2017年9月18日月曜日

もっと、水酸基を吹っ飛ばせ!

初ブルーボトルコーヒーしてきました。しかも、mAAchに期間限定で入ってるBlue Bottle Coffee POP UP STOREで(http://top.tsite.jp/lifestyle/table/i/36622095/index)。

淡路町界隈に寄り道して、mAAchの前を歩いて秋葉原駅に向かっていたら、凄くイイ匂いがしてきたので、漂ってくる匂いの先を振り返ってみたら、ブルーボトルコーヒーじゃありませんか。調べてみたら9月18日までの期間限定だとか。その日はちょっと呑んでいたので、後日満を持して訪問してきました。以下、初ブルーボトルコーヒーのメモです。


-Blue Bottle Coffee POP UP STORE
   DRIP ブレンド (ベラ•ドノヴァン) (450 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
酸味を想起させる心地よい香りを伴った、mildなコーヒーフレーバーがとっても良い匂い。多少粘度を感じさせる口当たりで、コク深くrichなbody。cacao, sweet, chemical, powderyなtasteでfinishに酸味を感じる。とっても膨よかな味わいのコーヒー。冷めてくると、苦•渋•酸が強調される。
このコーヒーの唯一の欠点は、量が多すぎること。


-BLUE BOTTLE COFFEE COLD BREW (600 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
chemical調の香りを伴ったhigh roastを想わせる香り。tasteは、まず酸味がきて、それから糖蜜を想わせる濃厚なコクが押し寄せる。そして、僅かにchemicalさと微弱なbitter。全体的にclearな味わいで酸味が強い。
温度上昇に伴って、powdery, cacao, chemicalなニュアンスがup↑して、high roast感よりmellowなaromaが強調される。
気になるレベルで酸味が強いね。

ここのショップのお姉さんが話しかけてきてくれたんだけど、若い頃の須藤理彩と松本伊代を足して二で割った感じで可愛かったです。あと、ホットコーヒーは量が多いので、熱さ対策のためにカップを二重にしてもらうこともできます。
当初は9月18日までの出店だったんですが、9月20日まで2日延長するそうです。神田界隈をウロウロしているブルーボトル未経験のコーヒー好きの人は、この機会に訪問した方がいいと思います。


閑話休題


先日のメモ(http://researcher-station.blogspot.jp/2017/09/blog-post.html)を書いた後、もうちょっとdeoxygenationについて軽くサーチしていたら、こんな資料を発見しました↓

Silicon-Based Reducing Agents
(https://www.azmax.co.jp/data/cnt_catalog_chemical/pdf/attach_20110517_112436.pdf)

Gelestというアメリカのシリコーン化合物に強みをもつ会社の資料で、アヅマックスのサイトにありました(アヅマックスはGelestの日本の総合代理店になっている)。

で、この資料の"Silane Reduction of Alcohols to Alkanes"という項目をメモしてみます。

先に書いたブログ(http://researcher-station.blogspot.jp/2017/09/blog-post.html)で、Et3SiHを用いたdeoxygenationについて言及しました。今回のメモでは、シランを使ったdeoxygenationをもうちょっと掘り下げます(シランは2当量必要で、一つはアルコールのシリル化に使われ、もう一つが還元に使われると考えられています)。


この種の反応の特徴は以下の通り↓

a) 生成するカルボカチオンが安定な場合に反応が進行する(2級と3級の脂肪族アルコールとベンジルアルコールは容易に還元される)。
Can. J. Chem., 1972, 50, 281.


b) 2級アルコールは、シランとプロトン酸の組合わせでは還元されず、BF3やAlCl3のような強力なルイス酸が必要(Tetrahedron Lett., 1976, 17, 2955.; U.S. Patent 4,130,574, 1978.)。

c) 1級アルコールの還元には、tris(pentafluorophenylboraneのような超強力なルイス酸が必要(J. Org. Chem., 2000, 65, 6179.)。


d) アリルアルコールと3級アルコールがある基質で、選択的にアリルアルコールを還元することもできる。
Tetrahedron Lett., 1994, 35, 61.


やっぱ専業メーカーの資料は掘り下げが深いね。ちょっとした総説になっていて勉強になります。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のdeoxygenationメモでした。


2017年9月15日金曜日

水酸基を吹っ飛ばせ!

