2025年3月21日金曜日

“α”か”β”か? : Mitsunobu Glycosylation

2024-2025の冬は、あのジャパーンが誇る大手外食チェーンの一角を担う、松屋フーズ限定メニューを食してきました。いくら丼とシュクメルリ鍋です。

-たっぷり3倍盛いくら丼 (1,980 JPY)-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW- 
まず、いくらの色味が良くない。
いくらはふっくら感に乏しく、ちょっと信じ難いほど塩辛い。 凄くしょっぱい。
この度を越したしょっぱさで全部台無し。
いくらの香味は掻き消されているし、スプーン一杯の量のいくらなんて塩辛過ぎてご飯で希釈しても一口でなんて食べられない。
葱も厚過ぎて、食感の硬さがいくらと合ってない。
たっぷり3倍分、損した気持ちになりました。
この商品を開発し人には、反省文を書いてほしいと思いました。

昨年なか卯で食べた天然いくら丼 豪快盛(https://researcher-station.blogspot.com/search?q=%E3%81%AA%E3%81%8B%E5%8D%AF)が忘れられなかったんですが終売だったので、その代替策として松屋に行きました。そこで出されたいくら丼は似て非なるもので、心の底から残念な気持ちでいっぱいになりました。

それでも気を取り直して、評判が良がいいシュクメルリ鍋にトライしてみました。


-シュクメルリ鍋 (1,000 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
猛烈なニンニクの香味がグイグイくる。酸味も強い。
でも、ガッツリ加熱されてるからか、ニンニクの苦味は皆無。
で、マイルド&クリーミーなソースですよ。
具材は、鶏肉、サツマイモ、玉葱。
正直、味わいに重厚さは感じられないし食材も普通だけど不味いわけじゃないし、どストレートにグイグイくる味わいがいいと思いました。
あと、固形燃料で常にグツグツ熱々なのも良かったです。
最後はソースがちょい焦げるんだけど、その香ばしさもいい。
いくら丼のリベンジはできたと思います。


閑話休題


古い論文なんですが、こんな文献を読んでみました↓

Solvent-Dependent Mechanism and Stereochemistry of Mitsunobu Glycosylation with Unprotected Pyranoses
Org. Lett., 2020, 22, 4754-4759.

光延反応を使ったグリコシル化反応のお話で、α、βの選択性に係る溶媒効果に関する報告です。

無保護のお砂糖(ピラノース)とカルボン酸との光延グリコシル化する際、
DMF中で行うとSN1で反応進行するのに対してα/β体の混合物を与えるのに対して、
1,4-ジオキサン中だと反応がSN2で進行し、高いβ選択性でエステルが得られます。

例えば、D-グルコースと安息香酸との光延反応におけるアノマー位の立体化学に及ぼす溶媒効果は次の通りとなります↓

ジオキサンとTHF中ではinversion (THF中では滅茶滅茶反応が遅い)。DMF中では選択性がありません。
また、entry 4と5の結果から、D-グルコースのα-体の方がβ-体よりも反応性が高いことが示唆されます。

そして、著者らが示す推定反応機構はこちら↓

さらに、推定反応機構の蓋然性を検証するめに13C速度論的同位体効果 (KEI)を測定していて、ジオキサン中の反応は1.028、DMF中では1.001という値が得られています。

ボクはよく分かってないんですが、アノマー位の炭素のグリコシル化の13C KIEは凄く研究されていて、KIEが1.01以下ならSN1、1.02-1.06ならSN2であることが示唆されるので(Nat. Chen., 2012, 4, 663.)、著者らはジオキサン中ではSN2、DMF中ではSN1のメカニズムで反応が進行すると結論付けています。

α-D-Glucoseとの反応の基質一般性は28examples, 37-92% yield, α/βは4/96 - 1/99。

α-D-Gluose以外のピラノースも試しています↓

糖の種類によって選択性が変わりますね。
ボクは糖の化学に疎いので、とても勉強になりました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のお砂糖大好き(になりたい)メモでした。

2025年3月16日日曜日

Soba_Colle 17 (ソバコレ17)

ども、お蕎麦大好きアラフィフ中年男子のコンキチです。
ボクはラーメンも好きなんですが、それよりも圧倒的にお蕎麦派ですね。
何故かって言うと、
ラーメンとよりも美味しい!
ラーメンよりも行列が少ない!
ラーメンよりも客層が圧倒的にいい!
ビールや日本酒と合う!
以上、反論は聞かない。

