2008年5月31日土曜日

AROMA

一昨日のWBSで、珍しく香料ネタをやっていました。で、国内最大手の高砂香料工業の平塚の研究所が取材されていました。その件の研究所なんですが、コンキチの勤務する弱小香料会社とは違って、(映像で見る限り)とっても綺麗な研究所でした(さすが国内最大手。2009年卒者 大学生の就職人気企業ランキング理系女子ランキング 83位だけのことはあります)。
see http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/highlight/080529.html

さて番組の内容ですが、昨今の無添加ブームとは裏腹に、食品香料(フレーバー)が好意的に取り上げられていました。まあ、最近の原料高によって十分なクオリティーの原料を十分に使用することが困難になってきたから、経済的に(っていうか安く)香料でB級品を準A級的な品に仕立て直そう、それで消費者もそれなりに満足するのだから的な内容とコンキチは受け止めました。

実際、香料自体が悪なわけでは全くないし、費用対効果の選択の自由は消費者にあるわけだし。

あと、取材を受けた高砂香料の研究員の人は、しきりに天然香料をアピールして、なんか合成香料についてはかなり控え目でしたね。当社は、合成香料には殆ど力を入れてません的な印象を受けてしまいました。コンキチなんぞは、l-メントールの不斉合成でウハウハしてるくせにと心の中で50回くらい呟いてしまいましたがね。

やっぱり合成品には根拠の無いアレルギーが高いのかななんて再確認させられましたよ。薬なんぞは、はっきりいって合成品でしょ。でも、そのことが気持ち悪いといって薬を買い控える人はいない。一方、食品に添加物(香料も含めてね)が入っていると、一般の人は、明確な根拠もなしに、とりあえず体に悪そうな気がするんじゃないのかな?

あと、アレルギー物質だって、天然っていうかその素材自体にナチュラルに入ってるものだってあるのに、「天然はアレルギーなし」「添加物はアレルギー有り」とくくってしまうのははっきり言って白痴的です。むしろ、合成品の方が単品素材(一種類の化合物)だからアレルギー物質を排除・コントロールするのに有効とも思うのですがね。

香料がどぎつく入った品とか、香水をたっぷりふりかけた女性の匂いって嫌いです。純粋に臭くて不快ななんですよね。でも、加工食品の欠点を補う程度に香料が使われていたり、ほのかに香るくらいの香水の使用は、場合によっては好感触さをアップさせます。あと、シャンプーとらボディーソープとかは香料入ってる方がいいな。

結局は使いようだと思いますね。あと、インテリジェンスを磨くこと。そう思います。

2008年5月30日金曜日

コングロマリット・プレミアム?

先日、WBSをみていたら、脱"選択と集中"と題して、日立(製作所)を取りあげていました。で、日立の社長が「コングロマリット・プレミアムを発揮したい」なんていうわけのわからないことを宣っていました。
see http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/news/080528/n2.html


コンキチは電機業界とかに体する造詣も興味もないので、ここからは勝手な妄想と思ってください。

日立の社長は「ハードディスク事業」と「薄型テレビ事業」というW不採算事業を中核と位置づけているらしいけど、あんたのとこの中核って重電(原発とか)じゃないの?っていうか「ハードディスク事業」と「薄型テレビ事業」のキーテクノロジーってシナジーを発揮するような共通性ってあるの?コンキチは素人なのでよくわかりませんが、関連あんまりなさそうな気がする。

なんか2年前からコングロマリット・プレミアムを目指してるらしいけど、赤字垂れ流しだしね。


それにつけても、日立の経営陣ってポーターとか大前研一とか読んだことある人が一人もいないのかねえ?関連性の高い事業への多様化なら見込みはあるかもしれないけど、関連性の薄い多角化はねえ?

ちょっと例えとしては適切じゃないかもしれないけど、沢山の商品を扱うデパートって、その規模とは裏腹に規模の経済があまり働かないと思う。何故なら、服でも靴でもいいんだけど、個々の商品を扱ってる面積って小さいと思う。なので、仕入れするとくの規模(取引量)もそれほど大きくないからスケールメリットが働かない。ただ、豊富な品揃えによるシナジーは期待できるかもしれない(郊外大型SCの方が有利なような気がするけど)。

で、電機の場合だと品揃えの豊富さによるシナジー効果よりもブランド力がより重要になると思う。品揃えによるシナジーは、メーカーよりもむしろ家電量販店が享受するとうな気がします。顧客との接点を作るのは量販店だからね。しかも、ハードディスクは一コンポーネントであるのに対して、薄型テレビは最終形態。関連性が期待できないような気がする。

コングロマリットも無限のリソースがあればいいかもしれないけど、実際リソースは有限。で、関連性のない事業を同時に展開することは、リソースのパワーを分散させてしまう。これって効率悪いよねということです。

ま、今後の日立の行く末を見守っていきたと思います(忘れなかったらね)。

2008年5月29日木曜日

マクロサイクリックムスク (Final) Dilactone & Oxalactone

REVIEW(Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.)のメモです。今回で最後。DilactoneとOxalactoneです。

まずは、dilactone。macrocyclic dilactoneは天然には見出されていないそうです(少なくともこのREVIEW執筆当時は)。で、このREVIEWに載ってたのはethylene brassylate (17員環)とethylene dodecandioate (16員環)↓
ref. US Patent 2020298, National Distillers and Chemical Crop.; Chem. Abstr., 1939, 33, 7816.
ethylene brassylateの最初の合成例らしいです。brassylic acidとエチレングリコールを常圧で180℃
で加熱した、次いで10 mmHg、220℃で重合を行う。解重合は触媒なしでも進行するっぽいけど、2mmHgで240℃に加熱して6日間反応させるという気の長さが必要のようです。

