2011年10月18日火曜日

Think different.

Appleの創業者の1人にして前CEOのSteve Jobsが逝ってしまった。アップル信者のご多分に漏れず、ボクにとってJobsは教祖様であり最高のイノベーターの一人だった。

彼の最大の業績は、コンピューティングを大衆のものとしたことにあるとボクは思います。あの英知を表すのロゴと卓越したGUIにボクは魅了された訳ですよ(はっきり言ってWindowsはMac OSの模倣でしかないと思うし、未だに漢字TalkのGUIを超えるに至っていないと思う)。

Appleの卓越したGUIやiPhoneのマルチタッチスクリーンと言ったイノベーティブな体験は、技術的にはそう難しいものではなく、その発想さえあればApple以外のメーカーにも具現化できたと記憶しています。

ここでボクの好きな文章を↓
希代の天才が、「何もないところからアイデアを生み出す」というイメージはロマンがあって魅力的であるが、危険なフィクションである。イノベーションや創造性というものは、そのイメージほどミステリアスなものはない。すでに開発されたアイデアを取り入れ、それを新しい状況に適用しているにすぎない。

Jobsは確かに全く新しいヴィジョンを我々に示したと思うけど、それを具現化するためにすでに開発されたアイデアを取り入れ、それを新しい状況に適用することの天才だったと思う。iTunesだって、無から有を生み出したわけではなく、IT周辺のエコシステムを巧みに利用したに過ぎない(十分過ぎるほど凄いけど)。

個人的にAppleやJobsを語るとき、彼がAppleに復帰してすぐにやったキャンペーンのコーピー「Think different」が真っ先に頭に浮かぶんだよな。そして、その思想がApple復活と躍進に原動力だったんだろうなって思います。
(Jobs以外にThink different的な発想してる経営者って、セブン& アイの鈴木会長くらいしかボクは思いつかない)、

ところで、Apple以前に世界で最もイノベーティブかつクリエイティブな企業ってSonyだったと思います。実際、Jobsは盛田昭夫を尊敬してたし、Sonyの繰り出す製品は斬新でデザイン的にも美しかった(と思う)。しかし、そのSonyも一部ではクリエイティブな製品(例えば、FeliCa)も有しているけれど、その凋落は著しく、普通のメーカーになってしまった感がある。

Jobsなき後のAppleにはSonyと同じ轍を踏んで欲しくないと思う二流大出のなちゃって研究員でした。やっぱ、

Think different.

だよね
Jobsがボクたちに残してくれた最高のメッセージと思います。


研究員のエンサイクロペディア (11)

←先月、天童で開催された学会に行ってきたんですが、そのときにこんな蕎麦屋(http://www3.ocn.ne.jp/~suisya/)に行ってきました。



で、食べてきたのは、蕎麦屋なのに何故かラーメン→
このラーメンは「鳥中華 (650 JPY)」っていう名前で、なんでも、日テレのB級グルメランキングで全国6位の一品だそうです。
-鳥中華 Memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
麺は、黄色の中太麺で軽くウェーブがかかっていて、歯切れが良い。スープは、あっさりした和風テイストでスパイス(胡椒)がかなり効いている。意外にも麺にスープが良く絡む。きちんとしたラーメンの体裁を整えており、蕎麦屋のラーメンと侮ることはできない。アッ、あと「鳥」中華って言うだけあって、具の鶏肉が売りのようです。

閑話休題。
研究員のエンサイクロペディアです↓

補助金【Hojyokin】

1) 競争力を失った産業に従事する者の怠惰を促すために投入される税金。これにより、当該産業の競争力はますます失速するとともに、事業従事者の高年齢化を誘起する。我が国では、農業、漁業に対する補助金が代表的。


2011年9月19日月曜日

生命保険は本当に必要か?

