2008年1月31日木曜日

知性なきサボタージュ

なんちゃって研究員のコンキチです。

以前のブログ↓
http://researcher-station.blogspot.com/2007/12/blog-post_14.html
で、残業時間中にソリティアやって、給料を不当にGETしてる先輩社員の話を書きましたが、また今日もやってました。

その先輩社員の席は部屋の入り口を背にしているので、扉の窓からみえるんですよねパソコンの液晶画面が、10年前のDSTN液晶だったら視野角が狭いからみえなかったんでしょうが、TFT液晶なんでバッチリみえました。ソリティアのトランプが!

で、ソリティアをやっているのをしっかり確認してから、扉を開けて入出してみると、その先輩社員はタスクバーのタブを素早くクリックしてエクセルのスプレッドシートをディスプレイに表示させ、ちょっと考えごとをしているようなポーズを取りました。

でも、全部観察してましたから

はっきり言って、笑えます。

で、一旦その先輩社員のいる部屋を出て、また数分後に戻ってみたら、

さっきと同じ風景がプレイバックですよ!!!!!

たのむから、残業時間にソリティアして給料ドロボー行為をするのはやめてくれ

せめて、ネットサーフィンにしてくれ。ネットサーフィンはどんなにアホなウェブサイトをみてても情報を摂取する行為だからね。それに、そんなの関係ないだろと思うようなサイトから思いがけない貴重な情報をGETできることもあるし。あと、ソリティアじゃ言い訳できないけど、ネットサーフィンあなら言い訳できるでしょ!

っていうか、30半ばのいい男が、ソリティアするのはやめようよ。馬鹿っぽいから。せめて、ゲーム以外のことをして残業代をGETしてくれ。

これってセクショナリズム?

仕事で、同じ部の分析担当部署にGC-MSの依頼を出して3週間。なんの音沙汰もなかったので、(分析するの忘れてるんじゃないかと思って)、進捗状況をやんわり聞いてみたら↓

担当者 「分析は終わってるんですが、何ができているか分からなくて。上司と相談して構造を推定しようと思ったんですが…上司がなかなか捕まらなくて」(みたいなことを言ってた)

だってさ。

コンキチ(心のつぶやき) 「なんで分からないと上司に相談するわけ?一番情報持ってるのは、こっち(っていうか依頼元=コンキチ)なんですけど(怒)」

まあ、不明成分の推定構造をうっかり書き忘れた自分も悪かったけど(いつもは予想推定構造も書いて依頼を出してます)、3週間放置プレイはあんまりでしょ(嫌われてるのかな?)


で、とりあえず、スペクトルを持ってきてもらって自分で解析してみたら、件の不明成分10分で解明できたんですけど。

待ってて損した感じです。
(っていうか、分析担当部署に構造の解析まで求めてないですから、自分。だって良く分からないことを聞きに行っても役に立つ情報をGETできたためしがないし。)

よっぽどSilversteinの「有機化合物のスペクトルによる同定法―MS,IR,NMRの併用」の方が役に立ちますよ(今回の件もこの本ですぐに分かった。定番ですよね。)。



もしよかったら、上記リンクをクリックして購入してもらえるとうれしいです。コンキチに幾ばくかのfeeが入ります。

これってセクショナリズム?と思う二流大出のなんちゃって研究員のボヤキでした。


2008年1月28日月曜日

アマゾン : CRMの粋

コンキチはネット書店が大好きです。なので、よくオンラインで書籍を注文します。一応、(なんとなく)研究員という職業柄、所謂一般の人には若干マニアックに感じるかもしれない本を注文したりもします。

で、そんなマニアック系な本ってけっこう絶版になっているものもあり、グーグルとかでサーチして、ヒットしたネット書店のリンクにとんでみたら、


現在この商品はご注文いただけません。


なんてことが良く有ります。

はっきり言って、


無いならないでいいから、へたに期待させずないでくれ!!!完璧ぬか喜びDEATH!!!!、その本の情報を消してくれ!!!!!(怒)


個人的にCS大幅ダウン↓DEATH!!!!!

CRMというものを全く考えていませんね。

その点、アマゾンはマーケットプレイスを用意していてCSを毀損させられることは無いですね。さすがはWeb 2.0企業です。しかも、検索性とユーザーインターフェースがグッドです。カスタマーレビューも充実しているし。それから、ウィッシュリストがよく出来てますね。コンキチは、ターゲット(本)をウィッシュリストに登録して、マーケットプレイスでレンジに入ってくるのを辛抱強くまっていますよ。

こうして、コンキチはアマゾンに高いロイヤルティーを払うのでした。

他のネット書店にもアマゾンを見習って欲しいくらいです。
(でも、もうアマゾンの築いた先行者利益に追いつくことはできないでしょうが)

皆さんはどう思われますか?


←あっ、あとアマゾンでのお買い物はこちらから

2008年1月26日土曜日

甲種危険物取扱者

甲種危険物取扱者の免許が昨日送られてきました(会社に)。

10月の上旬くらいに試験を受けるように言われて、昨年の11月25日に試験、12月14日に合格発表という日程でした。

はっきりいって試験をうけるのは大学2年の授業の試験以来ですよ。齢32にして資格試験受けろといわれた段階でちょっとした晴天の霹靂なのに、準備期間は1ヶ月ちょい。

忙しくて準備期間が足りないから、次(半年後)の機会にしてくれと上申したら、「とりあえず受けろ」との回答。

何々?資格を取得することが目的じゃなくて、合否の如何に関わらず受験させるこが目的なの?とりあえず受けさせることで面子を保ちたいわけ?


非常に不愉快Death!!!!!


