2018年6月29日金曜日

孤独のグルメ聖地巡礼 in 八丁堀:とってもニラリッチなニラ玉なんです。

突然ですが、シブヤに行ってきました。しかも、八丁堀にある。
最近、孤独のグルメ聖地巡礼ごっこがクセになっているんですが、本日深夜0時17分放送予定のお店「中華シブヤ」さんに行ってきました(最寄駅は宝町です)。

ところで、八丁堀って江戸時代に船を通すために掘られた長さ八丁の掘の名前に由来するんですってね。

では以下、メモです。

-中華シブヤ memo-

-ビール (480 JPY)-
中瓶になります。「ビール」とオーダーすると黒ラベルが出てきましたが、スーパードライもあるようです。
やっぱ、油リッチな中華には、さっぱりした淡色ラガーが合います。

-エビチリ (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ソースが普通に旨い!大振りのエビは、歯を入れると表面に張りを感じ、内はプリプリでfresh。それから、ケチャップの旨味が映えます。お店の人は"チリ"と略して呼んでいます。






-ニラ玉 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
オムレツ風に玉子に覆われたニラ玉。玉子からはみ出ているニラのfreshな香りと玉子の柔らかみのある良い匂いが漂う。
玉子は表面にはある程度の硬さがありつつも内部はトロトロ感があって絶妙な仕上がり。
玉子の覆いの下には"大量のニラ"と豚肉が隠されている。はっきり言って、ニラの量は驚くほど大量で、まさにニラリッチ。ニラはとってもfreshでgrassyな香味rich。豚肉もしなやかな食感で普通に旨い。そして、玉子・ニラ・豚肉の三者のシナジーは小宇宙が弾ける旨さ。
味付けがまた絶妙で、やさしい甘さで程よい塩味。濃過ぎず薄過ぎずで、中華としてはあっさりめと思うけど、存在感のある味でなんとも旨い。そして、心安らぐ味に仕上がっています。ふんだんに油を使っていると思うんだけど、油の重さを全く感じません。


このお店、ホールは男子(といってもおじさん)、厨房は女子(といってもおばさん)が担当です。6人がけのテーブル2つに、4人がけのテーブル3つの計24席。雰囲気は普段使いの街の中華屋さんで、その狭さ故に落ち着きます。
中国料理→本場の味を再現
中華料理→日本人向けにアレンジ
と言いますが、中華シブヤはまさに"中華"であって、高度にジャパナイズされた中華屋さんと思いました。

あと、他のお客さんが食べてたチャーハンが美味そうで気になりました。追加注文しようか逡巡したんですが、加齢とともに「量」が食べれなくなってきていて、今回は断念しました。近いうちにチャーハン喰いに行きたいです。

近所にあったら通い詰めること必至の店と思いました。

以上、孤独のグルメ聖地巡礼放送先取りメモでした。

2018年6月28日木曜日

流行ってるぜ〜、パラダサイクル (2):G2へのIMPROVEMENT

クラフトビール大好きコンキチです。ということで、うまいクラフトビールショップ
のCRAFT BEER MARKETに行ったこきのメモです。

CRAFT BEER MARKET 淡路町店

-お通し (300 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
ガーリックがやんわり効いているポテトサラダ。 

-アウトサイダーブルーイング マスカット・ベリーA バーレーワイン (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 9%。
champagne-like note。木苺様の香り。イチゴジャム様の味。とっても柔らかくてデリケートな香味。とても可愛らしい。まるで、呑む苺。 Excellent!!! 


-COEDO 毬花 〜Marihana〜 (780 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 4.3%。
tea-like note,grassy note, grapefruit note,etc. grapefruitを基調とした圧倒的な香味。 finishはgrapfruitのbitter。 インドの青鬼をmildにした感じのtaste。



CRAFT BEER MARKET 吉祥寺店

-ハーヴェストムーン バーリーワイン (千葉) (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
100 ml。All. 8.0%。
strawberryの香り。適度なroast香。中程度の渋味とbitter。その中からstrawberryの香味が立ち昇る。そして、cake-like。メチャクチャ旨いぞ!!!




-Stillwater Artisanal Surround (メリーランド) (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 10.0%。
alcoholic, minty, 少しだけcamphorous(?)で清涼感のある香り。
tasteはもの凄くfull bodyで、earthy, bitter, high roast。圧倒的にpowerfulでとっても美味しい。



-自家製腸詰 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
表参道「TAMA」秘伝の熟成された旨味を再現。10〜14日間かけて熟成させているらしい豚バラとロース、背脂で仕込む腸詰めは中国のメイクイルー酒と沖縄の白コショウ・ピイバチで香り付けされているらしいです。
で、食べた感想です↓
スライスされた状態で提供される。独特のクセになりそうな酸味が特徴的。solidな食感で乾いた感じがしてジャーキー感がある。凝縮感のある深い味わいでちょっと面白い味。ビールのつまみとして最適。薬味には葱と甘辛味噌が付く。そのまま食べて良し。葱と合わせて良し。味噌を塗って食べて良し。全部(葱と味噌)載っけて良し。


