2013年6月19日水曜日

B層オリエンテッドマーケティング

先日、柏市の公設市場の中にある大和寿司っていうお店に行ったので、メモします↓

-大和寿司 memo-
席はカウウター7席と小上がりに6人がけのテーブル×2と4人がけテーブル×3。見た目元ヤンっぽい(多分)夫婦が営業。旦那さんは強面で、奥さんは金髪美人(染めてるだけで日本人ね)。

-天狗舞山廃純米 (600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
雪冷えで提供。やっぱ、鉄板の旨さ。

-Bランチ(並握り七貫、サラダ、小鉢、お新香、お椀) (1,000 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
並握り七貫は、赤身(肉厚でjuicy。フィニッシュにはすっきりした酸味。ネタの形は悪い)、サーモン(肉厚で旨い。しっかりしたコク。舌触りも良し)、寿司海老、帆立(大きくて、少し水っぽい)、カンパチ(プリップリのヌルッヌル)、真鯛、(多分)甘鯛(あまり旨くない)。全体的にネタが肉厚で寿司としてのバランスが悪い。シャリは少し硬くてあまり旨くない。ネタの鮮度は良いのかもしれないが、握りの技術には全く感心できない。

きっともう行かないと思います。


閑話休題


適菜収の「日本をダメにしたB層の研究」にはクリティカルマスたるB層をターゲットにしたマーケティング手法が軽く開陳されています。

B層向けマーケティングについて上から目線で解説した本といえば、瀧本哲史の「僕は君たちに武器を配りたい」を思い出しますが(see http://researcher-station.blogspot.jp/2012/04/blog-post.html)、「日本をダメにしたB層の研究」はさらなる上から目線で語られています。

薄利多売スキームで商売している企業は、マス・マーケットをターゲットにローエンド品を売るので、自然とB層という愚かな大衆を攻略することになると思われます。

で、適菜収のこの本にはローエンド・グルメにちなんだ話があります↓

B層がこよなく愛し行列をつくる飲食店、すなわち「B層グルメ」というのがあって、B層グルメは、行動心理学から動物学まで最新の知見を駆使し、B層の趣味嗜好・行動パターンを分析した上で商品設計されているといいます。店の立地、席の配置、照明の角度をマーケティングにより決定し、さらに「産地直送」「期間限定」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠の技」といったB層の琴線に触れるキーワードを組み合わせてB層に訴求しているのだそうです。

これってあれだね。ボクの愛読しているラーメンマンガ「ラーメン発見伝」で出てきた話と一緒だね、要は、


客はラーメンを食ってるんじゃない!! 情報を食ってるんだ!


という台詞に集約されると思うんだけど、そういうこと。

多くの大衆は味なんかよく分かってなくて、「産地直送」「期間限定」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠の技」といった「実際の味」とは何の相関関係も見出すことのできない薄っぺらな付加情報を脳内で咀嚼することで旨く感じているだけなのかもしれません。実際、お笑い芸人とかアイドルのグルメレポートは「旨い」とか「美味しい」とかしか意味のないことしか言わない。

さらに適菜氏、B層は即物的な快楽に流されると言い、B層向けの飲食ビジネスは動物としてのヒトのエサをつくることであり、食文化とは関係がないとバッサリ切り捨てています。具体的には砂糖をぶちこむことがB層向けの解だといいます。

B層寿司では酢飯に無闇に砂糖をぶちこむみ、弁当屋では惣菜に砂糖をぶちこむみ、焼き肉にもハンバーグにも玉子焼きにもたくさん砂糖を入れるらしいです。そして、逆に味を洗練させると売れなくなってしまうといいます。  
(本書では酢飯にサッカリンもぶち込んでるって書いてあるけど、食品衛生法の規制範囲内でぶちこんでるってこと?)

なかなか辛辣で、けっこうキてるね。でもこの本の内容を盲信するのは危険だ。だって、適菜氏は「卑劣な人間は卑劣な顔をしているし、悪人は悪人顔をしている」といった、人の本質は人相に現れると主張しているんだけど、これってブーメランで、ボク的には適菜氏の写真をみて人相判断すると、「日本をダメにしたB層の研究」というこの本は信用に足らない駄本であると結論付けることになるから。

この本を盲目的に信用して読むか、批判的な視座を持ち取捨選択しながら読むか。ボクはこの本がA層とB層とを峻別する踏み絵にたいな役割を果たしているんじゃないだろうかと考えています。

2013年6月16日日曜日

B層政治家列伝

以前訪れた温泉のメモです↓

-中崎山荘 memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
露天は無色透明の硫黄泉。内湯は乳白色のアルカリ単純泉。充実の泉質。施設は綺麗で、とっても温泉ライフをとっても満喫できる。低温の温泉ミストサウナがあるんだけど、これがまたけっこう気持いい。入湯料は800円。もし近所にあったら通い倒したくなるレベル。


閑話休題


日本をダメにしたB層の研究」で紹介されているB層政治家のメモです↓


黒岩祐治 (1954年-)
神奈川県知事。2011年4月に行われた神奈川県知事選で、「2011年夏までに5万~15万戸に太陽光パネルを設置する」、「4年間で200万戸の太陽光パネルを設置」という公約を掲げて当選するも、当選翌日には「具体的な議会の日程などを考えると、時間がない。夏の冷房需要に間に合わせるということは別枠で考えないといけない。公約は修正させていただく」と発言し、同年10月には、「あのメッセージは役割を終えた。忘れてほしい」と宣う筋金入りの詐欺師。


菅直人 (1946年-)
「法の下の平等(憲法14条)とは、形式ではなく、実質的に弱い立場の被害者が早急に救済されるものでなくてはならない」と発言すし「社会正義は法に優先する」という「個人的な思想信条を法に優先させる」全体主義思想の持ち主。自著で独裁と反文明主義を賛美する狂人でもあるという。官僚は大バカとか嘯いて、乗数効果も知らないで財務大臣になっちゃった、実は自分が一番のバカ。自身の資金管理団体がパチンコ屋を経営する在日韓国人から違法献金を受けていたりと、東工大の面汚しであることは間違いない。