もし落ちたら二度と受験しない心意気で、仕方なく受験してみました。

それでも、コンキチは小心者なので前向きに勉強はしてみました。で結果、合格。無駄な軋轢を避けることができた反面、テキスト代に4,095円も自腹きっちゃいましたよ(トホホ)。

これだけ!甲種危険物試験合格大作戦!! 完全合格対策版」「甲種危険物取扱者問題集」という本をアマゾンで購入して勉強というより訓練してみました。


まあ、危険物の試験って5者択一の選択問題で、はっきり言って自動車免許の試験と同じなので、多くの問題を反復するのみなのです。

で、「これだけ!甲種危険物試験合格大作戦!! 完全合格対策版」を1回通読した後、「甲種危険物取扱者問題集」(問題集)を3回繰り返し、再び「これだけ!甲種危険物試験合格大作戦!! 完全合格対策版」に戻って問題部分だけをやってみてなんとか合格することができました。ちなみに、試験は「法令」「物理学・化学」「危険物の性質・火災予防・消化方法」という3つのカテゴリーに分かれていて各カテゴリーで正解率60%で合格となります。

参考っまでに、コンキチの試験結果は↓
「法令15問」正答率66% (あと2問間違ってたら不合格でした)
「物理学・化学10問」正答率90%
「危険物の性質・火災予防・消火方法20問」正答率85%

でした。「法令」がかなり危なかったですが、結果オーライです(迷って答えた所は全部はずれた)。

ちなみに、3,000円(くらいだったと思う)かけて会社が容易してくれたテキスト(学校の教科書みたいな本2冊)は1ページも読みませんでした。っていうか、短期決戦でそんなのチンタラ読んでられますか?あんたらそんなのも分かんないの?ホントに形式主義なんだから!その金でコンキチの買ったテキストを買って欲しかったです。

と今更ながら毒づく二流大出のなんちゃって研究員なのでした。


それから、危険物取扱者を目指している方。上記リンクをクリックして、本を買ってくださると嬉しいです(コンキチに幾ばくかのFeeが入ります)。

2008年1月23日水曜日

Polymorphism

結晶多形に関する記事を読んでみました。我が国の製薬業界の(多分)盟主、武田薬品工業の研究員の方の記事です↓

「医薬品のプロセス研究における結晶多形現象への取り組み」
有機合成化学協会誌, Vol. 65, No. 9, 907-913 (2007)

コンキチは、学生時代の(一応)専門が「Optical Resolution via Diastereomeric Salt Formation Method」だったので、結晶多形が分割効率(どれくらい光学分割の効率が良いかを表す指標。ジサステレオマー間の溶解度差が大きいか、小さいかということですね)に大きな影響を及ぼすことがあるので、(ごくごく小さな)多少の知識はあるつもりだったのですが、今回この記事を読んで自分の無知さ加減に気づいて恥ずかしいやら勉強になりました。

まず、「医薬品の約80%に結晶多形が存在するといわれている」というのにビックリ!

さらに知らなかった述語がこんなに↓
a) late-appearing polymorph→新しい結晶形が後から出現する現象
b) disappearing polymorph→late-appearing polymorphに伴って従来の結晶形が作れなくなる
c) monotropism→全ての温度範囲で同一の安定形である
d) enantiotropism→温度範囲によって安定形が逆転する
e) intentional seeding→一次核が生成(primary nucleation)しにくい条件下で、必要とする結晶形の種晶を接種して二次核の生成(secondary nucleation)を制御する
f) unintentional seeding→環境下に微量に存在する結晶核に過飽和溶液が汚染されることによって、意図せず、晶折が起こる
(unintentional seedingがintentional seedingと競合する場合があるんだそうですよ。)
g) Ostwald’s stage rule (Z, Phys. Chem., 22, 289 (1897))
→新規化合物を初めて結晶化させる場合や、新たな結晶多形が出現する場合は、primary nucleationが起こっていて、primary nucleationが熱力学的エネルギーの高い準安定形結晶から最安定形結晶へと順次起こる現象。準安定形結晶の方が古典的核生成理論におけるエネルギー障壁が低く、安定形結晶に比べて過飽和溶液中での結晶核が発生しやすいと解釈される。
h) 臨界核径→核生成エネルギー障壁の最大値を示す結晶核の大きさ。臨界核径より大きい結晶核は急速に成長し、小さいものはクラスターとして再溶解していく。

こんな現象あったんですね。

でさらに、光学分割の例が載ってました↓

TQAをTosyl-D-Valine (TDV)で光学分割して(S)-TQAを得るという話で、最初は(S)-TQA・TDVが89.4%deでGETできていたのに、スケールアップしたら、バッチを重ねるごとに分割効率が悪くなっていき、最終的には(R)- TQA・TDVが6.4%deが晶出するようになってしまたのだそうです。この現象は、以前得られていた(R)- TQA・TDVは溶解度の高い準安定結晶だったのに、スケールアップ時には溶解度の低い安定結晶が出現したとのこと(コンキチは全然勉強したことないのですが、粉末X線回折で分かるんですね、こういうのが)。

ヤバイ、はじめて知りました。自分の白痴加減にくらくらしてきます。



ずいぶん前に「有機結晶作製ハンドブック」っていう本を買って読んだんですけどねえ。

因みに「有機結晶作製ハンドブック」は、ラボにおける結晶作成技術について書かれた本で、執筆者に味の素関係者が2名入っていたためが、アミノ酸関連の結晶化と有機金属錯体の結晶化技術が重点的に書かれていたように思います。まあ、良い本だとは思ったのですが、工業的な結晶化技術を期待して方のですが、ちょっと拍子抜けした記憶があります。所謂、ケミスト向けの本と思いました。


やっぱり、アカデミックとインダストリーの差なんでしょうかねえ?

それにつけても、この記事を読んで、化学業界(医薬品業界も含む)のヒエラルキーを思い知らされた気がする香料会社の窓際研究員でした

PS.
今日はコンキチの生息する地域で初雪となりました。ホントに机が窓際にあるので、マジ寒かったです。

マスゴミの誤謬

趣味、「報道番組をみて、ぶつぶつ文句を(心の中で)言う」のコンキチです。
(調子こいて声に出してぶつぶつやりすぎると、カミさんにしかられます)

さて、月曜日の夜のことだったか、連日株価が下落している折、報道テーションを見ていたら、古舘伊知郎が


株価の下落が会社をダメにする(ちょっとうろ覚え)


的な発言をしていたように記憶しています。

エッ?

あなたいつから時価総額至上主義になったの?

なんか、ライブドアが時代の寵児ともてはやされていたとき、時価総額経営を批判してなかった?

