2008年12月28日日曜日

研究は楽しい

29日は有休で、昨日から冬休みモードの突入中のコンキチです。

で昨日、上野のatreの中に入ってる寿し常っていうほぼ2貫で300円均一の寿司屋に行ってきました。初めて行ったのですが、なかなか満足しました。


閑話休題


科学者たちの奇妙な日常」という本を読了しました。a 女性科学者のスペース2を執筆している松下祥子先生の著作です。はっきり言って、超面白いです!



学生時代から研究室を運営する現在に至までのリアルな研究&政治ライフがコミカルに描かれていて楽しいです。


で、著者はこの本でライフスタイル別に科学者を分類していいます↓



a) 実験系
b) 理論系
c) 調査系


ってな具合に。

コンキチは、自分が科学者であるかどうかは別にして、実験系(=ガテン系)研究員です。まあ、有機合成を生業としてる人だったら、>99%で実験系でしょう(多分)。


しかも、企業の一平研究員なので、著者が本書の冒頭で述べているような

科学者は好きな時間に本を読み、好きな時間に執筆をし、好きな時間に研究をする。そう、とにかく基本、自由なスタイルなんですよ。しかも、日本全国いろーんなところへ出張できて。年に一度くらいは海外にも行けちゃったりして。世界中に友達もできて。そして、自分の研究が書かれた論文が、世界中の図書館に残っていく。

というほどの自由ははっきり言ってないです。

まあでも、

a) 実験計画(=仕事のスケジューリング)は、ほぼ完璧に自分の裁量だし
b) マニアックな論文(勿論化学系の)も自由に読める
c) 学会を選べは、ある程度遠くに出張できる(以前、京都でやった国際会議に1週間くらい行ったときは楽しかったな)
d) あと、仕事(=有機合成)自体がパズルみたいなもんで、なかなか飽きないし、楽しい

という感じで、それなりにけっこう仕事ライフを満喫することができます。

でも、研究員になって一番良かったなあと思うのは、通勤時にスーツ(背広)っていう、着ているだけでHP(ヒットポイント)を奪うダサいワークローブを着て通勤しなくて良いということです。ちなみに、コンキチはジーンズとかスニーカーとかブーツとかを身につけて、30過ぎだというのに学生みたいな汚い恰好で通勤してます。


ただ、科学者に対する評価っていうのは、本書にも書かれている通り、我が国ではあまり高くないのかもしれません。
学生時代、研究室の助手(当時)の先生が、「日本では科学者が報われない。ドイツでは凄く評価が高いよ」的な話をしていて、その時は、そんなもんなのかねえ?と全然ピンときませんでしたが、社会に出てからその言葉の意味をヒシヒシと感じましたね。

要は、科学技術立国なんて(医者不足でもそいうなんだけど、)インセンティブが適切に設定されてないから実現できないんだと思います。科学者(nearly理系人材)になりたいという魅力的なインセンティブの設定なくして夢のまた夢(かもしれない)。かけ声だけなら誰でも掛けれる。


以上、二流大出のなんちゃって研究員のつぶやきでした。

あと、松下祥子先生の著作は絶対買いです。

2008年12月23日火曜日

アルドール (2)

今回はこんな文献を読んでみました↓

Lithium Acetate-Catalyzed Aldol Reaction between Aldehyde and Trimethylsilyl Enolate in Anhydrous or Water-Containing N,N-Dimethylformamide
Bull. Chem. Soc. Jpn., 2004, 77, 1555-1567.
向山先生のグループです。

AcOLiが触媒する向山アルドールです。

著者らの以前の報告で、
a) アルデヒドとカルボン酸エステルのTMSエノラートとのアルドール縮合において、Ph2NLiとlithium pyrrolidoneがLewis塩基触媒として有効だった。
ref. Chem. Lett. 2002, 182.; Chem. Lett., 2002, 858.; Helv. Chim. Acta, 2002, 85, 4518.

b) TMSエノラートとa,b-不飽和カルボニル化合物とのMichael反応において、lithium benzamideとlithium succimideが有効なLewis塩基触媒となった。
ref. Chem. Lett. 2003, 32, 56.

そうです。で、今回はAcOLiではどうかということです。

カルボン酸のリチウム塩でいけそうかどうかの見当をつけるのに、pKa(DMSO中)を比較しています↓
1) diphenylamine/ 25.0
2) pyrrolidone/ 24.1
3) benzamide/ 23.3
4) succimide/ 14.7
5) acetic acid/ 12.6
6) benzoic acid/ 11.1
7) p-nitrobenzoic acid/ 9.1

著者らは、共役酸としてpKaの小さいlithium succimideの触媒作用に興味を持つとともに、カルボン酸のpKaがsuccimideのそれにけっこう近いことに着目して検討を開始しました。

まずはじめに、benzaldehydeとmethyl isobutyrateから誘導したTMSエノレートとの反応について検討します↓

DMF中低温でそこそこの収率で反応が進行し、basic conditionでクエンチするとシリルアセタールが生成します。このシリルアセタールを塩酸で処理するとアルドール付加体とPhCHOが生成する(Tetrahedron Lett. 2000, 41, 103.)。

ピリジン中でも反応は進行するが、0℃では反応は起こらず、反応温度70℃でかなり反応が促進される。

Lewis baseとして他の金属カルボン酸塩についても検討していて、AcONa (75% yield), AcOK (77% yield)はAcOLi (83% yield)に比べて僅かに収率が劣る程度。また、収率は、触媒の求核性に依存し、4-Me2NC6H4COOLi (83% yield)、4-MeOC6H4COOLi (81% yield)に対して、4-NO2C6H4COOLi (37% yield)。ベスト•プラクティスは、t-PrCOOLi (94% yield)。

次に、TMSエノレートを固定して、種々のカルボニル化合物との反応を検討しています。で、その傾向↓

a) 電子供与性置換基を有する芳香族アルデヒド→DMF(-45℃)でもピリジン(70℃)ともにスムースに反応が進行し、高収率
b) 電子吸引性換基を有する芳香族アルデヒド→DMF中では中程度の収率(シリルアセタールが形成)、ピリジン(70℃)中では良好収率。
c) 塩基性の官能基を有するアルデヒドにも有効(84-99%, 4例)

こんどはアルデヒドをPhCHOに固定して、TMSエノラートを種々試しています↓

a) TMSエノラートなら多少嵩高くても反応温度を上げてやれば収率良好(チオエステルから誘導したものでもO.K.)
b) methyl isobutylateから誘導したTESエノラートは低収率(DMF, -45℃で4%)→AcOLiとケイ素原子との超原子価シリケートを形成し、エノラートが活性化されて反応が進行することが示唆(Helv. Chim. Acta. 2002, 85, 4518.)。
c) 中程度のsyn選択性(シリルエノラートがEでもZでも関係ない→鎖状遷移状態を経て反応が進行すると考えられる)


あと、カルボン酸のリチウム塩は、DMF中、室温でカルボン酸に等量のLi2CO3を作用させることで簡単に調製できて便利です。

ここまでは無水のDMF(or ピリジン)を溶媒に使ったときの話で、著者等は溶媒に含水DMFを使った検討を行っています↓

methyl isobutylateから誘導したTMSエノラートとPhCHOとの反応では、DMF:H2O=10:1から50:1のレンジで、シリルアセタールを生成することなしに、そこそこの収率で目的のアルドール付加体が得られます。ベスト•プラクティスは、DMF:H2O=50:1、-45℃で2 eq.のTMSエノラートを作用させ6 hr反応で、96% yieldです(このときバックグラウンド•リアクション17%)。

また、含水DMF中での反応は、
a) 無水DMF中での反応と同様に、他の金属カルボキシラートも触媒活性を示し、
b) 電子吸引性置換基をもつ芳香族アルデヒドや、脂肪族アルデヒド(3-Phenylpropionaldehyde)、2-Pyridinecarboxaldehydeを用いても高収率
c) さらに、分子内に水酸基、アミド、カルボキシル基があっても反応が進行する。
d) PhCHOとの反応で、α-位が二置換されていなかったり、嵩が小さいと収率が劇的に減(シリルエノラートが水でプロトン化されるため)