最近、パワーヨーガをはじめて筋肉痛に悩まされているコンキチです。ちなみに、こんなグッズを使ってます↓




閑話休題


今年、8日ばかり入院してたんですが、その時の医療費の話を書きます。

病院からの請求金額は、保険適用外の診療は無しで、保険分負担金額が85,070円。それから、食事・生活費負担が4,680円(保険適用で1食260円)の計89,750円でした。

で、ボクが加入している健康保険組合から65,000円給付されたので、実費負担は差し引き、24,750円也。

一般的には、1ヶ月の自己負担限度額(保険診療)は、80,100円+(医療費-267,000円)×1%となり、それを超えた額が高額医療費として給付されるんだけど、ボクの入ってる健保組合の場合は自己負担20,000円(100円未満の端数切り捨て)で、超過分は付加給付として健保からバックされます(扶養家族にも適用される)。

なので、ボクの場合、医療保険ってはっきり言って無くても良いレベルと思います。

それでも、(残された家族に対する)死亡保障はいるだろうという人もいるかもしれませんが、ボクの場合残された家族は(端数処理は良く分かんないけど)↓

遺族基礎年金:   792,100 + 227,900×2 = 1,247,900 JPY
遺族厚生年金:   (289,554×7.50/1000×48 + 491,919×5.769/1000×92)×1.031×0.985×3/4 = 278,250 JPY
共済会遺児年金 50,000×2×12 = 1,200,000 JPY

Total:   2,726,150 JPY/YearをGETできる訳ですよ(多分)(子供が本来の扶養をはずれる年頃になるまで)。

さらにボクの場合、死亡弔謝金 二百万円が給付され、住宅ローンの団信で二千万超の借金がチャラになります。あと、学資保険の掛け金もチャラになる(オレの遺産と企業年金もある)。

ついでに、子供が大学進学した場合は、入学金や授業料の免除も相当受け易くなるでしょう(ボクの経験から言うと、国立大だったらほぼ確実)。


本来、こういったことを勘案して保険なる宝くじを提案しなければならないと思うんですよね、保険のセールス・レディー(保険のおばちゃん)は。でも、ヤツ等はそんなことおかまいなしで、隙あらば少しでも高額な保険料のプランを提案してくる。あわよくば、所得保障プランなんてねじ込もうとするわけですよ(休職期間中も、ある程度給料でるっつうの)。そもそも、不慮の事故・病気・死亡なんてのに見舞われる確率は十分に低い(そうでなければ、保険事業は破綻している)。そして、それらに対するヘッジもある程度(生命保険なしに)備わっている場合が多い(と思う)。そもそも、あいつらボリ過ぎ(一部の破綻した生保を除いて、逆ざやでもなんのそのだったじゃないですか)。

ちなみに自分、全労済(総合2倍, 掛金3,600円/月)から給付された共済金は28,000円でした。生保なんてそんなモノです。

2011年9月17日土曜日

ブラック・スワン化する世界

先日、橘玲の新著「大震災の後で人生について語るということ」を読了しました。


著者によると、この本は日本に降りたった二羽の「ブラック•スワン」の物語であるそうですが、ボク的には、ブラック•スワン化の進行により従来の成功スキームが崩壊していて、新しい成功スキームを手に入れなければならないっていう話と思いました。

ブラック・スワンとは、「ありえない or 起こりえないと勝手に人間が思っているだけで、実際に起こっちゃった想定外の衝撃的事象」で、その特徴は↓

a) 異常であること。過去に照らせば、そんなことがおこるかもしれなとはっきり示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にあること
b) とても大きな衝撃があること
c) 異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること(後知恵バイアス)

です。

参考までに、ボクのブラック•スワンに対する感想→http://researcher-station.blogspot.com/2009/10/4th-quadrant.html


かつて、日本人は「不動産神話」、「会社神話」、「円神話」、「国家神話」の四つの神話を盲信し、一様にそれに則った成功スキームに乗って人生設計してきたと言います。巨額の住宅ローンを組んで持ち家を買う。大企業に就職して定年を迎える。円資産の集中保有。定年後は(公的)年金生活。

しかし、四神話の信者にとって現状は厳しい。不動産価格はバブル崩壊後大きく値を下げ、持ち家世帯の債務超過は必至だ。そもそも、ボクに言わせりゃ終身雇用なんて日本に存在したことなんてないし。円神話があったというのは初耳だけど、実質購買力を維持するには、為替リスクは重要だ。現在の政府債務残高と将来のい人口動態を鑑みれば、公的年金なんかこれっぽっちも期待できない。正に、神話の崩壊はブラック•スワン。要は、日本人の伝統的な人生設計プランは、もう死んでいるってことです。