まあ、宗旨替えしたのかもしれないけど、マスゴミのエモーショナルな発言をきくのもちょっとした暇つぶしになって軽く楽しいです。

あと、最近円高が進んでいるようですが、

円安時→ヨーロッパに旅行に行ったら、(海外のサービスとかモノが)高くて大変 (輸出産業が潤うだろ!)
円高時→(輸出産業の)企業業績が圧迫されて大変 (日本の購買力が上がるだろ!こういう時こそ外旅行しろ!)

2方向からの見方があた場合、ネガティブな方を強くアピールする。

なんていうんでしょうか、「マスゴミの仕事=世間の不安を煽ること」のように思えてなりませんね。
(ポジティブな話題はスポーツだけ)

しかも、すっかり詰んだ感のある公的年金を、なんとか立て直さなければいけない的なことばかり言ってますが、不安を煽るのが仕事なら、「もう日本の年金制度は終わっています。掛け金を払うのをやめましょう。」くらい言って、年金制度をぶっ潰して欲しいくらいです(死んだもの(年金)は生き返りませんから)。
(個人的に真剣に年金崩壊して欲しいと思ってますから。今までの天引きされた掛け金を国家に献上するかわりに脱退させてたるよと言われたら、速攻脱退したいくらいです。)

なんてぶつぶつ文句を呟きながら、スタグフレーションに突入しませんようにと祈りながらニュースを肴に晩酌するのも乙なものなのです。

2008年1月21日月曜日

MOF

先日、暇つぶしに化学の文献を読んでいたら、


MOF


なる述語が出現しました。

一瞬、財務省かよ?と思いましたが、化学論文にそんなのありえないよなと思い直し、よく読んでみたところ、


metal-organic framework


の略でした。

はっきり言って、なんのことやら意味を測りかねたので、軽くググッてみたところ、邦訳は、

「metal-organic frameworks (MOFs)」で金属有機構造体とか金属有機系構造体
「porous metal-organic framework」で多孔性配位高分子

なんて訳すみたいです。

MOFsは、気体を吸着・貯蔵する機能とか触媒活性があったりするみたいで、流行のナノテクのようです。

因みに、コンキチが眺めていた文献は↓

Enantioselective Chromatographic Resolution and One-Pot Synthesis of Enantiomerically Pure Sulfoxides over a Homochiral Zn-Organic Framework
J. Am. Chem. Soc., 129, 12958-12959 (2007)

です。

内容は、キラルな3D porous Zn-organic frameworkががスルフィドの酸化触媒として作用するとともに、液体クロマトグラフィーを用いたキラルスルホキシドの光学分割のキラル固定相として有用であるという話です。

PhSMeと過酸化水素の混合物をZn-多孔性配位高分子からなるカラムにチャージして、CH2Cl2/CH3CN混合溶媒で溶出すると、カラム内で酸化と分離が起こって、まず(R)-PhSOMeが、次いで(S)-PhSOMeが溶出し、純粋なエナンチオマーがそれぞれ35%の収率で単離できるそうです。

コンキチはスルフィドとかカラムの専門家じゃない(っていうか門外漢)ので、具体的に上記成果がどれぐらい凄いのか分かりかねるのですが、反応と分離がカラム内でOne-Potでできるのは、なんか凄いなと思うのでした。


*本論文の3D porous Zn-organic frameworkは、[Zn2-(bdc)(L-lac)(dmf)]・DMF(bdc=p-benzendicarboxylic acid, dmf=N,N’-dimethylformamide, L-lac=L-lactic acid)です。

2008年1月20日日曜日

借金は減らない

財務省のホームページによると、我が国の平成19年度末の国債残高は547兆円あるそうです。

see http://www.mof.go.jp/zaisei/con_03.html

ちなみに19年度末の税収(一般会計税収)は約53兆円だとか。

それからサンデープロジェクトに良く出てくるジャーナリストのホームページには「日本の借金時計」なるものが設置されており、

国と地方を合わせて772兆円くらいあるみたいです。


現金を最大で二十数万円程度(学生時代に入学金払ったときですかね)しか見たことの無いコンキチにとって、一万円札を借金分積み上げたら、どれくらいの高さになるのかなあなんてのんきなことを考えてしまいます(っていうかホントに知りたかったら計算しろよって感じですね)。

まあ、何れにしろ、


借金がメチャクチャある


っていうことは伝わってきます。

ところで、コンキチは最近、行動経済学の話が書かれている本「亜玖夢博士の経済入門」と雑誌「週刊東洋経済」を読みました。そこでは、人間の損得の感じ方を表す「価値関数」というものが解説されていました。

で、どういう風に損得を感じるかというと、

1) 損失は同額の利益より2~2.5倍強く評価される
2) 利益も損失も値が小さいうちは変化に対して敏感であるが、値が大きくなるにつれて感応度は低下する

らしいです。

特に赤字で示した「2」は 特に興味深かったです。

平たく言えば、

ホームレスが誰かから千円貰ったら超嬉しいだろうけれど、
ビル・ゲイツ並みの超大金持ちが千円貰っても、大して嬉しくない。

ということでしょう。そして、借金もまたしかりということです。

無借金のサラリーマンが百万円借金したら、借金返済のためにそれなりに頑張るでしょう。
で、772兆円もの国の借金が百万円増えたところで、「また借金増えたよ」と思うくらういで、その増えた借金百万円だけにターゲットを搾って国家存亡の危機だと大騒ぎにはならないでしょう(ただ、772兆円も借金がある時点で終わってる気がしますが.....)。

このへんまでの話を総括すると、

「国の借金は充分にお大きく膨れあがっており、行動経済学に従うと、国民は国の借金に対して鈍感になっている」と言えるのではないでしょうか?

故に、我が国の借金は減らないと思うわけです。

そう思うと、個人向け国債とかテレビで沢山宣伝してるけど、恐ろしい金融商品を爽やかな切り口でアピールしてるなあと感心しつつも、空恐ろしい気持ちになります。

以上、我が国の国債がデフォルトにならないことを切に願う、なんちゃって研究員なのです。

2008年1月16日水曜日

MacBook Air

今朝、めざましテレビをみていたら、なんと、AppleのジョブズCEOが同社の新製品である「MacBook Air」を発表しているではありませんか!

ちなみの世界最薄で、最薄部/ 4ミリ、最厚部/ 19.4ミリだそうです。

っていうか、メチャクチャ薄い!!!

で、重さは1.3 kg!!!軽っ!!!!!

