-大多福 memo-
-お通し(前菜2点盛)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
冷製の魚(鮪か?)の煮物が印象的。冷たくて、心地良い硬さの身。上品ないい味で、ヒンヤリとした感触が面白い。
-がんもどき-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
箸で 割くと椎茸の香りが拡散して食欲がそそられる。銀杏も入っていて凄くrichな味。尾張家のがんもと甲乙つけ難い。
(銀杏が入っていないときもある)
-焼とうふ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ほんのりといい感じに出汁が効いてとても好き。豆腐の食感もgood。
-巻ゆば-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
クセになるような乙な味。ちょっと香ばしい感があって、出汁がサポートしている感じで良い。
-大根-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
あっさりして上品な出汁をふんだんに吸い込んだ大根。出汁の旨さを存分に楽しめる。大根の甘味に加えて、汁の旨味の洪水が上乗せされて押し寄せてくる。出汁の味を味わうのには、大根が一番だなとしみじみ思いました。
-キャベツ巻-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
玉葱と挽肉を胡麻油で炒めたものがキャベツで巻いてある。やっぱり、キャベツの葉はかなり歯応えを失っている。味付けがマイルドな分、キャベツを深く味わいたいと感じ、その食感が気になってしまう。おでんには向かないタネと思いました。
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
穏やかな出汁には、普通の玉子よりもうずらの卵のほうが合ってるんだろうと思う。卵の味が濃厚で旨いです。
-茶飯 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
新香と赤だし付き。胡瓜と大根の新香の味が心に染みる。茶飯はほんのり甘味がある。これにおでんの汁を掛けていただく。お出汁は薄味だけど、昆布のフレーバーが凄く濃厚かつ上品。飯を搔き込むと旨さの波が口腔に、胃袋に、五臓六腑に押し寄せてくる。
それでも、中程まで食べ進めると飽きてくるんだけど、そこに薬味(葱とセリみないなもの)を加えると、もう一段階味が花開く、なかなか旨し。
-ねのひ純米の酒 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
雪冷え→やさしい味。穏やかな味。フィニッシュに甘さがほんのりと立つ。
燗→人肌よりも幾分熱い程度の燗。あまり自己主張せず、丸みのある味わい。それに加えて、ほんのり果実味を感じさせる甘さが立ち昇る。
-葱まぐろ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
絶品!まぐろが柔らかくて、心地良い弾力があって、ジューシー。滋味深い味が滔々と染み出てくる。からしをつけると、これまたとても旨く、鮪の味が引き締まる。葱は上品な出汁を充分に吸っていて、何とも言えないとろっとした絶妙の旨さ。で、鮪と葱を交互に食べると、味のコントラストが楽しめて旨面白い。感動的な味。
-鶏玉子-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
玉子の表面には大分色が付いているが、そこはあっさり出汁なので、玉子の味がしっかりと楽しめる。まず黄身の味が押し寄せ、次いで周囲の白身そして出汁の旨さといった順番で味のウェーブが来る。お出汁が玉子の味を引き立てている。
-小玉葱-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
もの凄く秀逸。しんなりとしつつも、一個まるまるの形を保った小玉葱は、食感も楽しめる。で、良く煮込まれていて甘味を醸す繊維の隙間に美味しいお出汁がしたたり落ちるほどに入り込んでいる。この出汁と葱・玉葱系の相性が抜群。素材の甘味ととろっとした食感、そのに出汁由来の昆布の旨味のシナジーがとても旨い。驚くほどの旨さ。
-錫んチロリでだされる燗酒 (700 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ベースの酒は多分白鶴の樽酒。白鶴の樽酒は吞んだことがなかったけど、樽酒というと樽の木様の香りがけっこう立ってるというイメージがありますが(例えば、菊正宗とか)、錫のチロリで燗をつけられたその酒は、思いの外マイルドで、クセが無く吞み易いサケだった。それから、"錫のチロリ"が凄くいい雰囲気出してて楽しいです。
カウンター限定のようです。
-ヱビスビール大瓶 (750 JPY)-
-茶そば (680 JPY)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
ツユはけっこう甘い。少し気になるくらい甘く、濃いめだ。茶蕎麦は緑が鮮やかで、角が立っているように思う。薬味は山葵と万能葱。万能葱はボク的にはいただけない。これを食べていたとき、店主とのトークが猛烈に弾んでいて、ちょっと蕎麦の味から注意が逸れてしまったんだけど、多分、凡庸な味だったんだと思います。
大多福のホスピタリティーは凄いです。おでんは食べ易く直前に切って出してくれる。店主のトークは面白いし、店員の接客も良いです。カウンターでしか食べてないんだけど、テーブル席ではミニおでん鍋がセットされて常にアツアツのおでんを楽しめるようです。
あと、おでんのツユはつぎ足し。生前、中村勘三郎が月一で訪れていた店らしいです。オレが通いたいから、みんな来ないで欲しいです。
閑話休題
こんな文献を読んでみました↓
Synthesis of Solid 2-Pyridylzinc Reagents and Their Application in Negishi Reactions
Org. Lett., 2013, 15, 5754-5757.