じゃあ、新成功スキームはなんなの?ってことですが、ボク的にはこう解釈しました↓

a) スペシャリストを目指す(拡張不可能な仕事に従事する(月並みの国の)クリエイティブクラス=安定して給料がそこそこ高い)。弁護士、医者、会計士などの専門家。ゼネラリストや場マックジョブを志向して会社にしがみつく生き方はもはや残念な生き方だし、クリエーター(拡張可能な仕事に従事する( 果ての国の)クリエイティブクラス)として成功するのはギャンブルに近しい。

b) 資産を不動産(住宅ローン)と円預金のみに集中させない(橘氏は一貫して国際分散投資を薦めている)

c) 国家に依存しない生き方

ってところでしょうか。

あ、あと、借金しまくりの日本が財政破綻(円の信用が失墜して通貨の価値が大きく毀損)した場合確実に起こることは、

(1) 高金利
(2) 円安
(3) インフレ

だそうです( ボク的にはサクサク財政破綻してもらって一向に構わないです)。


ちなみに、著者の言う二羽の黒鳥は、1997年のアジア通貨危機を端緒とした金融機関の経営破綻(失業率の上昇と自殺者数の増加)と、「3.11」です。著者の橘氏は、「3.11」から大きな衝撃をうけて少しセンチになっているためか、本書はやや精彩を欠いているように思えて少し残念です。

最後にブラック•スワンについて一言:ボク的には、今後、ブラック・スワンの発生頻度は増大すると思います。ボクたちの関心はより開いた系へと向かっていると思うから。考慮すべき要素が指数関数的に増えていって、全てをキャッチ・アップできなくなる。その結果、想定外のビッグ・イベントにやられちゃっう。常識とか神話とか経験は、考慮すべきファクターの全てを勘案して練り上げられたものではないから玉湯等なのだと思います。

2011年8月15日月曜日

Aromatic Cation Activation (3): Beckmann転位のためのCyclopropenium Cation Activation

最近暑いので、COOLBIZ(下駄=Japanese Traditional Shoes)通勤しているコンキチです。足下がはっきり言って超爽快です。

さて、前回のエントリーに続いて、またBeckmann転位に関する文献を2報読んでみました。どちらも全く同じ反応です。

Cyclopropenium ion catalysed Beckmann rearrangement
Chem. Commun., 2010, 46, 5808-5810.
Yadav et al.

Cyclopropenium-activated Beckmann rearrangement. Catalysis versus self-propagation in reported organocatalytic Beckmann rearrangements
Chem. Sci., 2010, 1, 705-708.
Lambert et al.


Lambertのグループ(Columnia Univ.)は、過去にシクロプロペニウムカチオンがアルコールやカルボン酸を活性化して、マイルドに塩素化するという論文を発表しています。
see
•アルコールの塩素化→http://researcher-station.blogspot.com/2010/07/aromatic-cation-activation-1.html
•カルボン酸の塩素化→http://researcher-station.blogspot.com/2010/08/aromatic-cation-activation-2.html

で、今回はオキシムを活性化してBeckmann転位に応用するというお話。ちなみに、パブリケーションされたのは、Yadav (Univ. of Allahabad)の方が先です。

Yadav等のグループの報告では、3,3-ジクロロ-1,2-ジフェニルシクロプロペンの触媒量の添加でBeckmann転位が進行することを見出した後、additiveを最適化し(ZnCl2が最適)、推定反応機構(触媒サイクル)の提案をしています。17 examples (うち15例は91-99% yield。C8とC9の環状オキシムの収率が悪い)。


一方、Lambert等のグループでは、シクロプロペニウムカチオンの置換基をチューニングして最適化を行っています(より高いpKR+の基質が高い活性を示します(R: Xyl≒Mes > 4-OMe-Ph > iPr > Ph))。オペレーション的な面からも、シクロプロペノンと(COCl)2からin situでジクロロシクロペンタノンを発生させて反応に処すという簡便なアプローチを提案しています(これは便利!)。さらに、検証実験を繰り返し、Yadav等の報告とは異なった反応機構を提案しています。12 examples, 80-99% yield。

さて、両者の反応機構対決ですが、Yadav等は次のような触媒サイクルを提案しています↓




Proposed mechanism (Yadav et al.)