解重合時に触媒を使うと、効率が大幅アップ↑あと、溶媒とか特注の装置つかって連続でやる方法とかあるみたいです(>80% yield)。
ref. EP Patent 739889, 1996, Hul A.G.; Chem. Abstr., 1996, 125, 329885.; US Patent 4709058, 1986, National Distillers and Chemical Crop.; Chem. Abstr., 1988, 108, 222302.; JP Patent 57122078, 1981, Nisso Petrochemical Industris Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1983, 98, 17178.; SU Patent 1077893, 1981, All-Union Scientific-Research Institute of Synthetic and Natural Perfumes; Chem. Abstr., 1986, 104, 68894.; WO Patent 9215573, 1991, Henkel Crop.; Chem. Abstr., 1993, 118, 125297.; DE Patent 3225431, 1982, Nisso Petrochemical Industris Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1984, 100, 209893.

因みに、上のschemeの出発原料の合成法にはこんなのがあります。
a) ドデカンの微生物(Candida tropicalis)による酸化。Ethylene brassylateはこの方法で150 ton/year造ってるらしいです。

b
ref. CA Patent 807193, 1966, The Techni-Chem Co.; Chem. Abstr., 1969, 70, 77365.
retro-Claisenの反応例って(恥ずかしながら)初めてみました。
あと。1炭素短いやつ(1,12-dodecandioic acid)は、cyclododecanoneの酸化ですぐできる的なことが書いてありました。

c)
ref. US Patent 2203680, 1940, Du Pont de Nemours & Co.; Chem. Abstr., 1940, 34, 69475.


それからOxalactone (ether lactone)の方ですが、最も重要なのは12-oxapentadecanolideだそうです。カーボンアナログのExaltolideよりも弱い香気なんだそうですが、合成が簡単で注目されているとか。
ref. Helv. Chim. Acta, 1935, 18, 1087.; J. Agric. Food Chem., 1967, 15, 6.; J. Am. Chem. Soc., 1936, 58, 654.
確かにExaltolideよりかなり簡単そうです。


以上、REVIEW(Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.)のメモ終了。

2008年5月27日火曜日

マクロサイクリックムスク (10) Ambrettolide & isoambrettolide

17員環のマクロリドの中で最もメジャーじゃないかと思われるAmbrettolideとその仲間達の合成法メモです。

ambrettolideは(Z)-7-cyclohexadecen-16-olide(アンプレットシードオイルから単離された)なのですが、香料として使われている所謂ambrettolideはambrettolideの異性体の(E)-9-cyclohexadecen-16-olide (isoamnrettolide)なのだそうです。

因みに、ambrettolideは、(Z)-体も(E)-体も工業的製法は確立されていません(少なくともこのREVIEW執筆時点では)。

まずはisoambrettolideの合成法↓
ref. US Patent 4014902, 1976, International Flavors & Fragrances Inc.; Chem. Abstr., 1977, 98, 39217.
threo-aleuritic acidのオルトギ酸エステルを作用させ(脱水?)、その後無水酢酸存在下で熱分解(アセチル化-脱酢酸?)。得られた不飽和エステルをエステル交換。
スキームは載ってなかったけど、ビシナルジオール→オレフィンのone-potフォーメーションが
a) 酢酸中ヨウ化リン(PI3?)
ref. Chem. Ind., 1983, 43.; Indian J. Chem. Sect. B., 1984, 23B, 733.
b) via the dimethylformamide dimethylacetalって書いてあったけど、DMFのアセタールを経(?)、その後無水酢酸中reflux。
ref. US Patent 4014902, 1976, International Flavors & Fragrances Inc.; Chem. Abstr., 1977, 98, 39217.; Synthesis, 1987, 154.

あと、以前使われたっていう合成法↓
ref. J. Chem. Soc., 1963, 3505.; Chem. Ind, 1960, 1441.; IN Patent 65543, 1958, C. S. I. R.; Chem. Abstr., 1961, 55, 10326d.


一応、(E)-ambrettolideの合成法↓
ref. J. Chem. Soc., 1963, 2477.
なんか凄い力技っていう印象。

で、(Z)-ambrettolodeの合成法↓
ref. Perfumer Flavor, 1993, 18, 41.; Indian J. Chem. Sect. B., 1995, 34B, 851.
残りのステップは、この記事の一番上のschemeと同様です。それにつけても、六価クロム使ったり、水銀使ったりと痺れます。

このREVIEWでは詳述してなかったけど、他のこんな(ambrettolideの)合成法もあるそうですよ↓
a) phloionokic acidから7stepsの合成法(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1982, 1837.; An. Quim., 1983, 79, 194.)
b) 分子内Wittigを使った方法(Synthesis, 1989, 419.; Angew. Chem., 1983, 95, 810.)
c) yne-macrolideの接触還元を用いる方法(Helv. Chim. Acta., 1983, 66, 2294.