最後に反応機構に関する考察↓

In Anhydrous DMF
a) AcOLiと溶媒分子がシリルエノラートに配位して6配位超原子価シリケートを形成(Cyclle A)
b) アルデヒドと反応して、リチウムアルドラートとAcOTMSが生成(Cyclle A)
c) リチウムアルドラートがAcOTMSでO-シリル化され、AcOLiが再生(Cyclle A)
d) リチウムアルドラートがもう1分子のアルデヒドと反応して、エノラートとアルデヒドの1:2付加体が生成(可逆的)(Cycle B)
e) エノラートとアルデヒドの1:2付加体がAcOTMSでシリル化されシリルアセタールを与え、AcOLiが再生(Cycle B)

In Water-Containing DMF
a) AcOLiと溶媒分子がシリルエノラートに配位して6配位超原子価シリケートを形成
b) アルデヒドと反応して、リチウムアルドラートとAcOTMSが生成
c) リチウムアルドラートとAcOTMSが加水分解され、アルドール付加体、TMSOH、LiOH、酢酸が生成
d) LiOHと酢酸の中和反応によりAcOLiが再生


今回は以上です。

2008年12月21日日曜日

クルーグマン

2008年ノーベル経済学賞を受賞したポール R. クルーグマン教授の「クルーグマンの視座―『ハーバード・ビジネス・レビュー』論考集」という本を読了しました。



この本は、クルーグマン教授がハーバード•ビジネス•レビューに書いた経済論文(3本)と、DIAMONDハーバード•ビジネス•レビュー編集部によるインタビューをまとめたものです。

コンテンツはこんな感じ↓

1) How Fast Can the U.S. Economy Grow? (1997) アメリカ経済に奇跡は起こらない
2) A Country is Not a Company (1996) 国の経済は企業とどう違うか
3) Does Third World Growth Hurt First World Prosperity? (1994) 第三世界の成長は第一世界の脅威となるか
4) DHBR Interview: The Misunderstanding of Chinese Economy (2004) 中国脅威論の幻想

で、コンキチが一番感銘を受けたのは



A Country is Not a Company (1996) 国の経済は企業とどう違うか


です。


具体的には、経営戦略と経済政策には根本的な相違があるということ。

つまり企業経営はオープン•システムだが、経済政策(国家運営)クローズド•システムであるということ。
また、システムの違いにより、企業はポジティブ•フィードバックが強く働き、国民経済はネガティブ•フィードバックが強く働く傾向があるということ。

コンキチなりに咀嚼したところを述べれば、企業経営は他社を出し抜く競争戦略に基づいて運営すればよいのだろうが、国家運営において一部の産業をプッシュすると、他産業のパイを奪う事に繋がる。企業は弱肉強食の強者の論理が通用するが、国家運営では敗者を最小化することが重要ということだろうか?国家運営の見地に立つと、企業(産業)の競争戦略はあ部分最適でしかないように感じました。

ということは、我が国の総理大臣が企業経営の経験があるということは、なんのウリにもならず、むしろ国家の経済運営においては害悪になる可能性が高いのかもしれないということ軽く暗澹たる気持ちになってしまいました。

フリーランチ

先日、産経新聞の朝刊全紙をそのままのレイアウトで無料で読めるiPhoneアプリの話をブログに書きました↓
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/12/blog-post_16.html

でその後、こんな記事を発見しました↓
産経新聞、なぜ無料でiPhoneに 「失敗続き」の電子新聞チャレンジに手応え
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/19/news042.html

で、記事の中で、
アプリの無料配信は「新聞の無料試読制度のようなもの」と位置付けており、いつまで無料で提供するかは未定だ。「なんとか軌道に乗せるため、ビジネスモデルを検討中」で、有料化や新たな広告モデルを探っていく。アプリを使って「来年春までいろんな実験をしたい」という

だそうです。

なんか、この記事を読んでると、エンドユーザーからの課金しか考えてないような印象を受けます。

ちなみにこのアプリ、公開翌日には、App Storeの無料アプリの人気ランキングでトップになったほど反響が高かったそうです(ちなみに、このブログを書いている現在もランキングトップで、1,033件のレビューが掲載されている)。最近、日本でのアップルのiPhoneのCMを見ると、App Storeからの魅力的なアプリがダウンロードできることをiPhoneの魅力としてクローズアップしているように思います。

産經新聞のアプリは、iPhoneの魅力を向上させる力があると思うんだけど、それは無料という部分も大きいと思う。例えアプリを有料にしたとしても、そこから上がる収益はたいした事ないと思う。

なので、産經新聞はエンドユーザーからではなく、アップルやソフトバンクといったプロバイダーから継続的に課金できるビジネスモデルを構築すべきなんじゃないかと思うんだけど、どうでしょうか?今のままだと(プロバイダーに課金してないと仮定して)、産經新聞は、アップルやソフトバンクにフリーランチをプレゼントしているだけのように思うのだけれど。


以上、二流大出のなんちゃって研究員の素人の戯言でした。

統計マジック

最近、めっきり寒くなってきました。コンキチは先日リリースされた大塚愛のニューアルバム「LOVE LETTER」を聴いて心を暖めています。












さて、今回のブログでは、先日読んだ「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」の中でコンキチが気になったところのメモです。

具体的には、何年か前に話題になった日米の労働時間逆転のウソ?を解説した部分です。当時、その報道を耳にしたとき、はっきり言って感覚として全然信用できませんでした。

で、本書ではそのカラクリを解説しています。同書では、日本のデータは厚生労働省の2003年毎月勤労統計調査(製造業対象)をベースに作成したグラフが示されています(他国にデータの出所は記載なし)。

ちなみにOECD Factbook 2008からひっぱってきたデータはこちら↓
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3100.html(製造業に限らない産業一般の数字)

ところで、こういった国際比較を行う場合、各国のデータの収集方法とか、(この場合)雇用慣行などを考慮して比較しないと意味がないと思います。ちなみに、上述のOECD Factbook 2008を基にしたWeb Siteのグラフには「データは、各国の時系列は開くのために作成されており、厳密には資料の違いから特定時点の国際比較には適さない」と注意書きがあります。

さて、城氏の著作に戻りますが、厚生労働省のデータでは、2003年度の日本の年間総実労働時間は1,975時間。
1,975時間÷12ヶ月=164.6時間
ひと月20営業日とすると、所定労働時間は8時間×20日=160時間/月
月当たりの残業時間はざっくり4.6時間
でまあ、この統計にはパートタイマーも含まれているため、そいいった結果この数字は我が国に普通のサラリーマンの姿を表している数字とは思えないと述べています。
また、この統計では、年俸制や裁量労働といった勤務形態の場合、実労働時間ではなく、所定労働時間分しかカウントされないそうです(っていうことは、所謂管理職も所定労働時間分しかカウントされないのかな)。それから、当然サービス残業もカウントされません(給与支払実績をもとに作成されている)。

城氏は、厚生労働省のデータより実態に近い資料として、総務省の「労働力調査」(戸口調査)という資料を挙げており、その2005度版における男性一般常用雇用者の週平均労働時間は約48時間だそうです。
1年=52週として、年間約2,500時間。

1,975時間と2,500時間では全然違う。まあ、コンキチもまじめに統計資料を精査したわけではなく、このブログでは城氏の著作の内容を単に列挙しただけです。ただ、こういった統計資料を読むときは、その細部に着目することが非常に重要ということを久しぶりに再認識しました。

センセーショナルな数字に踊らされないようにしたいなと思う、二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