先日作戦終了した夏イベ(艦これ)を無事終了しました。


どもチバラキ在住オタッキーのコンキチです。

千葉県知事の森田健作 (鈴木栄治)がやっている「千葉の贈り物」でも紹介された、千葉の渋谷こと柏Cityにある野菜buffet「さんち家」に行ったときのメモです。
(ボクは、長年千葉の観光情報番組を発信し続けている森田健作 (鈴木栄治)知事を高く評価しています。千葉県の津々浦々を万遍なく紹介していて、これだけで評価に値します(はっきり言って、他の仕事はどうでもいいです)。森田知事に較べたら東国原知事の宮崎アピールのトップセールスなんて一過性の客寄せパンダでしかないと思います)


-ビュッフェスタイル 70 min (1,512 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
70分間の野菜onlyビュッフェ。以下、ボクが食べたもののメモ↓
椎茸の天ぷら
揚げたてを狙って食べると「いと旨し」。柔らかく、juicyで豊潤な旨味が迸る。衣が薄く、素材の味を堪能できる。(天ぷら類は揚げ置きなんだけど、ライトを当てて温め続けているのは好感が持てる)

かき揚げ
揚げ置きのためか、少し油の重さを感じるけど、けっこう美味い。揚げたてはかなり美味いと想像する。

出汁巻玉子
普通かな。

長ネギのヌタ
けっこう旨い。葱は柔らかく、胡麻味噌仕様のヌタはmild tasteで仄甘くなかなかの旨さ。ヌタは苦手だったけど、これはいける。

大豆ミートの南蛮漬け
大豆ミートの食感がとても面白い。リアルな肉と較べたら確かに物足りないんだけど、大豆とは思えないクオリティーの食感。味は少し気の抜けた感じだけど、味付けはマイルドで好感がもてる。

里芋の煮っころがし
薄味で里芋の旨さがダイレクトに伝わってくる。普通に旨い。

胡瓜の漬け物
普通に旨い

紫大根の漬け物
これは旨い。千枚漬けライクなmild tasteでとても旨い。大好き。

蕪+甘酒ドレッシング
甘酒ドレッシングがツボにはまった。マイルドな味わいながら独特のコクがある。ペースト状で食材に良く絡む。なので、

しょうが、ハイビスカス、ローズヒップ、ドライフルーツのお茶
これは絶品(おかわりして3杯も飲んだ)。甘くtropicalで豊潤な香りがもの凄く鮮烈・強烈でいて、嫌なところが全くない。tasteはシック。甘みは殆どなく、シックな味に加えて、心地良い酸味がとってみ良い。冷めてくると酸味を幾分強く感じるけど、とにかく旨い!

舞茸ご飯
舞茸がすっかり縮んでしまってしまい残念な見た目。細かくカットされたお芋(さつまいもか?)も入っている。見た目は貧弱だけど、舞茸の味は滋味深く、キュルッとした食感が心地良い。お芋の甘さは自然な感じの控えめでご飯に合う。ご飯はジャーに入れっぱなしなので、それ相応。

さんち鍋
大根、こんにゃく、(多分)水菜の鍋。薄めの味付けが好感もてる。大根がしっかりお出汁を吸い込んでいて良い。

味噌汁
大根と人参がふんだんの味噌汁(野菜たっぷりで嬉しい)。薬味に葱を入れていただく。"汁"の味は豚汁ライクなtasteで滋味深くボクの好みにピッタリ(肉は入っていない)。とっても美味しい。

高野豆腐の酢豚
mildな味付けで好感が持てる。野菜(ピーマン、人参、玉葱)は何れもfresh。で、最も特筆すべきは高野豆腐。高野豆腐はあまり好きではなかったんだけど、これは旨い!表面の感触が独特(高野豆腐らしくない)で、ツルツル感じがあって、歯を入れる際の弾力が心地よい。酢豚のタレが良くあっていて、美味しくいただける。

筑前煮
普通に旨い。

きんぴらごぼう
普通に旨い。

ほうれん草の胡麻和え
普通。

ポテトサラダ
普通。

ピーマンの天ぷら
揚げ置きを食べたのでちょっとイマイチ。ライトを当てて保温しているんだけど、具材が薄くて、席に戻って食べるまでに大分冷めてしまう。揚げたてならかなり旨いんだろうと思った。

蕪の漬け物
薄味で、自然な感じの味付けで普通に旨い。食材の味を堪能できて嬉しい。

長葱の天ぷら
揚げ置きだけど、それでもかなりの旨さ。葱の良い甘みが良く出ていてとても良かった。是非、揚げたてを食べたい。

甘酒
甘酒の脇に氷が備えてあったけど、常温でいただいた方が香味が立って良いと思ったので、そのままいただく。変に甘過ぎず、コク深さも感じられてなかなかの旨さと思う。グラスに水垢がけっこう付いていたのが残念。

ポテトフライ
一口サイズで食べ易く、ホックホクで美味しい。塩味控えめで、ジャガイモのjuicyさが引き立つ。

大学いも
多分、今まで食べた大学いもの中で一番旨いと思う。大学いもは苦手なんだけど、これならいける。お芋の表面をコーティングしている糖蜜がかなり薄くて、甘さも大分控えめで、芋の味をダイレクトに味わい易い。それから、一片の大きさが小さいので、さつまいも特有のバフバフ感が少なく感じられ、さらにホクホクした食感を楽しめる。芋の甘みは自然な感じでjuicyさも具備。

キュウリ+甘酒ドレッシング
胡瓜は苦みが全くなくて、甘酒ドレッシングとの相性も悪くない。

高野豆腐の煮物
高野豆腐にwet感が十分にあって、まずまず。前述の酢豚と較べると、2ランクくらいダウンか?

