2013年9月30日月曜日

Diaziridinone : Old and New Reagent

今年、夏に入る前に行ったお蕎麦屋さんのメモです↓

-銀杏 memo-
コンクリートの打ちっぱなしに竹をあしらった店内。箸と箸置きも竹製。机(テーブル)、椅子、店員は黒で統一されていてシック。ギャラリーフェイクのワンシーンを想起させるほどのセンスの高さを感じる。入店して席に通されると、蕎麦茶が提供される。蕎麦湯は凄くドロドロしていて、ボクの好みではない。ビールの品揃えは、生ビールはアサヒ熟撰(682 JPY)、瓶ビールはスーパードライ(682 JPY)とpoorだが、日本酒のラインナップはなかなかのもの。メニュー紹介のオリジナルのイラストがハイセンスで楽しい。お通しは、日によってか、時間によってか分からないが、出る時と出ない時がある。

-お通し (315 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
海老、(多分)菜の花、湯葉から構築されるお通し。海老がプリップリで旨味深い。(多分)菜の花がとってもjuicy。生湯葉に柚子風味のゆるくとろみのついたジュレ様ソースが良く合う。(多分)わらびの濃い味付けとコリコリした食感が良いアクセントとなっている。


-せいろそば (787 JPY) + 大盛り (210 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
噛みしめると胡桃を想起させる香味がふわりと漂う。エッジの立った中くらいの太さの麺。ツユは鰹節の良い香りのする辛めの味で、蕎麦との相性もなかなか良い。それと、切りムラが少し気になる。
蕎麦をたのむと、デザートがついてくる。今回は蕎麦善哉。蕎麦の香りが漂うような気がするシックな香りで、揚げたての(多分)蕎麦の実が香ばしく、歯ごたえが楽しい。

-金澤屋 特別純米 (787 JPY)-
-DATA-
原料米(Rice variety used)/ 美山錦
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 50%
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
優しくふんわりとしたfruity, milkyな味わいが広がる。finishに力強い苦み(これがまたたまらない)。凄く淡麗辛口なサケ。香り立ちは殆どないが、上品な酒質。雪冷えで賞味。

-浅蜊そば (1,417 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
まず柚子の香りがふわーっと立ち上がる(柚子の皮が一番上に鎮座している)。たっぷりの浅蜊はとても肉厚でてってもjuicy。ただ少し砂が入っていた。蕎麦はまずます。ツユは、浅蜊の味を活かすためだろうと思うけど、上品だが、かなり控えめな味付けで色味が殆どない。でも、物足りない感じではない。
このとき付いてきたデザートの善哉は、小豆の粒がほぼ残っているタイプの大人な感じだった。

-磯自慢 しぼりたて本醸造 (787 JPY)-
-DATA-

原料米(Rice variety used)/ キヨ錦
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 65%

-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
清廉で心地よい仄かな吟醸香。とても柔らかく、口腔内に広がる優しい感触が良い。心地よい酸味と桃の甘みが広がり、うっとりしてしまうほど旨い。雪冷えで賞味。


閑話休題


ジアジリジノン試薬のメモです↓

今年、ジアジリジノンを使った反応が二報報告されています。一つはアルコールの酸化。もう一つはアニリン誘導体の酸化的ホモカップリングに関する報告です。

これまで著者らはジアジリジノンをビルディング•ブロックに利用した研究を実施していて(2007-2011)、その過程でジアジリジノンの特性を理解し、"試薬"としての有用性に気付いたんだろうと思います。

で、1報目↓

Highly Efficient Cu(I)-Catalyzed Oxidation of Alcohols to Ketones and Aldehydes with Diaziridinone
Org. Lett., 2013, 15, 992-995.

di-tert-butyldiaziridiononeの酸化剤としての応用です。

63-99% Yield (44 examples)