Yadav等は、室温では転位が起こらず、加熱することではじめて反応が進行するとし、2,3-dipenylcyclopentanoneとimidoyl chlorideが検出されなかったことを根拠に上記反応機構を提案しています。

これに対して、Lambert等は次の様な二つのサイクル、すなわち触媒サイクルと自己伝搬サイクルを考え、検証実験をして、最終的に自己伝搬サイクルを採用しています↓



Mechanistic analysis (Lambert et al.)




っていうか両者の反応機構全然違うんですけど.....
まあ、両者の論文を読んでみれば分かるんですけど、Yadav等の反応機構の考察の基となる実験データがpoor過ぎると思います(安直に結論を出している)

そもそもYadav等は、「この反応は室温では進行しない」としていますが、Lambert等の報告によると、触媒で回らないけど、余裕で室温で反応が進行します。化学両論量の3,3-ジクロロシクロプロペンを用いれば、室温でも収率良くBeckmann転位成績体が得られます(例えば、シクロヘキサノンオキシムのBeckmann転位は、MeCN, rt., 2 hrで95% yield)。

さらに、catalyticかself-propagatingかを検証する一助として、オキシムとシクロプロペノンの求核性を、(COCl)2との反応を競争させることで比較しています↓

で、この実験結果からはシクロプロペノンよりもオキシムの方が求核性が高いことが例証されました(これは、self-propagationを支持する。だけど室温下での両論反応ではcatalyticのpathで進んでimidate or imidoyl chlorideで止まってるのかな?Cyclopropenium Cation Activationが転位よりも十分速ければそうなると思う。あと、オキシムがたくさん存在する触媒システムにおいても、self-propagatingメインで進むとしても、catalyticのpathも同時に起こっている可能性もある気がする)。

また、こんな実験もしています↓
この実験から、imidoyl chlorideとTCTの反応性はほぼ同等であることが示唆されます。
また、プロモーターにTCTを使った場合、1H NMRから、imidoyl chlorideの塩酸塩が検出できるそうです(これは前回のエントリーで紹介したBeckmann転位の反応機構にも疑義を呈している)。
これらの実験結果から、Lambert等は、TCTを使った反応も、Aromatic Cation Activationによる反応も、imidoyl chlorideを介したself-propagationではないかと考えているようです。

←あと、Aromatic Cation ActivationによるBeckmann転位は、オキシムの異性化が起こらないです(TCTを使った場合は、異性化する)。

あと、こんな基質を使って、実用性もアピール(でも、何で溶媒にニトロメタン使うんだ?っていうか、基質一般性についてもアセニトよりもニトロメタンをメインに使ってるんだよな)↓

・cyclopropenone (105 mol%), rt., 2 hr
 → 90% yield
・cyclopropenone (5 mol%), 80℃, 3 hr
 → 94% yield

さらに、Lambert等は、TCTよりもCyclopropenium Cation Activationの方が活性が高いこともアピールしています。室温でアセトフェノンオキシムの転位反応を行った場合、TCTだと、MeCN中ではno reaction。DMF中で6 時間反応させて100% conv.なのに対して、3,3-dichloro-1,2-bis(2,4-dimethylphenyl)cyclopropeneを使うと20 minで98% yieldです。ちょっと高いけど、なかなかの高活性。

一般的に酸や脱水剤の存在下、高温が必要っぽいようですが(恥ずかしながら、自分、Beckmann転位ってやったことないです)、マイルドな条件でこの活性と収率はなかなかと思います。また、オキシムの異性化が起こらないのも価値があると思います。

ボク的には、TCT使ってうまく行かなかったら、Cyclopropenium Cation Activationを試してみたいと思いました。


2011年8月6日土曜日

MildにBeckmann rearrangementを起こせ!

←最近、Perfumeのレーザービームを聴きながら通勤して、モチベーションを上げているコンキチです


閑話休題


古いんですが、こんな論文を読んでみました↓
Beckmann Rearrangement of Oximes under Very Mild Conditions
J. Org. Chem., 2002, 67, 6272–6274.

