2008年11月23日日曜日
New Mitsunobu Reagent
←通勤途上のスタバでこんなのを発見して、そのレトロなデザインに惹かれて、つい買っちゃいました。」ただの水なんですけどね。
さて、こんな文献を読んでみました↓
Simplification of the Mitsunobu Reaction. Di-p-chlorobenzyl Azodicarboxylate: A New Azodicarboxylate
Org. Lett. 2006, 8, 5069-5072.
新しい光延試薬の話です。
光延反応はその立体特異的な反応から合成化学上かなり有用なツールであることに異論はないと思います。で、一般論として、副生成物として生成するヒドラジン誘導体とO=PPh3の分離が(スケールが大きくなれば大きくなる程)結構面倒です。上記課題を解決するために試薬をモディファイする研究がいろいろ報告されているような気がします(コンキチはあまりそういうのを積極的に読んだことはありませんが、大抵そういったことが枕詞になってる気がする)。
で、今回の論文は、アゾジカルボキシラート側をモディファイした試薬についての報告です。DEADやDIADが一般的に用いられるアゾジカルボキシラートと思いますが、本報でフィーチャーっしているのはDCAD (Di-p-chlorobenzyl azodicarboxylate)です↓
ウリは、
a) 室温で保管できる(安定なオレンジの結晶性の固体, mp. 108-110℃)
b) 副生するヒドラジンの除去が容易
というものです。
まず合成法ですが、こちら↓
1,2-dicarbethoxyhydrazineまでが84%。NBSによる酸化が98%。
2,6-dimethoxybenzoic acidとBnOHとの反応で、DEAD, DIAD, DCADを比較してみると(CH2Cl2, 1.0 eq. of BnOH, 1.1 eq. of Ph3P, 1.1 eq. of azosicarboxylate)↓
DEAD/ 94%
DIAD/ 89%
DCAD/ 92%
反応性的には、他の試薬と同等です。この他に九つの基質についてDCADとDEADを使って試していますが、収率はチョット良かったり、ちょっと悪かったりで、おしなべて反応性にそう相違はないようです。
あと、1,2-dicarbethoxyhydrazineの除去のし易さは、TLC (silica gel)でAcOEt:Hexane=1:1で展開してこんな感じ↓
DCAD→ Rf = 0.05 (major rotamer)
DEAD→ Rf = 0.37
DIAD→ Rf = 0.39
しかも、DCAD由来の1,2-dicarbethoxyhydrazineは反応後、反応液をCH2Cl2で薄めて濾過することで、66-82%回収可能だとか。
以上、メモでした。
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