2008年5月11日日曜日

コカ・コーラ VS グッチ

大前研一の「大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点」を読んでいます(前回のつづきです)。

コカ・コーラとグッチ。いずれも巨大なブランド・エクイティを誇る企業であり、その製品はグローバル製品である。しかし、両者の企業展開には決定的な相違があるといいます。

グッチのようなラグジュアリー・ブランドは、世界中の高額所得者層というセグメントがターゲットである。そして、製品、売り方、マーケティングのやり方は世界中で同一。

他方、コカ・コーラのようなコモディティ商品は、各展開地域においてインサイダーとなることが肝要といいます。すなわち、重要市場の一つ一つに、自国と同じビジネスシステムをそっくりそのまま、長い時間をかけて作り上げるのだといいます。

コカ・コーラが日本市場で大きなシェアを獲得した理由は、複雑な流通システムを理解し、日本中に散らばったボトラーの現地資本を活用し、強力な販売部隊を構築したからだといいます(ルートセールス販売部隊、フランチャイズによる自販機設置といった、現地機能を強化したらしいです)。コカ・コーラ型商品の場合、(ブランド構築のためには宣伝も重要と思いますが)巨額の広告費よりも、(なんでも販売できる)堅固な流通チャネルを構築しインサイダー化することの方が重要だと述べています。例えば、小売店のコカ・コーラのフェイスや販促キャンペーンとかによってその売上げが、グッチの場合よりも、大きく左右されるということかな?


ラグジュアリー・ブランドとコモディティ・ブランドにおける戦略の違いを明確に述べたこの論文は、「ボーダレス・ワールドの経営 (Managing in a Borderless World)」(1989年発表)として「大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点
この本↓


の第4章に収録されています。

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