今回は以上。

2008年5月25日日曜日

金(GOLD)を買ってみた

先日、金に投資してみました。といっても、地金や先物じゃなくてETF (Exchange Traded Fund)です。より具体的には、大証2部に上場いている「金価格連動型上場投資信託」という、現在のところ我が国で唯一の商品ETFです。

理由は↓
1) 株式の譲渡損益と通算できるから。あと、
2) インフレ懸念の中、なんか商品買うのもいいかなあと思ったから(かなり安直)。
3) ポートフォリオの中に商品を組み込むのもいいかなと思ったから
4) 商品ファンド(投資信託ね)と違って、シンプルで良い

ちなみに、自分しがないサラリーマンなので、購入数量は最小ロットのたった10口(約3万円)。

金(っていうかコモディティー)は金利とか配当とかつかないから(っていうか当然)、キャピタル・ゲイン狙いになります。

前回のブログで、「リタイアメントとは資市場で生活費を調達することだ」的なことを書きましたが、まあ、その一環です(たったの3万しか投資してないけどね)。

ま、気長にやってきたいと思います。

2008年5月24日土曜日

リタイアメントとはなにか?

今回の記事は、自分で言うのもなんですが、社会的弱者(と一般に言われている人々)を批判する内容が書かれているので、そういう話題にアレルギーのある人は、軽くスルーしてもらえると幸いです。

以下、本論↓

リタイアメントとは、生活資金の源泉を労働市場から資本市場に移すことをいう。

自分の愛読している橘玲の著書の一つに記述されている言葉です。
see. http://ameblo.jp/researcher/entry-10080729245.html

はっきり言って、厳然たる事実以外のなにものでもないですね。

昨今、後期高齢者医療制度の関連で貧しい高齢者の映像がお茶の間を賑わせているけど、果たして彼等に対する同情は本当に必要なのかと思ったりもします。つまり「アリとキリギリスの寓話」を思い出すのです。リタイアメントに対する準備をキチンとしてこなかった人間に対する施しはしかるべきことなのか少し疑問です。

最近の(っていうか恒常的に)メディアの論調は、(経済的)弱者である高齢者を救うべきだみたいなことを言ってるけど(判官贔屓の国だからね)、ちょっと前までは我が国の個人資産の大半は高齢者が保持してるとか、金を持ってる高齢者をターゲットにした商品開発が重要とか言ってなかったけ?マスゴミは健忘症にかかったのかと他人ごとながら心配してしまいます。

あと高齢者をターゲットにした詐欺事件とかも報道されてますが、けっこうな額のお金が詐欺られてる気がします。けっこうな支払い能力を保持した高齢者もいるということですね。

要は、高齢者には「金持ちの高齢者」と「月並みな高齢者」と「貧しい高齢者」がいるわけで、世相やポピュリズムに棹されて、高齢者の一部分を全ての高齢者の代表と誤解されるかのような報道をするのはいかがなものかということです。

それに弱者は高齢者だけじゃないからね。しかも、高齢者は高齢者となるまでの間に充分な時間(準備期間)があったはず。そして、高齢になれば労働市場からの退出を求められることも十分過ぎるほど分かっていたはずです。世界一豊かな国「日本」で、充分な時間があり、将来起こりうることも明確に分かっていたにも関わらず、漠然と無為な時間を過ごしてきた人達にあまり同情の念は起こりません。しかも、コンキチ達が将来得られないであろう年金を、彼等はしっかりGETしてるし(コンキチは年金が破綻するか、消費税が超絶高くなると思っています)。


リタイアメントに向けた準備を努々忘れぬよう、心していきたいと思います。

2008年5月22日木曜日

マクロサイクリックムスク (9) Exaltolide (ii)

Exaltolideの合成法の続きのメモです。(マクロサイクリックムスクのレビュー(The Synthesis of Macrocyclic Musks Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.)からです)

前回メモしたルートとはことなり、対応するヒドロキシ酸(15-hydroxypentadecanoic acid)のラクトン化を経た合成法です。

まずは、ヒドロキシ酸の合成から↓
ref. Okino. H., Taoka, A., and Nemura, N. Ed.:Lawrence, B. M., Mookherjee, B. D., and Willis, B. J., 18, 735-760. 1988. Amsterdam, Elsevier. Developments in Food Science.; JP Patent 1052739, 1987, Soda Aromatic Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1989, 111, 57073.; JP Patent 63301845, 1987, Kao Crop.; Chem. Abstr., 1989, 111, 38881.

ペンタデカンの発酵により、α,ω-ジカルボン酸が生成(最適条件で、ジカルボン酸を100 g/Lで製造できる)。SBH-DMSOによる還元は42% yield。高圧水添だと86% yield。

ref. US Patent 5693828, 1996, International Flavours & Fragrances Inc.; Chem. Abstr., 1997, 128, 66324.; WO Patent 9706156, 1995, Toray Industries., Soda Aromatic Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1997, 126, 225208.

Claisen縮合、加水分解-脱炭酸、Woiff-Kischner還元。なんか教科書的なトランスフォーメーションですね

ref. JP patent 43004262, 1965, Takasago Perfumery Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1969, 70, 19927.

1 step目のラジカル付加は反応温度150℃ってことだけど、圧かけてるのかな?続くZnCl2を使った開環は無水酢酸中でthermolysisだとか(凄い条件だと思う)。

さて、次は「ヒドロキシ酸→Exaltolide」のトランスフォーメーションです↓

ref.US Patent 2020298, 1935, Dupont de Nemours & Co.; Chem. Abstr., 1939, 33, 7816.; J. Am. Chem. Soc., 1936, 58, 654.