鳩山由紀夫 (1947年-)
「歴史を変えるのはわくわくする」とか「日本の歴史が変わると思うと身震いする」とか言っちゃう危ない感じの金持ちのボンボン。
挙げ句の果てに「国民が聞く耳を持たなくなった」と嘯く責任転嫁型政治家。トンデモ発言には枚挙に暇がないが、米軍普天間飛行場移設問題に関するインタビューで 『「何も考えていないんじゃないか」と言われるから、「腹案がある」と言ったんだ けどね。もうこれ以上、普天間の話はしなくていいでしょう。』と答えたのには開いた口が塞がらなかった。ナチュラル・デマゴーグ。


小沢一郎 (1942年-)
皇室に対して卑劣な嫌がらせを続けてきた。検察陰謀論に取り憑かれており、議論が苦手で癇癪を起こしたらつくったものを壊すだけ。原発事故後は真っ先に逃亡を図り、最後は泥舟から逃げ出した。権力フェティッシュ。三権分立の破壊と権力の集中を図り、政府与党一元化、陳情窓口の幹事長室への一元化を推進した。
主な業績↓
・左派勢力を利用して55年体制を葬った
・政治制度そのものを自らの目的に合わせて改変した
・ポピュリズムにより民主革命を起こそうとした
政治改革法案と政党助成法で二大政党制の樹立と権力の一元化を目指した。すなわち、小選挙区・比例代表並立制では、基本的の上位二政党の勝負のなり、政治家個人の資質以上に党首の人気や分かり易いスローガン、社会福祉、減税などが選挙の趨勢を握る。彼はそういったポピュリズムを露骨に導入した(「国民の生活が第一」、戸別所得補償制度、子ども手当)。さらに、政治家個人の資金調達を規制することにより、党本部が党所属の財布を抑えた。これらにより、党本部が選挙の趨勢とカネを握ることになり、党員の拘束を容易にした。B層にはマニフェストの矛盾が届かないことを見抜いていたという。
あと、初公判を終えた後に開いた記者会見で、国会の証人喚問で説明責任を果たす意思を問う記者を「睨みつけ」て、「君は三権分立をどう考えているの」と逆質問して、「もうちょっと勉強してからまた質問してください」と発言したことは、話題を変えたり話を反らしたいときの典型的な常套手段だ。


橋下徹 (1969年-)
橋下徹の特徴↓
・二言目には「民意」を持ち出し反対意見を退ける(「教育に民意を反映させる」「市職員は民意に従って動いてもらう」など)。これはロペスピエールやヒトラーが使ったロジックと同一であるという。
・「抵抗勢力」を仕立て上げ対決姿勢を示すことでB層票を集める手法をとる(小泉純一郎に心酔しているという)
・メディアを最大限に利用し、次々と新しいトピックを打ち出す(大衆運動は飽きられたらそこでストップする)。実現不可能なトピックを打ち出し、B層を誘導した後に、タイミングを見計らってこっそり撤収する。
日本をダメにしたB層の研究」の著者である適菜氏によると、政治の腐敗、議員の劣化、あらゆる革命思想、反文明主義、国家解体のイデオロギーを寄せ集めたものが、彼の大衆運動を支えているという。橋下徹は国会解体のイデオロギーをもつアナーキストであり、全体主義(非現実的なプロパガンダにより社会不安を煽り、その中で既成の権力を解体していく大衆運動)を牽引している天性のデマゴーグだという。。
橋下徹の「撤回」の歴史↓
・2012年2月 「相対評価で最低ランクが二年続いた教員」を分限免職の対象とする案を教育関連条例に盛り込むことを撤回
・2012年3月 市水道局の民営化を唱えるものの月末に撤回
・2012年4月 関西電力大飯原子力発電所三、四号機再稼働要請を決めた政府に対し、倒閣を宣言→後に撤回
・2012年5月 大飯原発の再稼働について「基本的には認めない」と発言した翌日に「事実上、容認する」と撤回
・2012年6月 「大阪都」構想実現が成立した場合、大阪維新の会が国政進出しない可能性に言及したものの。4日後に撤回
・「日本の電力はあり余っている」「プロパガンダには騙されてはいけない」「産業での節電など全く要らない」などと発言するも、その後「実際に停電になれば自家発電機のない病院などで人命リスクが生じるのが大阪の現状だ。再稼働で関西は助かった」と発言。


原口一博 (1959年-)
一番分かり易いB層政治家。政治そのものへの信頼を破壊する存在。仮にも総務大臣を務めた人間のグーグルアース発言には本格的にあきれた。小物界の大物。
閣僚懇談会を途中退席してまでバラエティ番組に出演したり、ツイッターに夢中になって参院予算委員会に遅刻したりとB層対策に余念がない。あだ名は「風見鶏」「ラグビーボール」。
◎矛盾した発言の歴史↓
・「小泉純一郎元首相が実践した分断の政治、敵を作ることで自らのレゾンデートルを確立するというやり方は、二流の政治です。偏差値エリートは得てして答えはひとつだと決めつけて、分断しがちになる。しかし、民主党が目指していきたのは連帯の政治です。」(週刊現代 2010年10月16日号)

