遅ればせながら、エリヤフ•ゴールドラット博士の新作「ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!」を読了しました。ちなみに、日米同時発売だったらしいです。
さて、率直な感想ですが、軽くガッカリです。これまでの著作で感じられた新ルールというのが感じられなかった。っていうか、本書の多くの部分は、我が国にカリスマ経営者である鈴木会長が口を酸っぱくして繰り返し語り続けてきたことのおさらいとさえ思えました。
具体的には、
a) 最初の方では機会損失とタンピンカンリ(単品管理: 売れ筋•死に筋の管理)に着目することの重要性が語られているけど、セブン-イレブンのオペレーションに酷似していると思いました。
b) あと、サプライ•チェーンにおけるWin-Winの関係構築というのも、トヨタやホンダのケイレツにおいて既に具現化されている気がする。例えば、DHBR 2005年6月号 「在庫最適化のサプライチェーン」の中の『トヨタとホンダのサプライチェーン・リレーションシップ「KEIRETSU」マネジメント』やボス、在庫が大変です!―サプライチェーン・マネジメント(SCM)はこうして始まる!?に書いてあることに酷似していると思う。っていうか、SCMを突き詰めていくと、トヨタ生産方式に収斂していくと思う。実際、ゴールドラット博士も大野氏を尊敬しているようだし。
c) それから、「決して、分かったつもりになるな」という所謂、常識を盲信するなというのも、いろいろな人が繰り返し述べている事と思うし、(B2Bであっても)顧客の視点を取り入れるというのも、鈴木会長の、「顧客のためではなく、顧客の立場にたって」というのに酷似していると思います。
d) コンフォートゾーンというのも行動経済学チックだし、一見自分が理解し易い安直な結論を導きだす危険性に関する部分は、頭の良さ(抽象的思考)とか、知識量(経験量、単に知っているかどうか)とかフレームワークを使うことで解決できるような気がする。
e) 「ものごとは、そもそもシンプルである」というのも、特にインパクトは感じられなかった。っていうか、人間は判断は二者択一の連続だし、複雑=沢山の単純(単純×無限大)だとも思うし。あと、01信号とかを考えると特に奇異にはきこえないな。
ただ、これまでの著作通り、噛み砕いて分かり易い文章は良いと思いました。SCMを平易な文章で概観するという意味と、アパレルとかパン屋の具体的な事例研究という意味では価値があると思いました。特に、アパレルの話は、ZARA(see DHBR 2005年6月号 「在庫最適化のサプライチェーン」の中の『ザラ:スペイン版トヨタ生産方式』)とは好対照な戦略が記述されていて面白いです。
因みに、博士のこれまでの著作はこちら↓
ちなみにコンキチはコンプリートしています。
あと、スループット会計がよく分かる本ね↓
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2008年11月29日土曜日
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