2006年12月25日月曜日

安全と効率はトレードオフ

前回のブログで、

「安全の確保っていうのは、効率と対立するものではなくて、効率向上に資する素材の一つだと思う訳です。」

と言っておきながら、舌の根の乾かぬうちにこんなタイトルです。

広い視野で見れば、安全と効率は共存する関係だと思いますが(前回のブログで述べた通り)、狭義ではトレードオフの関係にあると思っています。

1) 良くある話?
ある作業を行うにあたって、そこに何らかの危険因子があったとして、その危険因子を取り除くために安全確認作業を加えたとします。で、この安全確認作業を加えたものを新ルールとすると、

新ルールの作業時間=旧ルールの作業時間+安全確認作業時間

となるでしょう。つまり、単位時間当たりにこなせるタスクが減少することになります。これは、効率が下がったということではないでしょうか?

2) かなり極端であり得ない話

a) 企業の行う活動には常になんらかの危険が伴う(歩いて通勤していたら、通りすがりの車に突っ込まれたなんいうのもありますから)

b) 危険因子は全て取り除かなければならない(仮定の話です)

c) 企業としての活動を全て止めてしまえば、危険は全てなくなる

d) 会社を解散しますか?

上記2例から、コンキチは安全と効率はトレードオフの関係にあると強く主張したいと思います(当たり前ですが)。

で、ここでもう一つ言いたいのが。

A) (全くの同一作業において)安全活動が持続するものであれば、安全確認作業は増え続ける(=単位時間当たりにこなせるタスクが減少)
B) 既に現場が過去のものとなって久しい管理監督者は、過去の基準によって判断する(=安全確認作業を織り込んでいない)
C) A+B→管理監督者は、部下がトロトロしていると感じ、部下にプレッシャーをかける
D) プレッシャーをかけられた部下は、過負荷状態に陥る
E) 最後に過負荷状態に陥った部下は、そのうちなんかやらかしてしまう(カモ)

ということで、災害は起きるのではないかとコンキチは思います。一個人の所感ですが、(コンキチの勤務する会社や関連会社の)災害事例をみると、 その何れもが、過去に何度も起こっていて、対策も口が酸っぱくなる程繰り返されているものばかりなのにも関わらず、同じような原因で事故が発生しているように感じます。

安全、安全と口で言うのは容易いですが、

i) 「安全と効率はトレードオフ」ということを認識し、
ii) 安全確認は企業を健全に運営して行くための共通費用であると考え、
iii) 作業効率の向上は、合理化によって成し遂げる

ということを、より上位職位の方々には強く励行して欲しいと思う二流大卒のなんちゃって研究員のとある師走の一日でした。

cf.トヨタ張りにタクトタイムを測定するのもいいかもしれません

2006年12月19日火曜日

Safety?

今日も化学工場で爆発事故が起きたようです。
(密かにコンキチの勤務する会社も10年以上前に爆発事故で死人が出たそうです。)

で、何故このような事故が起こるのかというと、結局は、

安全を疎かにしている

からっでしょう。だって、面倒臭いから。

コンキチの勤務する会社でも、前の工場長が、「安全第一とは言っているが、実際には、効率を重視しないと.....」的な発現をして、「このこことは議事録には書かないでね」って言ってましたから~。残念!!!

口では安全、安全と連呼しながらも(っていうか連呼してるだけ)、その実、プレッシャーをかけ続ける。で、事故(とか問題)が起こってからオロオロする。正直、笑えます。

プレッシャーをかけることで、労働密度が上がる

同一作業にかけられる時間が減少する

でも、同様の結果が求められる

ちょっとくらいならと、本来とらなければいけないちょっとした面倒な作業をショートカットする

エスカレート

爆発事故(in 化学工場)

事故ってこんな感じで発生するんだと思うんですよね。茨城県のJOCの事故もそんな感じでしたよね。

結局、単にプレッシャーをかけることで見かけの作業効率をUP↑させることは合理化ではないということを経営者や管理監督者が分かってないんでしょうね。あと、今日大丈夫だったから明日も大丈夫だ的な発想で、安全にかかるリスクマネジメントを軽視してるのでしょう(とりあえず、マニュアル作って安全に気を付けてと言えば責任を果たしたと思っている)。