2級アルコール→ケトンへの酸化は、反応温度: rt.で、 73-99% Yield (28 examples)。
1級アルコール→アルデヒドへの酸化は、反応温度60℃で、63-96% Yield (16 examples)。

ラセミ化もへっちゃららしいです↓

で、著者らが提案する推定反応機構はこちら↓


この反応(試薬)のアピールポイントは、新規酸化法であり、官能基許容生が高いこと、それから、中性かつマイルドな反応条件に加えて、空気や湿気に過敏になる必要はないということです。

ちなみに、この試薬の(多分)初出は1969年のJOCっぽいです。で、けっこう簡単に合成できます↓

ref. J. Org. Chem., 1969, 34, 2254-2262.; Org. Synth., 2009, 86, 315-324.


それから2報目↓

Facile Cu(I)-Catalyzed Oxidative Coupling of Anilines to Azo Compounds and Hydrazines with Diaziridinone under Mild Conditions
Org. Lett., 2013, 15, 1942-1945.


アニリンの酸化的ホモカップリング反応です。ジアジリジノンの反応開拓の一環の研究の中で見出したそうです。


ジアジリジノンとCuBrの両方がないと、反応は全く進行しません。

それから基質に脂肪族アルコールユニットを含む化合物だとこんなこともできます↓

そして、推定反応機構↓

以上です。

1級アルコール酸化反応は結構限られているので、1報目の酸化剤としての利用法は価値が高いと思った二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。




2013年9月29日日曜日

Partial Reduction

神田淡路町で食べたラーメンのメモです↓

-潮 鶏白湯そば (849 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
とってもcreamyな洋風tasteのスープがいささか下品に、そしてしつこくまとわりついてくるんだけど、それがとても良いです。濃蜜でとても旨く、蠱惑的。これくらいスープにクセがあった方がラーメンという料理には良いのかもと思いました。
麺はツルッツルでシコシコのストレートの細麺で、スープと良く合っていて凄く美味しい。
具は、アスパラの肉巻き、ポーチドエッグ、ブロッコリー、焦がし玉ねぎ、パセリ(?)。アスパラはアクセントとして極めて効果的と思うが、巻いてある肉は硬く、噛み切りにくくてあまり旨くない。



閑話休題


エステルの部分還元に関するメモです。

エステルを還元してアルデヒドで止めるっていう反応で、最も古典的かつ最も広く知られている方法は、極低温下(-78˚C)でDIBAL-Hを作用させる方法だと思いますが、収率良く望みのアルデヒドを選択的に取得するのはけっこう難しかったりします。特に芳香族アルデヒドでイマイチらしいです。

さらに、-78˚Cというcryogenicな条件は、工業的にハードルが高いことは勿論、反応温度が選択性に及ぼす影響がクリティカルなときはラボにおけるスケールアップ時(10L, 20Lスケール)にもキツイです。反応温度に加えて、特にDIBAL-Hを過剰量使用するときはクエンチ時の温度コントロールもしっかりやらないと、クエンチ時の発熱に伴う温度上昇によって、まだ潰れてないDIBAL-Hによるオーバーリダクションが起こっちゃうかもなので面倒かもしれません。

ということで、マイルドな条件でエステルの部分還元をリーズナブルな選択性で達成するっていうのは結構チャレンジングな領域だったりします。

ここ2000年以降に報告された部分還元でボクが真っ先に思い浮かぶのがRed-ALPです。


これはエーザイの開発した試薬で、アリセプトの中間体に部分還元に応用されています↓

see
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/03/red-alp-1.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/03/red-alp-2.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/03/red-alp-3.html

ref.
特開2000-136183 (最近、年金を払ってる)
Tetrahedron, 2001, 57, 2701-2710.
Org. Process Res. Dev., 2012, 16, 1156-1184.