閑話休題


第二世代 (Pd G2)のメモです↓

第一世代のprecatalystは、弱い塩基では室温で活性化できないという問題点があって、それを改善したのが第二世代のprecatalyst (Pd G2)です。
Buchwald教授等は、Albert等の開発したトリフェニルホスフィンの配位した2-アミノビフェニルのパラダサイクル(J. Organomet. Chem.2005690, 422-429.; J. Organomet. Chem.2007692, 4895-4902.)にインスパイアされ、第一世代のフェニルエチルアミン骨格を2-アミノビフェニルに置き換えることでprecatalystのNH2の酸性度が高まり、より容易に活性化されるであろうという仮説を立て、第二世代precatalystの開発に至ります。

J. Am. Chem. Soc.2010132, 14073-14075.

実際、第二世代のprecatalyst (7L = Pd G2)は、室温下、リン酸塩や炭酸塩で活性かされ、Buchwald教授の仮説は例証されました。第二世代のprecatalystを用いた鈴木カップリングの例です↓

ちなみにこの反応で使用されているボロン酸は(高温下や、長時間反応で)プロトデボロネーションし易い基質ですが、Pd G2 precatalystを使用することで、マイルドかつ短時間で高収率です。

さらにPd G2 precatalystは次の基質や反応に対して高い一般性を示します( first general methodなんだそうです)↓
a) 無保護の5員環の複素環式化合物を用いた鈴木-宮浦カップリングに対して(J. Am. Chem. Soc., 2013, 34, 12877-12885.)
b) 種々のトリフルオロボレート塩 (Ar-BF3K, Alkyl-BF3K) (Org. Lett., 2012, 14, 4458-4461.; J. Org. Chem., 2013, 78, 4123-4131.; Org. Lett., 2013, 15, 3342-3345.)
c) フロー系でのアルキニル化 (Chem. Sci., 2011, 2, 2321-2325.)
d) C-Hアリール化 (J. Org. Chem., 2012, 77, 658-668.)

個人的にG1→G2のインプルーブメント感は感動的と思います。弱い塩基でマイルド・アクティベーションはとても魅力的に思えます。この第二世代あたりからBuchwaldのパラダサイクルprecatalystが大々的に耳目を集めるようになってきたように思います。

次回、さらなるインプルーブメンを施したPd G3メモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G2編」でした。

2018年6月24日日曜日

流行ってるぜ~、パラダサイクル (1):Buchwald's Palladacycle G1 Precatalyst

最近全然行ってないけど、mAAchに入ってる常陸野ブルーイング・ラボに行ったときのメモです。

-セゾン ドゥ ジャポン Saison du Japon (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 5.0%。米麹と柚子を使用したジャパニーズセゾン。
fruity, citrus, spicy。とっても香り高く、ワインのように高貴な香り。White Ale様のtaste。全体的にスレンダーで、夏のうだるような暑い日に飲んだら最高だと思う一杯。

-酒粕クラッカー Original sake lees cracker (380 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
completeにパリパリではなく、ちょっとやんわり湿った感のあるクラッカー。香味豊かなビールのお供によく合うシンプルな味。普通に旨い。名脇役的な一品。

-【Lab限定】常陸野シードル Hitachino Cider (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 8.0%。茨城県北部の奥久慈リンゴから醸造し、2年間発酵熟成させた一杯。
注がれた直後はかなり泡立っているけど、すぐに泡が引きます。泡の香りはシャンパンライクで鄙びた感じの良い匂い。仄かに甘い香りも。それから、アップルジュース様、僅かに蜂蜜様の香り。あと、良く分かんないけどとってもいい香りがする。
tasteはスレンダーな甘さで締まった辛口テイスト。finishはcitrus、それから微弱な炭酸が舌を押すように刺激して心地よい。

-エスプレッソスタウト Espresso Stout (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 7.0%。エスプレッソ珈琲のような深い香りと、苦味、酸味を合わせもった芳醇な味わいの重厚黒ビール(Coffee Flavored Stout)。
coffee flavorが特徴的。chocolate-like、糖蜜様の香り。
tasteはchocolate様の洗練された甘さと、糖蜜様の少し野暮ったい甘さ、creamy感、それから、もの凄いroastとroast由来と思われる酸味を感じる。
漆黒の旨さ。

-HITACHINO SESSION IPA FRESH 20 (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
常陸野セッションIPA フレッシュ 20。日本一のホップ生産地である秋田県横手市、そして常陸野ネストビールの額田醸造所、この二つの場所で採れた20種類の新鮮なホップをブレンドして醸造したセッションIPA。
原材料/ 麦芽・ホップ
アルコール分/ 4.5%
もの凄くfantasticなfruity note。上品で心がときめく。
tasteはけっこうdryなcitrus & (少し)spicy。finishには、ややdeepなbitter。

-与謝野フレッシュCC YOSANO Fresh CC (680 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Beer Style: Pale Ale
ABV: 4.5%
京都府与謝野で栽培された、カスケード種、センテニアル種を採りたて、フレッシュな
状態で使用した香り豊かなペールエール。
grapefruit-like, citrus note。蜜柑様のfruityさとsweet note。素晴らしく良い香り。
tasteはlight typeで、spicy, citrus。finishにはbitter。このbitterがlight typeのbodyやspicy, citrusな香味とBest Match!