ヒドロキシ酸の重合-解重合による合成法で、解重合時に触媒が必要で、こんな触媒が報告されているようです。
KAl(ethyldigol)3(OCOC17H35) (US Patent 4499288, 1979, National Distillers and Chemical Crop.; Chem. Abstr., 1985, 103, 37510.)
Bu2SnO (JP Patent 4046173, 1990, Nippon Kogyo K.K.; Chem. Abstr., 1992, 117, 26317.)
Bu2SnO + (PhO)3P (JP Patent 50069088, 1973; Chem. Abstr., 1976, 84, 43335.)
Zn(OAc)2・2H2O (JP Patent 3284672, 1990, Nippon Mining Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1992, 116, 194174.)
MgCl2 (J. Am. Chem. Soc., 1936, 58, 654.)
Bu2Sn(OH)OSn(Cl)Bu2 (JP Patent 62087248, 1985, Kuraray Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1987, 107, 238904.)
Ti(OiPr)4 on montmorillonite (US Patent 4218379, 1977, Emery Industries, Inc.; Chem. Abstr., 1980, 93, 220792.)
Ti(OBu)4 (JP Patent 55002640, 1978, Shiono Koryo Kaisha, Ltd.; Chem. Abstr., 1980, 93, 71823.)
PbO (JP Patent 48028488, 1971, Soda Aromatic Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1973, 78, 158968.)
(MeO)3Al (JP Patent 47025071, 1969, T. Hsegawa Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1972, 77, 126010.)


ref. US Patent 2417151, 1941, Givaudan-Delawann Inc.; Chem. Abstr., 1941, 35, 3649.; Helv. Chim. Acta, 1943, 26, 1155.; Helv. Chim. Acta, 1942, 25, 965.; Helv. Chim. Acta, 1943, 26, 849.; EP Patent 739889, 1996, Hul A.G.; Chem. Abstr., 1996, 125, 329885.

ヒドロキシ酸をグリセロールとのエステルに誘導し、減圧下加熱してエステル交換する。ラクトンと一緒に留出してきたグリセロールはリサイクル。

今回はこんなところです。

2008年5月21日水曜日

損失回避

先日、とあるSCへと出かけた折、同SCのフード・コートに出店していたリンガーハットで昼食をとったのですが、

(長崎)ちゃんぽんが激マズでした!!!(怒)

具体的に何がダメだったかというと、麺が全然ダメでしたね。っていうか完璧伸びてた。で、その伸び加減があまりに酷かったので、店員に文句を言ったら(人生で初めて飲食店で文句いったね)、即作り直してくれました。まあ、分かればいいんだよと一旦は怒りを収めたコンキチでしたが、

再提供されたちゃんぽんの麺も、さっきよりはマシといった感じのふにゃふにゃした麺でしたから!!!(怒怒)


麺のあまりのふにゃふにゃ加減に気をとられて気付かなかったけど、なんか麺が以前と変わっているっぽい気がした。

なんでこんなに不味い麺にしたのか分かんないけど、2004年から収益力がガタ落ちっぽいね、この会社。ジリ貧だね。

リンガーのちゃんぽんって、メチャクチャうまい~!!!ってわけじゃないけど、チャーン店にしてはそこそこ美味くて、あと野菜がけっこう入っていてヘルシー感があり、ラーメンよりも調理感があって、そこそこのバリューを感じてたんだけどな。商品設計も、ラーメンじゃなくてちゃんぽんとおうところに軽くニッチをついた感じがしていたんだけど。今回の件、残念です。とりあえず、コンキチのもう二度といかない店のリストにランクインしましたね。

さて、前置きが長くなりましたが、コンキチはリンガーハットに行き、期待していたものとは全く異なる不味いちゃんぽんを提供されて、損失を感じました。

ところで行動経済学によると、人は、同程度であっても利得よりも損失を強く感じるのだそうです。なので、コンキチは今回の件で、ちゃんぽん1杯450円以上の損失を感じました。自分が払った金額以上の損失を感じたのです。結果、損失を回避するため、もう二度とリンガーハットには行くまいという気持ちでいっぱいになりました。

CRMやフレンドリー・サーヴィスは当然と受け取られ、落ち度は深く心に刻み込まれる。B2Cビジネスの失速とかCSダウンって、損失回避の集積の結果なのかなと思うコンキチでした。接客業の方々には個人的に肝に命じておいて欲しいですね。だって、顧客はいい気分になりたいがためにあなたの(働く)店を訪れるのだから。

以上、二流大出の一消費者の呟きでした。


PS(リンガーのちゃんぽんメモ)
ちなみに自分、学生時代にリンガーでバイトしてたことがあるんですが、リンガーのちゃんぽん麺って芯の三分の一を残さないといけないんだよね(これがちゃんぽん版アルデンテ)。そうすることでリンガー独特の触感が生まれる(基本的に規定時間、規定温度で茹でればいんだけど、超混んでる時とか、麺を上げ忘れると、ちょっといただけないね。)
あと、ちゃんぽんって作り手によって味が凄く変わります。スープはポークエキスという(多分)濃縮したエキスを溶いたもの。具材もカットしてあって、入れる分量も決まってる。でも、ラーメンと違って、調理っていうプロセスが多い(=裁量が多い)。特に(味ピーっていう)調味料を豚肉・魚貝類(っていうか海老とイカね)と絡めて炒める際に微妙に焦がすんだけど、そのやり方如何で、できあがったスープのコクが全然違うんだよね。で、このスープのコクを出せる人って殆どいないね(コンキチもだせませんでした)。
チェーン店が手がける品としては、リスク高い商品なのかもしれないと最近思いました。

2008年5月17日土曜日

マイ・フェア・バリュー

今日の日記は純粋に酒呑みの日記です。

さて、

超久しぶりに東京に行ってきました。しかも、東京駅に。で、東京駅のエキナカを軽くジャブ程度にふらついていたら、凄い店発見しました!