実際にこのプロセスが製造現場で採用されているかどうかは分かりませんが、パイロットプラントで製造量94.5 kgのスケールで実施可能なプロセスに仕上がっています。


あと、Chem-Stationさんが以前紹介していたMDBBAなんていうのもあります(http://www.chem-station.com/blog/2008/07/post-59.html)。

メタルの種類によって、LDBBA (M=Li), SDBBA (M=Na), PDBBA (M=K)の三種類あります。反応温度0℃というマイルドな条件で、高選択的にアルデヒドを取得することが可能です。

LDBBA : 74-98% Yield (27 examples)。特にi-Prエステルの還元に有効。


Tetrahedron Lett., 2007, 48, 5061-5064.

SDBBA : 73-93% Yield (15 examples)。Ethyl Benzoateは収率低い(34%)。


Chem. Lett., 2007, 36, 886-887.

PDBBA : 71-91% Yield (17 examples)。ニトリルは還元されない。


Bull. Korean Chem. Soc., 2007, 28, 2517-2518.



あとボクの知ってる範囲では、Chem-Stationさんがtwitterでつぶやいていた方法が二つあります。これら二つの論文の戦略は、エステルをヒドロシリル化してシリルアセタールで止めて、シリルアセタールを加水分解するっていう方法です↓

ます、1報目↓

Efficient Reduction of Esters to Aldehydes through Iridium-Catalyzed Hydrosilylation 
Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 9422-9424.


90-99% Yield (18 examples)

3級シランでは反応は全く進行せず、2級シランに中でジエチルシランがベスト。官能基許容生は高く、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、エーテル、3級アミン、ニトリル、スルホニル基が共存してもオッケー。フェノール性水酸基でも反応は進行するけど、収率は低い。ニトロ基があるとダメです。あと、当然だけど、アミド、アルデヒド、ケトンとは反応が競合します。

で、著者らが提案している反応機構はこちら↓


3級シランで反応が全く進行しない理由を説明しています。

ちなみに、[{Ir(coe)2Cl2}]はアルドリッチで↓
 18,000 JPY / 250 mg
30,000 JPY / 1 g
119,800 JPY / 5 g

です。

触媒添加量が0.1 - 0.5 mol%と少量なので、値段の割にそこそこスケールアップしても対応可能と思います。あと、この文献で「へ〜」と思ったのがあって、後処理でε-アミノカプロン酸ナトリウムを使ってるんですよね。ε-アミノカプロン酸ナトリウムで処理してアルデヒドを一旦水相に落として、水層をヘキサンで洗った後に酸性にしてアルデヒドを有機層に戻してる。アルデヒドの精製法に亜硫酸水素ナトリウムの付加体を利用するっていうのは知ってたけど、ε-アミノカプロン酸ナトリウムは初耳です。Schiff塩基でもつくって水層に落とすのかよとかと思ったんだけど、workupレベルの処理でそんなにfastに反応がコンプリートするの?とか気になります(逆反応もしかり)。誰か詳しい人がいたら教えてください。


で、2報目です↓

Selective Reduction of Esters to Aldehydes under the Catalysis of Well-Difined NHC-Iron Complexes
Angew. Chem., Int. Ed., 2013, 52, 8045-8049.

こちらはNHC鉄カルボニル錯体を触媒に使った反応です↓


55-95% Yield (24 examples)

この反応UVを当てないと全く反応が進行しません。それから、3級シランでは反応が進行しません。

で、観察結果から導き出した著者らの提案する反応機構はこちら↓


あと、NHC鉄カルボニル錯体はこんな感じで合成できます↓



ボク的には、趣味的かつコスト度外視でIr錯体を使った「ヒドロシリル化-加水分解」法を試してみたいなとか思った二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。

2013年9月15日日曜日

A Researcher Invests Overseas (2)

