2020年5月10日日曜日

その溶媒、ギャラクシアンエクスプロージョン (3) NBS、お前もか編

新橋でランチしたときのメモです。

-末げん memo-

住所:港区新橋2-15-7 Sプラザ弥生ビル1F

-かま定食 普通 (増税前で1,200 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
鳥の挽肉と特製の鳥だしのスープを玉子でとじた丼(親子丼)がメインの定食で、小鉢、香の物、スープのセット。
親子丼の"親子(挽肉と玉子)"はふわっふわの食感で、上品なお出汁の香味。そして、ご飯が文句なく旨い(とても上手に炊きあがっている)。そして、トップに頂いた三つ葉のキリッとした鮮烈な香りと玉子の相性が抜群にいい。
味的にはとっても美味しいんだけど、食感にダイナミズムの不足を感じる(お肉がそぼろなので)。
セットのスープはと鶏ガラを二時間煮出したものらしいんだけど、物凄く旨いぞ。葱の甘味を帯びたスッキリした香りがなんとも上品で滋味深く、啜るたびにリッチな気分になれます。
味だけだったらハイグレード。このプライシングで酷とは思うけど、鶏肉の食感さえ楽しめれば★★★★★


閑話休題


今回読んだ文献はこちらです↓

Incompatibilities between N-Bromosuccinimide and Solvents
Org. Process Res. Dev., 2014, 18, 354-358.

塩野義製薬の報告で、NBSってDMFと反応すっから気をつけろよっていう話です。

NBS/DMFの組み合わせは臭素化の最もファンダメンタルな反応条件だと思うんですが、予期せぬ発熱反応が報告されています。NBSのDMF溶液は結晶状態と比較して発熱開始温度が大幅に低下するというのです(Kunito, Y. Presented at the Summer Symposium of The Japan Society for Process Chemistry, Funabori, Tokyo, July 2010. He reported that the onset temperature of DSC analysis of the NBS solution in DMF (NBS/DMF = 1/1) dropped down to 63℃.)。

また、ShilcratはNBSとDMAは室温下で容易に発熱反応が起こるので、プリミックスは避けなければならないと述べています(The 25th International Conference and Exhibition of Organic Process Research and Development, San Francisco, CA, United States, March 2012.)。

ところでちょっと話は飛んでDSC測定のことなんですが、市販の金メッキされた容器はその表面にピンホールがあって、サンプルがメッキに下地である銅やニッケルと接触してしまうというのです(Akiyoshi, M.; Sasakibara, T.; Okada, K.; Usuba, S.; Matsunaga, T.; Okuda, A., Presented at The 44th National Conference of Japan Society for Study Engineering, Yonezawa, Yamagata, Japan, December 2011.)。

著者らも過去にNBSを使った反応の安全性評価をDSCを用いて行なっていますが、NBSのDSC測定では容器の金属素材が測定結果に影響を及ぼす可能性があるので、金属フリーの素材の装置で安全性評価をやり直したというのが本報です。

そして、今回著者らがDSCに替えて用いたのがARSST (Advanced Reactive System Screening Tool)とRC1e(という機種の反応熱量計)です。

ref.
・ARSST : http://www.fauske.com/chemical-industrial/adiabatic-calorimetry-relief-system-design
・RC1e : https://www.mt.com/jp/ja/home/phased_out_products/L1_AutochemProducts/Reaction-Calorimeters-RC1-HFCal/RC1-scale-up.html

まず、ARSSTの結果です↓

Thermal safety evaluation of 10 wt% NBS in solvent by ARSST
entry
solvent
onset (℃)
ΔTad (℃)
dT/dt (℃/min)
1
DMF
108
20
105
2

DMA
60
22
3

NMP
45
10
4
N,N-dimethylpropionamide
68
22
5

AcOEt
130
4
6
MeCN
>200
-
7
CH2Cl2
>150
-
8
Toluene
10820
9
THF
6928

アミド系溶媒の安定性は、

DMF > DMA > NMP > N,N-dimethylpropionamide

の順となり、α-水素の存在がその要因であると疑われますが、AcOEtやMeCNはそうでもありません。

ということで、ARSSTの結果からは、NBSを用いる反応ではAcOEt, MeCN, CH2Cl2が推奨されます。

ちなみに、トルエンは(当たり前だけど)ベンジルブロミドが生成し、THFでは過酸化物の生成が示唆されます。

次に著者らはRC1eを用いて反応熱を測定します。
結果です↓

Thermal safety evaluation of 10 wt% NBS in solvent by RC1e
entry
solvent
temp. (℃)
ΔTad (K)
reaction heat (kJ/mol) induction time (min)maximum heat rate (W/kg)
1
DMF
80
33
129 --
2
DMA
40
28
100 --
3
N,N-dimethylpropionamide

40
31
113 --
4
DMF
65
31
113 5981
5
DMF
60
32
109 108109
6
DMF
55
33
113 23959
7
DMA
60
29
97 073
8
toluene
80
31
104 2739
entries 4-8 : NBS crystals added as a batch (the heat of solution of NBS was negligible).

entries 1-3では30wt%のDMF溶液50 gを100 gの溶媒に設定温度で滴下していくことで10wt%の溶液として評価を行なっていて、entries 4-8ではNBSの結晶10 gを90 gの溶媒の加えることで10 wt%の溶液として反応熱をモニターしています。

entries 1-3のRC1eで測定した反応熱のプロファイルがARSSTで得られた発熱開始温度と食い違っているんですが、その違いが何故生じているのかをentries 4-6で検証しています。その結果、発熱開始までの誘導期間が完全に温度に依存しており、NBSとDMFの反応が自己触媒的であることが明らかになりました。そして、RC1eとARSSTとでの発熱開始温度の齟齬は、2-3℃/minの昇温速度で測定するARSSTでは自己触媒的挙動を検出できないためであろうとしています。

RC1eの測定結果から10wt% NBS in DMFの断熱温度上昇は33℃と見積もられていて、企業化しても爆発リスクは低いです。じゃあ、釜効率アップのためにもっと濃い濃度にしたらどうなの?っていうことで、30 wt% NBS in DMFのARSST測定を行なったところ、ΔTad = 100℃と見積もられRC1eから得られた値(33×3)と一致しました。ということ(100℃はキツイよね)で、もし濃い溶液を使う必要に迫られたときは厳格な温度制御が必要という結論に至ります。

最後にNBSとアミド溶媒はどんな反応してるの?っていうことでうが、NBSとDMAのこんなラジカル反応が報告されているそうです↓

Tetrahedron Lett., 1983, 24, 2685.