シルバー・ボディーのスタイリッシュ・ノートです。

めちゃ欲しいです(でも我が家の大蔵省から予算がおりません)

ところで、今日たまたまブログ・サーチしていたら、有機ELで有名な山形大学の城戸淳二教授のBlogを発見したのですが↓

http://junjikido.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/macbook_air_15df.html

教授曰く、
<引用開始>
マックを使わない学生は、「センスがない」とバカにされ、コケにされ、オチョクラレルのである。
科学者は「センス」が重要なので、使っているコンピューターでだいたいの実力が知れるので、日頃からセンスを磨かなければならない。
学会発表なんかでも、スバラシイ研究発表をしている超一流の研究者は、マックを使っていて、しかもパワーポイントなど使わずに、「keynote」を使う。

<引用終了>

だそうです。

ですよね。分かってますね、城戸先生!
(写真で拝見するかぎり、見た目がアブラギッシュで近づき難そうな雰囲気を醸し出してましたが、親近感が湧いてきました)

コンキチも何年か前に使いもしないkeynote買っちゃいましたよ。

あと、何年か前に京都でやった有機化学の国際コンファレンスでプレゼンに使ってたパソコンはMacでした(K.B. SharplessとかR. H. GrubbsとかD. W. C. MacMillanとか宮浦先生も参加していた)。

ちなみに、世界No.1 ケミカル・カンパニーであるBASFBASF BORON CONFERENCEでもMacを使ってましたね。

やっぱりWinよりもMacですとね!分かる人には分かるんだとなあ。

クリエイティブな仕事にはクリエイティブなツールが必要ですよね。
(愚鈍なツールばかり使っていると感性が鈍ってしまいますよ)

クリエイティブ系のそこのあなた! Macを買いましょう、Macを!!!!!


2008年1月15日火曜日

プロセス化学の書

仕事やる気Nothingのなんちゃって研究員のコンキチです。

仕事に対するやる気は無くしたものの、化学(Chemistry)に対する情熱はまだ失っていないつもりです(下手の横好きではありますが.....)

ところで、最近コンキチには密やかなマイ・ブームがあります。

それは、

プロセス・ケミストリー


です(一応、プロセス・ケミストのつもりなので)。


そんな訳で、最近Practical Process Research & Development (13,987円)という本を購入してちょっとずつお勉強しています(っていうかコンキチは英語が大の苦手なので、まだ19ページくらいしか読んでませんがorz.....

で、なんでわざわざ苦労して上のような洋書を必死こいて読もうとするかというと、




手頃な価格の和書が殆どないからDEATH!!!!!シクシク涙

(医薬品のプロセス化学は唯一例外的に手頃です)

1冊4万とか5万とか6万とか平気でしますからねえ。はっきり言って、コンキチのような月のお小遣い3万円ポッキリの弱小サラリーマンには手がでません。

それでも、なんか良い本あったら、(可能であれば)会社に買って貰おうかなと思ってAmazon.co.jpでそれやしき書籍をサーチしていた、こんなの見つけちゃいました↓


プロセスケミストリーの展開 (4,200円)です。しかも昨年末に発売されたばかりです。とりあえず、アマゾンで速攻買っときました(昨日注文した)。

注文する前に、この本の内容が気になったのでちょっとサーチしてみたら↓

see http://www.cmcbooks.co.jp/books/b0838.php

どこかで見たことがあるような目次です。で、よくよく説明文を読んでみたら、2003年に上梓されたプロセスケミストリーの新展開 (68,250円)の(全く内容が同一の)普及版なのです。

で、驚いたことに価格が16分の1になってますよ。

洋書とかでもハードカバーとペーパーバックで値段がかなり違うことがよくあるけど、ここまで違うのはいかがなものかなと個人的には思いますね。

っていうか、6万超じゃ、企業か大学しか買えないじゃん!!プロセス化学は社会的に意義のあるカテゴリーなんだからもっと値段を安くして欲しいものです。素人考え的には、それなりに安価なプライシングをすることで、学校の教科書にもなり得て、数がはけてそれなりにペイするような気がするのですがね(でも、派閥とか政治があってそう簡単には広く採用されないのかな?)。

それにつけても、4年分の時間のアドバンテージ(2007年-2003年)に対して64,050円(68,250円-4,200円)もプレミアつけて売る意味あったのかなあと思う、三流研究員でした。

(もしよかったら、上記リンクから本を買って頂けると嬉しいです。コンキチに幾ばくかのフィーが入ります)

2008年1月14日月曜日

ポーター教授とフロリダ教授


M.E.ポーターの競争戦略論 I競争戦略論 II
を読んでみました。「I」は企業の競争優位の源泉に関しての論文集で、5フォースモデ ル、活動間のフィット(活動間の相互補完性とシナジー)、多悪化(本業と全然関係ない事業への多角化)等について書いてあります。「II」ではイノベーションに関する論文集で、ダイヤモンドフレームワークと立地の優位性(クラスター理論)を用いてイノベーション効率の高低について論じています。

で、思ったのが、ポータ-教授のクラスター理論って、(以前のブログで書いた)フロリダ教授のクリエイティブ・クラスの世紀で言っていることと凄くオーバーラップしているところが多いなと感じました(実際、フロリダ教授は著作の中でポーター教授のクラスター理論にも言及していましたが)。



誤解を恐れずバッサリ言うと、両者の最大の共通点は、

競争力を測る基本ユニットは「都市」であるということです。

で、

ポーター教授の本では、クラスターが形成されている都市では、激しい競争によりイノベーションが加速され、イノベーションが競争優位となるということと、「情報の集積」に大きなアドバンテージがあるということが述べられていたと思います。

一方、フロリダ教授の本では、テクノロジー、タレント、トレランスが競争力の源泉であり、トレランスな都市にクリエイティブ人材が引き寄せられる。クリエイティブ・クラスは多くのモノを受け入れる柔軟性のある都市を魅力的と感じる。世界各国の優秀な人材(タレント)が集まるハイレベルな大学の存在は優位。教育への投資はクリエイティブ人材の底上げにつながり有効。そして、クリエイティブ人材によりテクノロジーが開発されイノベーションが加速する。と述べていたように思います。

コンキチのような三流研究員ごときがこんなこと言うのも生意気で、憚られますが、フロリダ教授の言っていることが原因で、ポーター教授の言っていることがその結果を解説しているように思います。

つまり、(多分間違ってるとおもうけど)クリエイティブ・クラスが集積する都市で、競争によりイノベーションが促進され、競争優位が確立される。「クリエイティブ・クラスを引きつける都市づくり」と「クリエイティブ・クラスを育成する政策」が重要ということと思います。

うまくまとめられませんでしたが、

競争戦略論 IIクリエイティブ・クラスの世紀は相互補完的な本かなと思ったのでメモしてみた次第です。

以上、二流大出のなんちゃって研究員のちょとした思いつきでした。

PS.
コンキチは最近アフィリエイトに力を入れています。もしよかったら上記リンクをクリックして書籍を購入してみて下さい。コンキチに幾ばくかのfeeが入ります。

2008年1月12日土曜日

衆院解散?