店の名前は、


はせがわ酒店
http://www.hasegawasaketen.com/
(しかもちょっとシャレたバーも備えている)


エキナカ内の狭い店舗に処狭しと並ぶは、日本酒、焼酎、ワインに集中(ビールとかもある)。特に日本酒に集中してますね。しかも、プレミアム銘柄を含んだ優れた銘柄がフェア・バリューで店頭に並んでいます。

自称「趣味: 晩酌」のコンキチが軽くみたかんじでは、
八海山(の何だかは忘れた)、浦霞の禅、富乃宝山(1,500円)、吉兆宝山(1,500円)、宝山情熱シリーズ(2,050円)とかは明らかにフェア・バリューだったと思う!

どうですか?人気日本酒とか焼酎とかをプレミアム価格で恥ずかし気もなく販売している東証1部上場の某大手スーパーさん!CSRの意味をきちんと理解してますか?

2008年5月14日水曜日

マクロサイクリックムスク (8) Exaltolide (i)

C15のマクロサイクリックラクトンの中で、最もメジャーと思われるcyclopentadecanolideの合成法です。
(マクロサイクリックムスクのレビュー(The Synthesis of Macrocyclic Musks Synthesis, 1999, 10, 1707-1723.)からです)

まず↓
ref. J. Am. Chem. Soc., 1968, 90, 817.; J. Org. Chem., 1970, 35, 3059.; US Patent 3925421, 1973, Research Corp.; Chem. Abstr., 1976, 84, 73673.; US Patent 3776926, 1968, Reseach Corp.; Chem. Abstr., 1972, 77, 61273.
工業的ルートらしいのですが、中間体が酸素を沢山含む過酸化物で、なんかおっかなそうです。


次は、cyclododecanoneを出発原料に用いたルート(ちょっと長いです)
ref, DE Patent 2026056, 1970, Firmenich S.A.; Chem. Abstr., 1971, 75, 5739.; Helv. Chim. Acta., 1971, 54, 2889.
この二環系のエノールエーテルが重要中間体となります。この中間体の他の合成法としては↓


とか

ref. DE Patent 2136496, 1971, Haarmann & Reimer GmbH; Chem. Abstr., 1973, 78, 111162.

とか

ref. Tetrahedron, 1996, 7297.
cyclododecanoneから収率73%で調製可能。

ってなのがあります。で、この二環系エノールエーテルからcyclopentadecanolideへの誘導法はというと↓
ref. DE Patent 2410859, 1974, Haarmann & Reimer GmbH; Chem. Abstr., 1976, 84, 30931.; SU Patent 694510, 1978, Institute of Heteroorganic Compounds, Academy of Scieneces, USSR; Chem. Abstr., 1980, 92, 128761.; J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1972, 1078.; Synthesis, 1980, 64.; US Patent 4187222, 1977, Bayer A.G.; Chem. Abstr., 1979, 90, 151607.; DE Patent 3224707, 1982, Huels A.G.; Chem. Abstr., 1984, /100, 209646.

上の式の続きのステップ↓
ref. EP Patent 512348, 1991, Haarmann & Reimer GmbH; Chem. Abstr., 1993, 119, 117145.; BR Patent 8108358, 1981, Brazil; Chem. Abstr., 1984, 100, 138981.; SU Patent 1133274, 1982, Institute of Heteroorganic Compounds, Academy of Sciences, USSR; Chem. Abstr., 1985, 102, 203884.

CetolodeのClemmensen還元による報告例もあり(SU Patent 810693, 1979, Institute of Heteroorganic Compounds, Academy of Sciences, USSR; Chem. Abstr., 1981, 95, 34858.


他の経路↓
ref. US Patent 5214163, 1993, Firmenich S.A.; Chem. Abstr., 1993, 118, 38778.; US Patent 3890353, 1969, Firmenich S.A.; Chem. Abstr., 1971, 75, 5739.; EP Patent 424787, 1989, Firmenich S.A.; Chem. Abstr., 1991, 115, 239362.
Radical fragmentation-ring openingで使うReagentは
a) Na2S2O5, Na2SO3でExaltolide : cyclopentadecenolide = 2 : 1, 67% yield (Exaltolide + cyclopentadecenolide)
b) Cu(OAc)2/FeSO4でExaltolide : cyclopentadecenolide = 1 : >9, 72% yield (Exaltolide + cyclopentadecenolide)
c) ジアルキルペルオキシドを加熱してExaltolide : cyclopentadecenolide = 9 : <1, 73% yield (Exaltolide + cyclopentadecenolide) それから↓
ref. J. Am. Chem. Soc., 1977, 99, 7359.(CoreyとNicolaouの仕事); JP Patent 1090182, 1987, Soda Aromatic Co., Ltd.; Chem. Abstr., 1989, 111, 134017.
Baeyer-Villiger, 分子内エステル交換反応の2 stepsで70% yield。

別経路↓
ref. Tetrahedron Lett., 1982, 3521.; Tetrahedron Lett., 1993, 6107.


次に続く...