著者らはDMAの代わりにDMFを用いて反応を行なったところ、同様にN-methyl-N-succinimidomethylformamideが得られたそうです。また、NBSとアミド溶媒の加熱反応で、GC-MSおよびLC-MS分析によりこれらの化合物の生成を確認しています。さらに、ラジカル開始剤(AIBN)の添加によって発熱開始温度が低下し、ラジカル禁止剤(ピクリン酸)の添加で発熱イベントを抑制できることから、NBSと溶媒の発熱イベントはラジカル連鎖反応によるものであると考えられます。あと、著者らは、DBDMH (1,3-Dibromo-5,5-dimethylhydantoin)の安全性評価も行なっていて、NBSと同様な挙動を示すことが分かりました。DBDMHもNBS同様、アミド系溶媒は要注意ということです。

Thermal safety evaluation of 10 wt% DBDMH in solvent by ARSST
entry
solvent
onset (℃)
ΔTad (K)
1
DMF
99
26
2
DMA
88
29

Thermal safety evaluation of 10 wt% DBDMH in solvent by RC1e
entry
solvent
temp. (℃)
ΔTad (K)
reaction heat (kJ/mol) induction time (min)maximum heat rate (W/kg)
1
DMF
60
49
265 26078
2
DMA
60
44
240 63117

DBDMH


今回の一連のギャラクシアンエクスプロージョンシリーズでは主にDMF(とDMA)について言及(メモ)してきましたが、冷静に考えれば、よく使われる試薬と溶媒の組み合わせでバリバリ溶媒が反応しちゃう例ってけっこうありますよね。多分一番有名なのは"有機リチウム-THF"じゃないかと思います。あと、"無機塩基-アセトン"なんて組み合わせで調子に乗ってリフラックスさせちゃうと、催涙性のジアセトンアルコールとか作っちゃうので注意が必要です(オレは学生時代にその催涙性でマジで物理的に泣きました。目的の反応自体は上手くいったけど)。

あと、SEMで分かったようなんですが、DSCのピンホール問題はたまげたね。ボクのDSCの知識って10年くらい前で止まってて、当時はアルミ、銀、SUSのパン(容器)を使ってたんですが、試料の反応性や想定される圧力を勘案して容器の材質を選んだんだけど、なかなか難しいものがありました。

最近、小宇宙(コスモ)を感じる二流大出の万年テクニシャン(研究補助員)の、NBSとDMFは本質的にインコンパチブルなんだらかねっっていうメモでした。




2020年5月9日土曜日

その溶媒、ギャラクシアンエクスプロージョン (2) 熱分析編

だいぶ前に深川めしを食べにいったときのメモです。

-みや古 memo-

住所:江東区常盤2-7-1

-お通し (300 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
するめいかの麹漬けです(単品メニューにもある)。
いかの身の深部までいい塩梅で味が良く染み込んでいて、麹の香味が最高に素晴らしい。。食感はなんとも言えない絶妙な心地よさで、いかだと分からなかった。
これは絶品。


-しらす酒 (1,000 JPY+tax)-
-1合酒 (継ぎ酒) (550 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
炙りたてのたたみいわしを日本酒(菊正宗)で抽出した逸品。
焦げた魚介の香味はふぐひれ酒より上品で、クセが少なく飲み易い。
二煎はたたみいわしを食べながら飲みました(こういうのが大好き)。
とても気に入って、自宅でもやってます。

-深川めしセット (1,500 JPY+tax)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
吸物、小付、新香つき。
アサリの炊き込みご飯に盛り付けられた三つ葉の香りが鮮烈。次いでお出汁の香りがやんわり漂ってくる。
ご飯の味付けは薄味で上品な良い味。但し、気になるくらい軟らかい(これ、かなりマイナスポイント)。
具材はアサリ、葱、油揚げ。
アサリお味は凄く濃厚で、とっても滋味深い(砂町銀座のあさり屋さんよりも圧倒的に濃厚)。油揚げと葱の味わいも素晴らしい。
吸物は上品で澄んだ味で、柑橘の良い香りがする柚子皮が入っているのが心憎い。玉子焼きは上品な甘さに加えて、何か味に深みを付与するものが入っていて美味しい。小鉢はこんにゃく、きのこ(しめじ?)、ぜんまい(?)、筍の煮物なんだけど、これがまたとても美味。
ご飯の固さだけがただただ残念。

参考:深川めしは、コブダシに醤油、酒、味醂で味付けして、まずアサリをはじめ具をさっと煮て、その煮汁でご飯を炊き、炊きあがりに具をさっと混ぜて出来上がりなんだそうです。


閑話休題


前回からの

Explosion Hazards of Sodium Hydride in Dimethyl Sulfoxide, N,N-Dimethylformamide, and N,N-Dimethylacetamide
Org. Process Res. Dev., 2019, 23, 2210-2217.

のメモの続きです。

今回はNaH/DMSO, NaH/DMF, NaH/DMAそれぞれの熱分析のメモで、NaH/Solventのミクスチャーの熱安定性と熱分解に伴って発生する気体に関して検討しています。具体的には、ARC (Accelerating Rate Calorimeter)、DSC (Differential Scanning Calorimeter)、EGA (evolved gas analysis) Micro-GCを用いた分析を実施しています。

それでは、NaH/DMSO、NaH/DMF、NaH/DMAの順に分析結果を見ていきましょう。

1. Thermal Stability Evaluation of NaH/DMSO

(1) ARC測定
サンプル:[0.7% NaH +  6.4% mineral oil + 83.9% DMSO] (4.55 g)をARC測定した結果です。↓
・EXO1:21.3-26.4℃, 小さい発熱イベント→混合熱
・EXO2:36.9-43.5℃, 発熱量 -93.2 J/g, 圧力上昇 129→1289 psi→NaHとDMSOとの反応と思われる
・EXO3:56.8℃〜:ruptured(これはヤヴァイね)