マネジメントというのは、

1) 非社会的なことをせず、
2) (自分の管理下にある)システムの生産性を上げること。

とコンキチは考えています。

で、安全の確保っていうのは、システムの生産性を上げるのに資すると思うんですよね。

企業の目的は利潤を追求することだから、効率第一といいたい気持ちは分かるし、実際そうだと思いますが、安全の確保っていうのは、効率と対立するものではなくて、効率向上に資する素材の一つだと思う訳です。

例えば、ある不安全行動により問題が生じた場合、(程度にもよるでしょうが)生産性(nealy効率)は毀損することでしょう。対策を立てたり、賠償をしたり、信用を失ったりと。

安全っていうのは、生産性の中にビルトインされているということを、より上位職位の方には肝に銘じておいて欲しいと思います。

以前読んだ雑誌に、キャノンは研究開発部門を徹底的に整理整頓することで、生産性を上げたという話が書いてありました。

「汚くったって成果さえ出せばいいんだ」と反論される人もいるかもしれませんが、「汚い空間で平気でいられるセンスの持ち主にCreativeな発想ってできるの?」とコンキチは逆に聞きたいです。あと、汚い空間では、器具とかもつかいっばない、やりっぱなし、どっかいきっぱなしなんじゃないんですかね?明らかに機会損失が発生していると思います。あと、機会損失=非効率です。生産性を害しているのは明らかです。「自分の使ったものを放置しても、その間もっと生産性の高い仕事をしてるんだからいいんだよ」という人もいるかもしれませんが、そういう人には、あんたの生産性が機会損失を考慮してなおどれくらいあるのかを数値で示してもらいたいぐらいです(っていうか、お茶飲んだり、タバコふかしたり、意味の無い会議資料つくってる間に片付けをして欲しい)。

まあ、かくいうコンキチの勤務する会社も偉そうなことは言えませんが(だから、極力自分の身は自分で守ります)。

以上、二流大出のなんちゃって研究員のひとりよがりな独白でした。

2006年12月15日金曜日

マネロン入門

最近発売された、橘玲著「マネーロンダリング入門」を読了しました。

本書では、近年発覚したマネロン事件の内幕が、門外漢にも分かりやすく、スリリングに展開されていて、この手の本にしては、めずらしく興奮してしまいました。

密かにコンキチは、橘氏の著作や、氏と関連の深い「海外投資を楽しむ会」の著作(「ゴミ投資家シリーズ」、「小富豪シリーズ」とか)を読み漁っています。

それらの本には、(特に橘氏の単独名義のものには)声を大にして放言するにはいささかはばかられるような「本当のこと」が赤裸々に描かれているようにコンキチには思えます。

例えば、本書は著者あとがきは、

「いつの時代でも、理想や正義を声高に語る人の後をついていくとろくなことはない。この本に書いたのは、たとえば、そんな単純な真理である。」

という言葉で締めくくられています。

コンキチはこのフレーズに、人生におけるリアルを感じざるをえません。

「正義」、「理想」、「宗教」といったものは、結局は我々人類が(勝手に)生み出した幻想に過ぎないと思うし、政治は所詮妥協の技術に過ぎないと感じています。

「自由」なんていう言葉も、この世に生を受けた時点で、その国に束縛される現実を鑑みると、空虚な響きがします。

高邁な理想を声高に謳うのは気分がいいかもしれませんが、そういうヤツに限って二律背反する事象を、口当たりのいいフレーズにのせて喋っているだけで、矛盾を孕んだ幻惑の呪文を詠唱しているように感じてなりません。

コンキチがぶつぶつ文句を言いながらも、(一応)研究員を続けているのは、虚構の蔓延るたまゆらなこの世界にあって、少しでも真実らしいものを見出したいからなのかもしれません。

今日はちょっと沈んでいます。

2006年12月8日金曜日

サラリーマン処世術

「さからわず いつもニコニコ 従わず」
by 初芝電算(株) 新入社員 亀淵(だったと思う)

イブニングで連載している「ヤング島耕作」中ででてきた台詞。

この言葉を初めて目にしたとき、頭を雷に打たれてような気持ちになりました。

だって、言い得て妙ですから!