-常陸さばサンド Hitachi Mackerel Sandwich (600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
茨城県産の肉厚な鯖をオリジナルビネガーでマリネした、心地よい酸味と旨みが後引く絶品サンドとのコピー。
食べた感想は↓
こんがり焼き色がついた味の濃いHotなパンでサンドされているのは、冷たい鯖のマリネ(意表を突かれました)。鯖のマリネはかなりビネガーの効きが強いが、鯖が旨い。口の中で好ましいサバフレーバーが広がる。こんな感じで旨いことは旨いんだけど、パンの熱量と冷たい鯖との温度ギャップが好みでないので、可能ならサンドされてる鯖もHotな方が旨いんじゃないかと思いました。


閑話休題


有機合成界で流行ってるのか流行ってないのかよく分かんないけど、おそらく流行ってるであろうのパラダサイクルについてメモします。Buckwand教授のヤツはもう第四世代まで出てるんだから、全く流行ってないってことはないでしょう。ということで、クロスカップリングのビッグネームの一人であるStephan L. Buchwald教授の論文をメモしていきます。


まずは、
Buchwald教授がThe Strem Chemicalsに寄稿したNew Palladium Precatalysts For Cross-Coupling Reactions (The Strem Chemicals vol. XXVII No.1, January 2014.)からのメモです。

この寄稿論文はPalladacycle precatalystの歴史から始まります。

で、初出のパラダサイクルプリキャタリストはこちら↓

In 1995 Hermann and Beller
precatalyst 1は、P(o-tol)3とPd(OAc)2とのシクロメタル化(PhMe, rt., 16 hr)によって調製されます(Angew. Chem. Int. Ed., 1995, 34, 1844-1838.; J. Eur. Chem., 1997, 3, 1357-1362.)。TONsは200,000にも及ぶケースもあるという高活性っぷりで、単なるP(o-tol)3とPd(OAc)2のコンビネーション以上に効果的です。

その後、次のようなprecatalyst達が生み出されてきました↓


2: ヘック反応に有用 (Chem. Commun., 1998, 3, 1361-1362.)
3: 塩化アリールを用いたC-Nカップリングに有用 (Buchwald et al. Org. Lett., 2003, 5, 2413-2415.)
4: ヘック反応、鈴木カップリン、C-Nカップリング、ケトンのα-アリール化に有用。種々のフォスフィン配位子と結合可能(Angew. Chem. Int. Ed.200241, 3668-3671.)
5: 塩化アリールを用いた鈴木カップリングに有用。オープン・エアで反応しても活性が落ちない。(Chem. Commun., 2001, 17, 1540-1541.)

そして、いよいよBuchwaldの、所謂、第一世代 のpalladacycle precatalyst (Pd G1)が登場します↓

6•Lから誘導されたLP(0)は、C-Nカップリング(J. Am Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.; Chem. Sci.20112, 57-68.; Org. Lett.201012, 4438-4441.; Org. Lett.201012, 4442-4445.)やC-H activationによるacetoxylation (Org. Lett.200911, 1173-1175.)、C-Nカップリングのフロー•ケミストリー(Angew. Chem. Int. Ed.201049, 9469-9474.)、根岸カップリング(Angew. Chem. Int. Ed.201352, 615-619.)に対して有効な触媒となります。

アニリンと4-chloroanisoleとの反応は定量的に進行します。


ちなみに、この反応を他の(普通の)触媒を使った場合は↓

Pd2(dba)2 : 25%
Pd(OAc)2 : < 10%
[(allyl)PdCl2]2 : < 10%

という結果で、Pd G1の高活性っぷりが分かります。

あと、求核性の電子吸引性置換基を有するアニリン誘導体と、難しいカップリング•パートナーと言われている活性化されていないアリールクロリドとの反応成績はこちら↓



Good Yieldで好感触です💌

"第一世代 (Pd G1)"の初出は、A New Class of Easily Activated Palladium Precatalysts for Facile C-N Cross-Coupling Reactions and the Low Temperature Oxidative Addition of Aryl Chlorides (J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.)だと思うんだけど、そこでは幾つかの基質に対して室温以下の反応温度で、いい収率を叩き出しています↓


Buchwaldの第一世代のパラダサイクルprecatalystはair-stable, moisture-stableで、C-Nカップリングなどに対する高活性な触媒前駆体です。そしてその活性化は、K2CO3などの弱い塩基で80˚C、金属アルコキシドで室温、金属HMDS塩基で-20˚Cで進行すると言います。イイネ、Pd G1。

次回、Pd G1をインプルーブメントしたPd G2のメモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G1編」でした。



2018年5月28日月曜日

Raumen_Colle (ラーメンコレ) (4)

ども、最近「ラーメン大好き小泉さん」を愛読しているコンキチです。


小泉さんは可憐でスレンダーなJKで、ボクのみたところ、365日、三食全てラーメンを食べています。しかもスープも全て飲み切っています。はっきり言って、フィクションだからそういう食生活を送りつつスレンダー体型を維持して健やかなスクールライフを謳歌できるわけで、リアルな世界でそれやったら、肥満になるか、病気になるか、肥満になって病気になるかなので、ラーメンの摂取は二週間に一度程度に控えたいものです。