二つの小さいは発熱イベント(EXO1, EXO2)を経た後、56.8℃から猛烈な発熱(EXO3)が始まり、耐圧14,500 psiのセルが破裂し装置が傾きました(論文に写真が載ってます)。まさにエクスプロージョンです。また、EXO2で発生する非凝縮性のガスも大きな爆発因子であり非常に危険です。
EXO2で発生したガスのヘッドスペースGC/MS分析から、エチレン、ジメチルスルフィド、DMSOが検出されています。

(2) DSC測定
[10.3% NaH + 6.9% mineral oil + 82.8% DMSO]の組成のサンプルをDSC測定した結果です↓
・14-39℃:吸熱ピーク, 発熱量 135.7 J/g
・39-120℃:発熱ピーク, 発熱量 -93.2 J/g
・120-285℃:二つの発熱ピーク 発熱量-1223.7 J/g, Yoshida EP= 0.04
       peak temp. 146℃ (peak top)., 発熱量 -413.5 J/g), Yoshida EP= -0.47
       peak temp. 255℃ (peak top)., 発熱量 -810.2 J/g), Yoshida EP= -0.28

連なった二つの発熱ビーク(120-285℃)を合わせると、Yoshida correlationからEP (Explosive Propagation)は正の値(>0)となり爆発性と判断されます(オレの計算が間違ってなければ)。
(Yoshida correlation: https://researcher-station.blogspot.com/2019/06/dizao-transfer.html)

ちなみに、DMSO単体をDSC測定すると、278℃近辺から分解が始まり、発熱量は-911.59 J/gでした(Yoshida EP= -0.24)。


2. Thermal Stability Evaluation of NaH/DMF

(1) ARC測定
サンプル:[9.5% NaH + 6.3% mineral oil + 84.2% DMF] (4.12 g)をARC測定した結果↓
・分解開始温度:76.1˚C
・発熱量:-528.4 J/g
・最大自己発熱速度:7.23℃/min
・高いクールダウン圧力→大量のガスの発生を示唆
・Yoshida EP= -0.22

サンプル:[24.6% NaH+16.4% mineral oil + 59% DMF] (3.39 g)をARC測定した結果↓
・分解開始温度:39.8℃
・発熱量:> -601.8 J/g
・最大自己発熱速度:634.7℃/min
・高いクールダウン圧力→大量のガスの発生を示唆
・Yoshida EP= 0.04

NaHの濃度を上げると分解開始温度が大幅に低下し、最大自己発熱速度も物凄く大きな値になり、爆発性がアップします。この辺は想像通り。釜効率を上げたいスケールアップ反応でより注意が必要です。

(2) EGA Micro-GC測定

まずは、コントロール試験です↓
i) ミネラルオイル中のNaHを単独で測定
・< 100℃では装置(EGA Micro-GCシステム)のキャップやラインに残留していた水のみが検出
・160℃程度に達すると水素が検出された(熱分解)。

お次は本命(NaH/DMF)の分析。そして、コントロールの結果も踏まえて、次のことが分かりました↓
ii) NaH/DMFの測定
・ < 140℃:水を検出 (EGA Micro-GCシステムの残留と思われる)
・140-270℃:水素、一酸化炭素、メタン、エチレン(or アセチレン)を検出
・270-360℃:水素を検出。> 300℃で二酸化炭素(trace)を検出

これらの結果から著者らは、潜在的にラジカルが関与した複雑な機構で分解が進行していることが示唆されると述べています。


3. Thermal Stability Evaluation of NaH/DMA

(1)ARC測定
サンプル:[9% NaH + 6% mineral oil + 85% DMA] (4.22 g)をARC測定した結果↓
・分解開始温度:56.4℃ (自己発熱速度:5.78℃/min)
・発熱量:-422.6 J/g
・高いクールダウン圧力→非凝縮性のガスの発生を示唆
・Yoshida EP= -0.23

サンプル:[16.2% NaH + 10.8% mineral oil + 73.1% DMA] (5.36 g)をARC測定した結果↓
・分解開始温度:30.1℃
・発熱量: -528.2 J/g
・最大自己発熱速度:479.1℃/min
・高いクールダウン圧力→非凝縮性のガスの発生を示唆
・Yoshida EP= 0.16

(2) EGA Micro GC測定
・< 110℃:水素を放出が始まる
・104-305℃:大部分の水素が放出。メタン、エタン、エチレン or アセチレン、一酸化炭素も検出。
・> 300℃:メタン、エタン、エチレン or アセチレン、一酸化炭素も検出。

DMFと同様の傾向が見られますが、DMAの方がDMFよりも低温から分解が始まるという結果に驚きました(NaHのコンテントも少ないのに)。α-水素があるからでしょうか?それから、酢酸は検出されないんですね。
一般的にDMAの方がDMFより安定な溶媒と認識されていると思うんですが、油断は禁物です。


以上まとめると、NaH/DMSO、NaH/DMF、NaH/DMAには注意が必要なことは明白で、特にスケールアップしたときに危険ということですね。濃度が高いと比較的低温からでも発熱分解がこり、同時にガスも沢山発生するので爆発リスクは高いです。なので、代替手法を検討するのが必須ですが(一番安直なのがNaH/THF)、どうしてもNaH/DMSO、NaH/DMF、NaH/DMAのいずれかを使わなければならない場合は少なくとも、
・THFで希釈する
・濃度を低くする
・沢山仕込まない
・NaHと上記溶媒(DMSO, DMF, DMA)とを不必要に接触させない
などの注意が必要なんだろうと思います。

以上、(国内)二流大出でプロセス崩れのテクニシャン(研究補助員)のエクスプロージョンメモでした。



2020年5月8日金曜日

その溶媒、ギャラクシアンエクスプロージョン (1) 事故事例編

カレーを食べに行ったときのメモです↓

-DELHI カレー専門店デリー上野店-

住所:文京区湯島3-42-2
https://www.delhi.co.jp

-KING FISHER PREMIUM (増税前で 600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
alc. 4.8%。
トップにフルーティな香りがした後にモルティー(malty)な香りがくる。味わいは焼いた果実のよう。独特の酸味がある。そして、キリッとキレのある後味。
英国産の、印度No. 1ビールらしいです。


-インドカレー INDO CURRY Indian Style Chicken Hot (増税前で950 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
綺麗なスパイシーノート。辛さは(ボク的に)丁度いい。優しい味でゴクゴク飲めるほどの澄んだ味にシャビシャビスタイルのカレー。日本人好みにアレンジされてるような気がして、とても好み。実山椒に似た形状のホールのスパイス(コリアンダー?)が良いアクセント。
弾力が楽しめるチキンは、ハーブで香味付けされているようだ。で、チキン、スパイス、ハーブのハーモニーが滋味深くさっぱりした味を演出する。
ご飯は固めに炊き上げられていて、シャビシャビカレーにベストマッチ!