2008年5月12日月曜日

多悪化の理由

大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点」を読んでいます。

この本の第8章「事業文化ユニットの構築」(Planting for a Grobal Hervest)」(1989年発表)に、事業文化ユニット(事業を繁栄に導く共通の土壌)の違いに基づく多悪化(コア・事業やコア・技術と関係ない分野への多角化)の理由が述べられています(少なくともコンキチはそう思った)。

どういうことかというと、事業文化が違えば、時間軸、(最適な)経理システム、計画立案、コスト照準がこ異なるからオペレーション効率が下がるということだと思います。
例えば、

航空機や船を製造するメーカー
a) R&Dは10-20年先を見据えている
b) 受注生産。
c) 1-2年後といった短いスパンでの需要予測など必要ない。
d) コスト削減が利益の源泉(総コストの90%が製造コスト)

エアコンメーカー
a) 計画見通しは1年先まで
b) マス・マーケットがターゲットの大量生産
c) 製造コストは総コストの30%
d) 市場予測して、年2回のギャンブルで継続して完全試合を続けることが事業成功の鍵(笑)
e) 流通チャネルの整備が重要

航空機や造船メーカーとエアコンメーカーとでは、事業を取り巻く環境が大きくことなり、ベストなオペレーション効率を具現化するためのシステムが大きくことなるということですね。で、経営者が両者の事業文化の違いをよく理解せずに多角化すると、一方の事業に非効率的なシステムを押しつけてしまい、オペレーション効率を損ね、事業が衰退していく多悪化に陥るのではないかと感じました。


さすが、日本が誇る世界のストラテジストです。大前氏の世界的評価(英「エコノミスト」誌グールー特集で選ばれたり)に比べて、日本での知名度は格段に低いと思うのですが、出る杭は打たれる、出過ぎた杭は善くも悪くも無視されるということかななんて思う二流大出のなんちゃって研究員でした。


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2008年5月11日日曜日

コカ・コーラ VS グッチ

大前研一の「大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点」を読んでいます(前回のつづきです)。

コカ・コーラとグッチ。いずれも巨大なブランド・エクイティを誇る企業であり、その製品はグローバル製品である。しかし、両者の企業展開には決定的な相違があるといいます。

グッチのようなラグジュアリー・ブランドは、世界中の高額所得者層というセグメントがターゲットである。そして、製品、売り方、マーケティングのやり方は世界中で同一。

他方、コカ・コーラのようなコモディティ商品は、各展開地域においてインサイダーとなることが肝要といいます。すなわち、重要市場の一つ一つに、自国と同じビジネスシステムをそっくりそのまま、長い時間をかけて作り上げるのだといいます。

コカ・コーラが日本市場で大きなシェアを獲得した理由は、複雑な流通システムを理解し、日本中に散らばったボトラーの現地資本を活用し、強力な販売部隊を構築したからだといいます(ルートセールス販売部隊、フランチャイズによる自販機設置といった、現地機能を強化したらしいです)。コカ・コーラ型商品の場合、(ブランド構築のためには宣伝も重要と思いますが)巨額の広告費よりも、(なんでも販売できる)堅固な流通チャネルを構築しインサイダー化することの方が重要だと述べています。例えば、小売店のコカ・コーラのフェイスや販促キャンペーンとかによってその売上げが、グッチの場合よりも、大きく左右されるということかな?


ラグジュアリー・ブランドとコモディティ・ブランドにおける戦略の違いを明確に述べたこの論文は、「ボーダレス・ワールドの経営 (Managing in a Borderless World)」(1989年発表)として「大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点
この本↓


の第4章に収録されています。

2008年5月10日土曜日

非モチベーション宣言

窓際研究員のコンキチです。

よく、

仕事はモチベーションが大事

なんていう訳分かんないことを、恥ずかし気もなく吹聴する人がいます。
一見して、熱いパッションを思わせる素敵な言葉です。でも、それって本当でしょうか?

例えばこうは考えられませんか?

仕事でモチベーションを重要視する人は、モチベーションなんていうたまゆらなものによって仕事の質が左右されてしまう、ちょっぴり情緒不安定な人材である

と。

コンキチはこう思いますね。

仕事は粛々と行うもの

どうでしょう?こっちの方が軽く強い意志が感じられませんか?


今夜も毒づいて、気炎を吐く二流大出のなんちゃって研究員のちょっぴりひねた戯言でした。

2008年5月8日木曜日

イメージ戦略

先日、日中首脳会談が催されたようです。詳細は、はっきり言って良く分かりませんが(あたりさわりない声明でお茶を濁された感じ)、パンダでごまかされて、その他の(沢山ある)懸案事項は軽くいなされた気分で一杯です。

北京オリンピックを直前にして、チベットの人権問題が世界的に大々的に周知されることになり、世界的な批判的世論の高まりをかわすために体よく使われちゃった気がしてなりません。

だって、日本は世界中で最も好かれている国なのだから!!!(メリーランド大学とBBCによる2005年の調査かな?)
see http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/home_page/168.php?nid=&id=&pnt=168&lb=hmpg1

世界で最も好感触な国との和やかな映像を世界中に配信することができれば、イメージアップは必至でしょう。

どこかのメディアのキャスターが、「福田首相は得意の外交で支持率回復を図りたい...」的なことを言っていたけど、中国様のご機嫌をとるのが外交の要諦ではないと思うのはコンキチだけでしょうか?