さて、懲りずに賞味したラーメンのメモを書いていきます。


過去のメモね↓
entries 1-5 → Raumen_Colle (ラーメンコレ) (1)
entries 5-10 → Raumen_Colle (ラーメンコレ) (2)
entries 10-15 → Raumen Collection (ラーメンコレ) (3)


entry 16 (柏) 
-珍来 柏東口店 お茶漬らーめん (650 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
夏季限定、しかもごはん入りの緑茶仕立てラーメン。
この商品のポスターのスープの色は鮮やかなGreenなんだけど、実物はpale brown。topに刻みネギと海苔とアラレが載っていてお茶漬け感大。
麺は太縮れ麺でキックが強く、少し粉っぽいような気もするが許容範囲。麺の味自体は大人しい。
スープは大分あっさりしていて(お茶漬けを謳ってるからね)、お茶のフレーバーに加えて魚介の香りもほんのり漂っている気がした(気のせいかも)。このあっさりお茶漬けスープが太麺に合うのだろうかと思ったんだけど、意外にも合いました。けっこうmatchしている。ただ、全体的に単調な味で、あっさりスープで太麺を啜り続けるだけでは飽きがくる。
で、ここで"別皿"で提供されたチャーシューの佃煮と高菜が活きてくる。両者ともかなり濃いめの味付けに仕上げられていて、あっさりラーメンのアクセントにbest match。当然、薬味のワサビも合います。三種の強烈な薬味で、あっさりでも味のバリエーションが広がって食べ飽きしません。
あと、底部に沈んでいるご飯が正にお茶漬けライクを演出。薬味のワサビはご飯用に少し残しておくのがいいと思います。
メチャクチャウマいわけじゃないけど、試みには眼を見張るものがあると思いました。



entry 17
-鼎泰豐 流山おおたかの森店 酸辣湯麺 (1,080 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
中央に胡椒が振り掛けてあって、「よくかき混ぜて召し上がってください」と言われつつ提供される。かなり上品なフェイスで、全ての具材が細かく均一に刻まれていて、掻き混ぜても見栄えはさほど悪くならない。
胡椒は粗挽きの上品なタイプの香味。スープは中華スープベースでと思うんだけど、上品で(ボクのなかでは)酸辣としては信じがたいくらい大人しい味。
麺は中華料理屋にありがちな類の麺で、少しだけ太めか。しなやかで喉越し良く柔らかい。スープを味わうのに最適化されているように思う。
具材は、鶏肉、豆腐、木耳、筍、葱、玉子。全てが上品な味と食感。
総じて、とっても美味しいんだけど、上品で洗練され過ぎている。要は、とってもマイルドで、酸味も辛味も殆どなくて、ジャンクさを求めるボクにとっては欲求不満。
「お好みで、テーブルに置かれている黒酢を掛けて食べるように」と言われてやってみました。で、黒酢自体は上品でマイルドtaste。酸辣湯麺に振り掛けると、せっかく整っていたバランスが崩れてしまう(個人の感想です)。
美味しいんだけど、ガツンというパンチを求めていると、ちょっと期待はずれかも。


entry 18 (北千住)
-千住の永見 支那そば (550 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
アド街や酒場放浪紀でも取り上げられた、あの「千住の永見」の20:00以降限定のあっさり醤油ラーメン。
あっさりと言っても、味の濃度はしっかりしていて、ちょっぴり甘めの澄んだ味。mild tasteで、食べていてノスタルジックな気分になる。
麺は細麺(中細)の縮れ麺。中心まで十分に火が通っていないような硬さで、僅かにpowdery感とエグ味を感じる。
具は、海苔、ナルト、チャーシュー、メンマ、葱、青菜(小松菜?)とオーソドックス。
チャーシューは脂身無く、噛んで肉の旨味を楽しむ系な仕上がりで、僅かな獣臭が食欲をそそる。そして、青菜の苦味が良いアクセントになっている。
で、エスビー食品のテーブルコショーが添えられて提供されるんだけど、このチープでジャンクなコショーが、このラーメンによく合う。
ボク的には"アリ"なラーメン。


entry 19 (岩本町)
-胡椒饅頭PAOPAO サンラーこしょう麺 (890 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
真っ赤なフェイスだけど、そこから想起されるspicyな香りではなく、mildな点心のような香りがする。スープ自体は透明の近く、表層に辣油が浮いている。
スープの味はしっかり酸味が効いているが、mildかつ上品で、トゲトゲしさが一切無い。辣油もmildな味わい。
麺は中華屋で良く出てくるタイプの麺質で、切断面が正方形で角が立っており、ツルツルで滑らかな感触ながら角の立った食感で、口腔がmildに刺激され心地いい。
点心tasteなスープにはspicy感は無く、代わりに麺の練り込まれた胡椒が安定したspicy感を出している。すなわち、麺を啜る度に均質のspicyさが演出されるのだ。
具は、海老、(多分)白菜、葱、胡椒の実。海老はプリップリでfreshで旨い。白菜もfresh。葱も旨い。真っ赤な胡椒の実は上品で香り高い。
あと、別皿に添えられてついてくる生胡椒を噛むと、しょっぱ滋味深い汁が吹き出して、なんか美味しい。
上品で洗練されたニューウェーブ系酸辣湯麺と思いました。