2008年12月16日火曜日

新聞が無料になった日

先日(12/8)、iPhone用の産經新聞ビューワーがリリースされました。無料で産經新聞と同じ紙面を閲覧できます。iPhoneにストックできるのは1日分で、毎日午前5時に更新できます。

see http://www.sankei.co.jp/iphone/

自分、一昨日ダウンロードして使ってみましたが、軽快に動いてよいです。文字サイズも紙面を拡大すれば無問題。新聞をコンパクトに閲覧できてエクセレントです。

ユビキタス最右翼のiPhoneに新聞を搭載するというアイデアは悪くないと思う。

ところで、このビューアーはエンドユーザーには無料なんだけど、産經新聞はソフトバンクからフィーを貰ってるのかなあ?
(通信料稼げそうだしね)

ちょっとしたイノベーションだと思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

2008年12月14日日曜日

厚顔無恥な搾取ビジネス

最近、満員電車で通勤中に竹内まりやの唄を聴いて癒されているコンキチです。例えば、ImpressionsとかBon Appetit!とか聴いてます。




竹内まりやは、その甘い歌声でさりげなく高飛車な歌詞をやんわり入れているところがよいです。癒されます。


閑話休題


今回は、表題の厚顔無恥な職業について書きます。コンキチが厚顔無恥な職業と思うのは、ニュース•キャスター、政治屋、(多くの)評論家、経済アナリストとかいろいろありますが、ダイレクトに実害を被って厚顔無恥な職業は、生保のセールス•レディー(生保のおばちゃん)です。

奴等は、会社の昼休みに食事を終えたのを見計らって接近してきては、自分勝手に話を進めていきます。具体的には↓

a) 氏名、年齢、家族構成等の個人情報の開示を要求する。しかも、それがあたかも当然という感じに。

b) 電話番号やメールアドレスといった連絡先を教えるように迫って来る。

c) 自社商品をプレゼンする時間をつくるように迫って来る。

d) より具体的には、「5分でいいんで説明させて下さい」といいつつ30分も延々とくだらない説明をされた。

しかも、自分達(生保のセールスレディー)は上記情報を当然の如く知る権利があると言わんばかりにズケズケと聞いてきます。

はっきり言って、上記事項に対してコンキチの貴重な時間(昼休み)を浪費させられるのははなはだ遺憾なのですが、コンキチは人当たりのよさを重視しているので(外地蔵なんでね)一応しぶしぶ対応してあげます。

で最近、業界最大手の日◯生命のセールスレディーに商品説明を受けたんですが、真剣辟易しましたね。そもそも、保険っていうのは「損することに意味のある宝くじ」なわけで、必要最低限のリスクヘッジが出来ればいんだよね_(例えば、超金持ちに保険は必要ない)。確かに不幸にして、若くして災難にあう可能性もゼロではないけれど、そんなこととを言い出したらきりがない。なので、保険は確率論で考えなければならないと思うんだけど、生保の営業はやたらと不安を煽って保障の厚い商品を恥ずかしげもなく提案してくる。しかも、他社と比較し難くするため複雑な商品を仕立てて来る。営業戦略的にはしたたかというかそんな気もしますが、正直辟易です。

っていうか、保険って各人の家計の詳細を把握してないとちゃんと設計できないでしょ。ファイナンシャル•プランニングの一環なんだよね。で、そういった諸々のデータを鑑みる事なしに勝手に設定した自社商品の営業をする生保のセールスレディ-って厚顔無恥か確信犯だなと思う訳なのです。

あと、奴等の提案にコンキチが否定的な(そういう保障はいらないという)発言をすると、「そうですよね」と意味不明な相づちを打つんだけど、そういうの白々しいんでやめて欲しい。っていうか、だったら最初っからそういう余分な提案すんなよって感じです。まあ、一応、コンキチも大人なので苦笑いするだけで対してつっこみませんが。

そういえば、以前、日本人(だけじゃないと思うけど)の持ち家信仰(土地真理教)について書いたことがあると思いますが、
see
http://researcher-station.blogspot.jp/2007/12/blog-post_25.html

生保もなんか宗教チックだなと思いました。

自分でちゃんとサーチしたわけじゃないけど、住宅ローンに継ぐ大きな支出は保険という話も風の噂で聞きます。過分な保険を掛けて、家族をしっかり守ってるぜみたいな「弱者に対する救い」をプロモートしている生保は新興宗教のように思うのはコンキチだけでしょうか?


以上、二流大出のなんちゃって研究員の生保感でした。

2008年12月13日土曜日

非正規雇用は悪か?

最近、トムヤムクンがマイブームのコンキチです。で、こんなの買って食べてみました↓


自分フォーって嫌いと思っていたんですが、この商品はなかなかいける!(多分、いままでまともなフォーを他食べたことがなかったんだね)。辛さもマイルド過ぎず、気負わずに食べれる辛さでなかなか良いです。

さて、最近巷では非正規雇用ネタが熱いようです。自動車メーカーなどが実施した非正規雇用の従業員の解雇を発端に、非正規雇用(正社員以外)という雇用形態がいかにも「悪」であるかのようなヒステリックな報道が連日、馬鹿の一つ覚えのように繰り返されています。

それにつけても、マスゴミっていつも無責任に単純な二元論的報道ばかりしていて、つっこみどころ満載で面白いです。

そもそも、自動車とかは、はっきり言って贅沢財でしょう。しかもマス•マーケットをターゲットにした贅沢財。ついでに単価も他の商品に比べてかなり高い。景気が悪くなれば一般市民は贅沢財を買い控えるのは必死。そういった事業素養なんだよね。比較的景況感に業績が影響されやすいんじゃないのかな?
(で、景気と自動車産業の業績(単体売上高)を調べようと思ったら、長期のデータが簡単には発見できませんでした(シクシク)。誰か知ってる人いたら教えて下さい。1980年代くらいからの)。

だから、生産調整目的に非正規の労働力を使ってるんだから、減産局面では契約解除されるのは火を見るより明らか。正直なにをいまさらという感じだし、好景気下では新たな雇用の創出につながる(正社員はコスト高だし、簡単にやめさせられないので、ルーティーン業務とかも全て正社員で対応するというのは効率が悪いし、景気減速時のリスク要員になると思う)。


まあいつものことですが、マズゴミって正義面してヒステリックで扇動的な報道しかしないから嫌になります。しかも、定量的なデータとかで検証することはほぼ皆無。そんなに非正規雇用者を解雇するのは悪で、なんらかの対策が必要だっていうんだったら、お前の高額な年収を減らして雇用を創出してやれよとつっこみたくなります。


ということで、正規雇用と非正規雇用の数ってどうなってるのかと思って、ちょっとサーチしてみました。


ちなみに正規雇用者と非正規雇用者の推移はこれ(統計局のデータを参考に作成)↓
(縦軸は×10,000人)

ウィキィペディアによると、バブル景気は1980年代後半から1990年代初頭(1986年12月から1991年2月までの4年3か月間を指すのが通説らしい)ということ。また、企業の新規採用はバブル景気崩壊の1991年(約84万人)をピークに1997年(約39万人)まで減少。その後増加し1999年(約68万人)にピークとなった後再び低下し、2001年(約41万人)を底にその後は増加しているそうです(リクルートワークス調査だって)。

グラフから正社員数は、1988年から1999年までゆるやかに増加し、その後減少に転じ、2006年から再び増加に転じようかといった感じ。ちなみに、2007年時点(3,441万人)では、1988年(3,377万人)の正社員数を僅かに上回っている。一方、非正規社員数は1988年から(もっと前から?)一貫して右肩上がりの増加し続けている(755万人→1,737万人)。結果、雇用者数は1988年(4,132万人)らか2007年(5,174万人)にかけて約1,000万人増加しているのが分かる。

次に、雇用者数(正規雇用+非正規雇用)と15歳-64歳の人口をグラフにしたもの(中小企業庁のデータを拝借して作成)↓
(縦軸は×10,000人)

15歳-64歳人口は減少傾向。

で、最後に15歳-64歳人口に占める、正規雇用者数、非正規雇用者数、雇用者数(正規雇用+非正規雇用)をグラフにしてみました↓

まあ、一番最初のグラフとあんまり変わらないんだけど、ざっくり言って、この20年間で増加した非正規雇用という就業機会によって、新たな雇用が創出(約1,000万人, ざっくりと就業可能予備軍(?)の10%)された思うんんだけどな。

