とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, September 29, 2013

Partial Reduction

神田淡路町で食べたラーメンのメモです↓

-潮 鶏白湯そば (849 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
とってもcreamyな洋風tasteのスープがいささか下品に、そしてしつこくまとわりついてくるんだけど、それがとても良いです。濃蜜でとても旨く、蠱惑的。これくらいスープにクセがあった方がラーメンという料理には良いのかもと思いました。
麺はツルッツルでシコシコのストレートの細麺で、スープと良く合っていて凄く美味しい。
具は、アスパラの肉巻き、ポーチドエッグ、ブロッコリー、焦がし玉ねぎ、パセリ(?)。アスパラはアクセントとして極めて効果的と思うが、巻いてある肉は硬く、噛み切りにくくてあまり旨くない。



閑話休題


エステルの部分還元に関するメモです。

エステルを還元してアルデヒドで止めるっていう反応で、最も古典的かつ最も広く知られている方法は、極低温下(-78˚C)でDIBAL-Hを作用させる方法だと思いますが、収率良く望みのアルデヒドを選択的に取得するのはけっこう難しかったりします。特に芳香族アルデヒドでイマイチらしいです。

さらに、-78˚Cというcryogenicな条件は、工業的にハードルが高いことは勿論、反応温度が選択性に及ぼす影響がクリティカルなときはラボにおけるスケールアップ時(10L, 20Lスケール)にもキツイです。反応温度に加えて、特にDIBAL-Hを過剰量使用するときはクエンチ時の温度コントロールもしっかりやらないと、クエンチ時の発熱に伴う温度上昇によって、まだ潰れてないDIBAL-Hによるオーバーリダクションが起こっちゃうかもなので面倒かもしれません。

ということで、マイルドな条件でエステルの部分還元をリーズナブルな選択性で達成するっていうのは結構チャレンジングな領域だったりします。

ここ2000年以降に報告された部分還元でボクが真っ先に思い浮かぶのがRed-ALPです。


これはエーザイの開発した試薬で、アリセプトの中間体に部分還元に応用されています↓

see
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/03/red-alp-1.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/03/red-alp-2.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/03/red-alp-3.html

ref.
特開2000-136183 (最近、年金を払ってる)
Tetrahedron, 2001, 57, 2701-2710.
Org. Process Res. Dev., 2012, 16, 1156-1184.

実際にこのプロセスが製造現場で採用されているかどうかは分かりませんが、パイロットプラントで製造量94.5 kgのスケールで実施可能なプロセスに仕上がっています。


あと、Chem-Stationさんが以前紹介していたMDBBAなんていうのもあります(http://www.chem-station.com/blog/2008/07/post-59.html)。

メタルの種類によって、LDBBA (M=Li), SDBBA (M=Na), PDBBA (M=K)の三種類あります。反応温度0℃というマイルドな条件で、高選択的にアルデヒドを取得することが可能です。

LDBBA : 74-98% Yield (27 examples)。特にi-Prエステルの還元に有効。


Tetrahedron Lett., 2007, 48, 5061-5064.

SDBBA : 73-93% Yield (15 examples)。Ethyl Benzoateは収率低い(34%)。


Chem. Lett., 2007, 36, 886-887.

PDBBA : 71-91% Yield (17 examples)。ニトリルは還元されない。


Bull. Korean Chem. Soc., 2007, 28, 2517-2518.



あとボクの知ってる範囲では、Chem-Stationさんがtwitterでつぶやいていた方法が二つあります。これら二つの論文の戦略は、エステルをヒドロシリル化してシリルアセタールで止めて、シリルアセタールを加水分解するっていう方法です↓

ます、1報目↓

Efficient Reduction of Esters to Aldehydes through Iridium-Catalyzed Hydrosilylation 
Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 9422-9424.


90-99% Yield (18 examples)

3級シランでは反応は全く進行せず、2級シランに中でジエチルシランがベスト。官能基許容生は高く、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルキル、エーテル、3級アミン、ニトリル、スルホニル基が共存してもオッケー。フェノール性水酸基でも反応は進行するけど、収率は低い。ニトロ基があるとダメです。あと、当然だけど、アミド、アルデヒド、ケトンとは反応が競合します。

で、著者らが提案している反応機構はこちら↓


3級シランで反応が全く進行しない理由を説明しています。

ちなみに、[{Ir(coe)2Cl2}]はアルドリッチで↓
 18,000 JPY / 250 mg
30,000 JPY / 1 g
119,800 JPY / 5 g

です。

触媒添加量が0.1 - 0.5 mol%と少量なので、値段の割にそこそこスケールアップしても対応可能と思います。あと、この文献で「へ〜」と思ったのがあって、後処理でε-アミノカプロン酸ナトリウムを使ってるんですよね。ε-アミノカプロン酸ナトリウムで処理してアルデヒドを一旦水相に落として、水層をヘキサンで洗った後に酸性にしてアルデヒドを有機層に戻してる。アルデヒドの精製法に亜硫酸水素ナトリウムの付加体を利用するっていうのは知ってたけど、ε-アミノカプロン酸ナトリウムは初耳です。Schiff塩基でもつくって水層に落とすのかよとかと思ったんだけど、workupレベルの処理でそんなにfastに反応がコンプリートするの?とか気になります(逆反応もしかり)。誰か詳しい人がいたら教えてください。


で、2報目です↓

Selective Reduction of Esters to Aldehydes under the Catalysis of Well-Difined NHC-Iron Complexes
Angew. Chem., Int. Ed., 2013, 52, 8045-8049.

こちらはNHC鉄カルボニル錯体を触媒に使った反応です↓


55-95% Yield (24 examples)

この反応UVを当てないと全く反応が進行しません。それから、3級シランでは反応が進行しません。

で、観察結果から導き出した著者らの提案する反応機構はこちら↓


あと、NHC鉄カルボニル錯体はこんな感じで合成できます↓



ボク的には、趣味的かつコスト度外視でIr錯体を使った「ヒドロシリル化-加水分解」法を試してみたいなとか思った二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。

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