「政権交代の原点を見失い、既得権益にしがみつくのであれば、たとえそれが民主党であったとしても、我々の同志ではない。(中略)彼ら「民主党B」とは、袂を分かたなれればならない。」(月刊日本2011年3月号)
・「(菅内閣不信任案に対して)私たちが野党の不信任案に一票を投じるというのは断腸の想いです。しかし100年の悔いを残さないためにはこれが今のとりうる最善の手である」
翌日↓
「もともと野党の不信任案に乗るなんて邪道なんですね。」
◎「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーである原口一博の行い↓
・菅内閣の閣僚になった途端に、参拝の「さ」の字も言わなくなる
・2009年9月 総務省内に「A級戦犯」の合祀の有効性を検証する部門を設置しようとした(小沢一郎が分祀論をぶちあげた)
・戦争責任者を合祀して、その者をも顕彰するというのでは「靖国」の本旨に照らしても一考が必要だし、不戦の誓いと言っても戦争被害者の共感は得られないだろう(平和)
◎その他トンデモ発言↓
・「レジスタンスとテロリストは紙一重ではないか?」(平和)←レジスタンスとテロリズムを分けるのは暴力の有無ではない。ジュネーブ条約によりレジスタンスは正当性が認められている。
・「私は法と正義に基づいて執行する。これが文民統制(シビリアン・コントロール)である」←文民統制とは政治家が軍隊を統制すること


↑こういう人たちがテレビのモニターでドヤ顔してる様を見るにつけて、


まともな人間は政治家にはならない


よなと結論付けるボクは早計で浅はかな人間なのでしょうか?

ところで、「日本をダメにしたB層の研究」の著者である適菜氏の思想は少々興味深い。彼は、民主主義はキリスト教カルト(平和主義、平等主義は、絶対存在である神を想定しないと出てこない発想)であり、その本質は反知性主義であると言います。そして、政治において重要なことは、民主主義を廃棄することであり、自由な言論の場である議会の民主化を推進する勢力(民意を利用する政治家)から守り抜くことであると言います。
また、地方分権は中央集権体制の下に成り立つと考え、地方分権の背後に貫かれているのは既存の権力構造を転覆させるための革命の論理と言います(地方分権や道州制は最も分かり易い国家解体の原理)。

相当ラディカルな思想だよね。ちょっとボクにはハイブローすぎます。それでいてポスト民主主義については言及していない。プロの政治家が政を取り仕切ることが理想のようだけど、それを実現させるための方策は不明だ。ボクも民主主義(というか民主制)は欠点だらけなシステムだと思うけど、一番マシなシステムであるとも思います。また、適菜氏は地方分権や首相公選制を否定してるけど、大統領制や連邦国家についてどのように考えているか知りたいものです。

2013年6月15日土曜日

バカに支配される国

神田にある味噌とチーズがウリという店、鍛冶二丁に行ったときのメモです↓

-神田個室鍛冶二丁 memo-
千代田区神田鍛冶町2-2-9 共伸会館7F
TEL: 03-3254-5655
(株)コズミックダイナーが運営
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
・モッツアレラチーズの揚げだし (609 JPY)/ これは秀逸。食感が楽しい。
・旬魚のなめろう(サーモン) (609 JPY)/ ご飯が欲しくなる味。フィニッシュのビターな感じが大人な感覚。
・ホルモン味噌漬け鉄板焼き (609 JPY)/ 噛み切れない部分多く、イマイチ。
・牛ロースの朴葉焼き金山寺味噌 (1,344 JPY)/ 普通
・枝豆の塩麹鉄板焼き (504 JPY)/ ごま油を振りかけているからだろうか?とても芳ばしい香り。味は意外と普通で上品でおとなしめの味に仕上がっている。
・フライドポテト チーズクリームのせ (609 JPY)/ チーズクリームのキックが凄い。fattyかつcreamyでイイね
・チーズ4種盛り合わせ (1,029 JPY)/ ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ)はボクには大人過ぎた。ウォシュタイプとシューブルタイプはGood!
・嘗め味噌の5種盛合せ 旬野菜添え/ 5種の嘗め味噌は、コチュジャン味噌、バジル味噌、レモン味噌、バルサ味噌、葱味噌(だったと思う)。総じて旨かったんだけど、バジル味噌の強烈な香りがとても印象的。

発酵×発酵のシナジー料理ではなく、「味噌」と「チーズ」の個別料理ミックスの店と思いますが、なかなか良かったです。けっこう楽しめました。店員の接客態度は良好でよく教育されていると思いました。再訪の価値有りと思います。


閑話休題


日本をダメにしたB層の研究」を読了しました。


   鳩山由紀夫「どうぞ戦ってください」(政治資金規正法違反事件で検察の追求をうけていた小沢一郎に対して)

菅直人「改めて法律を調べてみたら(総理大臣は)自衛隊に対する最高の指揮監督権を有すると規定されている」

↑あの懐かしい民主党政権時代の総理の発言です。
国家のトップが国家権力との闘争を唆したり、改めて法律を調べてみないと自衛隊の最指揮権がどこのあるか分からない人間が総理となり国家の舵取りをする。まさに、我が国はバカに支配されているといっていいでしょう。

そして、そんなバカな総理を選出するのは国会議員で、国会議員を選出するのは我々国民になるわけです。

ところで、小泉内閣の進める郵政民営化政策に関する宣伝企画の立案を内閣府から受注した広告会社「スリード」が、有権者を四分類しました(2005年)↓

A層:財界の勝ち組企業、大学教授、マスメディア(TV)、都市部ホワイトカラー
B層:小泉内閣支持基盤、主婦層&若年層が中心、シルバー層、具体的なことは分からないが、小泉総理のキャラクターを支持する層
C層:構造改革抵抗守旧派
D層:既に(失業等の痛みにより)構造改革に恐怖を覚えている層

郵政選挙では「B層」という大勢の「流されやすいおバカさん」を巧みに誘導することとで、クリティカル・マス超えに成功し、政権交代選挙では馬の鼻先に人参をぶら下げるよろしく「絵に描いた餅」で「B層」の歓心を買うことに成功したと思います。


選挙は「バカの風」に乗ることが重要


そういった結論が導き出せると思うのは、ボクだけでしょうか?