先日、とうとうかねてから念願だった東京駅のグランスタに入っているはせがわ酒店の日本酒BARデビューしたコンキチです。

で、吞んだのは↓

-米鶴 純米吟醸 2010 高畠ワイン樽貯蔵 (800 JPY)-
-DATA-
原料米(Rice variety used)/ 雄町 100%
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 50%
アルコール分(Percentage of Alcohol)/ 17-18%
日本酒度(Sake meter value)/ +1.0〜+4.0
酸度(Acidity)/ 1.5-1.7
アミノ酸度(Amino acid degree)/ 1.0-1.3
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
仄かな吟醸香に加えて控えめで締まった感じの樽の香り(cedar様のwoody note)。ちょっとクセになりそうなほどいい香り。tasteはけっこう強烈なwoodyな香味に加えてchocolate様の甘く甘美な味わい。(おそらく)5˚C以下で、ワイングラスに注がれて提供。extremely good!


-燗酒 上喜元 特別純米酒 生もと造り (800 JPY)-
-DATA-
原料米(Rice variety used)/ 美郷錦
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 60%
アルコール分(Percentage of Alcohol)/ 15-16%
日本酒度(Sake meter value)/ +5
酸度(Acidity)/ 1.5
酵母(Yeast)/ 自社酵母
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
おすすめ温度はぬる燗より少し熱めということだったので、その温度で提供してもらう。
まず、アルコール臭が立ちあがり、その後うっすらと吟醸香が漂ってくる。基本的にしっかりしたbodyで、杏であったり梅を想起させる柔らかい味わいと少しの苦みを感じる。フィニッシュに苦みを伴ったコク。


閑話休題


Interactive Brokers LLC (IB証券)に口座開設して、記念にちょっぴりだけApple <AAPL>株買って株主気分を満喫しているコンキチです。

Interactive Brokers LLC (IB証券)への送金備忘録です。

おそらく多くの日本人(国内居住者)にとって、IB証券への送金は円建てで実行するのが最も現実的と思います(IB証券で円を外貨に両替する手数料が圧倒的に安いから)。その場合、品川のCitibank銀行本店に開設してあるIB証券の国内非居住者の口座(10桁の口座番号)に送金することになります。

で、インターネット上で軽くサーチしてみるとIB証券への円建て送金に関する情報が幾つか見つかります。

曰く、ネットバンキングの振込手数料無料サービス(例えば、住信SBIネット銀行や新生銀行)を利用して手数料無料で送金する(口座番号「0159170403」の下7桁である「9170403」を入力して手続きする)。しかしながら、国内非居住者の口座への送金は、通常、海外送金(外為円決済)になるため、この方法はシステムの欠陥を突いた行為と思います。実際、かつては出来てきたけど、最近は組戻しになるという報告があがっています。


曰く、シティバンク銀行から振り込めば、例外的に国内送金扱いになる。ネットバンキングを利用すれば手数料無料で送金できる(その際、最初の三桁は店番となるため、下7桁を入力)。こういう情報が何ヶ月か前にAICのサイト(http://www.alt-invest.com/qa/broker/13.html)に記載してあったと記憶しています(今は「最初の三桁は店番」、「ネット振込で無料で送金」といった記述はなくなっています)。
で、この情報を確認するため、シティバンク銀行に電話して聞いてみました。結果↓
a) 国内非居住者の口座にはネット振込はできない
b) 手続きは窓口か郵送で対応(電話して振り込み用紙を請求できる)
c) 手数料は315円
あと、Citibank銀行本店(品川)の店番は「730」


曰く、SMBCダイレクトの外国送金サービス(国内非居住者円建送金)で手数料800円で送金できる(http://www.smbc.co.jp/kojin/gaikokusoukin/gaiyou/index.html)


振込手数料無料の国内送金サービスの利用は論外として(たかだか数百円を節約しようと思って、組戻しになったり、資金が行方不明になって右往左往するリスクをおかすのは愚か)、シティバンク銀行(315円)とSMBCダイレクト(800円)のサービスは、これに関係銀行手数料(コルレス手数料)やリフティング•チャージが本当にかからなければ、かなり魅力的なサービスと思いました。