-パパド PAPAD (増税前で400 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
インド産の豆粉(ウラッド豆)で作った揚げ煎餅。とっても薄く焼き上げられていて、パリパリのサクサクで軽やかな歯触り。
香ばしい穀物様フレーバーと適度な塩味はキング・オブ・スナックの風格。そして、ビールのお供に最適。




-Manna-

住所:新宿区新宿3-26-13 新宿中村屋ビルB2F
https://www.nakamuraya.co.jp/manna/

-生ビール (M) (630 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
普通に美味しいです。

-中村屋純インド式カレー (1,600 JPY+tax)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
辛さはマイルドでパウダリー感のある舌触りのシャビシャビカレー。ややぼやけた輪郭のノスタルジックな味わい。家庭的なところがあって、SB食品の赤缶カレーに似た味わい。ウースターソース由来なのだろうか、少し果実味も感じる。
具は鶏肉とジャガイモ。
鶏肉は骨付き(ちょっと食べにくい)。弾力に富み、歯の入りがスムーズで食感が最高。カレーとよく合う美味しいチキンに仕上がっている。
大振りでホクホクのジャガイモは味が濃厚で、芳醇な土臭さが堪らない(これは秀逸)。
薬味と付け合せ要素として、粉チーズ、レモンチャツネ、マンゴーチャツネ、らっきょう、胡瓜のピクルス、オニオンチャツネが付いてくるので試してみる。
レモンチャツネは柑橘リッチ。ウェットな感じがそこそこあって、レモンの皮の食感が残っていて、苦味がけっこう効いている(これ、気に入った)。
マンゴーチャツネはお酢強めで、”和"の漬物に似た味わい。細かく刻まれた具材の食感が楽しくて、そこから滲み出る酸味が何とも心地よい(これも気に入った)。
らっきょうは優しいソフトな酸味で美味しい。胡瓜も酸味穏やでとても瑞々しい。
薬味と付け合せが洗練されていて、クオリティが物凄く高い。ただ、プライシングは割高な印象。


-モンスナック (Mon Snack)-

住所:新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋ビル地下1階
https://www.monsnack.com

昭和39年創業の元祖サラサラカレーの店。

-中瓶ビール (500 ml) (500 JPY)-
アサヒスーパードライ。

-チキンカレー (700 JPY→本日のサービスで600 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
ルーは完全に液体状。家庭的で甘めなソフトな味付けの脱力系カレースープ。
具材のチキンは焦げ目が香ばしい。
ご飯はふっくらしていて、それでいて張りがあって美味しい。
ルーはスープとしてならそれなりに美味しいんだけど、(ボク的には)ご飯と全く合わない。
胡瓜のかっぱ漬けと福神漬けのサービスは純粋に嬉しい。


-カレーライス専門店エチオピア本店-
住所:千代田区神田小川町3-10-6
https://www.ethiopia-curry.com

-チキンカリー (増税後で920 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
穏やかながら格調高いスパイシーな香りのカレーは、そこそこ流動性があって少しザラついた食感(これ好み)。ボタニカルリッチな味わいのなかに、胡椒や唐辛子といったシャープな刺激がチクリ。
具は、チキン、お豆、ピーマンが目視で確認されました。チキン(胸肉かな?)は軟らかく臭みのない淡白めの味で、繊維がほぐれていく食感が心地よいです。
ごはんは固めに炊きあげられたジャポニカ米で、表面に張りがあって弾力に富み、いい匂いがします。
注文時に辛さをどうするか聞かれるて、0が一般的な中辛口で70倍まで選択可能。
「普通」でとオーダーしたら「0」になりました。
あと、着席するとすぐにお通し的な皮付きの小ジャガがサービス(無料)で出されるんだけど、ホクホクしていて普通に美味しいです(おかわりも無料)。

ところで、目と鼻の先に明治大があるじゃないですか。評判のいい学食があるくせに、ご近所にこんな美味いカレー屋まであるなんてけしからんと思いました。


閑話休題


みなさん、有機合成してますか?ところで、DMF溶媒中でNaHってよく使いますよね。でも、その組み合わせで爆発事故が報告されてることをご存知でしたか?その筋(どの筋?プロセスだよね)では有名なはなしでボクも承知していましたが、その詳細は知りませんでした(不勉強なもので)。有機合成化学の安全系の成書として「有機化学実験の事故・危険―事例に学ぶ身の守り方」や「反応暴走―安全な化学プロセス開発のために」がありますが、NaH/DMFの事故事例には言及してなかったんじゃないかと記憶しています(違ってたらごめんなさい)。

NaH/DMFの爆発要因について、なんでかなあぁ?どうしてかなあ?と年に2-3回くらいのペースでなんとなくググッたりしていましたが、明確な回答にたどり着くことはなく、常にモヤモヤ感が纏わり付いていました。そんな折にtwitterのTLで目に飛び込んできたのが次の論文でした(SNSっていいよね)。

Explosion Hazards of Sodium Hydride in Dimethyl Sulfoxide, N,N-Dimethylformamide, and N,N-Dimethylacetamide
Org. Process Res. Dev.201923, 2210-2217.

本報ではNaH/DMSOとNaH/DMFの事故事例をいくつか紹介した後、DMSO、DMF、DMA中でのNaHの熱安定性とその熱分解によって発生する気体について検討しています。
そして、NaHとこれら溶媒の熱的不安定性が化学コミユニティーで十分に共有されておらず、実験室レベルでは無造作にガンガン使われていることに「もっと注意しなさいよっ!」と警鐘を鳴らしています。

それでは、まず過去の事故事例をメモしていきます。

1. NaH/DMSOの爆発事故
個人的にNaH/DMSOの組み合わせを使おうと思ったことはないんだけど、この組み合わせでdimsyl ion (methylsulfinyl carbanion, sodium dimsylate)が発生するんですね。言われてみればそうなんですが、全く知りませんでした。大昔にコーリー大先生(E. J. Corey)が初めて報告しているようです(J. Am. Chem. Soc., 1962, 84, 866-867.)。

E. J. Corey and Michael. Chaykovsky, J. Am. Chem. Soc.196284, 866-867.

1965年にもdimsyl ionの反応性に関する論文を投稿しています。いろいろ反応しますね。
E. J. Corey and Michael. Chaykovsky, J. Am. Chem. Soc., 1965, 87, 1345-1353.

