2009年12月12日土曜日

JR東:コングロマリット・プレミアムの真実 (5)

JR東日本の多角化戦略のメモの続きです。

今回のテーマは、「カード事業」↓

JR東が展開するカード事業は、電子マネー(Suica)とクレジットカードの二本立て。

a) 電子マネー
電子マネーは、今年1月には発行枚数が1億枚を超えたそうです(コンキチは、Suica, Edy, nanacoと一回も使ったことのないWAONを持ってます)。ちなみに、クレジットカードの発行枚数は、2006年度の数値で2億9300万枚。

で、主要電子マネーの発行枚数と決済件数はこちら(出所は月刊消費者信用「2009年版クレジット産業白書」だそうです)↓


発行枚数こそEdyに譲るものの、決済件数は群を抜いています。公共交通機関「ザ・電車」の便利な切符であるSuicaは、その存在自体がプロモーションであり、潤沢な決済機会を提供している。

電子マネー専業のビットワレットは、決済回数/発行枚数比が低く、万年赤字を垂れ流しているのに対して、本業を別に持つ電子マネー運営母体のカードの回転率は高い(ちなみに、コンキチはEdyのヘビーユーザーです)。
(nanacoやWAONはポイントカードの延長線上にあり、コンビニやスーパーといった決済機会の豊富な業態の電子マネーであり、それゆえ決済回数/発行枚数比が高いのだと思う)

電子マネーは、その利便性ゆえに、本業の業務効率をアシスト(集客効果)する機能が高いとうことなんでしょう。また、JRの場合は、Suica導入により駅改札機の故障が極端に減った(という番組を以前みた)ことにより、本業のオペレーション効率も大きく改善しているようです。さらに、首都圏キー駅周辺のエキナカコンビニ(NEWDAYS)とかではレジが混雑していますが、電子マネーによるスマート決済はレジでのオペレーション効率を大幅に向上させます。


b) クレジットカード

主要カード会社の取扱高と会員数は(月刊消費者信用「2009年版クレジット産業白書」)↓

CompanyJPY (×100,000,000)Δ (%)member (×10,000)Δ (%)
Mitsubishi
UFJ Nicos G
88,0891.53,7702.7
VISA JPN85,4427.23,17914.9
JCB83,5112.46,0972.0
CREDIT SAISON60,0372.42,7576.0
UC Group31,133▲0.41,6223.7
AEON CREDIT25,2216.21,6977.3
JAL CARD18,9470.122511.4
TOYOTA FINANCE17,3529.27097.6
OMC16,4672.91,075-
Orico16,467▲1.51,098▲2.5
Life CARD9,82110.01,5252.9
VIEW CARD9,14613.131913.3
JACCS9,004▲3.49322.8
CF6,997▲0.1831▲0.8

マーケットシェアこそまだまだなものの、その成長率は+13%とイチです。コンキチは既にBIC Suicaカードを所持していますが、VIEW Suicaカード(有料)をつくろうかと画策しているところです。
だって、各種交通機関で使える電子マネーとクレジットカードと定期とポイントカードと定期券がオールインワンで揃ったカードって魅力的じゃないですか。究極の利便性ですよ。

JR東の電子マネーやカード事業は、元来、本業(鉄道業)の利便性向上に資するために展開されてきたと思いますが、ぼちぼち「クレジットカード事業を単体で採算の取れる事業に育てていく」(椎橋執行役員)らしいです(新会社名は株式会社ビューカード)。やっぱり、こうしたさらなる成長戦略の話がでてくるのは、Suicaによるところが大きいのでしょうね。だって、Suicaは最も信用力のある電子マネーであり、かつ魅力もピカイチ。Edyよりも生活に密着している(首都圏のほぼ全てに公共交通機関で使える)。それに、Edyより明らかに営業努力をしていないと思うんだけど、それでも決済件数No.1だ。これは拡大余地があることを示唆しているのかもしれない。それから、クレジットカード事業では業界トップ企業との提携カードの発行により躍進しているようです。その原動力となっているのは、当然Suicaのお墨付きでしょう。

はっきり言って、首都圏に通勤するものにとって、Suicaは垂涎の的だ。その利便性は比類なく、他者(社)の追随を許さず、究極のスマート決済機会を提供している。


スゴすぎるね、Suicaって。Suicaをドライビング・フォースとしたJR東の躍進はまだ始まったばかりかもしれません。



つづく.....

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