ということで、シティバンク銀行と三井住友銀行に絞って送金を試してみました。


シティバンク銀行で送金してみた
郵送で振込用紙(シティバンク国内支店向け振込依頼票)を送ってもらったんだけど、書き方がイマイチよく分からなかったので、窓口で手続きしてみました。
振り込み用紙に必要事項を記入し、窓口に提出して待つこと数分で手続き完了です。IB証券への着金はその日のうちに完結。手数料は315円ポッキリ。それから、Citibankは顧客ターゲッティングを絞っているだけあって、空いていて快適でした。
ちなみに、振り込み用紙はこんな感じ↓


細かい注意点だけど、
(i) 振込先のInteractive Brokers LLC.の口座種別は未記入でオッケー(分からなかったのでどうすればいいか聞いた)。
(ii) 振込金額の前には通貨マーク(ボクの場合は「¥」)を記入すること。
(iii) IB証券の口座番号と口座名義人に係るメッセージは備考欄に記載。
です。

あと、郵送での振込の場合は、電話して振り込み用紙が送付されるまでおよそ1週間かかり(ボクの場合、土日を挟んで5日で届いた)、振込は振込用紙がシティバンクに到着後翌々営業日に実行されるそうです。


三井住友銀行で送金してみた
まず、このサービスを利用するにはSMBCダイレクトの契約をしていることが必須。そして、郵送もしくは店舗に赴き書面で外国送金サービス申込書を提出します。郵送で手続きする場合、投函から2週間程度で手続きが完了するようです(Webに記載。申込み用紙はHPからダウンロード可能。申込書を郵送で申請する場合は、申込書到着までさらに1週間程度を要する)。
窓口で手続きする場合、どこの支店でも手続き可能ですが、取引支店(口座開設店舗)で手続きするのが速いそうです(結局、申込書は取引支店に送られてから手続きされる)。
ちなみにボクは、面倒が起こるとかったるいので、通勤途上にある非取引支店で手続きしました(ボクが手続きした店舗では、住所の英文表記に凄くクセのある表記を求められた)。この場合、およそ1週間でサービス登録が完了するという話で、実際1週間でサービス登録完了しました。
次に行うのが送金先口座の事前登録で、これはSMBCダイレクト上で完結し、確か翌営業日には送金可能になります。
で、実際に送金指示すると、その日の内にIB証券の自分の口座への着金が確認されました。

ところで外国送金の手数料負担には次の3つがあるようです↓

OUR: 全て依頼人負担
SHA (Share): 送金銀行でかかる手数料は送金人負担。それ以外、つまり中継銀行(コルレス銀行)や受取銀行でかかる手数料は受取人負担
BEN (Beneficiary): 送金手数料、受取銀行手数料とも受取人負担 (送金銀行が送金額から送金手数料を引き落としてから送金する)

で、SMBCダイレクトの外国送金サービスの場合、関係銀行手数料の負担は、受取人負担(OUR)と依頼人負担(SHA)から選択できます。もしここで依頼人負担を選択すると、後日三井住友銀行の口座から2,500円が引き落とされます(ボクの場合は8営業日後)。受取人負担を選択した場合は、振込手数料(800円)の他に手数料は(IB証券からも)引き落とされません。これはボクが迂闊だったんだけど、IB証券のWeb Siteを良く読んでみると、

送金時元銀行での送金手数料(リフティングチャージ)に関しましてはお 客様のご負担となりますが、受取側で発生する手数料(リフティングチャージ)に関しまして、「Our」、「Share」、「Beneficiary」の選択が可能です。「Our」選択されますと、受取側銀行の手数料は後日お客様に請求がされ、「Share」の場合には、弊社負担と なります。「Beneficiary」の選択の場合にも送金元での送金手数料はお客様のご負担分となります。そのままの金額をご入金されたい場合は「Share」のご選択をお願い致します。送金の手数料については、銀行により金額が異なります。詳細につきましては直接銀行にお問い合わせ下さい。
(https://www.interactivebrokers.co.jp/jp/general/education/faqsJP.php#10)