グリーンスムージー
けっこう甘い。かなり甘い。この甘さが青い野菜と全く合わないと思う。ボク的には駄作。


閑話休題


今回は水酸基を吹っ飛ばしてツルンツルンにする反応のメモです。
さて、こんな化合物↓を合成したいとき、どうしましょうか(売ってないときね)?


最も、古典的かつ教書的な合成法は、こんな感じかと思います↓


ただこの合成法、必ずしも上手くいくとは限りません。例えば、α-アルキル化は四級炭素の構築になるので、反応点周りが嵩高くなって反応が上手く進行しないかもしれません。さらに、α,β-不飽和エステルの1,4-還元もひょっとしたら意外と手こずるかもしれませ(ボクの狭い経験上、意外とすんなりいかないことがあると感じます)。なので、(この合成に限りませんが)オルタナティブな合成経路を考えてみます。

ということで、alternativeな方法として、ターゲットの3-位に水酸基があったとして、水酸基をマイルドな条件で吹っ飛ばしてツルンツルンにできたとしたらどうでしょうか?

浅学なボクはちょっと前まで"水酸基を吹っ飛ばす"っていう発想が全くありませんでしたが、あるんですね世の中には、そういう都合のいい反応が。しかも、大分前から。

3-位の水酸基をマイルドに吹っ飛ばせるとなると、ターゲットの前駆体は1,3-ジオキシ化合物なので、その構築はアルドール反応の十八番になると思います。イソ酪酸エステルのアルドール反応は報告例があるので、生成したアルドール付加体の水酸基を気持ちよく吹っ飛ばすことができれば、Misson Complete!です。


ということで、今回は水酸基のdeoxygenationについてメモしてみようと思います。

まず水酸基を吹っ飛ばすと聞いて、安直に真っ先にボクが思い浮かぶのは水素化分解(hydrogenolysis)です。ただ、浅学なボクの印象では、「マイルドな条件で進行する例もあるけど、基質を選ぶ」、「圧力、触媒等の反応条件の検討がけっこう面倒」です。要は、「一般性の高いファーストチョイス的条件が(多分)ない」です。

次にちょっとサーチして見つけたのがacidicな条件で水酸基をツルンツルンにする方法です。例えば、Et3SiH-TFAなんていう例があります(e-EROS, Triethylsilane-Trifluotoacetic Acid)。

JACS, 1971, 36, 758.; JOC, 1989, 54, 4591.

Synthesis, 1986, 386.

JOC, 1976, 41, 725.

Chem. Commun., 1986, 1568.

pKR+ >24のカルボカチオンを生成するアルコールにEt3SiH-TFAを作用させるとハイドロカーボンへと還元されるようです。この反応はカルボカチオンの安定性が鍵となるので、三級アルコールやベンジルアルコール以外の基質の脱酸素は難しいかもしれません(実際、難しい)。BF3•Et2O-Et3SiHを用いた反応もありますが、これも同様にカルボカチオンの安定性が重要なのだと思います。

で、最後に紹介したいのが"Barton-McCombie radical deoxygenation"です↓


"Strategic Applications of Organic Named Reactions in Organic Synthesis"には次の反応例が示されています。以下の合成例の他、複雑な構造の化合物にも適用されているので、サンプルワークレベルでは有用性が高いと思います。

Tetrahedron Lett, 1998, 39, 6147-6150.

J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 6160-6168.

J. Org. Chem., 1998, 63, 4011-4017.

J. Org. Chem., 1999, 64, 5485-5493.

Tetrahedron Lett., 1996, 37, 1331-1334.

この反応は1級、2級、3級アルコールに適用可能です。1級アルコールから誘導されるxanthateは概して反応性が低いようですが(高温が必要だったり、低収率だったるする)、(n-Bu)3SnHの代わりに(TMS)3SiHを使用することで解決します(S-Si結合 (90 kcal/mol)はS-Sn結合 (65 kcal/mol)より強いので、xanthateが再生しにくい)。(n-Bu)3SnHは比較的毒性が低いと言われていますが、一般的にスズ化合物は有毒なので、安全面からも毒性の無い(TMS)3SiHを使った方がいいんだろうと思います。
あと、radical deoxygenationはxanthateを用いた例が(圧倒的に)多くて、このご時世に二硫炭かよというツッコミを入れたくなりますが、フェニルチオカーボネートやチオカルボニルイミダゾレートを用いた例もあります。ボク的にはチオカルボニルイミダゾレート推しです。TCDIを用いてチオカルボニルイミダゾレートに誘導してradical deoxygenationする合成は、こんな例があります↓
J. Org. Chem., 1991, 56, 438-442.

この例では1,2-ジクロロエタン中でrefluxしています。因に、ボクもBarton-McCombie radical deoxygenationをやったことがあるんだけど、チオカルボニルイミダゾレート合成はDMAPを入れたら室温で定量的に反応が進行したです。

ボクの個人的な感想は、

"Barton-McCombie radical deoxygenation、
けっこう良いやつ"

です。機会があったら、また使ってみたい反応と思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。