ところで、非正規雇用反対論者は、就労人口の全てを正社員で賄うべきだというのだろうか?コンビニやマックの店員(パート、アルバイト)といった誰にでもできる仕事に正社員並みの高額給料は必要だろうか?また、自動車の組み立てラインの従事者に、長期にわたる高等教育(高度な専門的知識)や職人的超人的スキルは必要だろうか?企業が生産ラインに正社員と期間工を併用する根拠は↓

a) 正社員→工場の安定稼働を実現するための基本人員。ある程度の稼働率を恒常的に実現するためには、一定数の人員を安定確保する必要があるので、それなりに高い給料で囲い込む必要がある。

b) 期間工→生産調整のバッファー。景気加熱局面では、需要が喚起され、モノ(車)が売れる。大きな需要があるのに供給が追いつかないといのは重大な機会損失。但し、稼働率(生産力)アップの為に、不足人員を正社員で賄うのは危険。正社員には囲い込みのためのプレミアムが給料に付与されているのに加えて、解雇が極めて難しく、景気後退局面で需要が落ち込み生産調整が必要となったときに余剰なコスト高な正社員は極めて生産性の低い存在となる。

個人的にはこんなところじゃないかと思っています。

もし、全ての非正規雇用者を正規雇用化するというのなら(同一労働同一賃金)、正規雇用者(正社員)は自らの給料が減額されることを甘んじて受け入れなければならないと思うし、そうすべきでしょう。限られたパイを皆で分かち合うのです。そして、労働スキルの希少性に応じて給与水準が決定されることになる。でも、既得権の維持•拡張ばかりを志向する労働組合は不利益変更だと声だかに大反対でしょう。特に、企業別労働組合が幅をきかせている日本では。だから、非正規雇用者の正社員化は簡単に進むものではないと思うし、だから切られる。

それに、仮に非正規雇用が規制とかで全くなくなったとしたら、就労人口はけっこう減少すると思うな。企業には全ての非正規雇用者を正社員化するといった企業収益を大きく圧迫することはしないでしょう(慈善事業じゃないんだから)。

ただ、ある程度の人員は確保する必要ができてくると思う。で、非正規雇用者の正社員登用において峻別が起こる。正社員は増えるかもしれないが、正社員に登用されなかった人は労働市場からの収入を完璧に奪うことになる。これこそ真の残酷物語だとコンキチは思うな。
 

なんだかんだ言って、非正規雇用という雇用形態は労働市場からの分け前を得る権利を、正社員以外にも増やす機能があるということは確実。それを闇雲に糾弾するのはいささか白痴的と思う二流代出のなんちゃって研究員でした。


2008年12月7日日曜日

これって老害?

先日、平野 啓一郎の「決壊」を読了しました。


かなりダークな気分になる作品ですが、中の上的な作品と個人的に思いました(ちなみの自分、純文学は比較的苦手でエンターテイメントが好きです)。どうでもいい話なんですが、同書の主人公がPerrier好きなんですが、コンキチもPerrier
飲んでみたくなってアマゾンで注文しちゃいました↓



けっこう旨いです。


閑話休題


最近、巷では雇用対策(新雇用対策)の話題がホットのようです。20以上のメニューがあるらしいです。で、メディアで流れている対策を聴いていて一番笑えた話題に一言↓

派遣労働者を正社員として雇い入れた中小企業に1人あたり100万円(大企業の場合は50万円)を助成
→この案考えた人って、確信犯か相当頭悪いとみた。正社員の費やされる金がどれくらいか分かってるのかね?しかも、正社員って簡単に辞めさせることはできない巨大な固定費でしょ。我が国における正社員の雇用って設備投資と同義で、稼働率を挙げる事が重要(そういう意味では、全ての産業は装置産業的な要素があるね)。で、派遣社員は変動費で、生産調整のためのバッファーでしょ(ちなみに、残業もバッファー)、結局。
それから、派遣社員(非正規雇用)としての雇用を批判しすぎて、仮に非正規雇用という雇用形態がなくなったとしたら、職に溢れるひとは増加する可能性が極めて高いと思うけどな。上述した理由から、これまで非正規社員として雇用されてきた人がそっくりそのまま正社員として雇用されることはあり得ない。そもそも、そんなことが可能だったら派遣社員の契約打ち切りなんてあり得ない。こんなの小学生だってすぐ分かることなのに、恥ずかし気もなく政策として打ち出そうとする政治家は、100万っていう分かり易い身近な大金をちらつかせることで大衆迎合を狙ったポピュリストか相当頭悪い老害政治家だね。
あと、仮に派遣労働者と正社員が全く同じ仕事をしていて(量•質ともに)、賃金格差があるとして、派遣社員を正社員と同じ待遇にしろ(正社員雇用しろ)というなら、既存正社員は現状の給料の下落を甘んじて受け入れなければならないはず(人件費は固定費だからね)。自分たちの賃上げしか頭にない労組には無理な話だね。

2008年12月6日土曜日

中流の戦略 extra

駅弁大好き、コンキチです。



↑先日、イトーヨーカドーでやっていた駅弁フェアで買った「かきめし」。かなりの秀作。また買いたいね



さて、城繁幸氏の著作「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」を読了しました。以前コンキチが読んだ「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代」へと繋がる著作ですね(see http://researcher-station.blogspot.jp/2008/08/3.html

で、本書で著者が述べていることは↓


年功序列の構造的問題と、年功序列維持のための世代間格差•その弊害


だと思います。


年功序列批判を耳にして久しいような気がしますが、年配層のその制度維持のために費やされるエナジーというか執念は凄まじいとコンキチは実体験を通して学習しました。腐敗した公務員システムを維持しようとやっきになっているどこかの国の役人にひけをとりません。まあ、全ての会社が皆一様に年配者の年功序列という既得権の維持に取り組んでいるわけではなでしょうが。

では、コンキチが体験した、若年層を生け贄にしてオールド•ジェレネレーションの地位を世代が築かれているという事例を以下にメモしてみます↓

a) なんちゃって成果主義の導入
人件費削減のためになんちゃって成果主義を導入する企業が多いと思う。具体的には昇級のスプレッドを細かく設定し直し、従来よりも昇級ペースを遅くするといったもの。しかも、年功序列システムしか経験したことのない考課者にまともな評価なんてできない。なので、年功主体の評価が下される。それから、既得権の打破は概して難しいもの。年配者は降格人事もなく、現在の高額給料と同等の給与水準から新制度がスタートする。若年であるほど、昇級ペースの遅さをモロに被る。つまり、企業の賃下げのメイン•ターゲットは若者ということ。

b) 適格退職年金の移行先
適年って近々廃止されるから、それを他の制度に移行もしくは清算しなければなりません。で、その移行先の候補として確定給付型のハイブリット(キャッシュ•バランスプラン)と確定拠出年金の併用が会社から提案されました。でも、労組の頑強な抵抗にあい、確定給付型のハイブリット(キャッシュ•バランスプラン)+退職一時金に落ち着きました。ちなみに、キャッシュ•バランスプランの金利は10年国債に気持ち下駄をはかせた程度の低利率で、上下にキャップしたもの。はっきりいって、若年層の年金支給額が大きく減るのは必死。勿論、年配者が(計算上)これまで積み上げてきた年金額は維持されて、そこから新利率が適用される。はっきり言って、圧倒的に年配者が有利なプランが導入されました。
確定拠出年金は、元本が確保されないという世間の間違った認識(超低利だけど、元本確保型の金融用品の組み入れが義務づけられている)や、年金支給額が目減りする可能性があるという理由から、保守的な従業員の間っでは導入に抵抗が強いかもしれません。でも、若者に圧倒的に有利な金融商品と思います。
年配者は運用機関が短かく若者に比べて資金需要も喫緊であるため、アグレッシブな運用をして年金試算を大きく目減りさせることが最大のリスクでしょう。なので、設定商品の中では高利回りが期待できる株式ファンドの組み入れ比率は大きくすることは賢明ではなく、従って、運用利回りは低下する可能性が高いと思われます。一方、若者は長期投資というハイリスク•ハイリターンの投資戦略をとることが可能。積み上がっている年金資産もたいしたことはなく、アグレッシブな運用をしたって年金試算の目減りする額は微弱。っていうか、当面はMSCI KOKUSAIに連動したインデックス•ファンド買っとけばいいでしょ。で、年とってきたら債券比率を徐々に増やしていけばいい。難しいことは何にも無い。
ついでに言わせてもらえば、確定給付型企業年金の運用リスクは、直接個人(従業員)ではなく会社が負うことになります。なので、運用が極めて芳しくなく、会社が特別損失なんか計上した場合は、従業員の給料(ボーナス)に跳ね返ってくると思うんだけどな。
つまり、年配者は若者に対して、
1) 年金原資の配分が有利
2) 運用商品も有利
3) 運用リスクもあまり負担しなくてよい(会社を経由して若年層にリスクを転嫁している)
という圧倒的有利な雇用条件を獲得している。