それから

Cyanuric Chloride as a Mild and Active Beckmann Rearrangement Catalyst
J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 11240–11241.

どちらも、2,4,6-trichloro[1,3,5]triazine (cyanuric chloride, TCT)を使ったオキシムのBeckmann転位のお話です。

前者は、DMF中、化学量論量のTCTを室温で作用さえるという方法で、Vilsmeier-Haackタイプの錯体が発生させた後、オキシムをと反応させます(CH2Cl2, THF中では反応が進行しない)。


13 examples, 75-100% conv.。この反応条件下では、オキシムは異性化するようで、置換基の転位のし易さにより生成物が決まります(転位のし易さはtBu > Ar > Alkyl)。


後者の反応は、触媒反応で、MeCN中、5 mol%のTCTを作用させreflux条件下で反応が進行します(additiveとして2 mol%のZnCl2を添加するとTCTを2 mol%まで減らしても高活性を維持)。16 examples。Meisenheimer錯体を経由する反応機構が提案されています。



TCTもZnCl2も安いし、反応温度もrt.か、TCT触媒量でMeCN reflux (ca. 80℃)程度っていうのが良いなと思いました。

あと、TCTって、Swern酸化とかで(COCl)2の代わりに使うと、極低温を必要とせず、マイルドな条件でいけたりしていいヤツだよね(see http://researcher-station.blogspot.com/2009/02/new-swern-oxidation.html)。


2011年7月10日日曜日

働くイミダゾール

こんな文献を読んでみました↓

Imidazole-Catalyzed Monoacylation of Symmetrical Diamines
Org. Lett. 2010, 12, 4232-4235.


対称ジアミンなどの選択的モノアシル化のお話で、イミダゾールと塩化アシルからアシルイミダゾールを調製し、EtOH aq.中で、ジアミンやアミノアルコールと反応させるとモノアシル化(N-アシル化)が進行します(23 examples)。


で、ちなみにこの反応、pureなベンゾイルイミダゾールとピペラジン二塩酸塩とではベンゾイル化が起こらなくて、反応の進行には触媒量のイミダゾールが必要だそうです。つまり、ピペラジン一塩酸塩の形成が重要ってことね。



←あと反応点周りの立体障害に弱いらしいです。



←特に、アミノアルコールのN-アシル化の選択性はグッドです。








ちなみに、この反応の着想は、ピペラジンのアシル化をやろうと思ったらこんな感じになったっていうことからだそうです↓



なんかお手軽で、楽しそうな反応と思いました。

美食家なんていない

昨年末、「美食アカデミーが決める!人気商品の本当においしい順ランキング 冷凍食品「マルハニチロ」編」っていう番組をたまたまみました。
http://www.tv-asahi.co.jp/onegai-gold/updated/101218/index.html

タイトルそのまんまで、冷凍食品の雄「マルハニチロ」の冷凍食品をランク付けするという内容。そして、評価をした美食家達はこちら↓

川越達也 (人気イタリアン「タツヤ・カワゴエ」オーナーシェフ)
青山有紀 (会員制京料理店「青家」オーナーシェフ)
吉岡英尋 (ミシュラン東京で2年連続星獲得「なすび亭」オーナーシェフ)
斉藤美穂 (フランス料理研究家でショコラティエ)

こんな錚々たるメンバーが「レンジでチンしただけでこんなに美味しいなんて信じられない」的に激賞してたんですよね、マルハニチロのランキングトップ3商品を。

ちなみにマルハニチロの冷凍食品三傑は↓

No.1/ あら挽き肉しゅうまい (40点/40点満点)
No.2/ あおり炒めの焼豚炒飯 (39点/40点満点)
No.3/ 横浜あんかけラーメン (38点/40点満点)

で、オレは思ったわけですよ。美食家と公言してはばかることのない肩書きを持った人たちが美味いと称する冷凍食品はどんなミラクルな味がするのだろうか?と。

特に、ランキング2位の「あおり炒めの焼豚炒飯」に至っては、赤坂璃宮の総料理長譚彦彬の鍋を振る回数、野菜を入れるタイミング、鍋肌の温度などを1ヶ月かけてデータし、その作り方を世界に1台の炒飯専用製造機で再現させたという力に入れようで、川越氏は「これチンしただけだよ!チャーシューがすごい!うま味のサイコロ。しっとりしているし、甘さも塩気もバランスがいい。手作り感満載」とコメントし、青山氏は「なんでたまごが固くならないのか。チャーシューも美味しい」と称している。