そもそも、上司という存在は(例えば、有機化学とかの世界だったら)、既にロートルなんですよね(コンキチの勤務する会社では)。

理由↓
a) もうオペレーションからは足を洗ってる訳だし、(本人による)リアルな発見はもうない
b) 年中忙しい症候群にかられていて、ちゃんと(有機化学の)勉強してますか(管理職じゃないけどコンキチはしてない)
c) 過去の実績がそれなりに認められて現在のポジションにいるわけなんでしょうが、それゆえ過去の成功体験に思考が引きずられて、新しい着想がでてこない。枕詞は「経験を積めば.....」。(経験だけじゃサイエンスとはいえませんよ)

なんていうことがとりあえず頭に浮かんできます。

奴らは管理職(マネージメントをまともに勉強したことがあるのかは定かではない)なので、ザコキャラ(部下)に色々と(ロジックが破綻している)指令を出す訳です。

で、今回の「座右の銘」はそんな時に効果的なんですよね。

1) さからわず→命令に従った(フリ)ということ
2) いつもニコニコ→(いかにも)上司の言うことは全くもってその通りですよ(というフリ)
3) 従わず→上司に(訳の分からない)注意されたら、「以後、気をつけます」「はい、分かりました」ととりあえず言っておく(だけ)

↑こんな感じで。

それにつけても、俺ってホントに心が病んでるなあと思う今日この頃の二流大卒のなんちゃって研究員でした。

2006年12月6日水曜日

パテントの秘密?

コンキチは学生時代、担当教授が産学共同好きだったので、企業からの頼まれ研究(共同研究とも言う)で、特許明細書の実施例(実験項ですね)を書かされたことがあります。そして、会社に就社してからも、明細書を仕事で書きました。あと、他社が出願した公報を見たりもします。

で、上記二つの世界を垣間見て思ったことなんですが↓

1) 学生の名前が発明者の欄に記載されないことがある
先生から1万か2万円くらいお小遣いをもらってそういうことになった。実益重視でいけば文句はなかったのですが、明らかに間違ってると思いますね。

2) 企業はデータに下駄をはかせるのがお好き
上司に収率のかさ上げを強要された。進歩性を高めたかったのかな?入社1-2年くらいのときの話です。正直、心が痛みました。もう2度とこういうことはしません。

3) 企業は空想がお好き
やってもいない実施例を付け加えたり、トレースしてもNo Reaction Death!!!!!というのがあった。腕が悪かっただけかもしれませんが。

4) 学生は嘘つかない
嘘を書く合理的理由が無いですから(少なくてもコンキチの周りはそうでした)

こんな感じです。

まあ、コンキチが携わった特許で登録されたものはまだありませんが.......なんか書いてて哀しくなってきました。

実際問題として、特許って論文のreferenceにもなっていたりするのに、こんな体たらくではどうしようもありませんよ!
(そういえば。JOCでトレースしても全然上手くいかなかった論文があったなあ。experimental sectionのNMRのアサインもめちゃくちゃだったし。確かアラ○マ大だったかな。コンキチの腕がダメだっただけかもしれませんが)

我が国もプロパテント化を標榜するなら、
企業がCSRを重視するなら、
特許くらい正直に運用してほしいと思います


2006年12月3日日曜日

知財を志向してみる

知財・特許業務マニュアル〈上巻〉」という本を読んでみました。


社会に出て、企業の研究員として働き始めてから7年半。恥ずかしながら、この間コンキチは知的財産権に関して殆ど無知であり続けました。まあ、ここしばらくアウトソーシング引受隊として働いているので、知価を生み出すようなことは全然していないからという言い訳はありますが、仮にも研究員である者がこんな様ではいただけません。

ということで、ちょっと知財について勉強してみますかということで、上記書籍を読んだという次第です。

で、この本の感想なんですが↓
1) あんまり上手い文章ではない(っていうか意味が通じない箇所もある)
2) 結構誤植がありますね
3) 戦略的なノウハウの保全(先使用権の確保)が重要
4) 発明(によってもたらされる製品)のマーケットボリュームの予測、製品寿命の予測が大事
5) 他社の知財を戦略的に有効利用すべき
6) 他社の特許権侵害は把握できるか?ということを考えるのは重要

構成は2部構成で、第1部は特許権の基本的な約束事の説明で、第2部はより実務的手続きの解説になっています(第2部の続きが〈下巻〉に続きます)。

第1部は退屈な文章が延々と続いていきますが、第2部はちょっと戦略的な話も入ってきて少し楽しめます。コンキチはこういった類いの本を読んだことが皆無であるので、なんとも評価し辛いところがあるのですが、はっきりいって読む価値はあったと思います。

とりあえず、「〈下巻〉」も買って読んでみようかと思っています。