個人的に、企業の退職給付制度は、確定拠出年金か前払い退職金の選択制にするのがいいと思ってるんだけど、確定拠出年金には掛け金の上限が設定されていて、確定拠出一本に移行するのは現実的でない企業も多いと思います。なので、適年からの移行は確定拠出型企業年金と確定給付型企業年金を併用するのがベターかと思います。そうすれば、世代間格差が多少なりとも緩和されると思うから。

c) 増殖するポスト
会社は年功序列制度を維持するために、お年頃となった人材に役職をあてがうので、部下1人上司1人といった職場が増えたりします。例えば、コンキチにいたグループでは、管理職(経営補佐職)の割合が43%でした(しかも全てラインに乗ってる)。
あと、部署の長となる人間の異動があって、その人の社内の格によって部署が昇格したり降格したりということも繰り返されていました。管理部→管理室→管理部のように。仕事の役割の重要度ではなく、「既に手に入れた社内でしか通用しないグレードという既得権」に応じて部署の重み(?)が安易に変更されます。
結果、マネジメント能力が欠如している人間がマネジャーになって、部下を辟易させる。まともな神経もってたら、若手はやる気なくなるよね。まあ、こういう現象が起こるのは、城氏がその著作で述べている「たった一つのキャリアパスしかない」ことに起因するのでしょう。

d) 労組だって年功序列
労働組合は、「使用者vs.労働者」とい視点しか持ち合わせっていない場合があります。コンキチはそういうのを体験しました(全ての労組が前衛的ではないと思いますが)。で、我が国の儒教チックな思想と相まってか、世代間格差が議論の話題になることは皆無で、年配者の既得権を犯すことは絶対しない。その危険度はすごいよ。会社の賃下げ意欲が旺盛で、その矛先が若年層に向けられているのが明らかで、「今(若いうち)は(経済的に)大変だけど、そのうち(年功とともに経済的に)楽になってくるから」なんていう今後も継続するか分からない、っていうか既に崩れ去った成功スキームを人生の先達面で語ってくるたちの悪い輩が大勢いつるからね。で、飲み会では懐古趣味の繰り返し。
あと、しらふで公の場で、「だって給料減るのやだもん(だから、査定はいや)」とか「年金の話はそっとしといてよ(下手に見直されて給付額が減るのは嫌)」ということを恥ずかし気もなく吐く定年間近の輩もいるからね。でもコンキチは、いい歳こいて出世できなかった使えない人間の愚痴と思い、憐憫の情けをもって接してあげましたが、人としての品位を疑いましたね。


まあ他にも枚挙に暇が無いのですが、既得権維持パワーというのは凄いなと思いましたね。現状維持バイアスというか、保有効果というか、アンカリング効果というか。

フェアっていう発想がないんだよね。既得権益を享受している人達は、その世界だけで通用するユニフォーメーションっていう名の差別が大好き。


そういえば、マスゴミも世代間格差ってあまりアピールしてないような気がする。そもそも、頭空っぽの報道しかしないくせに平均年収1千万を優に超えてるゆるゆる業界だからね。


とりとめもなく長文になってしまったけど、中流に戦略としては、世代間格差の少ない業界をターゲッティングすることも視野に入れることも必要かもしれないということを提案したいです。そういった情報の非対称性を克服することは容易ではないかもしれないけど、様々なバランスを勘案して満足いく(許容範囲の)企業を見いだすことは不可能ではないと思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

2008年11月30日日曜日

中流の戦略 (5)

チーム・バチスタの栄光を観賞してみました↓


原作は読んでいないのですが、超面白かったですね。確か文庫で上下2冊でそれなりのボリュームがあると思うんだけど、上手くコンパクトにまとめて映像化したものだと感心させられます。

あと、キャストがよかったと思います。特に、竹内結子と阿部ちゃんがグッドと思いました。特に、阿部ちゃんの(トリックで培った?)クセのある芝居は最高です。


閑話休題


先日、近所の紀伊国屋に週刊東洋経済を買いにいったら、プレジデントのバックナンバーがあありました。で、「2008 5.5号 給料格差 新•図鑑」というのがありました。プレジデントっていうと、毎年11月くらい上場企業の平均年収のランキングをセクターごとに軽くまとめた、ある意味手抜き記事を掲載していますが、今回手に取った号をパラパラめくってみると改善がみられていました。どこが改善されていたかというと↓

a) 業界間の給与格差を明確に訴えていた
(でも、ざっくりとした分類。もっと細かくセグメンテーションして考えるべきだね)

b) ワーク•ライフ•バランスについて言及している
(平均残業時間、有給休暇取得実績ってデータがあるんだね。平均残業時間は就職四季報に収録されてるそうですが、有給休暇取得実績ってどこで公表されてるのか知ってる人がいたら教えてください)

c) ごく少数だけど、メジャーな企業のざっくりしたキャリア•パスが例示されている
(これって、社員のインタビューとか内部資料の開示がないと分からないと思うんだけど、情報提供す側に法的問題はないの?)
っていうかMyNewsJapanから引っ張ってきた資料なのかな?筆者がMyNewsJapanの運営者だからね。信頼性には疑問が残るね。


プレジってけっこう俗っぽい雑誌と思うけど、俗っぽいことを知っておくことも重要と思います。っていうか、巷で正規雇用と非正規雇用の格差がどうのこうのと言ってる人がいるようだけど、上場企業の正規雇用の中にあってあえ、天と地ほどの格差(っていう表現は適切じゃないと思うけど)が存在することに気づくべきで、(トップクラスの高額給与をゲットっしてる)マスコミはそのことを世に周知すべきと思うな。

それから、率直な話、人件費って安い方がいいでしょ。でも、給料がめちゃめちゃ高い産業とか職種っていうのがある。結局、それって人材としての希少性に由来するんじゃない?需要と供給だよね。そいいったことを教育することっ重要だと思うな。自分は自分の子供達にそういうことを教育していくと思う。


まあ、中流の戦略とかいっていろいろ書いてきましたが、ポイントは以下の通りと思います↓

a) 事業素養が良い産業をターゲッテッィング
b) 給料の良い業界をターゲッテッィング
c) 少なくとも平均勤続年数くらいはチェックする
d) 自分にあった(長くできそうな)職種を選択する
e) 退職給付制度のことを考えて、30年超定年まで奉公する
f) 「どうしても辞めたいと」思ったときのために、キャリアの断絶は回避する。万が一転職するときに有利。同じ事業素養がよく給料の高い会社に転職できる可能性が高まる。
g) 会社は宗教と認識する。会社にまるっきり洗脳されるのも一つの方策と思うけど、常識と良識を失いたくなかったら洗脳されないように自分を強く持つ。ただし、社内では目をつけれれないように洗脳にかかっているふりをする。強弱はあるけど、企業には宗教的面は存在すると思うな。

っていう感じかと思います。


どうでしょう?人材としての希少性が希薄な某二流大出のなんちゃって研究員の中流の戦略でした。

就職氷河期?