それでは、ボクが新たに食したお蕎麦をメモしていくとしましょう↓

ENTRY 161   手打ちそば処 久霧 (大宮, visited Oct. 2024)
住所:さいたま市中央区上落合9-9-4 大宮プレジデントマンション101

-饗之光 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
埼玉のお酒で、読みは「あえのひかり」の純米生酛 イセヒカリ (埼玉県小川町産)。 
燗をつけてもらいました。
冷やは呑んだことないけど、絶対燗上がりするタイプ。
フルボディの濃厚テイスト。熟れた果実味を想起させる豊かな酸味と甘みと滋味。しかも、それらがでしゃばり過ぎず、程よい。 かなり満足したです。
あと、お通しの蕎麦味噌がメローな味わいで最高でした。お品書きに蕎麦味噌がなくても、お酒のお通しで出してくれるお店ってけっこうあって、これが蕎麦屋でお酒をたのむ楽しみでもあります。

-そばの実とろろ (770 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ちゃんと味見してないけど、”蕎麦つゆ”を”とろろ”に掛けていただく(んだと思う)。
で、多めの蕎麦の実と千切りの海苔がトッピング。
とろろもツユも普通に美味しい。
蕎麦の実の香味の拡散性はそれほどでもないけど、食感のアクセントになるし、それなりにベースの旨味があるのでイイよね。
あと、凄く濃厚な味の卵黄をぶっかけた味変も、滋味深さ爆上げでサイコーでした。

-せいろ蕎麦 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
細身の蕎麦からは、胸すく濃密な甘い香りと穀物様の濃厚な香り。
蕎麦だけ食べてみると、ちょっと食感がもさっとしてるかなと思ったけど、つゆに付けて啜ると丁度いい感じのほぐれ具合。程よい弾力からくるであろう、口の中で跳ねるような食感が気持ちいい。
ツユはシック。穏やかなカツオ節様の香り。仄かな甘さとしっかりした辛さ。
蕎麦と蕎麦ツユの通常コンボで十分美味しいんだけど、蕎麦前に注文した「そばの実とろろ」の中にお蕎麦をダイブさせれば、とろろせいろですよ。
躍動的な蕎麦の食感と、とろろのトロトロの食感のコンボがサイコーですね。
二品で三品分の商品選択は、我ながら神懸ってると思いました。


ENTRY 162   嘉一 (浜松町, visited Oct. 2024)
住所:港区浜松町2-1-6 スバックス浜松町IIビル 1F

-生ビール (750 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
神泡店だけあって、とても美味しいですね。
お通しの人参、胡瓜の入ったポテサラも絶品。
トップに戴いたフライドオニオンの焦げ臭食欲そそります。
ポテサラ本体はしっとりキメ細かい舌触り。
丁度いい塩味で、重層的な深い和的な味わいで凄く美味しい。
あと、玉子の白身の味と食感が良かったです。


-かんぱちかま焼 (990 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ホロっとした膨よかな食感が気持ちよく、淡白で滋味深い旨味が素晴らしい。
仄かに薫るフィッシー・フレーバーに食欲を掻き立てられまくり。
薄めの塩味も、かんぱちの味をダイレクトに味わえて良いです。


-せいろもり (930 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
角の立ったチョイ太めの蕎麦からは濃厚な穀物様の甘い匂い。
咀嚼すると、噛み締める楽しさと共に、濃厚な甘さ口腔いっぱいに広がる。
ツユは鰹節様の香味リッチで、強そうなボディを想起させる。
ツユは結構甘いんだけど、辛さが後から来る。しかも、じっくり味わうと、相当辛くてなかなかの硬派な仕上がり。
蕎麦をツユに付けて食べると、ツユの辛さ蕎麦の甘さ映える映える。
山葵は、よくおろされていておとなしいタイプ。 


-秘密の枡酒 (950 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
セダー様のウッディーなフレーバーと酸味が特徴的
イイ感じにすっきりした辛口で美味しい。