2013年6月2日日曜日

悪ガキ教授のソリューション

先日、久しぶりに神田の尾張家に行っておでんを喰ってきました。

-尾張家 2階の座敷 memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
2階は掘りごたつの座敷(6名が余裕をもってゆったり座れた)が3部屋くらい?率直に言って、接客はけっこうビジネスライクで、1階のカウンター席に較べてホスピタリティーは圧倒的にダウンする。
瓶ビールはキリン(たしか一番搾りだったかな?)、サッポロ(黒ラベル)、アサヒ(スーパードライ)を選べる。
焼酎はボトルメニューが豊富。
まぐろのかま焼きをたのんだんだけど、その味がリッチでジューシーでとっても旨かったのが印象的だった。
おでんはボク好みのあっさり系でとても旨い(といって薄いわけではない)。
カウンターで食べる店と心得たい。


閑話休題


最近、窃盗犯(万引きした客)の顔写真を店内に張り出す鮮魚店の話題がお茶の間を賑わせているようですね。

http://www.j-cast.com/2013/05/28176048.html
http://www.asahi.com/national/update/0525/OSK201305250023.html


なんでも、窃盗(万引き)を発見しても警察には届けないかわりに、「私は万引きしました」というプラカードを持たせて撮影し、無期限で掲載するらしですね(但し、罰金の1万円を払えば撮影は免れる)。

こういった窃盗犯の世間への顔出し作戦はこれが初めてではなく、日本国内でも同種の例がいくつかあるようです。

1999年7月 商品を万引した疑いがある少年たちの写真を防犯ビデオの映像からプリントし店の入り口に「サンドイッチを万引」「見かけたらお知らせください」などと書いて掲示(兵庫県加古川市のコンビニチェーン店)

1992年, 1993年8月, 1996年 防犯カメラで撮影したリアル万引きビデオ映像を販売 (福島県いわき市の書店)

1994年? 入り口に万引きをした人の写真を掲載 (群馬県高崎市に本部のディスカウント・チェーン)

ところで、こういった対策をきいて、ひとつ思い出しました。「悪ガキ教授」ことスティーブン・D・レヴィット教授(シカゴ大学)の「ヤバい経済学」を思い出しました。この本の中でレビット先生は

インセンティブは現代の日常の礎である。そして、インセンティブを理解することが-おうおうにして壊してしまうことにもなるけれど-凶悪犯罪からスポーツの八百長、出会い系サイトまで、どんな問題もほとんど解決できる鍵になる。

と宣います。

そして、売春と戦っているアメリカの街には、売春した男と売春婦の写真をWebで晒していることろがあると書いてあったと思います(ボクは実際のサイトを確認したことは無いし、現在も継続中かは不明; see http://researcher-station.blogspot.jp/2007/06/freakonomics.html)。

この犯罪者の顔を公開(市中引き回し)するっていう行為は、4つのインセンティブ(経済的インセンティブ, 社会的インセンティブ, 道徳的インセンティブ, インセンティブの暗黒面)のうち、社会的インセンティブに対して大幅に働きかけることになり、社会の目という抑止力を最大化する施策と思われます。

とりあえず、ネット上で簡単に発見でいる記事によると、上述したような対策(市中引き回し戦略)は、窃盗(万引き)の抑止にだいぶ役に立っているような印象を受けますが、それはあくまで「印象」にすぎないわけで、数値の変化を把握したいところです。

「折角の社会実験なんだから、市中引き回し戦略の有効性を継続的に検証すべきなんじゃないの?もったいない。悪ガキ教授のソリューションの有効性をもっと追跡しようよ。」と思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)のつぶやきでした。

Friedel-Craftsの新展開

先日、大宮のecuteいったときに炒飯喰ってきました。 

-かにチャーハンの店 エキュート大宮店 かにチャーハン (630 JPY)メモ-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
ご飯はパラパラほどけて良い食感。口の中で気持良くほぐれていく感じ。味付けはおとなしく、パンチに欠けてやや欲求不満。チャーハンの中に入っているキュウリとレタスは、ボク的にどう考えてもチャーハンの味とは不協和音以外の何ものでもない。あと、カニがはっきり言って不味い。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Friedel-Crafts Acylation with Amides
J. Org. Chem., 2012, 77, 5788-5793.

17 examples, 55-96% Yield

Friedel-Craftsアシル化において、electrophileにアミドを使うという一見すると「何の冗談だよ」と言った感じの反応です(アミドを使ったフリクラの報告例は殆どないけど僅かにあるらしいです)。

通常、アミドのC-N結合は堅固で、酸性条件下でアシルカチオンを与えることはありませんが、本報では超求電子的な活性化を介してアミドのC-N結合の共鳴が弱まり、結合が開裂してアシルカチオンを与えると考えられます。


そして、ジカチオン性中間体の正電荷の反発がドライビング・フォースであると思われます。

ベンゾフェノン合成に関していえば、求電子剤に酸クロを使ったコンベンショナルな方法(11 examples, 50-97%, >93%は2例)と同等かそれ以上(this work, 93%)のパフォーマンスです。


ちなみに、同様のアプローチでアミド結合を不安定化させてフリクラするっていう最近の報告があります↓
Org. Lett., 2002, 4, 459. (β-ラクタムの歪みも利用)

Org. Lett., 2004, 6, 1789. (著者らの前の報告)

あと、アミドやウレアの共鳴を弱めることでC-N結合の強度が低下し、加溶媒分解速度があがるという論文も報告されているようです↓

Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 548.

Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 8721.