って書いてありました。

以上まとめると↓

• シティバンク銀行→窓口、郵送で315円で送金できる(オススメ)
• 三井住友銀行→800円でネット送金できる(オススメ)
• 数百円をケチってネットバンキングの振込手数料無料サービス(国内送金)を利用して、面倒ごとになるのは愚か

こんなところかと思います。

みなさんもキャピタルフライト海外投資に舵を切ってみませんか?
以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の外国送金備忘録でした。

2013年9月1日日曜日

対決 Trifluoromethylation

先日、日本初の本格的ワイン醸造場として名高いシャトーカミヤ (Chateau Kamiya)に行ったときのメモです↓

-La Terrasse d'oenon (Chateau Kamiya) memo-

-名前は忘れたけど煮込んだ羊肉料理 -
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
野趣的なくさみが少しあるもそれぼど気にならないレベルで逆に食欲をそそる。とっても柔らかく煮込まれたお肉はjuicyで官能的な歯触り舌触り。ソースが良く絡んで旨い。肉自体も旨い。

-Cranberry Lager-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
紫蘇ジュース様のjuicyさとシャンパンを想起させる香り。fresh, light, sweetなテイストでジュースっぽい。alc. 3%。

-Weizen-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
バナナ様の強い香り。白ワイン様の香り高さ。spicyな香味。夏にベストマッチな爽やかな白ビールに仕上がっている。

waiter & waitressのホスピタリティーも十分満足いくもので、近所にあったら足しげく通い詰めたいレストランと思いました。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Nucleophilic Trifluoromethylation of Carbonyl Compounds : Trifluoroacetaldehyde Hydrate as a Trifluoromethyl Source
J. Org. Chem., 2013, 78, 3300-3305.


カルボニル化合物への求核的トリフルオロメチル基付加反応のお話です。

古典的なCF3シントンを発生させるトリフルオロメチル化剤には、TMSCF3 (Ruppert-Prakash reagent)、phenyl trifluoromethyl sulfone、フルオロホルムがあります。あと、近年開発された試薬にはこんなのがあるそうです↓


でThis workですが、本報で著者らは他の既存試薬を用いた新たな求核的トリフルオロメチル化法を開発しました↓


optimal conditionsは、Trifluoracetaldehyde monohydrate / t-BuOK / carbonyl compound (substrate) = 1.5 : 6.0 : 1.0で、20 examples, up to 95% isolated yieldです。

基本的な考え方はColbyらの報告と同じで、脱離していくのがtrifluoroacetate (Colby)かformate (This work)の違いで、本報告のウリは原子効率の高さと「CF3」の有効活用です。

ニトロ基やトリフルオロメチル基のような強力な電子吸引性置換基を有するベンズアルデヒド誘導体では0% yield。電子的効果に較べて立体効果の影響は軽微です。また、エノール化するアルデヒドも全然ダメです(ちなみに、Colbyらは、ニトロ基やトリフルオロメチル基のような強力な電子吸引性置換基を有するベンズアルデヒド誘導体やエノール化する基質を試していない)。

あと、著者らは本反応とColbyらの報告(http://researcher-station.blogspot.jp/2013/08/new-trifluoromethylation-reagent.html)について、DFT計算して考察しています。

ぱっとみた感じ、ボク的にはColbyの試薬の方が使い勝手が良さそうかなと思いました。


ちなみに試薬レベルのアルドリッチ価格は↓

Hexafluoroacetone trihydrate (Colby's method) / 15,500 JPY (25 g)→ 136,443 JPY/mol
Trifluoracetaldehyde monohydrate (This work) / 44,100 JPY (25 ml=36 g)→ 142,149 JPY/mol