(あと、dimsyl ionは酸素や二酸化炭素と即座に反応するらしいですね)

そして1966年、NaH/DMSOによる初めての爆発事故が報告されました(Chem. Eng. News, 1966, 44 (15), 48.)。爆発はdimsyl ionを使った芳香環のメチル化の際に起きました。
ところで、キノリン類やアントラセンはdimsyl ionでメチル化されるんですね(J. Org. Chem.196631, 248.; ベンゼン、ピリジン、ナフタレンは反応しない)。

J. Org. Chem., 1966, 31, 248.

このインシデントは、上記JOCの方法に従ったスケールアップ実験で起こりました。70˚Cで1時間反応を行った後、冷却中に急激な温度上昇を伴って爆発したということですが、NaH/DMSOのモル比を0.9:1から0.24:1にNaH比率を上げており、反応が完結していなかった可能性が考えられ、それが原因ではないかと指摘されているようです。

さらに同年、類似の事故が再び報告されています(Chem. Eng. News196644 (24), 7.)。このケースでは、DMSO (19.5 mol)にNaH (3.27 mol)をone portionで加え、50˚Cで加熱していたら内容物が吹き出したそうです。

まあ、冷静に考えてみるとDMSOってそんなに安定な溶媒じゃないよね。溶媒っていう言葉には、あたかもそれが何者とも反応しない安定な存在であるかのように錯覚させる魔力を感じます(溶媒が簡単に反応してもらっても困るんだけど)。

その後、sodium dimesylateは50℃以下で分解が始まり、DMSO中で断熱温度上昇(ΔTad)は500℃にのぼりることが報告されています。こうした分解はTHFで希釈するとある程度緩和され、分解開始は100℃程度、230℃まで抑制されるという結果が得られています(Org. Process Res. Dev., 2008, 12, 429.)。


2. NaH/DMFの事故事例
1965年にDMF中におけるNaHの危険性が示唆される文献が報告されています。

Tetrahedron Lett., 1965, 6, 1713-1716.

DMFそのものズバリではなく、事故事例でもないですが、N,N-二置換ホルムアミドをNaHで加熱処理すると気体を放出しつつ分解していきます。
DMFはカルボン酸とアミンの脱水縮合にもよく使われると思いますが、反応が進まないからっといって調子に乗って加熱すると、たまにジメチルアミドが出来るときがあるじゃないですか。DMFも本質的にそれほど安定な溶媒ではないのです。

また、70-100℃程度の温度でDMFをNaHで処理するとホルムアルデヒドが検出されたという報告もあります(Carbohydr. Res., 1966, 2, 167.)。

そして、1982年にNaH/DMFの大スケールでの爆発事故が報告されます(Chem. Eng. News, 1982, 60 (28), 5.) 。具体的な反応は分かりませんが、その事故はパイロットプラントでの縮合反応中に起こりました。現象としては次のことが起こったようです。

a) 反応容器(お釜でしょうね)にDMFとNaHを仕込んで、冷却することなしに(ジャケットに冷媒を入れてなかったんだと思う)50˚Cに加熱した
b) 自己発熱によって内温が75˚Cまで到達
c) (多分急いで冷却水をジャケットに入れて)水冷するも温度は上昇し続けた
d) ラプチャー・ディスクが破れ、内容物が流出

このインシデントをきっかけに反応条件をシミュレートした熱分析が実施され、以下のことが分かりました。

e) 26˚Cで自己発熱(分解)を開始
f) 注意深く乾燥したDMFを使っても、40-50˚Cでオンセット
g) 75-80˚Cで反応急加速
h) DMAでも同様の挙動
i) 反応残渣の分析から、相当量のギ酸ナトリウム(DMFの場合)と酢酸ナトリウム(DMAの場合)を検出→ジメチルアミンの発生を示唆

意外と低温から分解が始まります。こういうのって、スケールが上がれば上がるほど単位量当たりの伝熱面積が小さくなって危ないんだよね。要は冷却(放熱)が追いつかなくなるわけです。

それから、上述したDMSOのときと同様にこういった事故は続くものなのか、同年、再びNaH/DMFのインシデントが発生します(Chem. Eng. News, 1982, 60 (37), 5.)。この二回目の事故では、40˚Cから制御不能な発熱が始まり、温度が急速に上昇して10分以内に100˚Cを超過。全力冷却するも制御不能となり大部分のDMFが蒸発してしまったと言います。この事故は4回目のパイロット試験で発生し、過去3回の試験ではつつがなく試験を終えていたということです。

いやぁ、マジこわいですね。NaH/DMFの危険性って分かってない人がマジ多くって、みんな平気で「DMF使えばいいじゃん」っていうんだよね。悔い改めて欲しいです。


とうことで、事故事例メモはとりあえず以上です。

次回、ARC, DSC, EGA Micro-GCを用いた熱分析編につづきます。。。。。


2020年5月5日火曜日

孤独のグルメ聖地巡礼 in 池袋:優香ちゃんも訪れる中国家庭料理屋さんなんです(多分)。

ども、「趣味:孤独のグルメ聖地巡礼ごっこ」のコンキチです。

ということで、以前(けっこう前に)聖地巡礼した池袋にある中国家庭料理屋さんのメモを書きます。お店は、孤独のグルメ Season 1 の第3話「豊島区 池袋の汁なし担々麺」に登場した「中国家庭料理 楊 2号店」とその目と鼻の先にある「中国家庭料理 楊 別館」です。

ドラマで五郎さん(松重豊さん)が食べた【五郎'sセレクション】は、
【焼餃子】餡はもちろん、羽までおいしい丸餃子 崩すのがもたいない
【拌三絲】スッキリとした酸味 豆腐とは思えね歯ごたえが嬉しい
【汁なし担々麺】食べたら最後!! 一気に四川の「麻」が全身を駆け巡る