Graphical Abstractしかみてないけど、窒素原子周りを嵩高くすることで共役平面性を崩して共鳴を弱めると、C-N結合の強度も低下するってことかな。


本報の話に戻って、インダノン合成における、アミドのアミンユニットの効果はこんな感じ↓


(とりあえず、p-nitroanilineユニットの場合、H2SO4, AlCl3, HY-zeolite, Sc(OTf)3ではダメだそうです)


あと、お薬の中間体の合成への応用例↓


さらに、副生するp-nitroanilineは80%以上、triflic acidは定量的にリサイクル可能であり(J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1979, 2441.)、基質の酸アミドは固体酸触媒としてNano Sulfated Titania触媒を使用することで対応するカルボン酸とアミンから直接合成できそう(N-(4-nitrophenyl)benzamideだったら95% yield; J. Org. Chem., 2011, 76, 2853.)なことから、著者らは、

"this Friedel-Crafts acylation represents a conversion producing minimal chemical waste"

とGSCの見地からもアピールしています。


いろんな意味でなかなか興味深い反応と思った、二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした(N-(4-nitrophenyl)benzamideとm-ジクロロベンゼンから対応するベンゾフェノン誘導体が収率70%で合成できるんだけど、軽くヒーティングは必要だけど、不活性な基質でもそこそこいい収率で反応が進行するのは価値が高いと思いました)。

2013年5月26日日曜日

組織のカルチャーという呪縛

つくば CRAFTBEER FESTに行って、腹一杯クラフトビールを吞んできたコンキチです。とっても満喫できましたよ。

メモ↓

-Awa Beer Dark Ale 安房麦酒 ダークエール-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
チョコレートとミソ様のパワフルな香味。とてもよくroastされている。sweet, creamy, bitter。濃密でとても旨い漆黒のビール。
http://beer.awa.or.jp

-LOCO BEER Steam ロコビア スチーム-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
みそ汁っぽい香りが少々。爽やかな甘さ。とってもfruity。しっかりいたボディで、くどすぎず、さっぱりした味わい。そして、ほどよい苦み。middleに重厚さがあって、finishはさっぱり。クリスタル麦芽を使用。温度上昇に伴って、みそ汁臭が強くなる→チョコレート、ミソ様、かつfruityな香りへと変容する。
http://www.shimor.com

-BrewPub PANGAEA Smoky Smoky-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
スッゴクfruityな香り。上品で濃厚で素敵な甘さがあってエキゾチックな果実香がする。その蠱惑的な香りはいつまでも嗅ぎ続けたいと思う。そして、味わいも凄く、とても玄妙。honey様で素敵なfruityさ、sourness、bitter。キレもある。濃蜜でいてはかない不思議な果実の味。まさに美しき毒と形容してもいいかもと思うビールに仕上がっている。温度上昇に伴い、香り高いfruity香、バナナ様の香りがup↑
http://pangaea-senzoku.seesaa.net

-Cateau Kamiya Rye Beer シャトーカミヤ ライ麦ビール-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
とっても香り高いバナナ様の香り。spicyでとっても香り高いfruityさ。それでいて締まった味わい。spicyでcreamyで気高いfruityな香味を発するこのスペクタクルな味わいのビールは、今まで吞んだビールの中で、トップ10に入ることは間違いない。ライ麦麦芽、小麦麦芽を使用し、ヴァイツェン酵母で醸したビール。
http://www.ch-kamiya.jp


やっぱビールの醍醐味っていったら、クラフトビールだよね。国産大手の淡色ラガーでは絶対に味わうことのできない恍惚の景色がそこにはありますよ。
(次回開催時は、COEDO一色を考えてる)


閑話休題


また原子力関連の不祥事が起こりましたね
東海村の日本原子力研究開発機構ですか。

今回の事故は大したことないようですが、2011年の福島第一原子力発電所炉心溶融・水素爆発事故(レベル7)以降、原子力関連事業に対する世間の目は厳しくなり、よりいっそうの慎重な取り扱いと対応が求められている中にあって、この体たらくはどうしたものかといささか暗澹たる気持にさせられます。率直に言って、こんな不誠実な人間が原子力産業に関わってるっていうことが恐ろしいです。

まあ、百歩譲って事故を起こしちゃったのは良しとしましょう。人間だもの、誰しも間違いはあります。しかしながら、報告の遅延(=問題発生後の対処、後処理のまずさ)だけはどうしてもいただけません。あの事故以来、東電のグダグダな対応が批判にさらされているのにも関わらす、学習能力がないのでしょうか?

でも、今回の施設って研究施設でしょ?賢き研究者の方々のオツムはそんなに悪いのでしょうか?

ところで、国内原子力関連施設における事故・不祥事は相当あるようですね。Wikipediaで「原子力事故」で調べるとにこれくらい出てきます(細かいトラブルはもっとあるのでしょう)↓

1973年3月 関西電力美浜発電所燃料棒破損(内部告発により発覚)
1974年9月1日 原子力船「むつ」の放射線漏れ事故(遮蔽リングの設計ミス)
1978年11月2日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故(日本初の臨界事故。事故発生から  29年後の2007年3月22日に発覚。この情報は発電所内でも共有されず、同発電所でもその後繰り返され、他の原発でも(合計少なくとも6件)繰り返される)
1989年1月1日 東京電力福島第二原子力発電所3号機事故(レベル2)
1990年9月9日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故(レベル2)
1991年2月9日 関西電力美浜発電所2号機事故(レベル2)
1991年4月4日 中部電力浜岡原子力発電所3号機事故(レベル2)
1995年12月8日 動力炉・核燃料開発事業団高速増殖炉もんじゅナトリウム漏洩事故(レベル1)
1997年3月11日 動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化施設火災爆発事故(レベル3)
1998年2月22日 東京電力福島第一原子力発電所(第4号機の定期検査中、137本の制御棒のうちの34本が50分間、全体の25分の1(1ノッチ約15cm)抜けた。)
1999年6月18日 北陸電力志賀原子力発電所1号機事故(2007年3月公表, レベル1-3)
1999年9月30日 東海村JCO核燃料加工施設臨界事故(レベル4)
2004年8月9日 関西電力美浜発電所3号機2次系配管破損事故(レベル0+)
2007年7月16日 新潟県中越沖地震に伴う東京電力柏崎刈羽原子力発電所での一連の事故(レベル0-)
2010年6月17日 東京電力福島第一原子力発電所2号炉緊急自動停止
2011年3月11日 福島第一原子力発電所炉心溶融・水素爆発事故(レベル7)