上野動物園のパンダの死去は、中国にとってラッキーな出来事だったなあと思わずにはいられないとともに、我が国も中国のしたたかさを少しは見習って欲しいと思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。
(オリンピックが終わって、人権問題のほとぼりが冷めたら、掌返されるような気がする)

2008年5月7日水曜日

競争は戦略の目的ではない

大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点」という本を読んでいます。

過去(1982-1995)に英語で発表された10本の論文と5本のコラムから構成される全11章の訳本です(8本の論文は今回初の邦訳)。

ちなみに、本書の第1章「競争は戦略の目的ではない (Getting Back to Strategy)」は、1988年にHarvard Business Reviewに発表された論文で、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2007年2月号にその邦訳が初めて掲載されました。この論文はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2007年2月号で1度目を通していた論文で、今回は再読ということになりました。この間、M. E. ポーター教授の著作をはじめとする幾冊かの経営学&戦略論チックな書籍に目を通してきたのですが、そのためか(どうかは分からないけど)新たな気付きがあったように思います。なので、とりあえず気になったことをメモしてみようと思います。

1) 競争のない市場の創造
「同業他社との競争」を演じるよりも、「競争のない市場の創造」の方がより優れた戦略だということを述べています。まさにブルー・オーシャン!「ブルー・オーシャン戦略」のように具体的な方法論は書いてなかったけど、1988年の時点で、腕自慢の経営者が競争に打ち勝とうとする傾向諌め、競争のない市場で先行者利益の恩恵に預かる戦略を提案しているという慧眼ぶりには敬意を表さずにはいられません。

2) 事例研究 <ヤマハ>
(当時)ピアノの販売市場は縮小の一途を辿っていたそうです。ジリ貧ってやつです。ここで、ヤマハの経営陣は顧客と製品(ピアノ)の置かれている現状を観察・熟慮するし次のことに気が付いたそうです。
a) 自動演奏ユニット (かつてのそれは音質が悪かったが、デジタル技術と光学技術で高音質を実現。イノベーション・エコシステムに似てるなあと思った。)
b) 気付かれずに埋もれていた調律市場(さらにピアノ職人に調律師というチャンスを提供できる)
で、大前氏はこんなことを宣っています。
「音楽鑑賞は以前より人気がある。多くの人々が通学中も通勤中もイヤホンをつけて、四六時中音楽を楽しんでいる。けっして音楽への関心が低下したのではなく、何年もかけて演奏の練習をすることに興味がないだけだ。」
と。

3) 帰納的アプローチ
大前氏は、
ポーター流のポジショニング論は演繹的アプローチ(コンキチは必ずしもそうとは思わないが、どちらかといったら力強く演繹的かな)で、顧客ニーズありきの戦略を帰納的なアプローチ(確かにそうだね)であるといっています。戦略とは競合企業を打つまかすことにあるのではなく、顧客を満足させることにその本質があると言います。全くの正論ですが、このことを理解していない人がけっこういると思う。顧客ニーズへの対応なんていうことは、口では簡単に言えます。誰にでも言える。でも、重要なのはそれを実際のオペレーションにブレーク・ダウンしていくことだと思う。顧客ニースと声高に叫んで、他社製品の分析におあけくれていては論外ということでしょう。例えば(バブがメガヒットした当時の)花王は、肌や毛髪のケア、血行促進に関するR&Dに多大な投資を傾ける一方、他社のトイレタリー製品にはあまり注意を払っていなかったのだっそうです。

4) 付加機能をつけることが有効な場合
同業他社の製品を模倣してあれもこれもと必ずしも必要ではない機能を付与する戦略の誤謬は氏も指摘するところですが、機能の詰め込みが有効な例が示されています。例えば、日本の家庭のように狭い住環境においては、機能を集約したコンパクトな家電製品が受け入れられ易いかもしれない。
(でも当然、模倣容易なものだったら長期的な競争優位は確立できないよね。あと、アメリカとかのリッチマンの大邸宅にはそぐわない。)


とまあ、今回(第1章)の感想はこんなところです。

今、半分くらいこの本を読み進めましたが、かなり凄いことが書いてあると思います(発表されたのがかなり昔であるにもかかわらず)。全ての社会人が一読すべき本といっても過言ではないと思う。っていうか、高校とか大学で訳分かんない授業されるより、この本を与えて生徒にディスカッションさせた方が全然いいと思う二流大しか入れなかったなんちゃって研究員なのでした。

あと、M.E.ポーター、大前研一の論文が読める一流経営誌「ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー」を定期購読したいという軽くマニアックなアナタはココから↓




を買ってもらえるとウレシイです。

2008年5月6日火曜日

電子ゴミの憂鬱

この間のプレミアAで、中国の電子ゴミのはなしをやっていました。

中国の貧しい村では、アメリカや日本から電子ゴミが不法に大量輸入されているそうです。で、ターゲットは金。電子基盤に含まれる僅かな金を回収するのが目的です。電子基板を鉄板で熱してハンダを融解させて取り除き、さらに薬品で洗浄(?)を繰り返して金を採取してゆきます。当然、ハンダ融解作業を行うオペレーターの作業環境は劣悪で、作業所には普通の換気扇が一つか二つ(?)あるばかり。そして、使用済みの薬品の廃液は近隣の川に垂れ流し。ちなみに、近所の住民に鉛中毒の症状がみられるとか。

この怪しげな会社を経営するのは三十代の男性(2人?)で、「(俺たちは)全てのゴミを消費できる」と嘯きます。

良識ある人達は、人体と環境を汚染すして不法に富みを貪るこの経営者達を「悪」と断じ、強く非難することでしょう。しかし、彼等(悪徳経営者)を断罪することは、本当に正しいことなのでしょうか?