先日、ラフのDVDを観ました↓



はっきり言って、長澤まさみファンにはたまらない出来に仕上がっています。平成の南ちゃんだね長澤まさみは。ちなみに、コンキチは、若い頃、あだち充の漫画をそこそこ読んでいて、ナイン、陽あたり良好!、みゆき、タッチ、スローステップをコンプリートしましたが、ラフはぱらぱらっとしか読んだことがなく、今回のDVDがほぼ初体験でした。

それにけても、青春ラブコメが上手いね、あだち充は。


閑話休題


最近、来春大学卒業見込み者の内定取消の話題が世間を賑わせているようです。ちょっと前までは、団塊世代の大量退職による人不足(2007年問題)とか空前の売り手市場とかなんとかいわれていたような気がしたのですが、今度は一転して就職氷河期の再来ですか?

全く世間の風評とは移り気な物だなあと思う今日このごろです。っていうか、内定取消の件数って何件くらいあるの?メディアはネガティブなニュースを好むから、就職氷河期とう不安を煽るために、件数が少なくても軽く世間の耳目を集めることができそうなことのスポットを集中しているだけっていう気もする。

先日どこかのニュース番組で、不動産関連企業で内定取消が多いっていう報道がなされていた気がしたけど、不動産業界ってそもそも事業素養が良くないし(ただし、賃貸は良いと思う。衣食住は基本だからね)、はっきり言って、そういうところを就職先としてターゲッティッングする時点で終わってると思う。

また、不況だからといって一時的な経費節減のために新卒採用を控えた結果によって、企業内の人員構成が歪められるデメリットが大きいことを過去の教訓として知っているまともな企業は、簡単に内定取消しすることはないでしょう。それに、内定取消したっていう情報が駆け巡ることによるデメリットも大きいと思うし(まともな学生がエントリーしなくなるからね)。

あと、トヨタが大幅減益見通しで大変だあ大変だなんていってるけど、自動車産業って産業構造的に不景気になれば買い控えが生じやすい業界だと思うし、大騒ぎすることじゃないと思うな。それに、IR資料とかチェックしてないけど、過去の巨額の内部留保があるんじゃないの?(間違ってたらごめんなさい)。

ゴーイング•コンサーンたるまともな企業は、よっぽどのことが無い限り内定取消とかしないと思うな。なので、内定取消する企業は、まともじゃない企業か、アップアップな企業で、いずでは破綻の憂き目にあう可能性の高いヤバい会社じゃないの?っていう気がします。

日本の企業は非正社員に厳しいから、内定取消の憂き目にあった人は、戦略的留年とかするなりして、その間に業界研究とかしっかりやって(上場企業とか有価証券届出書提出会社を狙ってる人だったら、有報とかのIR資料を読む。当然、競合他社のそういった資料も読むくらいのことはする)、事業素養が良く、かつ給料の良い会社に正社員入社することを目指すのも手かなと思います。

それから就職テクニックを一つ紹介(まだ有効かどうか分からないけど)。大学の工学部とかの理系の研究室では、企業との共同研究とかしてる場合とかあって、教授のコネクションとかがある場合があります。なので、就職活動時期に先生から就職先を紹介される場合があります。ちなみに、コンキチはク◯レと山之内◯薬(当時)を紹介されました。先輩は日本ゼ◯ンとか、D◯Cとかチ◯ソとか日産◯学とかミヨ◯油脂に就職してたな(全てにおいて教授マジックが炸裂したわけではないと思うけど、就職のよい先生というのは地方大学でもいます)。あと、コンキチの同期入社で、香料会社だったら長谷川◯料を紹介できるけどと担当教授から言われたという人もいます。っていうか、バブル期にコネ入社した先輩がけっこういるし、共同研究いていた教授の息子(博士)も会社の先輩にいました。余談だけど、同期入社の女の子でお父さんが社員とか、工場関係でのコネ入社の話も何件か耳にしました。

なので、企業に就職してサラリーマン人生を謳歌しとうと考えている人は、大学で何の役に立つのか分からない&何勉強してるか分からない文系なんか選択せず(っていうか我が国のサーベイはレベル低いらしいし see 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書))、理系に進んで、しっかり研究活動に励んで手に職つけて、就職の良い教授にいい就職先(大企業)を紹介してもらいましょう。そうすれば、理系離れも解消され一石二鳥だと思うんですが。


以上、超就職氷河期(1999年)に就職した二流大出のなんちゃって研究員の無責任なつぶやきでした。

2008年11月29日土曜日

The Choice

遅ればせながら、エリヤフ•ゴールドラット博士の新作「ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!」を読了しました。ちなみに、日米同時発売だったらしいです。



さて、率直な感想ですが、軽くガッカリです。これまでの著作で感じられた新ルールというのが感じられなかった。っていうか、本書の多くの部分は、我が国にカリスマ経営者である鈴木会長が口を酸っぱくして繰り返し語り続けてきたことのおさらいとさえ思えました。

具体的には、

a) 最初の方では機会損失とタンピンカンリ(単品管理: 売れ筋•死に筋の管理)に着目することの重要性が語られているけど、セブン-イレブンのオペレーションに酷似していると思いました。

b) あと、サプライ•チェーンにおけるWin-Winの関係構築というのも、トヨタやホンダのケイレツにおいて既に具現化されている気がする。例えば、DHBR 2005年6月号 「在庫最適化のサプライチェーン」の中の『トヨタとホンダのサプライチェーン・リレーションシップ「KEIRETSU」マネジメント』やボス、在庫が大変です!―サプライチェーン・マネジメント(SCM)はこうして始まる!?に書いてあることに酷似していると思う。っていうか、SCMを突き詰めていくと、トヨタ生産方式に収斂していくと思う。実際、ゴールドラット博士も大野氏を尊敬しているようだし。

c) それから、「決して、分かったつもりになるな」という所謂、常識を盲信するなというのも、いろいろな人が繰り返し述べている事と思うし、(B2Bであっても)顧客の視点を取り入れるというのも、鈴木会長の、「顧客のためではなく、顧客の立場にたって」というのに酷似していると思います。

d) コンフォートゾーンというのも行動経済学チックだし、一見自分が理解し易い安直な結論を導きだす危険性に関する部分は、頭の良さ(抽象的思考)とか、知識量(経験量、単に知っているかどうか)とかフレームワークを使うことで解決できるような気がする。

e) 「ものごとは、そもそもシンプルである」というのも、特にインパクトは感じられなかった。っていうか、人間は判断は二者択一の連続だし、複雑=沢山の単純(単純×無限大)だとも思うし。あと、01信号とかを考えると特に奇異にはきこえないな。


ただ、これまでの著作通り、噛み砕いて分かり易い文章は良いと思いました。SCMを平易な文章で概観するという意味と、アパレルとかパン屋の具体的な事例研究という意味では価値があると思いました。特に、アパレルの話は、ZARA(see DHBR 2005年6月号 「在庫最適化のサプライチェーン」の中の『ザラ:スペイン版トヨタ生産方式』)とは好対照な戦略が記述されていて面白いです。


因みに、博士のこれまでの著作はこちら↓



ちなみにコンキチはコンプリートしています。

あと、スループット会計がよく分かる本ね↓


2008年11月27日木曜日

Hard & Soft: Co-opetition (1.5)

先日、トムヤム春雨というパンチの効いた辛さの即席食品を食べたというブログを書きました。
see http://researcher-station.blogspot.jp/2008/11/water-soluble-carbodiimide.html

