやすい5-chloropentylmagnesium bromideの調製においてもDIBAL-Hはその力を発揮します。


Wurtzカップリングを抑制するために、Grignard Preparationを15℃以下で行う必要がありますが、活性化剤に1,2-dibromoethaneを用いた場合では30-35℃でないと反応が発進せず、反応の発進を確認した後に10℃に冷却して残りのハライド(5-chloropentylbromide)を滴下していくという方法をとっていました(Schering AGでは)。
一方、活性化剤にDIBAL-Hを用いると、0℃以下での活性化が可能で、続く反応(Griganrd formation)も10℃以下で実施することができるのです。

ボクのお気に入りの活性化法はDry-Stir法+ヨウ素添加のコンボだけど、低温でMg activationできるのはかなり魅力的と思います。もう10年くらGriganrd試薬の調製はやってないけど、機会があったら試してみたい方法と思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のしつこいGriganrdメモでした。

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Sunday, November 27, 2016

My Dear Grignard Reagent (3): そのGrignard試薬、長期熟成品?

どもSaratogaをGETしたオッタキーのコンキチです。


後れ馳せだけど、今シーズンの初秋刀魚食べてきました。

-生さんま塩焼 2016 (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
身がほっくほくのふわっふわ。freshでかなり旨かった。それから、塩味が良い塩梅で良かったです。

秋刀魚を食べた店は、ボクの大好きな浅草にある水口食堂。チバラキ在住のボク的には、TXの駅近なので重宝しています。

因に、去年食べた秋刀魚↓

-生さんま塩焼 2015 (480 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
少しさかなくささ感じたけど、まあ普通に旨い。(秋口には)すだちが付いてくるのが良い。この時は時季が合ったのですだち付き(嬉しい)。

このお店、秋刀魚の塩焼きは、半分に切断させれて出されるんだよね。

それから、水口食堂のその他の食べ物達↓

-千代菊 にごり酒 しろうま (一合) (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
甘さはベタついたものではなく、けっこうスッキリした味。それでいて、にごり酒のbodyの太さは健在。適度な辛さがキレを加える。これは旨い。

-肉豆腐 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
冬季限定の超スピードメニュー。
大きなお豆腐(焼き豆腐)と良く味の染み込んだ長葱と糸コンニャクにモツ系のお肉。
ツユは甘口のあっさり系で癖のない味。万人受けしそうな味。
あと、スプーンが付いてくるのが嬉しい(忘れられるとくアリ)。
ツユをすくって豆腐と供に食べるのが良い。モツ系の肉も良く煮込まれていて良い味出してる。
胃に優しい、穏やかな味わいのにく肉豆腐。


-まぐろぶつ切 (700 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
赤身からけっこう脂ののってるところまで入っている。赤身はしっとり、ねっとりした重厚な味でけっこう好きな味。一口に赤身と言っても、それぞれのぶつのブロックで味や食感が異なっていて面白い。けっこうお得かも。薬味は粉ワサビと大根おろし。鮪と大根おろしが良く合う。


-昔ながらのナポリタン (700 JPY)-
see http://researcher-station.blogspot.jp/2015/08/2.html


-いり豚 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
水口オリジナルの名物メニュー。玉葱と豚の料理。味付けは優しいカレー味と、ウースターソース様のボタニカルとフルーツが凝縮されたような味。豚肉は程よくこなれた味で、柔らかい食感と相まって旨い。味と食感のバランスが良い。玉葱はとってもjuicyでfresh。シンプルメニューだけど、はっきり言って、とても旨い。"名物"と言われるだけのことはあると思いました。


-ホタルイカ (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
やや小振りかものホタルイカは張りが有る食感で身がプリップリ。何もつけず、素のまま口に運ぶと、僅かに魚くささを感じる程度で、醤油を付ければもう分からない。なので、薬味無しでも美味しくいただけるんだけど、薬味と一緒に食べるともっと旨い。
醤油の上に葱を敷き、その上にホタルイカを載せ、その頂きに生姜を盛って食べるとfresh感がup↑。生姜と葱のそれぞれに強い味(エグさ)が互いに中和しあってfresh感のみを付与している気がします。とってもfreshだよ!


