Mild and Selective Synthesis of an Aryl Boronic Ester by Equilibration of Mixture of Boronic and Boronic Acid Derivatives
Org. Process Res. Dev. ASAP.
GlaxoSmithKlineの報告です。
最もコンベンショナルなボロン酸合成は、アリール金属試薬(ArLi or ArMgX)とホウ酸エステルの反応ですが、ホウ酸エステルへの第2、第3の付加によるボリン酸やトリアリールボランの副生が伴う場合があります。
ref. Org. Process Res. Dev. 2004, 8, 511-523.
で、そのような副反応を抑える方法として、
a) 低温で反応を行う。
b) in situ quench protocols (J. Org. Chem. 2002, 67, 5394-5397.後で調べてみたい)
c) 嵩高いアルキルホウ酸エステル(i-PrOBPin)をふんだんに使う
といった方法がありますが、プロセスの効率をUP↑させるためには、化学両論量に近い量の試薬の使用と室温に近い反応温度でオペレートすることが重要です。
ちなみに電子リッチなアリール基を有する基質の場合、反応条件に関わらず大量のボリン酸が生成してしまう場合がしばしばあるようです(Org. Process Res. Dev. 2001, 5, 450-451.)
で、著者らの仕事ですが、ある種のArMgClが比較的マイルドな条件でボロン酸エステル(目的物)とボリン酸誘導体の混合物を与え、この反応混合物を50℃くらいに加熱すると全てボロン酸エステル(目的物)へと変換されることを見いだしました。
上記schemeの反応なんですが
a) 「i-PrOPinを-10℃で、ゆっくりと加えるor one portionで一気に加えて反応を行い、室温まで加温すると、ボリン酸誘導体はトレース量に抑えられる
のに対して、
b) 0.6eq.のi-PrOPinを加えて、室温まで加熱すると、ボリン酸(R=H)が60%まで生成する。
そうです。
ちなみに、反応混合物中のボリン酸誘導体はゆっくりとボロン酸エステル(目的物)の変換されていき、加熱することでその速度が加速します。ボリン酸を作為的に60%まで生成させても、その状態から50℃, 1 hrで完全にボロン酸エステルに変換が完了するそうです。
あと、もっとシンプルな基質を使った場合こうなります↓
反応条件は、Grignard試薬(1.0eq.)を0℃でiPrOBPin(0.6eq.)に加えて30min撹拌後、さらに0.6eq.にi-PrOBPin (0.6eq.)を加えます。
entry 1 R=H, X=Cl, boronate:borinic derivative=45:55(initial), no conversion(after 16 h at reflux)
entry 2 R=p-OMe, X=Br, boronate:borinic derivative=55:45(initial), no conversion(after 16 h at reflux)
entry 3 R=o-OMe, X=Br, boronate:borinic derivative=42:58(initial), 94:6(after 1.5 h at 50℃)
ボレートを変えた場合↓
entry 1 B(OR)3=iPrOBPin, boronate:borinic derivative=45:55(initial), 94:6(after 1.5 h at 50℃)
entry 2 B(OR)3=B(OiPr)3, boronate:borinic derivative=40:60(initial), 80:20(after 30 h at reflux, 20% of the proto-deboronated product was observed)
entry 3 B(OR)3=B(OMe)3, boronate:borinic derivative=31:69(initial), no conversion(after 16 h at reflux)
プロセス•ケミストの鏡のようないい仕事してるなあと思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。
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