慎重な対応が求められる事業で、絶対安全とか謳ってる割に事故起こしまくりじゃない?しかも、隠蔽できそうなのは隠蔽しようとしてね?もうこれって、所謂「原子力村」のカルチャーの問題だよね。

若い頃に企業風土変革に関する本を何冊か読んだけど、それで悟ったのは、はっきり言って企業風土(組織のカルチャー)を変えるのは並大抵の努力ではままならないっていうこと。トップダウンとボトムアップのシナジーを高いレベルで実現させなければ、カルチャーの変革は無理と思ったことを記憶しています(see http://researcher-station.blogspot.jp/2006/11/2.html)。

もう、そこまでいくと、ある意味宗教がかってないと無理ですよ(例えば、トヨタとか)。しかも、トップのコミットメントがまず第一に必要で、それがなければ原理的に絶対組織の風土なんて変わりっこないです。

ところで、不祥事の隠蔽は「原子力村」に限ったことではありません。おそらく上場企業、官公庁でも日常茶飯事のところは有りそうだし、地方零細企業レベルではサービス残業当たり前の労働法を無視した会社はたくさんありそうです(ちなみに、オレの母親はサービス残業当たり前派)。要は、人ごとではないと思うんですよね。そんな中で、個人としていかに自分の身を守っていくかということは重要な課題だと改めて思う今日この頃の二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。

とりあえず、必要最低限の労働法の知識を身につけておくべきでしょう。

2013年5月19日日曜日

"Practical"なのか?

先日、東武動物公園に行ったときに撮影した大王ペンギンの遊泳シーンです↓


ホント、気持良さそうに泳ぐよね、ヤツらは。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Practical and Efficient Large-Scale Preparation of Dimethyldioxirane
Org. Process Res. Dev., 2013, 17, 313-316.


ボクは使ったことないけど、Dimethyldioxirane (DMDO)っていう試薬があります。


DMDOは酸や塩基に不安定な基質や加水分解を受け易い基質の酸化に有効な試薬のようです。炭酸水素ナトリウム存在下、アセトンにオキソンを作用させることで調製できますが、その精製・保存は面倒です。やんわり減圧で蒸留し、ドライアイスでトラップして-25℃で保存します(Org. Synth., 1998, Coll. Vol. 9, 288.)。

で、本報は生成したDMDOを、400 mbar、-40℃のコンデンサー二基でトラップするというインプルーブメントです。

また、著者らはDMDO (60-80 mM)を-20℃で保存している間の活性の経時変化を明らかにしています→http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/op300338q
(72 mMの初期濃度が徐々の失活して行き、12ヶ月後にはおよそ40 mM程度になり、そこから濃度は安定し、23ヶ月後でも38 mM)。

DMDOの安定性をより具体的に明らかにした仕事は地味で泥臭いながらもGoog Job!と思うけど、はっきり言ってそれほど"Practical"とは思えませんでした。

著者らは"commercially viable preparation"を謳っており、その意味では"Practical"なのかもしれないけど、ボク的には「超絶面倒くさい」のが「超面倒くさい」方法に改善されたっていう印象です。少なくとも、ボクはラボベースではやる気にならないし、cryogenic conditionが幾分緩和されていますが、はっきり言って-40℃の冷媒流せるコンデンサーって相当ハードル高いと思うんですけど.....orz(今は安くて簡単に導入できるの?)

ところで、"Practical"なオペレーションといえば、"in situ" methodが思い浮かびます。で、軽くサーチしてみると、DMDOをin situ preparationして反応に処すっていう方法がやっぱり報告されてますが、当然、基質や生成物が酸にセンシティブな場合は適応できないです(e-EROS, 但し、酸に安定なものならin situ法が推奨されている)。

ところで、共酸化剤にオキソンを使って、系内でIBXの"S"アナローグを触媒的に発生させる酸化法があります(http://researcher-station.blogspot.jp/2012/01/i.html)。
この反応は、反応の進行とともに水が生成するので、スタンダードな条件では酸に不安定な基質に対しては適応できないと思われますが、Na2SO4を共存させることで酸に不安定な基質にも適応可能となります。

素人考えだけど、DMDOによる酸化も、同様なストラテジー(例えば、加熱が必要になるかもしれないけど水を使わないとか)でインプルーブメントできないのかなと思う二流大出の研究補助員(テクニシャン)でした。


2013年5月14日火曜日

MPV還元を極めろ

ヨドバシアキバの光麺に行ってきたので、そのメモをします↓

-熟成光麺 (730 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
麺は中くらいの太さで軽くウェーブしている。弾力に富み、プッツリと切れる。芯が中心に僅かに残っている感触で、歯切れが心地よい。スープはしっかりした粘度を感じる濃厚クリーミーな豚骨醤油。臭みは殆どなく、上品な仕上がり。麺とスープの相性も良い。具は、焼豚、メンマ、ネギ、味付玉子。味付玉子以外は具が貧弱な感じ。
食べ進むうちに単調な感じになる。ファーストインプレッションは。トータルの完成度は★★★☆☆。ボクは同じフロアにあるCHABUTONの方が好きだな。


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Al(OtBu)3 as an Effective Catalyst for the Enhancement of Meerwein–Ponndorf–Verley (MPV) Reductions
Org. Process Res. Dev., 2012, 16, 1301-1306.

Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV)還元の話です。

MPV還元において、最も一般的に使用される試薬はAl(OiPr)3ですが、通常、配位子交換は遅くAl(OiPr)3をたくさん使う必要があるそうです。

ということで、そういった問題点を改善する試みがなされていて、これまでに、二座配位アルミニウム試薬 (Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 2347-2349.)やアルキルボラン試薬(Bull. Korean Chem., 2002, 23, 1051.; J. Org. Chem., 1985, 50, 5446.)、ランタノイド試薬 (Eur. J. Org, Chem., 2004, 2863.; Tetrahedron Lett., 1991, 32, 2355.; J. Org. Chem., 1984, 49, 2045.)といったインプルーブメントが報告されています(あと、総説→Org. Process Res. Dev., 2006, 10, 1032-1053.)。

著者らは、HIVプロテアーゼインヒビターの重要中間体である(S)-CMK (N-(tert-butyloxycarbonyl)-(3S)-3-amino-1-chloro-4-phenyl-2-butanone)のMPV還元のインプルーブメントを図っていて、Al(OiPr)3の代替試薬としてAl(OtBu)3に着目しました。((S)-CMKのMPV還元はAl(OiPr)3を用いて企業化されている。U.S. Patent 6,867,311 B2, 2005.)

TFA-Al(OtBu)3という系で反応速度をUP↑させるという報告がありますが(TFAが配位子交換を触媒すると推測される)、この方法ではアルドール縮合を抑制できないそうです(J. Org. Chem., 1977, 42, 826.)。

で、ベンズアルデヒド、アセトフェノン、(S)-CMKに対してMPV還元を試してみたところ、Al(OiPr)3に較べてAl(OtBu)3で劇的な反応速度の向上が確認されました。ちなみに、(S)-CMKはジアステレオ選択的の還元され、どっちを使っても(SS)/(S, R)=99.4/0.6。
(反応条件→Al(OR)3: 50 mol%, Solvent: 2-PrOH, Starting material concentrations: 0.166 M, Temp.: 40 or 50˚C)

さらに(S)-CMKの還元においては、Al(OtBu)3の添加量を5 mol%まで減らしても高効率で還元が進行することが分かりました。

そこで、なぜAl(OiPr)3とAl(OtBu)3で効率に劇的な差が出るのかについて、著者らはその会合状態の違いにより説明しています。

Fig.   Structure of the dimeric Al(OtBu)3 and tetrameric Al(OiPr)3 
(Exchangeable ligands are shown in blue)

ベンゼン中、Al(OiPr)3は四量体、Al(OtBu)3は二量体として存在することが知られていて(J. Am Chem. Soc., 1963, 85, 2318.)、2-PrOH中でも会合状態が同様であれば、Al(OiPr)3の六価のAl中心は配位に関与できず、架橋イソプロポキシユニットの立体障害により、tBuOの方がリガンド交換し易いと思われます(架橋アルコキシ基はリガンド交換し難い)。

古典的な反応でも、突き詰めれば改善(イノベーション)の余地はあると言うことを教えてくれた論文と思いました。


2013年5月12日日曜日

Organocatalystの名はピリジン

昨年、コンキチの愛読書「ラーメン発見伝」に原作協力している石神秀幸とラーメン花月嵐がコラボレーションしてできたラーメンを食べたので、メモします(http://www.k2-museum.jp/limited/103_yakuzen_03.html)↓

-薬膳火鍋ラーメン天地  (750 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
ほぼストレートの細麺は、ぷっつり歯切れが良い。スープはスパイシーでクミン様の香りにするスッキリ系のカレー風あっさりスープ。麺のスープはあまり絡まないが、そのため麺を啜ったときに薄味ヘルシー感が演出されているような気もするが、少し物足りない。具は白菜、豚バラ、ネギ、ニラ、クコの実、袋ダケ、キクラゲ、ゴマなど。ニューウェーブ系の洗練された味のラーメンと思いました。スープの素材は龍眼、朝鮮人参、クミン、クローブ、大棗、田七人参、カルダモン、花山椒だとか。


-薬膳火鍋ラーメン天紅  (750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
「天地」に辣油や唐辛子系スパイスを加えてピリ辛風味にしたラーメン。カレー系にスパイシーさと、唐辛子系のスパイしーさのダブル•スパイシー感は秀逸。天地の物足りなさを上手くカバーしていると思う。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Pyridine Is an Organocatalyst for the Reductive Ozonolysis of Alkenes
Org. Lett., 2012, 14, 2242-2245.


(ボクはまだ一度もやったことないけど)還元的オゾン分解の話です。オゾニドが発熱して自己加速分解する傾向があることに加えて、ジメチルスルフィドにようなマイルドな還元剤との反応は遅くて、深刻な事故が発生する可能性があるようです(イントロに書いてあったけど、そうなんだ)。

(ところで、教科書的な還元的処理は、接触還元、NaI, Mg, Znなどの金属と酸、亜リン酸エステル、Ph3P、ジメチルスルフィド、BH3、LAH、SO2、NaHSO3、SnCl4、FeSO4があり、最もよく使われるのは亜鉛末/酢酸と実験化学講座とかに書いてあったような気がします。)

で、オゾン分解-還元とステップワイズな手法に代わって、in situでカルボニル・オキシドを捕捉して分解しちゃうプロセスって魅力的らしいです(まあ、安全だよね)。

っていうことで、最近報告された著者らのin situメソッドには、カルボニル・オキシドをアミンのN-オキシドや水でトラップするという方法がありますが、塩基性条件であったり、過酸化水素が副生するといったちょっと面倒な問題が生じたりしたそうです。

Org. Lett., 2006, 8, 3199-3201.; Tetrahedron, 2006, 62, 10747-10752.
N-methylmorpholine N-oxide (3 eq.くらい)が良さげ。
CH2Cl2中0℃というマイルドな反応条件。


J.Org. Chem., 2008, 73, 4688-4690.; J. Org. Chem., 2007, 72, 3558-3560.
安定なオゾニドを形成する基質には効かない。
重合生成物が副生する場合がある。

で、This Workですが↓

10 examples, 70-93% yield

ピリジンの添加は1-3 eq.必要で、CH2Cl2中、-78℃で効率的にピリジンがカルボニルオキシドを捕捉します。3-nitropyridine、DMAP、2,6-lutidine、2,6-di-tert-butylpyridine、thiophene、imidazole、1-methylimidazoleも試していますが、ピリジンがベスト。また、実験事実を検証することで上記推定反応機構を提案しています。