entry 20
-三ツ矢堂製麺 鶏中華そば (780 JPY)- 20171013
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は中細ストレート。モチッとした食感と歯切れ良く、(多分)小麦の甘い味がする。もう少しツルシコ感や、しなやかさがあれば尚良かったが、十分に旨い麺。
スープはノスタルジックなあっさりした(多分)鶏ガラベースの中華スープを使った醤油味。甘く僅かに焦げ感じを感じるコクのあるスープに仕上がっている。スープの表層に浮いた油も旨い。
麺とスープの相性は良く、麺に十分量のスープが絡む。
具は、鶏肉、メンマ、三つ葉、葱。全部旨い。メンマは柔らかく味濃いめで好みの味。三つ葉の香りがけっこう強く、アクセントとして良い。

2018年5月27日日曜日

"N"か"O"か?:ピリドンとミツノブ

大好きな浅草で呑んだときのメモです↓

-酒の大桝 雷門店  memo-

-燻製の半熟卵 "スモッち" (200 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
中身まで香ばしいsmoky flavorが浸透していて、白身が旨い。 黄身はプルプルで柔らかく、とても濃厚な味で滋味深い。Great! サケに良く合う。 






-森泉 特別純米 90 ml (350 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
常温で供される。やさしい口当たり。優しくふんわりした甘さの漂う芳醇濃旨口系。常温でも味(甘さ)がダレていないのは凄い。ひたすらに優しい味。 原料米/ ひとめぼれ 精米歩合/ 60% 日本酒度/ +1 アルコール分/ 15-16% 仕込水/ 自家井戸水 others/ 活性炭による濾過は行っていない。

-自分で炙って!干しホタルイカ (380 JPY)-
-RATING- ★★★★★ 
-REVIEW-
そのままたべても、まあ旨いんだけど、食べる直前にライターで炙ってパクリとやるのが最高に旨い。魚介類を炙ることで出る独特のfishy flavorが堪らない。干しホタルイカは薄いので、熱量がすぐに失われてしまうけど、この食べ方だと、アツアツの最も活性化された最高の状態をいただける。 ちょっとしたイノベーション商品かも?

-特選!熊本産馬刺し (680 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
赤身とタテガミ。両者とも鉄板の旨さ。 赤身はシックで吸い付くような感触。穏やかに濃厚なtasteで、咀嚼すると心地良い弾力。 タテガミは絶品。口に入れると、キュキュッという食感。で、少しづつ脂が溶けだしてくる。この脂が、仄かに甘い素晴らしく上品な脂で、とんでもなく旨い。

-出羽桜 咲 250 ml (760 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
価格760 JPYの内訳は、本体460 JPY + 持込料 300 JPY。 辛口の米・水・酵母をオール山形で醸す発砲清酒。キリッとしたシャープな辛口。 ほんと、けっこうな辛口で相当締まった味。それでも、日本酒なので、柔らかさもあって良い。このおサケを魚介類を肴にやるのが最高にオシャレと思う。

-浅草神社公認乃酒 三社権現社 本醸造 90 ml (290 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
(提供温度は)5-10℃位か?冷え過ぎていないのが良く、いい香りの吟醸香がする(けっこう強い)。味わいは淡麗辛口で、乾いたような辛さがあって面白い。 原料米は山田錦で、花酵母使用。

-豚ロースカツ (580 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
何もつけずにそのまま食べて普通に美味しい。柔らかくてジューシーなカツ。表面が少ししっとりしていて、幾分油の重さを感じる。ソースなしの方が旨いと思う。あと、カラシは良いアクセントになる。 

-HELIOS GOYA DRY 350 ml缶 (584 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
584 JPYの値段の内訳は、本体284 JPY+持込料300 JPY。 カクテルとか酎ハイライクで、爽快なお飲物。 アルコール分/ 5%。 麦芽使用比率/ 25%未満 原材料/ 麦芽・ホップ・糖類・ゴーヤ果汁


 雷門裏にある凄くお洒落な店。カウンター席多くて 綺麗な店内。ホスピタリティに優れるけれども分煙は無し。店舗の隣に公衆トイレがあるのが玉に瑕。


閑話休題


以前、"N"か"O"か?っていう、ピリドンみたいにN-アルキル化とO-アルキル化の両方が起こる可能性がある反応から得られる生成物のNMRによる構造決定の話をメモしました。で、今回はN-アルキル化とO-アルキル化の"選択性"に関する話のメモをしようと思います。

まずはこれ↓

N- vs. O-Alkylation in the Mitsunobu Reaction of 2-Pyridones
Tetrahedron Lett., 1994, 35, 2819-2822.