ふらっとQUSUMIのコーナーで原作者の久住さんが食べたのは、
【汁なし担々麺】

でした。

そして、自称食いしん坊将軍のボクがいただいたのはこちらです↓

-中国家庭料理 楊 2号店-
住所:豊島区西池袋3-25-5
https://yan2gouten.owst.jp

-麻婆豆腐 (増税前で880 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ランチで食べたんですが、ライス、玉子スープ、サラダ、デザートのセットです。
麻婆豆腐はシックな油と山椒のスパイシーな香りふんだん。姿形の整った絹豆腐はフワフワで滑らかな舌触り。唐辛子の辛さはそれほどでもないが、苦味を感じるほどに山椒が力強く効いていて、清涼感を伴う痺れが口の中いっぱいに拡散して、食べ終わる頃には舌全体が痺れ切ってました。山椒好きには堪らない仕上がりと思います。
あとセットのスープはどってことないスープ。デザートの杏仁豆腐は普通に美味しい。


-中国家庭料理 楊 別館-
住所:豊島区西池袋3-24-3 藤井ビル1階

-甕出し紹興酒1合 (増税前で490 JPY)-

-汁なし担々麺 (増税前で800 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
皿に山椒、唐辛子のソース、胡麻のソース、秘伝のソースを入れ混ぜて合わせてタレを調製。タレの上に麺と挽肉、ナッツ、青菜を載せて出来上がりです。
(マツコの知らない世界情報によると)麺は乾麺。モチモチの太麺で辛味だれがよく絡む。
辛味だれはシックで格調高い辣(油)に力強い麻(山椒)のかなりコッテリした味。山椒からは清涼感に加えて痺れがビシビシ伝わってくる。
具は、青菜、砕いたナッツ、肉味噌。
モチモチの麺にコッテリと強力な"麻"が良く合う。はっきり言って旨い。但し、(味が濃いからか)いささか単調な味で、後半食べ飽きてくる。青菜などのスッキリ系の具材がもっと入っていればもっと良かったかも?

-青島ビール (増税前で500 JPY)-
-REVIEW-
お通しの胡麻油和えが旨かったです。

-酸辣湯麺 (スーラータンメン) (増税前で880 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
別館のオリジナルメニュー(なので、2号店にはないです)。
酸味は穏やか、辛さも控えめで塩味も弱め。シックな油の香味がとってもリッチ。まさに油=辣油の旨さを楽しむ料理!
麺にはちょっとした仕掛けがあって、冷麦様の軟らかい麺には春雨が絡みついていて、そのヌルッとした独特の食感を付与された麺の食感はちょっと感動的。
油リッチだけど、スープ自体は酸辣湯としてかなり上品な仕上がり。この大人しめなテイストが"冷麦麺 with 春雨」の儚げな食感とベストマッチする。
具は、短冊状に綺麗に切り出された絹豆腐、木耳、玉子、人参、葱とふんだんで満足感大。
穏やかめ味だけど、油リッチでクセになりそうな極ウマ酸辣に仕上がっていると思いました。


ところで、ボクがなんで池袋下り(地理的には上り)したかっていうと、それは東京芸術劇場にお芝居を観に行ったからなんですね。三谷幸喜演出で優香ちゃんがヒロインを演じる「酒と涙とジキルとハイド(再演)」を観に行ったのです。
で、観劇したらお腹が減ったので「中国家庭料理 楊 別館」で夕飯を食べていたら、おっきなメガネをかけた(多分)優香ちゃんが二名の(多分)スタップさんと一緒に入店して来たんですよ。お店のに人とのやりとりに聞き耳を立てて得た情報から、何度か訪れているようです。つまり、通ってるってことですね。すなわち、優香ちゃんオススメのお店ってことです。それから最重要情報なんですが、優香ちゃんは顔がちっちゃくてめちゃめちゃ可愛かったです。

以上、優香ちゃん大好き中年の孤独のグルメ聖地巡礼メモでした。



2020年5月4日月曜日

Soba_Colle 5 (ソバコレ 5)

ども、やっぱりお蕎麦が好き。コンキチです。
ここ最近食べたお蕎麦のメモを書きます。

因みに、過去のメモはこちら↓

Soba_Colle 1 (ソバコレ 1)→https://researcher-station.blogspot.com/2018/11/sobacolle-1-1.html
Soba_Colle 2 (ソバコレ 2)→https://researcher-station.blogspot.com/2018/11/comuthe-perfect-reaction-media.html
Soba_Colle 3 (ソバコレ 3)→https://researcher-station.blogspot.com/2019/07/sobacolle-3-3.html
Soba_Colle 4 (ソバコレ 4)→http://researcher-station.blogspot.com/2020/03/sobcolle-4-4.html

それでは、今回のメモです↓


ENTRY 41   更科すず季 (流山)

チバラキの星。そして、ボクの大好きなお店。様々なメディアに取り上げられて、けっこう混んでるのが玉に瑕なお店です。数年前と比較して、温蕎麦のクオリティがかなり上がってると思います。

住所:流山市西初石3-1-17
https://www.facebook.com/LiuShansuzuJi/

-ゆばあんかけそば(1,500 JPY + tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
あんのトロみが絶妙な軽やかさ。
ツユは辛さ控えめも、旨味リッチ。なんかキノコ由来っぽい滋味深い旨味を感じる。
蕎麦はザラッとした舌触りで、味が濃厚。ボディーが強く、甘味を感じる。コシはなくて軟らかいけど、並木の藪同様のお餅っぽい食感。
湯葉はフレッシュで、滑らかな舌触りでおいしい。
これは旨いね!

-播州一献 (880 JPY + tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
雪冷え程度で提供される。程よい辛口。淡麗系だけど、上品な旨味もしっかり。締まった甘味と米の味を感じる。フィニッシュには酸味。
サラッとしていて後味が綺麗。で、淡麗な呑み口だけど重みのある味。


ENTRY 42   河北や (小川町)

二回目の訪問。蕎麦も旨いんだけど、冬季限定の芋煮がどうしても食べたくて行ってきました。
住所:千代田区神田錦町1-2 官報神田錦町ビル 1F

-樽平 (銀 特別純米) (600 JPY + tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
雪冷え程度で提供される。芳醇旨口のフルボディー。軽く老った感じの香りと味。甘味が強めだけどベタついてはおらず、比較的軽やか。洋菓子のニュアンスでメローな味わい。