多分だけど、お通し代とか席料が460円だと思います。













ENTRY 163   ときそば (御成門, visited Oct. 2204)ときそば
住所:港区芝大門1-2-21

-SAPPORO 赤星ラベル (中びん) (880 JPY)-


-豆腐の味噌漬け (700 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
糠漬けのような匂い。味噌の発酵感濃ゆい甘さ。
ヨーグルトとかクリームチーズの様なデリシャスで濃厚な香味と酸味。
量は少ないけど、マジ旨い至高のつまみ。


-せいろ (1,050 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
令和六年の 北海道石狩沼田産キタワセ種の新そば。
細身の蕎麦からは胸すく濃密な甘い穀物様香りがして、想像通りの濃厚味わい。
ツユは鰹節様香りに加えて、僅かに老ねった様な匂いもしてボディの強さを想起させ、実際かなりの辛汁に仕上がっている。
蕎麦をツユにつけて啜ると、蕎麦の濃厚な甘味とツユのキリッとした辛さが至福のアンサンブルを奏でる。
山葵は、フレッシュで鼻に抜けるタイプ。



-肉豆腐 (750 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
お醤油を長時間熱を入れたような硬い香りは濃厚かつ上品。さらりと硬派で香り高い。
内蔵系の(多分)牛肉は、締まった甘辛い味が濃ゆいんだけど、お豆腐はその真っ黒な見た目とは裏腹に味は染み込んでおらず、香り高いが味は濃くはない。
濃い味のお肉とお豆腐を一緒に掬って食べるのがよし。




ENTRY 164   神田 尾張屋 本店 (神田須田町, visited Oct. 2024)
住所:千代田区神田須田町1-24

-菊正宗 (770 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
熱燗つけてもらいました。
お通しの蕎麦味噌も美味。
お蕎麦と合わせる日本酒は、菊正宗一択でしょ。
あと、お通しで蕎麦味噌いただけるのが、お蕎麦屋さんの醍醐味。
蕎麦味噌を舐める幸せは、蕎麦屋以外では味わえない。


-地鶏のやきとり (940 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
安定の旨さ。
サイコーでした。




-もりそば (600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
お蕎麦も当然鉄板の美味さなんですが、東京のいい場所のちゃんとした蕎麦屋でこの値段って、神ってると思います。


-玉子丼 (950 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
なんか普通に旨い。そう、気負わない美味さ。
キュートな食感で自己主張はほどほども嫌味のない玉子。そして、蒲鉾たっぷり。これだけかと思ったら、ご飯の中に濃ゆい味わいの小粒な黄身が仕込んであって、地味に美味しい。
タレは優しい味だけど、満足感充分。
あと、基本だけど、ご飯がうまい(こういうのが、とても大事)。
普段使いの旨さ。


ENTRY 165   à la 麓屋 (三田, visited Nov. 2024)
住所:港区芝5-26-10 

 
-コテリ(冷) (990 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
細身の蕎麦は角が立っていてキックの強いタイプ。
具は、蕎麦らしからぬチャーシュー、味玉、ガーリックチップから、定番の揚げ玉、葱。
ツユからは軽い酸味とガーリックチップ由来と思われるジャンクテイストと、しっかりしたお醤油の辛さのハードボディ。
で、蕎麦がツユと五角に張り合うボディの強さ。
胡椒の香味もイイ感じに効いていて、完成度の高いニューウェーブ系のお蕎麦に仕上がっていると思いました。


ENTRY 166   流山 すず季 (初石, visited Nov. 2024)すず季 202041103 
-神亀 (935 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
すず季に行くと、かなりの頻度で飲んでます。
武蔵国(埼玉)が誇る、純米酒しか醸さない硬派な酒蔵の酒。
ひやで飲んでも美味いと思うんだけど、ここでは燗でしかだしてもえないので、それでも常温で飲みたかったら燗冷ましになります。




-生粉ざる (1,050 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
本日の蕎麦は、福井県大野市、群馬県高山村、島根県市の蕎麦粉をブレンド。
蕎麦は、甘い香りはほぼ無く、濃ゆい蕎麦の香り。
渋味と苦味を僅かに感じるボディの強い味わい。
シックでキリっとしたツユに、気持ちいい弾力の蕎麦をつけて啜り咀嚼していくと、強い蕎麦の香味に加えて仄かな甘味がふわりと漂う。
イイネ。