Knochel等の報告です。
鈴木カップリングにおいて、2-ピリジルボロン酸はその不安定さ故に反応はイマイチな場合がしばしば起こります。この問題に対するコンベンショナルでベストな対策はMIDAエステルやピナコールボロネートの使用ですが、2-ヘテロアリールボロネートで一般的にみられるプロトデボロネーションが懸念されるためか、穏和な条件が求められ、一般性にも乏しいようです。
本報では上述した問題のソリューションとして、air-stableな固体亜鉛試薬を用いた根岸カップリングを提案しています。
で、著者等が提案する亜鉛試薬は二つ。"2-pyridylzinc pivalate"と"2-pyrydylzic halide complex"です。
"2-pyridylzinc pivalate" approach
まず、"2-pyridylzinc pivalate"に関してですが、著者等が最近開発したorganozinc pivalate approachを2-pyridyl位でのカップリングに適用しました(Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 9205-9209.; Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 9428-9432,; Org. Lett., 2013, 15, 1302-1305.)。
Zn(OPiv)2は無色透明固体で、ピバル酸とジエチル亜鉛から定量的に調製できる(空気、湿気に安定)。
2-pyridylzinc pivalateは流動性のある固体として得られ、不活性雰囲気下で安定です。空気中では1時間の放置プレイで10-31%分解します(空気中での長期保存は無理だが、秤量する分には問題なし)。
で、2-pyridylzinc pivalateを使った根岸カップリングです↓
14 examples, 67-98% Yield
官能基許容性はケトン、エステル、フリーのN-H、ニトリルがオッケー。また、カップリング反応条件において、トレース量の水や酸素があってもオッケーです(テクニカルグレードの溶媒を使ったり、"under air"で反応を行っても収率が殆ど落ちない)。
"2-pyrydylzic halide complex" approach
次に"2-pyrydylzic halide complex"を使ったアプローチですが、この手法は2-pyridylzinc halideにリガンド(溶媒分子)を作用させ錯形成させることで、湿気に対する安定性を増強させるというもので、いくつか先例(チックな報告)があります。例えば、Cherette等のbipyridyl-ligated zinc carbenoidesは大気中での安定性が改善されています(8ヶ月反応性を保持 J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 4508-4509.)。また、Sheverdina等はアルキルおよびアリール亜鉛化合物を1,4-ジオキサンの錯体として結晶化させています(Dokl. Akad. Nauk SSSR, 1959, 124, 602-605.; ibid, 1959, 128, 320-322.; ibid, 1960, 134, 853-855.)。それから、Noltes等の調製した有機亜鉛化合物は錯形成させたものの方が錯形成させていないものよりも加水分解されにくいようだという報告があります(J. Orgnomet. Chem., 1964, 1, 377-383.; ibid, 1965, 3, 222-228.)。
で、著者等の開発した方法はこちら↓
6種類のリガンド(2,2'-ビピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N'-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン)のスクリーニングを行った結果、錯形成したのは1,4-ジオキサンと1,2-ジメトキシエタンの二つで"ligandles (THF錯体, THF中で反応を行っているので)"よりも空気中での安定性が格段に向上します(1,2-ジメトキシエタン錯体は1,4-ジオキサン錯体のざっくり半分くらいの安定さ)。
それで、dioxanate試薬の空気中での安定性はというと、1時間経過で96%残存、1日経過で66%残存、10日経過で5%残存といった具合です。
そして、dioxanate試薬を使った根岸カップリングです↓
11 examples, 61-99% Yield
因に、dioxanate試薬の分解物は反応を邪魔しません。
以上、著者等は2タイプの固体亜鉛試薬を用いた根岸カップリングを提案したわけですが、ボク的には、turbo Grignardを使って調製した有機亜鉛ピバレートを用いて根岸カップリングするっていう方法に大きな魅力を感じました。
n-BuLiは極低温を必要とするし、有機リチウム試薬が残存していた場合、それをエバポするのは気分が悪いです。また、dioxanate試薬の空気安定性は魅力的ですが、亜鉛試薬の収率(ヨードメトリーで決めてる)がイマイチなことに加えて、カップリングに使う触媒もマニアックな感じがして、気軽に使える感じがしません。それに対して、有機マグネシウム試薬の熱安定性とマイルドな条件下でのハロゲン-金属交換反応は、よりプラクティカルで魅力的と思うんですよね。
それから、ちょっと思ったんですが、亜鉛試薬の調製も根岸カップリングもTHF溶媒中で行っているので、"one-pot"でも良くね?って思うんですが、どうでしょうか?(多検体サンプルワークでは、一方のカップリングパートナーを固体でストックできるっていうメリットがあると思うけど)。
以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。
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