先の参院選で自民党が大敗を喫して以来、衆院解散の話題がメディアを賑わせていますねえ。でも、解散なんかしないでしょ、自民党は。

だって、衆院解散することによって自民党が得られるものって皆無でしょ。理由は↓

1) 選挙で自民が大勝ちしたとしても、参院の民主優位はとりあえず3年続く
2) 自民(+公明)はただ勝つだけではメリット無し、っていうかマイナスで、少なくともた2/3以上の議席を確保してはじめて現状維持+世論の後押しが得られる。但し、2/3以上の議席を確保する程の自民ウェーブはきそうにないような気がする。

つまり、衆議院議員の任期満了まで耐え抜くことが自民党にとって最もローリスな戦略だということです。選挙したって失うものばかりです(2/3以上議席をGETして勝たないと、衆院の再議決が通らななくなる)。

なんで誰をそんな簡単なことを言わないんだろうと思っていたのですが(コンキチが気付かなかっただけかもしれませんが)、一人だけいました。コンキチと意見を一にする超大物が!

ズバリ

飯島勲元内閣総理大臣秘書官です。

正月の昼間にテレビでやってたのを偶然見たのですが、コンキチの意見と同様のことを言っていました。これが見識というものでしょう。

でも、世の中の(自称良識派の)メディアの方々は、解散を煽る言動しかしない。思うに、その方が景気良く盛り上がって大衆受けするからだろうと思います。

マスゴミに良識というより、良心はあるのだろうかと思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

P.S.
飯島元秘書官の著作である「小泉官邸秘録」を読みました。首相のリーダーシップと小泉(元)総理が如何に飯島氏を重用していたかが分かる本です。

もし興味をもったら、ここから勝手いただけると嬉しいです(コンキチに幾ばくかのfeeが入ります)。



2008年1月11日金曜日

DMAP-Catalyzed Esterfication

こんな文献を読んでみました。タイトルは↓

Widely Useful DMAP-Catalyzed Esterfication under Auxiliary Base- and Solvent-Free Conditions
JACS, 2007, 129, 14775-14779.

名古屋大学の石原一彰先生のグループです。かなりエコなタイトルです。

補助塩基を使用せず、無溶媒下、触媒量のDMAP (0.05-2 mol%)でアシル化するというはなしです。

一応有機合成を生業としている者としてこれまで知らなくて恥ずかしいのですが、DMAPが触媒するアシル化機構っていうのが提案されているそうです(S. Xu, et al., Chem. Eur. J., 2005, 11, 4751.)↓



著者らは、まずはじめにl-メントールと酸無水物(Ac2O, (i-PrCO)2O, (t-BuCO)2O)との縮合から検討を開始しており、補助塩基(i-Pr2NEt)の有無と溶媒効果(solvent-free, heptane, THF, CH2Cl2, CH3CN)の影響を調査しています。

で、溶媒としてはsolvent-freeかヘプタンが良好です。種々の基質に対して試していますが、かなり汎用性が高く、excellent yieldです。生成物が蒸留可能なエステルについては、精製までsolvent-freeでいけます。

ウリはエフレンドリーなことに加えて、反応性の低いアルコール(3級アルコールや嵩高いアルコール)でも好収率です。

さらに、ポリスチレンに担持させたDMAP (polystyrene-supported DMAP, Aldrich)を使うことで、触媒のリユースも可能です。

あと、本プロトコールはDMAP (cat.), pivalic anhydride存在下、カルボン酸とアルコールのエステル化のも適用叶でgood yieldで進行します。

誰かがとっくにやっている仕事のようにも思われましたが、Atom economy 、RME、E-factorがとっても高い素晴らしい仕事かと思います。

腕自慢の全合成とかもいいですが(生意気なこと言ってすみません)、こういう研究って大事だと思うなんちゃって研究員でした。


2008年1月10日木曜日

エモーショナルなヒラリー

昨日ニュース番組をみてたら、アメリカでは大統領予備選が活況を呈しているようですね。

で、ニューハンプシャー州での予備選で民主党のヒラリー候補が涙ぐんでましたねえ。(多分)勝利前と勝利後の2度に渡って。ニュース番組によると、涙で人情味をアピールできたとか。「ヒラリーの人情味に感激」的に興奮しているエモーショナルな有権者の女性がテレビのインタビューで興奮している映像もながれました。

でも、予備選ごときで涙ぐむ人間を天下の合衆国のリーダーにしていいのかなあ?とコンキチは思いました。

「リーダーは孤独な決断を迫られる」という話をよく耳にしますが、上述したような涙ぐんじゃう政治家に、果たして世界を牛耳る大アメリカのトップ・リーダーがつとまるのだろうか?と思いますね。

確かに人情味は、大衆からシンパシーを引き出すのには良いかもしれませんが、政治という駆け引きの土俵の上では無用の長物と思うのですが。

キューバ危機時(キューバ危機についてコンキチは薄っぺらな知識しかありませんが)のJ. F. ケネディーのような決断ができるのでしょうか?