調子にのって、今度はこんな類似商品を試してみました↓

春雨ではなく、トムヤムビーフンです。
自分的には春雨よりもビーフンの方が良かったです。


さて本題ですが、「DHBR 2007年6月号 「勝利」の戦略論」の中の論文

「ハード•パワー」と「ソフト•パワー」を駆使する補完企業との戦略的パートナリング

を読んでみました。

気になったことえを以下にメモします↓

a) ウィンテル: MS (Microsoft)のハード•パワー
インテルがMMX計画(これか?)を進めていたとき、AMD(アドバンスト•マイクロ•デバイス; 半導体メーカー)が3DXという(同様な?)プロジェクトを進めていてハードウェアプラットフォームの分裂の可能性があった。MMXとAMDそれぞれにOS (Widows)を供給しなければならなくなると、MS的にはコスト上昇になってしまう。
で、MSはインテルに、他の半導体メーカーにMMXを無償でライセンス供与することを要求した。
その後、インテルはMSの力を弱めるため、リナックスの普及を支援した。

b) Appleのソフト•パワーとハード•パワー: iTunesストア
ソフト•パワー戦略では、「すべての関係者が利益を得る」といった魅力的なヴィジョンを公に広く訴えることが重要と著者は説きます。で、それが上手なのがスティーブ•ジョブズと言います。
iTunesストアを立ち上げる際、「なぜデジタル著作権を相手に渡さなければならないのか」とぶつぶつ文句を言っていた(レコード会社の)人たちが、「アップルだけに限定配信したい」と言い出したそうです。ここまではソフト•パワー。
2003年にスタートしたiTunesストアが2005年に契約更改するとき、アップルはレコード会社の値上げ要求を拒否したそうです。ちなみにこの時、アップルは合法ダウンロード市場シェア80%で、ハード•パワーを行使するに足る市場の覇者だったのです。

c) ソフト•パワーを学ぶ: IBMとリナックス
IBMがリナックスを支援したという話。で、IBMは、恩ぎせがましさとか主導権を奪取しようとかそういうことを一切リナックスに要求することなしにリナックスを一番支援したそうです。すると、IBMはリナックス支援団体(?)の盟主的存在になったそうです、automaticallyに。

-感想-
aのウィンテルの事例は、MSがやりすぎたんだよね。窮鼠猫を噛むまではいかないけど、そんな感じ。
bのiTunesストアは、軟硬上手に使い分けた例と思います。ジョブズの性格が上手く出たのかな?っていう感じです。
cのIBM-リナックスのホットラインは、返報性がソフト•パワーを誘起したと感じました。

-まとめ-
本報では、「ハード•パワー」は事態の急転に有効。「ソフト•パワー」は中小企業でも可能な戦略(っていうかよっぽどエッジが尖ってないと中小にハード•パワーの行使は無理だよね)。時間がかかる。因果の特定が困難ということが挙げられていました。まあ、両者バランスをとって併用するのが良いのでしょう。


この論文では、コンキチが読書中の「ゲーム理論で勝つ経営」(「コーペティション経営」の改題文庫本)について言及されていjます。で、補完企業というか、周辺企業というか、そういった企業との関係というかパワー•バランスというか、なんかそういうの考えるのって面白いなと思う二流大出のなんちゃって研究員でした(完璧、徒然です)。

2008年11月24日月曜日

デファクト•スタンダードの真実

先日、会社帰りにAKIBA TOLIMの中に入っている82 ALE HOUSEというお店に寄り道してみました。

で、こんな飲み物達をオーダーしてみました↓


←まずはヴァイツェンを1/2 pint (¥500)。
控えめだけれど品の良い香りと、芳醇なモルトの香味で良いです。






で、ビールを呑み干したあとにオーダーしたのは、コンキチの大好きなアイラモルト「ラフロイグ 10年」のロック(¥500)↓


smokyで、薬品臭くて、oilyで、メチャクチャ口当たりが良くて、芳醇な甘い香味、一度知ったらやめられない。そんな蠱惑的な至高のプレミアム•スコッチの一つです。
はっきり言って、文句無く旨い!!!


cf. http://realsakeguide.blogspot.com/2006/07/laphroaig-10-years-old.html

ラフロイグの余韻を存分に堪能した後、最後に注文したのが↓

←アイラハイボール(¥600)です。ベース•モルトにラフロイグを使っているという一品。っていうか、純粋にラフロイグのハイボールを飲みたかったんだけど、よくよく商品説明を読んでみると、「スモーキーでオイリーな個性のラフロイグをベースにロンドン生まれのリキュールをあわせたマニアックなハイボール」と書いてあるではありませんか。で、そのリキュールっていうのが、ハーブ系のリキュールっぽいように思ったんだけど、はっきり言ってイマイチでした。薬品系の香味を重ねるという意図のカクテル(ハイボール)だったのかな?

店員の愛想もよくて、なかなか良い雰囲気の店と思いました。これから月に1回くらいは行きたいな(アイラハイボールはもう注文しませんが)。

さて、前置きな長くなりましたが、「DHBR 2007年6月号 「勝利」の戦略論」の中の論文「デファクト•スタンダードの真実」を読んでみました。著者は、早稲田ビジネススクールの山田英夫教授(名前がコンキチの大好きな有栖川有栖の作品に登場する英都大学助教授火村英生と名前が似ていて親近感が湧きます)。

経営学とかの社会科学の分野では、国内の書は読むに値しない駄作が多いという噂を耳にしますが、本論文は、(少なくともコンキチ的には)なかなか良いことが書いてあると思ったのでメモしてみます。

まず、デファクト•スタンダードの定義ですが↓

a) ネットワーク外部性が働く
b) 高いスイッチングコスト

を満たすものと定義されています。

で、デファクト•スタンダードの地位を獲得すると、企業は長期的な大きな利益に浴することができるというイメージが世間にはあるように思われますが、必ずしもそうではないと著者は説きます。競争の激しハイテク分野では、デジタル化というイノベーションの波や賢い消費者の選択により、デファクト•スタンダードの優位性は引き下げられているといいます(例えば、VHSはデファクト•スタンダードだったが、もう今はDVDとかブルー•レイでしょ。しかも、1社が独占しているわけではない)。

ただ、ハイテク分野(だけに限らないけど)とかでも、「見えないビジネス」でデファクト•スタンダードの地位を獲得して寡占化してしまう戦略は有効である可能性が高いと述べられています。つまり、エンドユーザーから見えないB2Bの部分、最終製品の中のキーデバイスでデファクト•スタンダードとなるという戦略です。で、本報では最近(当時?)注目のデファクトとして以下の事業が列挙あれています↓

a) フェリカ (ソニ)
b) SAWフィルター (富士通)
c) カメラ付き携帯の目 (ソニー)
d) iPodのHDD (東芝、日立)
e) 小型大容量メモリーカード (SD、MS、マルチメディアカード、CF等)の知財マネジメント (サンディスク)
f) 全国百貨店共通商品券の発行(印刷)とネッティング(一括清算業務) (DNP)
g) マイレージ (JAL)

ちなみに、JALの例は、「JALマイレージバンク加盟店で消費者が買い物すると代金の1%分のマイルが付与される。加盟店はJALに1マイル当たり、3-5円支払う。JALカードによる支払いは10%前後をJALに支払う。」のだそうです。
ref. 週刊東洋経済 2007年1月20日号

あと、コンキチの無責任な思いつきとしては、日本電産のモーターなんかも隠れデファクト(勝手に命名)と思います。

隠れデファクト戦略では、賢いファイナルユーザーの目っていうのは関係ないし、あからさまに世間にアピールされるものじゃないから、相対的な注目度が下がって、競争の激しさが緩和されるのかな?


以上、二流大出のなんちゃって研究員の独りよがりなメモでした。

2008年11月23日日曜日

Catalytic Mitsunobu Reaction

前回のブログで光延反応についてメモしてたら、以前読んだ文献を思い出したので、ついでにメモします。

タイトルは↓

Organocatalytic Mitsunobu Reactions
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9636-9637.