-山形芋煮 (600 JPY + tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
具材は、葱、舞茸、しめじ、里芋、牛肉、大根かな?
葱はざっくりめにカットされていて食感がいい感じ。お肉(牛肉)はあっさりしていてよいです。
お出汁リッチなテイストで、塩味濃いめ。ツユにお肉の脂がいい感じに滲み出ていて最高に美味しい。東北ノスタルジーなお味に仕上がっていると思います。

-温かい肉そば (440 JPY + tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
お出汁リッチなツユはで、(多分)鶏の脂の滲みだし加減が素敵。
黒いお蕎麦は平打ちで、ザラッとした歯にかかる食感で重さを感じる。僅かに粉っぽさがあるか?田舎蕎麦ライクな仕上がり。
(多分)鶏でとって出汁は柔らかくかつ奥行きのある味わい。
具材のソリッドめの鶏肉はコリコリした食感が心地よく、ちょっぴり鴨っぽいニュアンス。


ENTRY 43   一由そば (日暮里)

創業平成20年(2008年)。六文そばの系譜のお店です(40年超のキャリアのご主人は六文そばで長く働いていたそうです)。システムはベースのそば・うどんを注文して、そこにトッピングしていくスタイル。平時は年中無休で24時間営業という驚きのフル稼働店です。

住所:荒川区西日暮里2-26-8
http://ichiyoshisoba.com

-おそば 温 普通 (かけそば) (220 JPY)-
-かき揚げB (140 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
蕎麦は中太のゆで麺でコシは全くなくて軟らかい(提供が物凄く速い)。そして、"蕎麦感"は皆無に近しい。だからといって不味いかというとそんなことはなくて、そこそこ品のある軟らかさで意外と食感が良く、チープで好意的なうまさがあると思う。
見た目、ツユはけっこう黒いけど、塩加減はいい塩梅。かけそばのツユにしては甘み少なめで締まっていて、奥行きのあってけっこう旨いツユに仕上がっている(宗田節、さば節、かつお節からとった出汁だとか)。
かき揚げは、紅しょうがから染み出しているであろう酸味が鮮烈で、いいアクセントとなっており、お蕎麦全体と調和している。生姜の辛味は控えめで薬味としていい感じにワークしている。あと、ゲソの強い弾力とフィッシー(fishy)な濃い味がとても良い。
ゆで麺でこのクオリティはびっくり。今まで食べたゆでソバの中で一番旨いかも。
薬味の刻み葱はセルフで、会計兼受け取り口の脇のザルに入ってます(気づかずにとりそびれました)。


ENTRY 44   蕎麦いなり (駒込)

ラーメン業界では、ニューウェーブ系や新世代系なるものがあるようですが、このお店はお蕎麦屋さんのニューウェーブかつ新世代系。しょうゆベースのつゆがデフォルトな蕎麦なのに、「商品名:しょうゆ蕎麦」というネーミングに挑戦するスピリッツを強く感じました。実際、意図的にラーメン寄りの蕎麦を志向していてチャレンジングです。

住所:北区西ヶ原1-1-15
https://www.facebook.com/sobainarikomagome/

-しょうゆ蕎麦 (780 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
つゆは濃い色で醤油の香味が強い。塩味と甘味も強め。つゆの表面には油が浮かべられていてラーメンライク。かけそばの甘汁としては力感強くて辛いけど、ラーメンよりは大分塩味控えめ。
蕎麦は中細でとてもゆるやかにウェーブしていて、少しラーメン感のあるモチッとした食感、僅かに蕎麦の香味も感じる。
つゆと蕎麦の相性は良い。そして、明らかに蕎麦寄りなんだけど、蕎麦なのかラーメンなのか不思議な味わい。
具は、海苔、青菜(多分ホウレン草)、筍、葱、鴨と鶏のチャーシュー。鴨のチャーシューはレア感リッチで、その独特の香味がスパークしてとても美味しい。鶏のチャーシューは軟らかくクセのない味で名バイブレイヤー感たっぷりのいぶし銀の味。胸肉なんじゃないかなぁと思うんだけど、あまりパサついていない。筍は適度な歯応えがありつつ軟らかくて美味しい。
ニューウェーブであることに間違いないお蕎麦に仕上がっています。


ENTRY 45   更科すず季 (流山)

また、チバラキの星、流山のすず季で蕎麦を手繰ってきました。大好きです。

-ビール エビス (600 JPY + tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ビールは中瓶です。
お通しには、しらすおろし。柑橘(酢橘?)だろうか?キリッとした心地良い酸味が、大根おろしとしらの味うを極限まで引き立てます。




-牡蠣天ぷら (350 JPY+tax)×2コ-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
油のいい匂いに合わさって、牡蠣の香りも薫ってきて、とても食欲をそそられる。薄衣を纏った牡蠣のぷるぷるした柔らかい食感をダイレトに堪能できる。
上品な旨さで、何もつけすにそのまま食べて旨く、粗塩を軽く振って食べてると味が引き締まってこれまた美味しい。そして、(多分)酢橘を絞れば爽やかな味わいが拡散して旨し!

-粗挽き太そば (900 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
蕎麦からはもっさりした力強いグラッシー(grassy)な香り。パウダリー(powdery)感は軽微。かなり太いんだけど、けっこう洗練されたイメージの味わいで、ニュー田舎蕎麦っていう感じ。ちなみに、外一。
ツユはいつものやつで、鰹節様の香りリッチで甘さと辛さがコク深くバランスが良いツユは、シックな辛口の仕上がり。
お蕎麦の水はちゃんと切れているけど、蕎麦がホントに極太なので、当然単位重量当たりのツユに絡みは不十分。なので、お蕎麦をツユにドどぶ漬けして、最後にツユをちょい啜るのがいいかも。
ツユの他に粗塩もついていて、それを試してみると相当イケってる!塩の量のアジャストが難しいけど、しっかりと馴染んで、"噛んで味わい蕎麦"の旨さが映える。
ハイパーフルボディーな蕎麦なので、香味の強い葱(薬味)との相性抜群。それから、「牡蠣の天ぷら」についてきた(多分)酢橘がとても良く合う。
そして、一つ驚いたのが、蕎麦の薬味として鉄板の存在である本山葵が全く合わないこと。
あと、山葵以外のツユ、塩、葱、酢橘の各種コンボやフルコンボもいける。こんなふうに色んな調味料をミックスして食べる作業も、遊んでるみたいで面白い!!!