タイトルそのまんまで、無置換ピリドンを光延反応でアルキル化しようとした場合の選択性に関する論文です。


2-ピリドンのアルキル化はピリドンをメタル化してアルキルハライドと反応させるのが一般的で、その位置選択性はメタル、アルキルハライドの構造、ピリドン上の置換基、反応溶媒に依存するそうです(ケースバイケースってことね)。で、メタル化したピリドンの求核置換反応の特徴はこんな感じになります↓

a) 一般的には、N-アルキル化が優先する(多くの場合でmixtureとなるが)
b) ピリドンのナトリウム塩やカリウム塩を用いた反応ではN-アルキル化が優先する。
c) 嵩高いハロゲン化アルキルを用いるとO-アルキル化の割合が増加する。
d) 非極性溶媒中、銀塩を用いることでO-アルキル化体が選択的に得られる (J. Org, Chem., 1970, 35, 2517.)。

で、(無置換)ピリドン(pKa 11.62)を光延反応でアルキル化するとどうなるのかっていうのがこちら↓



溶媒効果がかなりデカイです。ベンジルアルコールを用いた反応では、クロロホルム中ではO-選択的に反応が進行するのに対して、ジクロロメタン中では選択性が殆ど無くなっているのに驚きです(しかもN-アルキル化の方が少し優勢)。

あと、THF中では"ArCH2OH"構造だとN-アルキル化が優勢(PhCH2CH2OHが圧倒的にO-選択的なのが不思議)。それ以外はO-選択的。嵩高いアルコールほどO-選択的なのかと思ったけど、PhCH2CH2OHの圧倒的なO-選択性がその考えを打ち砕きます。


そしてもう1報↓

A comparison fo N- versus O-alkylation of substituted 2-pyridones under Mitsunobu conditions
Tetrahedron Lett., 2013, 54, 3926-3928.

今度は、置換ピリドンと乳酸エチルとの光延反応の論文です。で、結果はこちら↓




置換ピリドンと乳酸エチルとの反応の場合、ピリドンの3-位の置換基の効果は極めて軽微です(選択性がほとんど出ない)。
一方、5-位の置換基は重要です。しかも、modified resonance constantと生成物のO-/N- rato (選択性)との間にそこそこの相関がみられます(modified field constantとは全然相関がないけど)。

すなわち、ピリドンの5-位の置換基の共鳴効果が大きいほどO-アルキル化が優勢となり、共鳴効果が小さいほどN-アルキル化が優勢となるということです。
で、3-位の置換基が選択性に殆ど影響を及ぼさないのに対して、5-位の置換基の共鳴効果が選択性に強く影響することは、有機電子論的に次のように説明できます↓




以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のピリドンとミツノブ(光延反応)の素敵(?)な関係メモでした。


2018年5月20日日曜日

DMT-MMの屈辱

随分前(2016年10月)に閉店してしまったけど、上野(御徒町)の(廻らない)かっぱ寿司に行ったときのメモです。このお店は、あのアド街ック天国(http://www.tv-tokyo.co.jp/adomachi/backnumber/20140830/105061.html)でも取り上げられた有名店で、一号店と二号店が真向かいに建っています。ボクは二号店側に並んでたんだけど、席が空いた店舗の方に順次案内されていくようで、一号店に案内されたです。↓

-【閉店】かっぱ寿司一号店memo-

-お通し- 
-RATING- ★★★★☆ 
-REVIEW- 
多分、鮪の煮付け。これはけっこい旨い。あっさりした大和煮ライクな味?注文の合間につまむのに丁度良い。

-まぐろ (お寿司二貫, 216 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆ 
-REVIEW- 
まあ、まずますの味。シャリは少し柔らかめ。ワサビは粉ワサビ。

-こはだ (お寿司二貫, 216 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
少し酢の味がツンときて、大分塩辛い。身はそれなりに柔らかさを保持しているものの、皮の硬さを明確に感じるとともに、皮に生臭さを覚える。 -かじき (216 JPY)- -RATING- N/A -REVIEW- 多分、メカジキ。身が厚く硬い。筋もけっこうある。脂が醤油を力強くはじく。脂が多いネタなのに、厚くて硬くて筋もあるので全く楽しめない。口の中で生臭い脂の香味が広がって気分が悪くなるレベル。

-たこ (お寿司二貫, 162 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
味自体は普通と思うが、身の切り出し方がどうかと思う。中央が薄く、両端が厚い身は、総体として、醤油ののりが悪い。特に、finishはあまり愉快ではない味になる。

-真鯛 (お寿司二貫, 216 JPY)- 
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
淡白で上品な味。しっとり感は少し物足りないけど、身に弾力があり、咀嚼時にダイナミズムが感じられて良い。これは旨かった。 

-さば (お寿司二貫, 162 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW- 
〆さば。身は硬くなっておらず、酸味もくつくないけど、食感が少し生々しく、生臭さも幾分感じる。 

-ホヤ (おつまみ, 540 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
紅葉おろしでいただく。ホヤのfreshで少しmilkyな感じが良い。紅葉おろしと合わせて食べたのは初めてだったけど、良く合うと思った。

-白鶴ドライ (燗) (378 JPY)-

-ハイボール (ニッカ) (432 JPY)- 


お通しと鯛とホヤは良かったけど、 その他のお寿司に関してはこのクオリティで2倍(通常プライス)だったら真剣ドン引きするプライシング。ついでに、お茶はカビ様とも漂白剤様ともとれる異味を感じました。 もう二度と行かないと思っていたら、いつの間にか閉店していました。
ちなみにこのぱっぱ寿司は、地下で河童を使役していると噂されるカッパ・クリエイトが運営するかっぱ寿司とは全然関係ありません。