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の論文メモでした。

C層の研究 : 民主政は傲慢な暴君である

日本をダメにしたB層の研究」(http://researcher-station.blogspot.jp/2013/06/blog-post_15.html, http://researcher-station.blogspot.jp/2013/06/b.html, http://researcher-station.blogspot.jp/2013/06/b_19.html)の著者、適菜収の新作「日本を救うC層の研究」を読了しました。

この本は構造改革のいかがわしさについての言及は皆無ですが、民主主義のいかがわしさには多くの頁が費やされており、またシンパシーを感じるとともに、説得力もあると思いました。

西側諸国において民主主義というと、それは万能かつ最高の政治形態と思われているフシがあるように感じますが、果たしてそうでしょうか?

民主主義から生まれたヒトラーの独裁や最近話題のアラブの春などについて考えると、民主主義とは必ずしも素晴らしき最上のシステムではないことは明らかで、全ての国家に適用可能なシステムではないこと(民主主義は国家を選ぶ)が分かると思います。まあ、ボク的には贔屓目にみても「民主主義は他のシステムよりマシなシステム」っていう位置付けです。


ところで学校の授業で習ったあの有名なモンテスキューは、政府の形態には共和政、君主政、専制政があり、さらに共和政は人民全体が主権をもつ民主政と、一部が主権をもつ貴族政(代議制)があると宣い、民主政はもっとも傲慢な暴君であると述べたそうです。そして、「低レベルな人間に投票権を与えるな」と制限選挙の必要性を説いたといいます(未成年に選挙権を与えていない現行制度は制限選挙だ)。

さらに、あの有名な「法の精神」で示された三権分立とは、権力が集中した人民の暴走 - 習俗、秩序、自由の破壊 - を抑制するためのシステムとして提唱されたといいます。要は、バカな人民の暴走を防ぐために権力を分散させとけっていうことでしょう。

はっきり言って、民主主義(民主政)の欠点は明白だ。それは、賢者も愚者も同じ一票を持ち、多数決によって物事が決定すること。そして、おそらく賢者は少なく、愚者の方が圧倒的に多いであろう現実があること(著者はこの平等主義はキリスト教に基づくものとして、キリスト教を批判している)。

多数決によって愚者の間違った意見がまかり通る可能性が高い

そういうことでしょ(例えば、肥大化した社会保障システムの維持のために莫大な借金を重ね、その借金の支払いを後の世代に先送りしようとする政策は、愚者の政策にしか思えない)。


それでは、どんな政治システムが好ましいかということですが、著者は、政治を職業として行うプロフェッショナル(倫理的パラドックスを考慮に入れた上で、信念を持って判断を下す)=賢者による議会主義を推しています。但し、そういった賢者をどうやって選出するかについては明確には触れられていませんが、「覚悟(意見を持たない)」、「教養(プロフェッショナルの仕事を尊重する)」、「品性(他人の邪魔をしない)」、「成熟(無駄口を叩かない)」の重要性を訴えています。要は、


バカは黙っとけや

ということです。

ボクも社会に出てしばらくしてから気付きましたが、「バカに限って声がデカい」と思いませんか?

物事の因果関係を示す作業っていうのはとてつもなく難しいのに、声のデカいバカは、たいした根拠なく自説を自信満々に主張するような気がします。で、そういう声のデカいバカも賢者と同等の一票を持っていることは明らかに問題と思います。

先の参院選もそうだったけど、選挙というと、とりあえず投票にいけやっていう人が雨後の筍のように涌いてくるけど、その行為はバカに投票するよう促している危険な行為かもしれない。バカの誘起により、選挙とは多数決という反知性主義の論理によって決定される作業に堕すことになる。

バカは「覚悟(意見を持たない)」を持たなければいけないと思う二流大出の参院選に行かなかったテクニシャン(研究補助員)の読書感想文でした。


ゲーテ「活動的なバカより恐ろしいものはない」