ENTRY 46   そば政 (六町)

立ち蕎麦界のレアキャラと称されるお店。何故なら、営業時間が7:30からお蕎麦がなくなるまでで、ざっくり10:00には閉店しているというからです。加えて、つくばエクスプレスの六町駅(という幾分マニアックな駅)からおよそ1.6 km。近所にでも住んでいなければ、道のりは険しいです。

住所:足立区南花畑4丁目14-2

-鴨なんばんそば (500 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
蕎麦は極細で、しっとり、つるっとした食感で、ほぼ更科。よく噛むほどに僅かに蕎麦の香味が漂う。
ツユには鴨(だと思う)の脂がふんだんに染み出していて、濃いめの甘辛。
蕎麦はその形状ゆえか、水切りが不十分で、食べ進めるに従ってツユが薄くなってゆく(だから、初期濃度は濃いのだろうか)。
具は、南蛮(葱)に加えて、(多分)鴨とつくね。鴨肉は野趣感十分もなんか鶏っぽい感じの味。つくねはしょっぱい。
正直、イマイチだと思うけど、500円にしては頑張ってる方だと思いました。


ENTRY 47   生そば あずま

チェーン店ですね。気になったので食べに行ってきました。
https://www.shop-west.jp/kisoba-azuma

-お通しの揚げ蕎麦 (no charge)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
油のいい匂い。カラッと揚がっていて、とっても香ばしくて美味しい。


-生ビール (396 JPY)-



-かき揚げ天盛り (858 JPY)-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
蕎麦は一玉から三玉まで同一料金で、蕎麦つゆも無料でおかわりできるシステム。なので、少食の人には割高で不利な商品設計。
蕎麦はちょい太め。胡桃のような甘い香味がする。表面に僅かに引っかかりのある舌触りで、ボディーが強く噛んで味わう系に仕上がっている。
ツユは鰹節様の香りがうっすら漂う甘めのツユ。けっこう甘い。っていうか甘ったるい。それでいて、辛味(しょっぱさ)やコクに乏しくて、ボディーの強い蕎麦に当たり負けしている。
蕎麦はなかなか良くできてると思うけど、甘ったるくてスカスカのツユが全てを台無しにしている印象。
かき揚げのタネは、玉葱(メイン)、人参、大葉、海老。薄めの衣はフリッターぽい食感で、冷めると油の重さをかなり感じる。

-ウーロンハイ (330 JPY)-


ENTRY 48   鈴家 (市川)

ゲソ天が評判。このお店は素の麺(かけそば、かけうどん、冷やしそば、冷やしうどん)を頼んで、そこに具材をトッピングしていくスタイルなので、ゲソ天を狙ってるなら忘れずにトッピングしましょう。
住所:市川市市川南1-1-1 ザタワーズイースト 209-2

-かけそば- (280 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-ゲソ天- (300 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
トップに戴くゲソはたっぷり。なので、ゲソのフィッシー(fishy)な香りが良く立っている。薄衣の天ぷらでサクッと揚がっていて、ゲソは小さめのぶつ切りで食べやすい。軟らかく弾力に富んだその身は、香味が濃厚で噛むほどに旨味が滲み出てくる。これは正に絶品の領域。
そして、ツユが独特。香り立ちは控えめで、優しいながらもしっかりとした旨味があって物足りなさはない(宗田節、鯖節を使った出汁で、昆布が強めらしい)。
中細で少し濃い色の蕎麦は小さい星が入っていて、"かけ"にも関わらず"蕎麦の香り"が漂う。多分、茹で麺で、コシは殆どないけど喉越しは悪くない。
あと、薬味の葱がみじん切りなのが珍しい。


ENTRY 49   六文そば 須田町店 (神田須田町)

この界隈は、かんだやぶそば、神田まつや、松竹庵 ます川といった名店が軒を連ねる(実際は全然連なってない)老舗蕎麦屋街。そのエリアにあって黄色い看板の六文そば 須田町店は立ち食い蕎麦というスタイルで異彩を放っています。そして、昭和レトロな外観と内装には、老舗とは趣のことなった歴史を感じます。

住所:千代田区神田須田町1-17 金井不動産 1F

-かきあげそば (380 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
蕎麦を器に入れてかき揚げを載せた後、かき揚げの上からつゆを掛けるスタイル。そして、トップに頂いた葱が鋭く香る。
つゆはかなり濃い色で醤油の硬い味がするけど、濃度は控えめで、醤油の深みも塩気もそれほどではない。かき揚げから染み出た油がつゆに混ざると甘みが付与されて軽やかな味わいに。
蕎麦は茹で麺でコシは無く香味も乏しいが、喉越しは悪くない。少し太めで軟らかく立体感のある食感が印象的。
かき揚げは最初からつゆでフヤフヤ。薄めの衣なの、つゆを吸い込んでもくどくなくて悪くない。天タネは玉葱オンリー。
蕎麦とつゆのバランスが良く、チープ旨い蕎麦に仕上がっていると思いました。



ENTRY 50   そば処池之端かめや (御徒町)

なぜ御徒町(台東)にあるのに池之端?と思ったら、池之端にある龜屋一睡亭という老舗料亭の経営だかららしいです。他にも都内し支店があって、神田東口、神田西口、新橋、銀座、新宿がそのようです。

住所:台東区台東3-41-4 加藤ビル 1F

-天ぷらそば (390 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
落ち着いたお醤油の香り漂うツユは上品で甘め。けっこう甘いんだけど、べたついたところは一切せず、しっかりとした醤油の味わいは穏やかに効いていて、軽やかな仕上がり。
蕎麦は、弾力に富み、キックもしっかりしていて、全体的にポップな食感で少しモチッとしている。香味は乏しい。
蕎麦もツユもなかなかの旨さ。
かき揚げは揚げ置き。タネは玉葱と人参。薄衣でカラッと揚がっていて油軽やか。染み出る油がツユに深みを付与しうていい感じです。


立ち食い蕎麦メインで攻めてみました。ちょっと前まで立ち蕎麦ってジャンクフードっていう感じで見てたんですが、なかなかどうして美味しいじゃないですか。ちなみにボクの立ち食い蕎麦トップスリーは、文殊、やしま(西葛西)、池之端かめや(御徒町)です(河北やも飛び抜けてるけど、ボクの中では立ち蕎麦ではないので)。

いやぁ、お蕎麦って本当にいいもんですね。