閑話休題


ども、万年平社員(兵隊さん)のコンキチです。
以前、DMT-MMに関するメモを書きました(see http://researcher-station.blogspot.jp/2016/07/dmt-mm-dehydrative-condensation-in.html)。



DMT-MMは、非常にマイルドな条件下、水酸基が共存するなかで圧倒的な選択性でアミド合成するのに重宝する試薬です。なので、カルボン酸とアミノアルコールを反応させるてアミド結合をつくりたいシチュエーションで強力な力を発揮します。ハンドリングも簡便で、"いいヤツ"と思います。

ところで、DMT-MMを用いたアミド化はMeOH中での反応がBESTということなので、どんな水酸基があっても無問題なんて思っていたんですが、とんでもない誤解でした。具体的にどういうことかというと、こんなイメージです↓


酸性度が高いためか、フェノール性水酸基とDMT-MMが反応してしまうってことです。基質によるかと思いますが、非アルコール系の溶媒を使って(フェノール性水酸基のない)カルボン酸と当量のDMT-MMを合わせてしばらく撹拌した後にアミンを作用させてもフェノール性水酸基にトリアジンがささった副生成物が相当程度検出されてくる場合もあります。

ハイ、結論です。

気をつけよう
   DMT-MMと
      フェノール性水酸基

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の脱水縮合メモでした。

2018年5月6日日曜日

もっと、Grignard反応:テクニックは実験項の中に (しつこくGrignard試薬)

両国へランチに牡丹鍋を食べに行ったときのメモです。行ったお店は、勿論「ももんじや」です(リアルイノシシが吊るされてます)。


-猪小鍋定食B (1,800 JPY)-

猪小鍋、鹿刺身、ご飯、味噌汁、お新香 、小鉢のセット。 
-鹿刺身-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
これは旨い!厚めに切り出された切り身は弾力に富み、噛み応えがあってそれが楽しい。それでいて、きめ細かい肉質で、しっとりした食感でクセの無い味。finishに ふんわりと漂うジビエらしいwild noteが食欲をそそる。薬味のワサビは「きうち」酷似していて、oilyさとエグ味を感じる。紫の野菜が薬味として良い。 

-小鉢-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
小鉢はホタルイカ。酢味噌でいただく。 ホタルイカは大振りでプリプリで瑞々しくてとってもfresh。清涼感さえ感じる。そこに少し磯くささがして、これがまた食欲をそそる。とても旨い。 
-お新香-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
お新香のお野菜は蕪。繊細な味とは言い難く、いささか田舎くさい気もする味だけど、そこがいい。ジビエ料理の付け合わせ向けの味か?
-猪小鍋-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
メインの猪小鍋が全然ダメ。ごった煮のすき焼きtaste。ゴチャゴチャいろんな具が入っていないのは良い。熱量が圧倒的に足りない。はっきり言って、作り置きしたものをジャブ程度に暖め直しました的な一品(体温よりは温かいっていうレベル)。 具は、猪、木綿豆腐、糸こんにゃく、葱。猪肉は硬く、割り下の味しかしない。脂身部分は正直気分が悪くなる味がする。鍋全体がぬるく、肉は冷たい。それでもお豆腐だけは割り下の味が良く染み込んでいてまあまあ良かった。総じて、ドン引きするレベルの不味さ。 多分、夜の営業ではしっかりした鍋を出すんだろうけど、ランチでは食べてはいけないレベル。

あと、ビールはスーパードライでした。


閑話休題


しつこくまたGrignard試薬の文献を読んでみました↓

Preparation of Trifluoromethylphenyl Magnesium Halides in the Presence of LiCl and Synthesis of 2'-Trifluoromethyl-Aromatic Ketones
Org. Process Res. Dev., 2016, 20, 1633-1636.

東レファインケミカルの研究グループの報告です。

ボクの個人的見解によると、東レファインはGrignard試薬の調製やGrignard反応を企業化してると思うので、同反応に対する知見が高いと思われます。なので、この論文はとても参考になると思います。続けます↓

今回メモする文献は、前にメモした「その試薬、凶暴につき (しつこくGrignard試薬)(http://researcher-station.blogspot.jp/2018/05/grignard.html)」と関連していて、trifluoromethyl-substituted phenyl Grignard試薬を利用した(主に)芳香環にトリフルオロメチル基が置換した芳香族ケトンの合成法に関するお話です。

芳香族ケトンの合成法として速攻で思いつく教科書的な方法はFriedel-Craftsアシル化と思います。ボクもFriedel-Craftsアシル化はプロセス・ディベロップメントでやったことあります。E-ファクターは最悪だけど、ハマルと強力です。ただ、芳香族求電子置換反応なので、アシル基を導入できる位置が制限されることに加えて、強力な電子吸引基を有する基質では反応が進行しません。

ついでに、今回のお題は"2'-トリフルオロメチル芳香族ケトン"なので、Friedel-Crafts Acylationだと、トリフルオロメチルベンゼンを基質に用いることになりm-置換体しか得られません。