逆に、ヒラリーの涙が演技でかりそめなものだとすると、人間性を疑いますね(コンキチは演技だと思ってます)。俗にいう「オンナの涙」ですか?そういうのを政治家が武器にするとしたら、安っぽい政治家と思いますね。
(余談ですが、コンキチは田中眞紀子のあの醜悪な涙を忘れることはないと思います)

さて、教訓です。

大衆はエモーショナルなものを好む。だから大衆は愚かなのだ。

以前読んだ「群衆心理」(see http://researcher-station.blogspot.com/2006/09/blog-post_10.html)を例証しているような事例が現実に起こってるのを目の当たりにしたような気がしました。


以上、二流大出のなんちゃって研究員のつぶやきでした。

(もしよかったら、上の画像かリンクをクリックしてアマゾンでお買い物してみて下さい。コンキチに幾ばくかのfeeが入ります)

2008年1月7日月曜日

ダブルスタンダード

今日から仕事始めです(とっても憂鬱です)。

コンキチは、はっきり言って仕事に対してやる気Nothingです。自分でいうのもなんですが、入社当初は社内の誰よりもやる気に満ちあふれていたという自負があります。

あと、コンキチは労働組合を憎んでいます。自分で言うのもなんですが、入社当初は労組の役に立つよう尽力しようと真面目に考えていました。

最近(というかここ数年)、どのようにして人(っていうか自分)はやる気を無くしていくのだろうかと考えています。まあ、結論はいつもあっという間に出て、解も同一です。で、その答えとは↓


ダブルスタンダード





言動不一致


です。

ダブルスタンダードというフェアじゃない状況=アンフェアを許容するということが、やる気をなくさせている最大の要因と思います。まあ、(従業員のあげる成果に関する)情報の非対称故に、完璧に整合性のとれた評価というのははっきり言って不可能でしょう。まあ、そんなことは分かりきっているので、その点に対して大人の対応をすることはやぶさかではありません。ただ、あからさまなダブルスタンダードは許せませんね。

例えば、とある部署ので、「部員は全員○○を受講しなければならない」というお達しが出たとします。でも、なんだかんだ理由つけて(しかも、大抵は忙しい)、受講しない輩がでてきます。しかも、所属長も、そんな強い根拠で全員条項を義務づけているわけじゃないから、未受講もまま放置プレイになる。

あと、全社的な決まり事を決めても、その決まりと統括する長につよい意思がない(まあとりあえずやっとこう的な発想しかない)から、中間を管理する人間の裁量で末端の兵隊に対する規律の適用がバラバラになる。ついでに、チェック機能がないから、ある部署ではその決まりをまだ励行しているが、あの部署では「そんなのまだやってるの?」状態になったりする。

コンキチはそういう規律の非対称性が看過された場合に、「ムッ」とします。異なった前提条件の下で競争させられているようなものですからね。

それから、言動不一致が横行するようでは、信頼は醸成されません。ネットワークの京成には信頼が必要不可欠なんだろうと思いますが、その鍵となるエレメントが疎かにされるような組織にコンキチは忠誠を尽くせませんよ。

以上、新年早々、ぶつぶつ文句を述べてきましたが、それでも会社という組織が、労働組合という組織が動いている現実を鑑みると、コンキチの上記妄言は、やはり妄言なのかなという気がしないでもありません(会社教、組合教といった宗教心の植え付けが奏功していると思いたいっです。で、コンキチはその洗脳が解けただけだと。)。

以上、二流大出のなんちゃって研究員の戯言でした。。

2008年1月6日日曜日

The Corporate Strategist

我が国が誇る世界的なストラテジストである大前研一氏の古典的著作「企業参謀」を読んでみました。戦略思考について書かれた本です。戦略的思考法についテ、ソノエッセンスガコンパクトにまとめられており、秀逸な著作と思いました。まあ、今となってはそんなに目新しいことが書かれているわけではないとは思いましたが、上梓されたのはいまから30年以上も前のことで(多分32歳のころと思う)、それを考慮すると、目新しくないと感じたのは、氏の著者の「焼き直し」が多数世の中に散見されるということなのかなと思います。それだけ影響力があったのかもしれません。

この本の出版当時、氏も若かったかめか、現在と比較してかなり謙虚な表現で文章が綴られていますね。内容もかなり堅実と思いました。

先日、「日本の真実」(小泉清政権半ばに出版)を読んでみたのですが凄いですね。いいことも沢山主張していると思ったのですが、メチャクチャ高飛車で、結構ラディカルな部分も散見されたように思いました。

特に、小泉-竹中路線をケチョンケチョンにけなしていたのには軽く驚きました。(経済オンチの)コンキチは小泉-竹中の政策を結構評価していたのですが(っていうかかなり希有な政権と思っていました)、彼等の政策は全然意味ないと一等両断ですからねえ(コンキチはそんなことないと思ってますが)。

まあ、だから大前研一氏は過去の選挙において敗北を喫したのかなと思います(オブラートに包まずに言い過ぎたため?詳細は不明ですが、結果からみると、世界に冠たるシトラテジストも選挙戦においてはそのマーケティング力を存分に発揮できなかったようです)。

脱線しましたが、「企業参謀」の話に戻ります。で、この書籍を読んでコンキチが一番驚いたのは、冒頭に書かれてある日本の床屋の話です。その話が、まるっきりQBハウスと一緒なんですよね。つまり、大前研一は齢32にしてQBハウスのビジネスモデルをその頭脳に持っていたわけです。その慧眼に現在32歳のコンキチは敬意を示さずにはいられません。


年をとってちょっっと灰汁が強くなってきたようにも思いますが、大前研一氏は今でも希有なストラテジストであることに変わりないことは近年の論考をみれば瞭然かとは思います。

2008年1月4日金曜日

コールドリーディング

詐欺が世の中を賑わせた昨年、っていうかそういった詐欺は今に始まったことではないと思うんだけれど、人間って学習能力が無い生き物なのかなと思う今日この頃のコンキチです。

さて、昨年のことなのですが、(コンキチの大好きな作家である)橘玲氏の著作(最新作)「亜玖夢博士の経済入門」を読了しました。


この本は5篇の物語からなる短篇集で、各章1つずつ経済学に係るテーマが割り振られています。で、その第4章はマルチ商法をネタに社会心理学をテーマとした話が展開されます。まあ、コンキチは経済学の門外漢なので、難しいことは良く分かりませんが、要はマルチが顧客(カモ)を騙す手口が平易に解説されています。その内容を少々メモしてみようかと思います。