人は生まれながらに不平等です。金持ちの家に生まれた子供と貧乏人の家に生まれた子供とでは、スタート時点と、その後の成長過程における環境に大きな隔たりああるでしょう。これは、国家間についても言えることで、豊かな国(日本とか)に生まれた我々は、その時点で他の貧しい国々に生まれた人々に比べて圧倒的に有利な立場にあります。日本に生まれた時点で、全世界的に見れば生活レベルはトップクラスのはずと思います(どんなに貧乏でも中学までは義務教育だし、奨学金とか駆使すれば大学だっていける。少なくとも、死ぬ程頑張れば起業したり、高級官僚になったり、大学教授になったり、大企業の幹部候補生になれる可能性は充分ある)。

でなにが言いたいかというと、幸運にも極めて豊かな国に生を受けた我々が、貧しい国に生まれた貧しい人間が、その生まれながらの不平等を解消するために、不平等を生み出している社会が勝手に決めたルールを無視して経済的にささやかな金をGETしたからといって、簡単にその行いを断じてよいものかということです。

ある意味、鉛中毒をまき散らして金をGETしている経営者の行いは「罪」でも「悪」でもなく、社会が生み出した不平等(アンフェア)を解消するための、至極当然の一手段なだけとさえ思えます。

だって、我々先進工業国は、地球温暖化による水位の上昇に伴い水没地域が出ると囁かれているにも関わらす、それらの地域にいる人々を生贄にして、過去にもこれからも温室効果ガスを排出し続け、自分達だけ豊かな生活を謳歌しようとしているのだから。


我々は、今こそ偽善者の仮面を剥ぎ取り、こう叫ぶべきだ!

俺たち(豊な国の人間)の豊かな生活のために、(水没がいち早く訪れそうな)貧しいお前等は犠牲になってくれ

と!!!


いや~。今回はかなり毒づいてみましたが、まあ、二流大出のアホな研究員の寝言と思って、軽くながしていただけたら幸いかなと思います。


2008年5月2日金曜日

パワープレイ

スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く」という本を読んでみました。

2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティングリッツ教授の著作で、我が国では週刊ダイヤモンドに掲載されたコラムをまとめた本なのだそうです(書き下ろし論文あり)。
コンキチは経済学を勉強したことがないので、本書でスティングリッツ教授が述べている経済トピックスへの考察は、「はあ、そうなんですか。勉強になります。」としか言えませんが、純粋な経済に問題とは別に、幾つかの重要な教訓をこの本から受け取った気がします。なので、それらをメモしてみますか。

この本を読んで初めて知ったのですが、
a) アメリカが世界銀行総裁を選出する
b) ヨーロッパがIMFの専任理事を選出する
c) アメリカはIMFで拒否権を行使できる唯一の国
d) 貿易協定には、パワーポリティクスや偽善が横行しているという。
例えば、
・先進国の農業補助金が、先進国の少数の豊な農家を潤している一方で、途上国の貧しい生産者の競争力を奪っている。
・3%ルール(最貧国に自国市場の97%を開放するというアメリカの決定)→残り3%は途上国が実際に生産している財だとか(意味ないジャン)
・生産効率高いブラジル産エタノールに高い関税をかけ、高コストの自国のエタノールを補助金で保護している。


凄げ~!完璧、アメリカに牛耳られてますね。正に、強き者の弱き者に対するパワープレイ!!っていうかヤクザそのもの。


規模やコミュニティーは違えど、強者が自分の都合の良いようにルールをつくり、弱者をやんわりと虐げるという図式は普遍性が高いななんてひねくれたことを思う二流大出になんちゃって研究員なのでした。

2008年5月1日木曜日

アンブロックスショック

一応、香料会社に勤務しているコンキチです(香料とは全く関係ない仕事ばかりしていますが...)。

ところで、Ambrox(アンブロックス、この名前はフィルメニッヒの登録商標)という化合物があります↓

動物性香料で、教科書的に著名なものに、ムスク (麝香; Musk)、シベット (霊猫香; Civet)、カストリウム (海狸香; Castoreum)、アンバーグリス (竜涎香; Ambergris)があります。

で、この中のアンバーグリスはマッコウクジラの病的分泌物であり、その主成分はアンブレイン (Ambrein)です↓

ちなみにアンブレイン自体は無臭で、アンブレインが海上で漂流する間に酸化的に分解されて様々な有香成分を形成していくのです。

アンブレインの分解物としては、γ-Dihydroionone, α-Ambrinol, γ-Coronal, Ambra oxide, Dehydroambra oxide, Ambroxなどが生成します。

これらの中で、Ambroxは非常に持続性が強く、極めて強いアンバーグリス様香気を持ち、アンバー系香料として特に重要な化合物なのです。

かなり前置きが長くなりましたが、何故「アンブロックスショック」なのかというと、

コンキチの勤務する会社で、合成香料を担当するセクションの人員全てが、Ambroxを知らないらしいということが発覚したからです。

コンキチが勤務している会社は一応香料会社なので、香料関連特許のWatchingをしています。で、合成香料関連のパテントは合成香料を担当するセクションの人員でチェックしているのです。で、どうでもよさそうな直鎖のエステルチックな香料組成物の特許lはチェックいれてるくせに、香の帝王と言っても過言ではないAmbroxは完璧スルーされていました。ちなみにAmbroxの特許のタイトルは「光学活性化合物の製造法」チックな名前で、香料とかの文言が入っていなかったから気付かなかったのかもしれません。
でも、構造式は載ってたし、出願人は香料業界再大手のジボダンだったんだけど.....

っていうか、合成香料やってないコンキチが気付いて、なんで当該部署の人間が誰一人として気付かないのか不思議でなりません。


コンキチの勤務してる会社って、やっぱレベル低い会社なんだなあとガッカリする二流大出の窓際研究員なのでした。なんかアホくさ。