また、6つの基質に対して一般的な2 steps procedure (O3, CH2Cl2, -78˚C; Ph3P, 24 h)とピリジン法 (O3, 2-3 eq. of pyridine)の比較を行っていて、おしなべてピリジン法の方が高収率です。

著者らは、このオゾン分解の新手法を

First, General, High-yielding

と謳っていますが、実際、ピリジンを加えて反応するだけで、オゾン分解の安全性と効率がグッと改善されるなんてとっても素敵な反応と思いました。

著者らの一連のオゾン分解に関する研究結果は、こころに留めておいて損は無いと思った二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。


2013年4月13日土曜日

不安定なアルデヒドのためのReductive Amination

←昨年の秋口に草津に行ってきたんだけど、その時撮った写真(湯畑)です。

やっぱ、草津温泉の泉質はいいね
ホント惚れ惚れしてしまいます。

あと、温泉街で有名と言われる蕎麦屋で蕎麦喰ってきたので、そのメモね↓

-三國屋 memo-
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津386
TEL: 0279-88-2134
http://aitra.jp/id/mikuniya/

-三国そば (950 JPY) & つけ汁 (各 400 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
2.5人前の蕎麦(12束くらい)が大きなトレイに載って提供される。少し細めの中細麺。風味に特筆すべき点は無いが、蕎麦の太さはしっかり揃っており、啜った時の食感はなかなか良い。
ツユは別料金になり、温かいつけ汁2種類(都汁と田舎汁)から選ぶのが基本。都汁は鴨汁、田舎汁は赤味噌けんちん汁風でどちらも濃厚かつアツアツで汁自体の味はとても美味しい。個人的に「田舎汁」は蕎麦よりも饂飩系(特にきしめん)に合うと思った。
両汁ともこの店の蕎麦との相性(汁との絡み具合)はとても良い。この店の蕎麦は、汁を味わうことに重点がおかれているように思われる。特に、鴨汁との相性はBest Much!両汁ともに、食べ進んでも濃度の低下は気にならない。また、温度の低下は、食べるペースにもよると思うが、個人的にが許容範囲。

-舞茸天盛り合わせ (900 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
舞茸と野菜(茄子、プチトマト、緑の葉っぱ、etc.)の天ぷら。どノーマルで感動はなし。

-秘幻 特別本醸造 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
精米歩合: 55%, アルコール分: 15-16%。浅間酒造が醸す関東信越国税局酒類鑑評会「燗審査の部」三年連続優秀賞のお酒。燗でいただいたんだけど、香りはあまり立たず、少し熟れた果実のfruityな味が感じられる。ほどよいbodyで普通に旨い。淡麗系の酒。


-柏香亭 memo-
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津376
TEL: 0278-88-2208

-もり (600 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
蕎麦はかなり細め。少し柔らかめだが、弾力は十分。噛み進めると甘みが染み出す。ツユは少し甘めコクは十分。蕎麦との相性も良い。
ただ、蕎麦の切りムラが少し気になることに加えて、ツユは徳利無しで提供されて、食べ進むにつれて薄くなってくるのがかなり気になる。そこそこ美味しい普通の蕎麦屋といった印象。蕎麦自体は三國屋よりも上と思うが、トータル・バランスでは三國屋に軍配というのがボクの評価。


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Direct Reductive Amination of Aldehyde Bisulfite Adducts Induced by 2-Picoline Borane: Application to the Synthesis of a DPP-IV Inhibitor
J. Org. Chem., 2013, 78, 1655-1659.


アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を直接還元アミノ化するというお話です。

16年くらい有機合成やってて、個人的には不安定なアルデヒドにぶち当たったことはないけど、不安定なアルデヒドって結構あります。なので、アルデヒドの状態で一旦単離して次の反応に処すっていう場合、そいつが不安定だった暁には気を揉むことになります。

一方、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体は、一般的に安定で、結晶性も良く、そのモノのハンドリング自体は容易です(アルデヒドの精製とかにも使われます)。なので、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体をそのままアルデヒドと同種の反応に適用できればなかなか便利です。もし、アルデヒドが不安定な場合には、かなりの効率アップになることは間違いありません。

ちなみに、これまでに報告されているアルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を使った反応にはこんなのがあります↓

MMP/cyclohexane混合溶媒または2-MeTHF中で水の共沸脱水が必要
Org. Process Res. Dev., 2003, 7, 155-160.

アルデヒド使用時の収率50%から71%に改善。他、11 examples, 79-94% yield。亜硫酸水素ナトリウムの付加体をブレークするのに1 eq.のアミンが必要。2級アミンの実施例しかなし。他の例は安定なアルデヒドを使用。
Synthesis, 2009, 23, 4032-4036.

エナンチオ選択的へテロDiels-Alder
Org. Lett., 2008, 10, 3817-3820.

ジアステレオ選択的Strecker反応
Tetrahedron Lett., 2004, 45, 6579-6581.

で、This Workはこちら↓


(PICB : 2-Picoline Borane)

ぱっとみの収率は煮え切らないものが有りますが、使用しているparent aldehydeが全て(湿気や光や酸素に)不安定(重合したり分解したりする)なものだということに加えて、反応条件が非常にマイルドであるとことを考えると、かなり価値が高いのかもしれないと思います(比較実験がないので分かりにくい)。

著者らがこのような試みを行う発端となったのはこんな基質を使った反応↓


この反応で用いられているヘミアセタールは-20℃以上で不安定で、溶液状態で保存しなければならないので、取り扱いに難があります。一方、対応する亜硫酸水素ナトリウム付加体は安定な固体で、著者らの開発した手法で収率も88%まで改善します。

不安定なアルデヒドで還元アミノ化するときは、是非試してみたい手法と思いました。