その他の合成法としては置換塩化ベンゾイルとR2CuLiの反応もいいかもしれませんが、なんでか良く分かんないけど基質に3,5-Bis(trifluoromethyl)benzoyl chlorideを使った反応では極低温条件が必要らしく、工業ユースには好ましくありません(モノトリフルオロメチル置換された基質でも極低温が必要かは分かんないけど)。

J. Org. Chem., 2003, 68, 3695-3698.

そこで、工業ユースが見込めるオルタナティブな手法として考えられるのがGrignard試薬を用いた合成法です↓


先にメモしたブログでTrifluoromethyl-substituted phenyl Grignardsは通常のMg Insertionで調製するのは難しいと書きました(その試薬、凶暴につき (しつこくGrignard試薬))。本報でも同じことが言及されていて、著者らはKnochelらの見出したLiClを用いたGrignard Preparation (Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 6802-6806.)と同様の方法で目的のGrignard試薬を調製しています。
ところで、LiClのGrignard試薬合成促進効果は一般性があると思われますが、その報告例はとても少ないです。そこで著者等はトリフルオロメチル基の置換位置とハロゲンの種類(X=Cl, Br)を変えたTrifluoromethylphenyl Magnesium Halidesの調製についてそこそこ網羅的に検討を進め、出来たGrignarad試薬と酸無水物(無水酢酸、プロピオン酸無水物)との反応によって芳香族ケトンを合成しています(言うまでもないと思うけど、Grignard試薬によるAromatic Ketone Synthesisは、Grignard試薬を酸無水物に滴下な)。

ということで、Grignard試薬調製の検討結果はこちら↓


ブロミドではLiCl添加の影響は少ないですが、よりGrignard試薬の調製が難しいクロリドではLiCl添加の効果が観察されます。さらに、トリフルオロメチル基の置換位置の違いによってここまで反応の様相が異なるのは、ボクには、意外でした。

さて、このメモのタイトルに"テクニックは実験項の中に"と書いていますが、その文面通りボクが一番注目したいのはGrignard試薬調製の実験項です↓

Grignard Reagent Synthesis (General Procedure). One mol/L EtMgBr/THF solution (0.5 g) was added to a mixture of Mg turnings (5.1 g, 0.208 mol), LiCl (2.54 g, 0.06 mol), THF (75.0 g) under nitrogen gas flow (for removing water) in a 200 ml flask at room temperature. EtBr (0.44 g, 0.004 mol) was added for removing the oxide film from the surface of the Mg turnings with a slight increase in temperature. 1-chloro-2-(trifluoromethyl)benzene (36.1 g, 0.2 mol) was added gradually using a dropping funnel to the mixture at 〜 50˚C; furthermore, the section mixture was stirred at 50˚C for 4 h .....

それでは、実験項の中ボクが個人的に注目したいポイントを以下に列挙してみます。

1) Mg ActivationをEtMgBr(とEtBrのコンボ)で実施している。
Grignard Preparationは自己触媒的に反応が進行すると言われていると思います。なので、小スケールで当該Grignard試薬を作っておいて、スケールアップする際はMgに小スケールで調製したGruganrd試薬を加えた後、ハロゲン化物を滴下していくと安全に反応を行えます(水分除去にも有効)。で、今回のEtMgBrの使用は、売ってるし、安いし、今回の反応では混入しても問題にならないからEtMgBrを使用したと理解しました。

2) 温度変化に注意する
with a slight increase in temperatureとあります。Grignard Preparationにおいて発熱(=温度上昇)は反応発進の重要なシグナルです。
ボクだったら最初はMgを覆うTHFの量はMgが浸るくらいに抑えて温度上昇を確認します(溶媒量が少ない方が発熱による温度上昇を検知しやすい)。その場合、ボクの感覚だと1˚C程度の温度上昇(に加えて継続的な温度上昇)が観測されれば反応がほぼ確実に発進していると判断します。その後、規定量のTHFを追加してハロゲン化物の滴下を行います(当然、その後も油断せず温度変化をしっかり観察するのは当たり前な)。
プロセスデザインされた結果なら、実験項のprocedureでいいと思います。

3) 溶液の重さを測る
プロセスかじった人なら当たり前のことと思いますが、プロセスの世界では溶媒や溶液も重さを測るのが基本と思います。重さを測れば、入った量は確実に分かります。容積の計測だけでは、比重が正確でない、付着ロス、メモリの見間違いとかがあるので、はっきり言ってイマイチ信用できません。特に、モル比を緻密に制御しなければならない反応では致命的になるかもです。

ボクはかつて非プロセスの人に上記「2」と「3」について言及したことがありますが、はっきり言って、歯牙にもかけかれなかったですが、こういうことって重要だと思うんですよね。特に実験結果が予想と反した場合の振り返りに有効だと思います。まあ、色々な事情があると思うので、全ての有機合成化学者が励行すべきとは思いませんが、"歯牙にもかけない"態度は反省して改めて欲しいと思います。

以上、実験項には意外とテクが満載なので侮れないな、と改めて思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の(しつこい)Griganrdメモでした。