この論文も、光延反応後の副生成物の除去に着目したものです。

具体的には、DEADが還元されて生成する1,2-dicarbethoxyhydrazineを化学量論量のPhI(OAc)2で酸化してDEADを再生することにより、DEADを触媒的に回して、除去し難いヒドラジン誘導体の生成量を減らし、精製を容易にしようしという論文です

ベストプラクティスは、0.1eq.のDEAD、2.0eq.のPhI(OAc)2とPPh3を使用したとき。

4-ニトロ安息香酸(1.1eq.)と2-フェニルエタノール(1.0eq.)との反応では、THF中、上述したモル比で試薬を作用させ、室温で16時間反応させることで、目的のエステルが収率90%で得られる。

で、ちょっと驚いたのが、DEADなしでも反応がある程度進行するということ(現在っていうか当時、メカニズムの解明中らしいです)。

この他に9例あったのですが、いずれも化学両論量のDEADを用いた場合より収率は低いのが残念です。

コンセプト的には個人的にけっこう好きですね。

New Mitsunobu Reagent


←通勤途上のスタバでこんなのを発見して、そのレトロなデザインに惹かれて、つい買っちゃいました。」ただの水なんですけどね。

さて、こんな文献を読んでみました↓

Simplification of the Mitsunobu Reaction. Di-p-chlorobenzyl Azodicarboxylate: A New Azodicarboxylate
Org. Lett. 2006, 8, 5069-5072.

新しい光延試薬の話です。

光延反応はその立体特異的な反応から合成化学上かなり有用なツールであることに異論はないと思います。で、一般論として、副生成物として生成するヒドラジン誘導体とO=PPh3の分離が(スケールが大きくなれば大きくなる程)結構面倒です。上記課題を解決するために試薬をモディファイする研究がいろいろ報告されているような気がします(コンキチはあまりそういうのを積極的に読んだことはありませんが、大抵そういったことが枕詞になってる気がする)。

で、今回の論文は、アゾジカルボキシラート側をモディファイした試薬についての報告です。DEADやDIADが一般的に用いられるアゾジカルボキシラートと思いますが、本報でフィーチャーっしているのはDCAD (Di-p-chlorobenzyl azodicarboxylate)です↓


ウリは、
a) 室温で保管できる(安定なオレンジの結晶性の固体, mp. 108-110℃)
b) 副生するヒドラジンの除去が容易

というものです。

まず合成法ですが、こちら↓


1,2-dicarbethoxyhydrazineまでが84%。NBSによる酸化が98%。


2,6-dimethoxybenzoic acidとBnOHとの反応で、DEAD, DIAD, DCADを比較してみると(CH2Cl2, 1.0 eq. of BnOH, 1.1 eq. of Ph3P, 1.1 eq. of azosicarboxylate)↓

DEAD/ 94%
DIAD/ 89%
DCAD/ 92%

反応性的には、他の試薬と同等です。この他に九つの基質についてDCADとDEADを使って試していますが、収率はチョット良かったり、ちょっと悪かったりで、おしなべて反応性にそう相違はないようです。

あと、1,2-dicarbethoxyhydrazineの除去のし易さは、TLC (silica gel)でAcOEt:Hexane=1:1で展開してこんな感じ↓
DCAD→ Rf = 0.05 (major rotamer)
DEAD→ Rf = 0.37
DIAD→ Rf = 0.39

しかも、DCAD由来の1,2-dicarbethoxyhydrazineは反応後、反応液をCH2Cl2で薄めて濾過することで、66-82%回収可能だとか。

以上、メモでした。

Water-Soluble Carbodiimide

←こんなジャンキーな食品を摂取してみました。

かなり刺激的で、パンチの効いた味わいで(っていうか、なかなかの辛さ)よいです。以前このブログで触れたSoup Stock Tokyoの酸辣湯もこのパンチの強さを参考にして欲しい(see http://researcher-station.blogspot.jp/2008/10/blog-post_11.html)酸辣湯とトムヤムクンじゃちょっと違うけどね。

さて、こんな文献を読んでみました↓
Mechanism of Amide Formation by Carbodiimide for Bioconjygatioin in Aqueous Media
Bioconjugate Chem. 1995, 6, 123-130.


水溶液中における
1-ethyl-3-(3-(dimethylamino)propyl)carbodiimide hydrochloride (EDC)↓


の話です。ちなみに、EDCはWSC (Water-Soluble Carbodiimide)とも呼ばれたりします。
cf. http://dominoweb.dojindo.co.jp/goodsr5.nsf/View_Display/W001?OpenDocument
溶ける溶媒: 水、アルコール、クロロホルム、アセトン、ジオキサン、DMF、塩化メチレン
溶けない溶媒: ヘキサン、エーテル

本報では、これまで(1995年時点で?)あまりサーチされてこなかった水溶液中でのEDCの挙動(pH、カルボキシル基とアミノ基の解離状態等の影響)について、深く掘り下げています。実験はカルボキシル基を導入したヒドロゲルとかのポリマーを使って行ってます。

で、EDCは↓
a) 低pHの水溶液中では即座に活性を失い、ureaになる
b) 中性から高pH領域では非常に安定(25℃、pH>6.54で少なくとも5 hrは大丈夫)
c) pH 3.5(カルボキシル基が解離していることが必要)-4.5といった比較的狭いpH領域で、カルボキシル基とよく反応する(また、過剰のEDCを用いなければ反応は起こらない。カルボキシル基に対して0.5eq.のEDCの使用ではカルボキシル基の変化はみられない)
d) EDCとヒドロゲルとが与えるプロダクトはpH 8以下で安定
e) 過剰のEDCを用いると、N-acylureaを副生する(PEG-COOHとPEG-COOHのカルボキシル基の30倍のEDCとの反応。PEG-COOHはMw=3000のpoly(ethylene glycol)dioglycolic acid)
f) PAAc(Mw=4×106のpoly(acrylic acid)のNa塩)とEDCとの反応により、水に不安定な酸無水物が生成しているようだ(PAAcの-COOHに対して<0.5eq.のEDC) って言う感じの性質があるそうです。 で、 ヒドロゲル(Noncyclizable carboxylic acid, Cyclizable carboxylic acid)とエチレンジアミンとの脱水縮合では、 a) Cyclizableの方が圧倒的にアミドの形成率が高い。
b) one step method (Gels were put in 100ml of pH 4.5 containing 0.1 M 1,2-ethylenediamine, 0.1 M acetic acid, 0.1 M NaH2PO4, and 1.0 g of EDC and keptat 25℃ for 30 min)とtwo step method (Gels were pretreated with EDC at pH 4.5 and 0℃ for 30 min, put in a mixture of pH 7.0 containing 0.1 M ethylenediamine and 0.1 M NaH2PO4, and kept at 25℃, for 30 min)では、one step methodの方がアミド形成率が高い。
c) Cyclizable Gelを用いたtwo-step methodにおいて、BnNH2との反応でpHが高いと反応が促進される。エチレンジアミンの場合は、pH依存に対する明確なトレンドはないが、おしなべてBnNH2より効率が良い。
d) Cyclizable Gelとエチレンジアミンとのone-step methodでは、pH 5周辺が最適pH
e) EDCとカルボキシル基との反応はpH 3.5-4.5。アミド形成はアミンがイオン化していないことが必要。で、この二つの相異なる要請の落としどころとして、pH 5が最適pHになるのではないかと推断
f) Cyclizable Gelとエチレンジアミンとのtwo-step methodによる反応で、アミド形成率は前処理時間に大きく依存。5 minで極大となり、その後の処理時間の延長は劇的な収率低下につながる。中間体が水溶液中で極めて不安定であることが示唆される(PAAcの場合と同様)。

あと、小分子のカルボン酸(マレイン酸、フマル酸)とエチレンジアミンとの反応では↓
a) 13C NMRから、コンバージョンは、マレイン酸>フマル酸(っぽい)
b) マレイン酸とエタノールアミンとの反応: 反応1 hrで、ca. 80%のアミド形成
c) フマル酸とエタノールアミンとの反応: 反応24 hrで、ca. 30%のアミド形成


上記実験結果から、著者らは以下のような反応機構を提案しています↓

あと、エチレンジアミンとBnNH2の反応性の相違については、アミド形成段階ではアミンがイオン化していないことが重要で、
エチレンジアミン: pKb1 6.85, pKb2 9.93 (25℃)
BnNH2: pKb 9.60 (25℃)
だからと考察しています。


今回は以上です。