ENTRY 167   翁庵 (上野, visited Nov. 2024)
住所:台東区東上野3-39-8 

-油揚甘辛煮 (450 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
しんなりした舌触りが、とっても気持ちよくって落ち着く。
で、濃い味の甘辛味で酒が進む。
あと、薬味の粉ワサビとの相性が抜群。



-お酒 (600 JPY)-
燗をつけてもらう。
松竹梅の樽酒かな。
ほんのり木様の香味がする。


-ねぎせいろ (900 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
北海道上川町産「大雪そば」。
 甘い蕎麦の香味がほんのりする細身のしなやかでチョイ角の立った蕎麦は喉越しが良く、濃いめのつけ汁を啜るのに合ってる。
熱いつけ汁には、葱と烏賊天と鳴門が入っていて、まず葱がうまい。 で、ソフトタッチの淡白な旨味の烏賊がなんとも言えない愛おしさ。
好きなんですよね。


ENTRY 168   蕎麦 一玄 (柏, visited Nov. 2024)
住所:柏市柏2-4-5

-冬季限定 鴨せり蕎麦 (2,200 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
ずは鴨独特のファッティーノートがふわり。
甘さより辛さ強めな穏やかで美味しい甘汁。
そして、底に柚子皮が仕込んであるのが心憎い、
蕎麦はややもっちり、コシも残っていて力強い味わいと甘味がいい感じ。
メインの芹が根付きで嬉しい。葉と茎の清鮮な薬味感と根のアーシー(earthy)な味わいのコンボが良いです。
鴨はソリッドな身質で、けっこうあっさりなワイルドタイプな味わいで肉々しい。 
総じて、満足に足る冬の温蕎麦に仕上がっていると思いました。


ENTRY 169   深生そば (元箱根, visited Nov. 2024)
住所:箱根町元箱根6-17

-冬季限定 箱根産自然薯そば (冷) (1,580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
海苔の香りのせいでよく分かんなかったけど、蕎麦にはちゃんとモッサリした穀物様の香りがある。白っぽいお蕎麦で、表面に水を纏っているような感じでツルツル。僅かだけど、甘味みあって悪くない。
ツユは鰹節様の香味。甘味強めで辛さもそこそこあるけどちょっとライト系?市販の蕎麦汁に似てる。
で、自然薯の入った器にツユを注いで、蕎麦と絡めて食べるわけですが、箱根の自然薯が神過ぎる。ハードな鬼キックと玄妙な力強い香味が美味過ぎる。これで、全てが旨くなる。自然薯サイコー。


EBTRY 170   遊庵 (南流山, visited Feb. 2025)
住所:流山市南流山3-1-9 ラ・ベル メゾン3 103

-ビール (中瓶) (600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
お通しは、昆布と魚卵の松前漬けライクな煮物(?)。
昆布の上品な旨味と軟らかい歯触りと、プチプチ弾ける魚卵の濃ゆい味わいミックスが美味。
酒のアテにも最高ですね。




-せいろ (750 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
蕎麦は中細(?)。拡散性は少ないけど穀物様のいい匂い。咀嚼するとやんわりした甘味が滲み出る。 エッジの立っていて噛み心地がいい。
ツユは鰹節様のいい香りで甘味と辛味のバランスがいい。そして、蕎麦のボディに負けないしっかりした味わい。
蕎麦をツユにつけて啜ると、蕎麦の甘さが強まって美味しい。
山葵はフレッシュで甘味もあって綺麗な辛味が鼻から抜けるタイプ。
で、山葵はお蕎麦と滅茶苦茶合っていて、手繰る手が止まらなくなる。
以前せいろ食べたときより格段に腕が上がってると思いました。


-いくら、しらす丼 (小) (400 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
あったかいご飯はふっくらした炊き上がり。
しらすといくらの上品な旨さが堪らない。
で、大量に載った刻み海苔で旨味がさらにアップしてるし、細かく刻まれた大葉が最高の薬味としてワークしている。
全ての食材の協同効果で、完璧な一丼に仕上がっていると思いました。


やっぱ、お蕎麦は最高ですね。
お蕎麦のお供としてお酒とバラエティに富んだ肴をいただけるのも、お蕎麦屋さんを訪れる醍醐味です。雰囲気もいいし。
ビバ!日本の蕎麦屋!!