-冷奴 (250 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
250円は平日サービス価格(休日は350円)。
少し硬めの奴。嫌な味が全くなくて良い。やや硬めなところも適度に食感が楽しめて良い。ふんだんに載せられた薬味が嬉しい。


-カキフライ (750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
5P。衣からは油の良い匂いがし、さっくり揚がっている(衣ははちょっと厚く、その為か硬い)。一口齧ると、切断面から顔を覗かせた牡蠣から滋味豊かな良い香りが漂ってくる。衣がやや厚いので牡蠣のjuicy感の伝わり加減がひまひとつ。そのかわり、全て食べきるまでアツアツ感が持続する。
何も付けずそのまま食べて十分旨い。タルタルソースはツブツブ感が無くて、ちょっとoilyな感じ。その流動的な形態のためか衣へのノリが悪い。
カラシはソリッドな感触と味であまり好みでない。
塩(食卓塩)を振り掛けて食べると、味が引き締まって良い。但し、バランス良く薄く衣に纏わせるのが重要で、掛け過ぎに注意が必要。
因に、定食にすると1,100円。


-マダイ塩焼 (630 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
小振りの鯛の塩焼。表面の皮はサクサク。身は適度にしっとり。淡白な身に少しキツメに塩味が効いていて旨い。




-琥珀ヱビス (樽生) (580 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
安定の旨さ。


-黒ビール ヱビスザブラック(小瓶) (450 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
これも文句無しに旨い。


-新潟 新発田 金升 小徳利 (燗) (450 JPY)-

-ビンビール 大瓶 (キリン ラガー) (580 JPY)-

-生すだちサワー (530 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
すだち1個分を搾っていただく。すだちの搾り汁でサワー全体にけっこう色が付き、香味も十分。すだちの鮮烈で清々しい酸味が存分に味わえてとても旨い。

水口食堂は、浅草の有閑マダム達が真っ昼間からフライをあてに大徳利を煽っている大衆的な店で、気取らない雰囲気ながら、料理の味は意外と気取っていて旨いです(少なくともボクは大好き)。


閑話休題


前回のブログでメモした文献


"Comparative Performance Evaluation and Synthetic Screening of Solvents in a Range of Grignard Reactions 
Green Chem., 2013, 15, 1880-1888."

の中で、市販のベンベンジルマグネシウムクロリドの純度に関してけっこう由々しきことが言及されていたのでメモしてみます。

で、"由々しきこと"っていうのは、

ラベル表示の純度と実測値(滴定値)が全然違いますから

ということ。

中にはラベル表示値の6割未満の純度しかない試薬もあって、マジ驚愕です(ドン引きするレベル)。で、詳細はこちら↓


市販Grignard試薬は買ってから1ヶ月以内に分析しています。また、HPLC純度はGrignard試薬を無水メタノールで処理してから分析しています。

不純物としてはWrutsカップリングによって生成する1,2-ジフェニルエタンの他に、ベンジルアルコールと5-フェニルペンタン-1-オールが検出されています。
ベンジルアルコールはGrignad試薬と酸素との反応の後、加水分解されて生成するといいます(なので、Grignard試薬(溶液)中ではBnOMgClとして存在するのでしょうか)。
そして、5-フェニルペンタン-1-オールはTHFとGrignard試薬とのラジカル反応由来と言います(従って、Et2Oと2-MeTHF溶液では検出されません)。

ところで、著者らは自分達でベンジルマグネシウムクロリドの1M THF溶液を調製して、3ヶ月経過した後に分析しています。その結果、5-フェニルペンタン-1-オールはトレース量(<0.1%)しか検出されなかったと言います。この実験結果を根拠に著者等は、市販のベンベンジルマグネシウムクロリドは調製してからかなりの時間が経過している(長期熟成品)か、保存状態が劣悪だったのであろうと結論付けています(ボク的には初期濃度が違うのがけっこう気になるけど)。

ベンジルマグネシウムクロリドって言ったら大昔からある試薬なので、メーカーの品質保証体制も十分に確立されてると思っていたのに、この体たらくとは残念です。国内だとTCIや和光純薬で売っているので、使う機会があったら問い合わせてみたいと思います。
)因みに、この論文の著者等の所属機関は、マサチューセッツ大学、イーライリリー、ファイザー、ノバルティス(アメリカとスイス)です。)

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のしつこく続くGrignardメモでした。


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