さて、万世橋のmAAchの中に入っている駿河屋賀兵衛 (マーチエキュート神田万世橋店)という塩辛ショップ(居酒屋)に行ったときのメモです。
-喜久盛 シャムロック 生原酒 (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
純米酒。シックで辛くて重たそうなtop note。ゆっくりと滑っていくような感覚の舌触り。甘く、辛く、full bodyな酒質で、finishには米由来と思われるコクを感じる。
芳醇旨辛甘口のサケ。
-天然赤ほや塩辛 (700 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
香りも味も最高にfresh。塩辛なんだけど、かなりのfresh感でとても旨い。
葱、若布、山葵と一緒にどうぞ。
-百十郎 +12 (500 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
精米歩合 70%。
cake-like note, vanilla noteのとっても華やかな香り。クセの無い辛口。finishにbitter。
-伊豆鹿タタキポン酢 (980 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
穏やかなroast note。すっきりとクセの無い味だけどbodyの強さを感じる。歯ごたえも楽しい。fresh感じに欠けるのが少々残念。
ボクが訪問した時は、舞の海をかっこ良くした人が調理していました。あと、通販(http://surugayakahei.com)もやっていてアキバのちゃばらに小売店も入っています。
閑話休題
けっこう前の文献だけど、こんな論文を読んでみました↓
Highly Efficient Chemoselective Deprotection of O,O-Acetals and O,O-Ketals Catalyzed by Molecular Iodine in Acetone
J. Org. Chem., 2004, 69, 8932-8934.
清華大学の研究グループの報告で、アセタールの脱保護のお話です。
アセタールの脱保護と言うと、もの凄く古典的な反応の一つで、酸加水分解が最も教科書的な方法だと思います。当然、酸性条件を好まない基質はあるわけで、弱酸性条件や非酸性の試薬を用いた脱保護法が開発されています。本報のイントロでは、CeCl3•7H2O (JOC, 1997, 62, 4183.)、FeCl3 (JOC, 1997, 62, 6684.)、TMSN(SO2F)2 (JOC, 1998, 63, 2365.)、Magtrieve (TL, 1999, 40, 6025.)、CAN (ACIEE, 1999, 38, 3207.; TL, 1999, 40, 1799.; Tetrahedron, 2003, 59, 8989.)、Bi(NO3)3•5H2O (JOC, 2000, 65, 8399.)、Ce(OTf)3 (JOC, 2002, 67, 9093.)、Bi(OTf)3 (JOC, 2002, 67, 1027.)などが紹介されていますが、マイルドで中性条件で選択性の高い脱保護法の開発が望まれています。
ということでThis Workでは、アセトン溶媒中で触媒量のヨウ素を使ったアセタール交換反応により、中性•マイルドな条件下、短時間で高選択的•高収率でアセタールを脱保護できることを報告しています(凄いでネ♥️)
17 examples, 90-98%
マイルドなのに高活性•高選択性。久々に惚れ惚れする反応です。furyl基、tert-ブチルエーテル、ケトキシムといったacid-sensitiveな官能基があっても無問題。さらに、上図の一番最後の基質のジアセタールは温度制御により選択的に脱保護することが可能です。
とことろでこの反応、一つ注意しなければならないことがあります。それは、溶媒=アセトンの含水率に注意しろってことです。無水のアセトンか市販のACSグレードのアセトン(≤0.5% H2O)で反応を行う分には問題ないのですが、等量の水の存在で反応速度が滅茶苦茶遅くなり、含水率が1.0%のアセトンを使うと収率が激減してしまいます(オレの計算が間違ってなければ、含水率1.0%のアセトンを使うとアセタールに対して1.75 eq.程度の水が入っていることになる)。著者らはこの現象について、本報の反応が加水分解ではなく、アセタール交換で進行しているという仮説に合致すると考えています。
ちなみの、著者らの考えている反応機構はこちら↓
A New Molecular Iodine-Catalyzed Acetalization of Carbonyl Compounds
Synlett, 2002, 319-321.
こちらはテキサス大学の研究グループの報告で、"facile, convenient, high yield, simple, mild, rapid"を謳ったactualizationです(いい反応だと思うけど、謳い過ぎじゃね?)
アルデヒドとケトンで反応速度に大きな差があるため選択性を出すことができます。ケトン間でも立体的な環境の違いによって選択性が出せます。環境の異なるカルボニル基が共存する系においては、一方のカルボニル基を選択的にアセタール保護した後に、one-potでもう一方のカルボニル基を還元し、acidic workupすることで最初にアセタール保護したカルボニル基を再生(脱アセタール)することで、あたかも一方のカルボニル基を選択的に還元したかのような反応も実行可能のようです。
さらに、アセタール保護を利用したone-pot反応の応用として、還元的二量化やα,β-不飽和エステルのC-C二重結合の選択的還元も可能です(competitive reactionでしか試してないけど)。
"I2 (ヨウ素)"、かなり使えるヤツですね♥️
アセタールをつくってヨシ、はずしてヨシ。さらに、ケトアルデヒドの選択的ケトンの還元は目から鱗というかちょっぴりエレクトしてしまいます(同様の発想の反応を"たゆたえども沈まず"さんが既に紹介しています see http://orgchemical.seesaa.net/article/233637968.html)。
機会があったら是非試してみたい反応と思いました。
以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の交換反応メモでした。
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