1) コールドリーディング
占い師の技法で、相手のことを何も知らない状態から占いを当てる。何気ない会話を通じて情報を収集する。対義語はホットリーディング(あらかじめ相手の情報を調べておく)。

2) コールドリーディングの基本
a) 否定疑問(肯定しても否定しても間違いにならない質問)を多用する。
b) 当たったことしか相手の記憶に残らないようにする(話題を転換したりして)。
c) 質問の範囲を広げて当たる確率を高める。
d) 外れた占いを合理化する(気づいていないだけとか言って)。
e) 絶対に外れない予言をでっちあげる(予言の時期を明示しない)。
f) 否定不可能な表現や肯定するしかない質問を組み合わせる。

3) 権威に対する服従
権威主義に訴えるってヤツですね。虎の威を借る狐ってヤツですね。コンキチも大好きな馴染みの方法です(自分も権威に平伏す方ですが)。

4) 社会的証明による説得
「長いものには巻かれろ」っていう心理を利用した詐術らしです。狩猟時代に「群れから孤立することは死を意味した」→「生き残るためには集団と同じ行動をとるのが最も有効な戦略」という根源的な特性が人にはあるようです。自分に都合の良い「長いもの」を用意して、それを全体に拡大するのがミソらしいです。

5) 希少性の原理
割とポピュラーなテクニックかと思います。企業のブランド価値の構築にも通じてますよね。「レアメタルが鉄よりも高価な理由」、「金剛石が二酸化珪素よりも高価な理由」、「ルイヴィトンのバッグがユニクロで売ってるバッグより高価な理由」とかが説明されますね。社会心理学の実験によると、原価の定かでないものを売るときは、価格を下げるよりも希少性の原理に訴えかけた方が効果的であることが実証されているらしいです。

6) コミットメントと一貫性の圧力
i. 人間は社会的な動物であり、誰もが否応なく社会のなかで優位な立場を確保する競争に投げ込まれる。
ii. 社会的優位性=集団の構成員から尊敬される立場=信頼される立場
iii. 信頼されるには、約束を守り主張を変えない生き方、つまりコミットメントと一貫性が重要
ということを利用したテクニックらしいです。で、一般に社会的地位の高い人ほどコミットメントと一貫性に固執するそうです(自分の言ったことを撤回できない)。必要条件と十分条件を混同させ、できの悪い三段論法を構築して、ウソつき呼ばわりして冷静さを失わせ、自縄自縛におとしめていくテクニックのようです。冷静さを失わないよう気をつけたいものです。

7) 返報性
「お返しの期待」ってことのようです。人は「贈り物にはお返しをする」という返報性のルールが深く埋め込まれているそうで、他人を操る最も強力な方法なんだそうです。社会に出てからちょっぴり人が悪くなったコンキチは、「贈り物は贈り主の自己満足の形態だ」と考えて、返報性をある程度ヘッジしているつもりです。コンキチの最も好きな言葉の一つである「情けは人のためならず」と同義と思います。

以上がコンキチのメモです。はっきり言って、この章だけでもとっても勉強になりました。ちなみに他の章では、「行動経済学」、「ゲーム理論」、「ネットワーク理論」、「不完全定理」がお題となっています。

いずれも理解しやすい寓話とともに理論の解説がなされており、この書籍を学校の教科書にしてもらいたいぐらいです。そうすれば、詐欺にだまされる人がもっと減るんじゃないかなと思いますね。マジで。歴史の年号を無味乾燥に丸暗記することの100万倍は有益だと思うな。

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2008年1月3日木曜日

Preferential Sublimation

久しぶりに文献を読んでみました。読んだのは

Phenomenon of Optical Self-Purification of Chiral Non-Racemic Compounds
J. Am. Chem. Soc., 2007, 129, 12112-12113.

光学純度が一方に偏ったキラル化合物を昇華すると、光学純度が高まるという話です。

これまでに昇華による光学分割現象に関する報告例は以下に示す報告しかないそうです↓

1) G. Pracejus, Liebigs Ann. Chem., 1959, 622, 10.
光学純度の偏ったフェニルアラニン誘導体を昇華したところ、昇華前よりも高いeeのモノが得られた。

2) H. Kwaet, D. P. Hoster, J. Org. Chem., 1967< 32, 1867.
光学純度の偏った α-メチルベンジルフェニルスルフィドを減圧乾燥したら、上記文献と同様の現象が観察されたそうです。

3) D. L. Garin, D. J. C. Greco, L. Kelley, J. Org. Chem., 1977, 42, 1249.
光学純度の偏ったマンデル酸とカンファー酸のpreferential sublimation (優先昇華とでも訳すのでしょうか?)の報告。

4) U.-I. Zahorszky, H. Musso, Chem. Ber., 1973, 106, 3608.
同位体でラベルしたフェニルエチルアミンの塩酸塩とマンデル酸の質量分析において、ラセミ体よりもエナンチオマーの方が優先的し昇華するという報告。

5) H. Fales, G. J. Wright, J. Am. Chem. Soc., 1977, 99, 2339.
同位体でラベルした酒石酸
の質量分析において、ラセミ体よりもエナンチオマーの方が優先的し昇華するという報告。

6) M. Farina, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1987, 1121. & G. L. Perlovich, S. V. Kurkov, L. K. Hansen, A. Bauer-Brandl. J. Phaem. Sci., 2004, 93, 654.
エナンチオマーとそのラセミ体の昇華に関する理論的考察。後者はイブプロフェンに関する論文で、タイトルは、「Thermodynamics of sublimation, crystal lattice energies, and crystal structures of racemates and enantiomers of (+)- and (±)-ibuprofen」です。

で、本報で著者らが報告しているのは、「単一のエナンチオマーよりも昇華速度の速いラセミ結晶を形成する化合物」です。で、その化合物はα-トリフルオロメチル乳酸です。





74%eeのモノをバイアルに入れて放置していたら、蓋に35%eeのモノが付着していて、底の結晶の純度は81%eeにアップしていたそうです。

この結果をうけて、80%eeのサンプルをオープンエア、室温に放置して光学純度の経時変化を観察したところ、56.5 hr後には>99.9%eeにまで光学純度が濃縮されました(Fig.)





