職業選択における情報の非対称性について書きたいと思います。
とりあえず、就社に際してパッと思いつく情報の非対称性が存在する部分を列挙してみます↓
a) 賃金体系•賃金水準
b) カルチャー
c) 配属先
d) 人間関係
etc
すぐに思いつくのはこんなところです。では、上から1つずつ、少しでも情報の非対称性を緩和する術を考えてみます。
ます、
a) 賃金体系•賃金水準
賃金体系(成果主義か能力主義か年功序列かとか)については、はっきり言ってその詳細をアウトサイダーが派秋巣のは極めて困難でしょう。ただ、プレジデントとか週刊東洋経済とか週刊ダイヤモンド、読売ウィークリーといった大人の娯楽誌に特集が組まれることがあるので、有名企業については参考のなるかもしれません。
で、次に賃金水準ですが、上場企業とか有名企業については次に挙げるデータソースからある程度のことを知ることができます↓
1) 有価証券報告書
平均年収、平均年齢、平均勤続年数、労組の有無、退職給付制度を確認できます。
2) 企業のWeb Site
リクルートのページで初任給とか、福利厚生制度とかを確認できます。
3) Webサイト
平均年収ランキング-年収プロ
上場企業のセクター毎の平均年収のランキングが見れる。あと、過去5期分の「従業員数」、「平均年齢」、「勤続年数」、「平均年収」も表にまとめられています。それから、有報の「従業員の状況」の抜粋データをWord文書でダウンロードできます。
それから、個人の投稿によって職種毎の年収が垣間見えるサイト↓
年収インフォ
給与明細教えて!職業・業種別給料明細 年収いくら?
データソースが個人の申告なので、信憑性には疑問が残ります。
4) 業界に注目
「セイラー教授の行動経済学入門」に書いてあったと思うけど、均等性に引きずられて産業間賃金格差が形成されるというのがあります。
セイラー教授の行動経済学入門
どういうことかというと↓
i) 経理とか人事部門ってどこの会社にもある職種
ii) 業界によって給料(平均賃金)に大きな隔たりがある。例えば、大手民放とか銀行とか大手証券は平均年収1千万超だけど、ゴム製品セクターとかバス会社とかは給料が安い。
iii) で、本質的に経理とか人事の仕事ってどの業界でも大きな違いはないと思うけど、その給料には隔たりがある。同じ職種であっても、高賃金セクターで働く人の方が低金銀セクターで働く人より給料がよい。
iv) ちなみに労働組合は、業界横並び的な要求をすることが多いように思う。っていうか、業界ごとに団体がある。例えば、自動車総連、電機連合、日香労連とか。
っていう感じで、給料設定にはある種のバイアスが存在するので、人生における身の振り方には気をつけた方がよいでしょう。例えば、コンキチのように有機合成を生業にする人間の場合、製薬業(医薬品)が圧倒的に給料が良いと思います。次は、大手化学メーカーとかかな。あと、平均年収ベースでは香料会社も悪くないです(ぬるい環境だし)。
b) カルチャー
はっきり言って、カルチャーは、基本的にリスクとしてうけいれなければならないと思います。
まあ、カルチャーを知る術として、例えば、MyNewsJapanというサイトがあります。で、その中では(元)社員のインタビューから仕事内容(やりがい?)や給与水準、WLBなどが記述されていますが、鵜呑みにはしない方がよいでしょう(参考になる部分も多分にあると思いますが)。っていうか、そういうことを外部にペラペラ喋る人って、社内で評価されていない人である可能性が高い。そういう人のインタビューにはある種のバイアスがかかっていると考えた方が良いと思います。
あと、コンキチはやったことありませんが、OBの話を聴くことは、ある程度ざっくばらんな話を聴けそうで、そこそこ有効かと思います。
それから、雑誌や書籍にも企業のカルチャーに関する記事が載っていたりします。例えば、11/18号のSPAでは、京セラの宗教チックなカルチャーが紹介されています(まあ、企業っていうのは多かれ少なかれ宗教チックなところがあると思いますが)。書籍としては、内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)とか若手行員が見た銀行内部事情 (アルファポリス文庫)(多分、みずほ銀行の話)、ソニー本社六階(ちなみにまだ未読)とかトヨタの労働現場―ダイナミズムとコンテクストとかがあると思います。ただ、もう会社を辞した人間の書ということで、ある程度のバイアスがかかっている事を考慮し幾分差し引いて読むべきと思います。
c) 配属先
教員とか、吉野屋のバイトとか、そういった職種なら配属先は決まっているでしょうが、内資系企業の新卒採用の場合は、ブラックボックスと思います。特に、大企業になればなるほど、事業所や部門の数が増えるので、予想は困難となると思います。ただ、大企業でも、大卒でMRになりたいなんていうのえあれば、その通りになるかもしれないと思います(自分、MRやったことないのでイメージです)。
ただ、転職市場においては、募集職種が公開され、それに基づいて採用活動が実施されると思うので、採用されれば対象職種での仕事が待っているはずです。
d) 人間関係
予見することはほぼ不可能でしょう。そもそも、部署毎に人間関係を全て網羅することは無理。しかも、人間関係情報に基づいて配属先をコントロールすることも不可能でしょう。道を歩いていて車に轢かれるのと一緒です。ただ、大きな組織(大企業)ほど、多くに事業所や部署、人員を抱えているので、異動という手段を行使して問題となっている人間関係から逃げ出すことができる可能性が高まると思います。
逆に小さい企業だと、異動は完全なるキャリアの断絶を意味し、人間関係からは逃れたけど、仕事的に納得できない事態に追い込まれるかもしれません。そうなった場合に転職という選択肢が出て来るかと思いますが、転職に係る自分の能力的問題に加えて、転職先の情報の非対称性とも格闘しなければならなくなると思います。
以上、コンキチの思うところを徒然なるままに書き綴ってきましたが。中流の戦略の最もファンダメンタルな基盤となる勤務先を選択する上で、上述した内容を時間をかけてチェックすることは重要と思います。特に、どんな業界に進むかということを考慮するのは早いほうが良いでしょう。例えば、ノーベル賞化学者級の研究者になりたいというのであれば、少なくとも所謂理系を選択しなければなりません。
また、高級官僚になりたいというのであれば、少なくとも、旧帝大とかそれに準ずる大学に入学することが重要と思います。なので、そういうことを実現できる学習を実施しなければいけない。
コンキチが就活していたころ(1998年)にまだ難しかった情報の入手が、今はインターネット経由で簡単にできます。っていうか具体的には有報をはじめとするIR資料のことを言っているのですが、そういった資料にあたることで、業界の特異性(給与水準とか、業界を取り巻く環境とか)とか、収益性、安定性が見えてきます。
もしあなたがサラリーマン人生を全うすることで中流の戦略を実行するのなら、就社の選択は最も重要です。仮に大卒で就社して定年(一応60歳)まで勤め上げるなら、約38年間を会社を基盤とした経済活動により生活を維持していくことになります。途中でいやになったら転職すればいいさという人もいるかもしれませんが、退職給付制度の観点からは100%不利になること請け合いです。また、転職するに際しても情報収集して企業研究しないといけない。
まだ、比較的時間に余裕のある学生時代にみっちり有報や(ちゃんとした)経営学の本を読んで業界研究することは、豊かな中流生活を歩む上で重要と思います(なので、そういったことを怠って、安直に就活していたコンキチは後悔いています)。
中流の戦略 (5)に続く
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2008年11月16日日曜日
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