結晶学的アプローチから以下のことが明らかに↓

●ラセミ結晶
密度 1753
融点 88℃
(R)と(S)体のエナンチオマー間で2つの水素結合を介したヘテロキラルダイマーを形成。それぞれのエナンチオマーは隣接するダイマーとさらに2つの水素結合を形成。結晶層間のトリフルオロメチル基は、エナンチオマー結晶のそれより近接している。フッ素原子とトリフルオロメチル基との最も短い距離は2.909Å(フッ素原子のvan der Waals半径1.47Åの和よりも短い)と3.005Å。

●エナンチオマー結晶
密度 1719
融点 110℃
それぞれの分子が他の4つの分子に対する4つの水素結合を形成してジグザグに配列。フッ素原子とトリフルオロメチル基との最も短い距離は3.032Åと3.110Å。

融点の高低からラセミ結晶よりもエナンチオマー結晶の方がより安定であることが示唆されますが、密度はラセミ結晶のほうが大きい(Wallah's rule)。確かにラセミ結晶の方が蜜に充填しているようだが、隣接する分子のトリフルオロメチル基のF-Fの静電反発により不安化が示唆される。また、水素結合ネットワークの堅牢度はエナンチオマー結晶の方が大きいのかな?(コンキチは英語が苦手なのであんまり自信ありません)。

自分、学生時代の専門は「光学分割」だったのですが、はっきり言って昇華による直接的なエナンチオマーの分離はノーマークでした。恥ずかしいです。

本論文は、ラセミ結晶の方が優先的に昇華されるというのがはじめてのようですね。

ところで、この論文で取り上げられたα-トリフルオロメチル乳酸ですが、著者らのこれまでの研究から、アキラル条件下での(液体)クロマトグラフィーによる分離において分割現象が発言した模様です(Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 766. J. Fluor. Chem., 2006, 127 597. Chim. Oggi/Chem. Today, 2006, 24, 44.)。

化学ってホントに奥が深いですね。

2008年1月2日水曜日

STARBUCKS As No. 1

スターバックス5つの成功法則と「グリーンエプロンブック」の精神」という本を読みました。


(もし良かったら、上のリンクか画像をクリックしてAmazon.co.jpから購入して下さい。コンキチに幾ばくかのフィーが入ります)

コンキチはスターバックスに高い顧客ロイヤルティーを示しており、かつスターバックスの優れたCRMとパートナーの高いモチベーションがどこから湧いてくるのかということに常々興味を払ってきました。実際、コンキチがスターバックスの店舗を訪れるとき、スタバの従業員は、

a) 常にスマイル
b) 豊富な商品知識
c) セルフなんんですが、顧客の片付けを積極的に手伝ってくれる。
d)オペレーション効率の高さ
e) ほぼ完璧なクリンリネス

を励行しています。正直、上述したことを徹底的のできる組織力の高さを堅持する企業って、コンキチはいまだかつて出会ったことがありません。

で、この書籍がコンキチの疑問を解く鍵になるのではないかと思って手に取ってみたというわけです。

以下、この本を読んで思ったことをメモしてみます。

1) 弁証法的思考
スターバックスには、「反対意見を受け入れる」という風土が有るそうです。で、他者からの批判を踏まえて、生かすことで、さらなるサービスを展開していくんだそうです。これって、弁証法的思考法のような気がします。つまり、

これまでのやり方 = テーゼ
批判 = アンチテーゼ
批判を踏まえた新たなサービス = ジンテーゼ

っていうことです。

こういう考え方って、ポジティブなソリューションの生み出し方ですよね?

2)スターバックス的継続的カイゼン
スターバックスのパートナーは「コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、最上級を目指す」ことをミッション宣言で明確にしているそうです。で、自社の品質規格を満たすor超えるためには、これまでの「古いやり方」を捨てることも辞さないのだそうです。「フレーバーロック(パッケージ中の二酸化炭素を抜く真空パック)」の開発にまつわる話が、スタバの品質に対する情熱を例証していますね。品質に対する取り組みはこれあけではなく、トヨタばりの継続的カイゼンを感じますね。

3) ローカライゼーション機能
スターバックスでは、スターバックスのバックボーン的アイデンティティを堅持しつつ、展開地域毎にそれぞれの地域色を出した商品・サービスの提供を行っているそうです。つまり、ローカライゼーションです。で、このローカライゼーションっていうのは、画一的マニュアル偏重では実行不可能なことに加えて、地域毎・店舗毎にサービスをカスタマイズするってかなり面倒くさいと思います。つまり、普通の競合他社は、そんな面倒なオペレーションを展開する可能性は低い。実際、「面倒くさい」というのは、かなりの障壁になると思います。よって、スタバの競争優位が確保される一因と思います。

4) 堅牢なサプライ・チェーン
スターバックスは、川上企業を選定する際、かなり厳しいリクルーティングを実施しているそうです(パートナーの選定についてもそうです)。 考え方がスタバと大きく乖離していない業者を選別することで、様々なアライアンスが比較的容易に達成できるようになると思います。
これって、かなり堅牢なサプライチェーンを構築しているってことですよねえ。

5) スターバックス経験
スターバックスでは、スターバックスを顧客の「サードプレイス」と位置づけて、顧客にコーヒー飲料を単に提供するだけではなく、スターバックスで過ごす楽しいひと時-スターバックス経験-を商品として提供しています。つまり、スターバックスの業態は単なる「飲食店」や「小売業」ではなく、堺屋太一氏のいうところの経験を売る「時間産業」なのです。単なる飲食料品小売業じゃなくてソリューション・ビジネスでまでビジネス・モデルが昇華されていますね。

ここまでは、スタバのパートナーが持つ高いモチベーションによって具現化されたオペレーションについての感想メモです。で、コンキチがより重要と思うのは、上記活動を積極的に促進させるモノです。その答えが↓

6) 経営者の思想

なんだろうと思います。

つまり、経営トップの高邁な思想が企業に宿っているかどうかということと思いました。

高邁な精神を持った経営者の下で働けたら、大層幸せなんだろうなと思うコンキチです。自分はちょっと職業選択(というか会社選択)を間違ったと思ってます。なので、コンキチの子供達には、会社の情報の収集法とか、就社先を選ぶときに重要なことなんかを教育していきたいと思いますね。

以上、二流大出のなんちゃって研究員の思いつきでした。