で、最近、これらマルハニチロのトップ3をコンプリート(ってほどでもないが)したので、コンキチの個人的な感想をレビューしてみます。

ランキングNo.1/ あら挽き肉しゅうまい
これはけっこうイケて美味しかった。食感良く、ジューシー。ボクってシュウマイ好きじゃないんだけど、これは好き。 (9点/10点満点)

ランキングNo.2/ あおり炒めの焼豚炒飯
全然美味しくない。特にチャーシューが激マズで、脂分を食ってるみたいな感覚。あと、チャーハン本体はベチャっとしてて油も多すぎ。この商品激賞してた美食家(?)の舌は、どうかしてるぜ。(3点/10点満点)

ランキングNo.3/ 横浜あんかけラーメン
野菜richで冷凍食品としてはよく出来てる方か?しかし、アンモニア臭が気になるし、麺の歯切れはイマイチ。定価なら絶対買わない(約半額の199 JPYで購入しました)。(5点/10点満点)


「美食家」の意見とは大分異なるんですけど、ボクの場合。っていうか、人の味覚なんて一様じゃないんだよね。それなのに一部の美食家と称する人が「食べ物」の評価を一方的に下すのは傲慢なんじゃないだろうか?不味いと思ったら、店だったら黙って二度と行かない店リストに加え、スーパーとかで売ってる食品だったら、黙って二度と買わないリストにランクインさせればいいし、それが大人の作法じゃないですかね(と言いつつ、オレも批評してるけど)。

企業から(間接的に)金もらって、予定調和のヨイショ番組つくって、軽薄なグルメ情報を垂れ流す「美食家」ってどうなの?テレビ出てる間に店でやることってあるんじゃないの?「美食家」なんて幻想の世界の生き物じゃね?なんて思う二流大出のなんちゃって研究員でした。

ああ、でも結局、何食っても美味しいっていう味覚オンチが一番幸せだよな。だって、彼等・彼女等はいつだって(彼等・彼女等にとっては)旨いもの食べてるんだから。

Radioisotope 2011 (5) : 地方自治の最小単位に真摯さはあるのか? (2)

暑さにくわえて、最近仕事がタイトでお疲れ気味のコンキチですが、やっと仕事のペースが落ち着いて余裕がでそうなので久々にブログ書いてみます。

とりあえず、先のエントリー(see http://researcher-station.blogspot.com/2011/06/radioisotope-2011-4.html)で書いた市への再質問に対する回答が(けっこう前に)届いたのでメモしてみます。

Question 1
国は(暫定)規制値を設定する上で、当然、許容被曝量を設定しているはず(そうでなければ、安全な基準値は設定できません)。各自治体に対して、国からの指導が当然あってしかるべきである。成人、幼児、乳児の(年間)許容被曝量が国からどのように指導されているか教えて欲しい。

Answer 1
国からの許容被曝量の指導については把握していない。

把握してないって意味分かんないんですけど。指導されてないの?単にあなたの部署が無関心というか怠慢で情報収集してないってこと?



Question 2
「暫定規制値上限一杯の食材を給食で摂取した場合の内部被曝量」については、当然モデルを設定しているはず。モデルの想定被曝量を教えて欲しい。

Answer 2
モデルは設定していない。抽出したある日の給食の献立(ご飯、牛乳、エコふりかけ、豆腐ステーキのおろしソースかけ、野菜汁)の場合の試算では、放射性ヨウ素は257.1 Bq, 放射性セシウムは221.2 Bq。

ちなみに放射性ヨウ素とセシウムが基準値マックスで上記メニューの給食を食べると、その被曝量は↓
放射性ヨウ素で
131Iの実効線量/ 257.1×7.5×10-2 = 19.3 μSv
131Iの甲状腺等価線量/ 19.3×20 = 386 μSv


一方、放射性Csの場合、代表核種に対する放射性Cs, Srの存在比をざっくり
89Sr : 90Sr : 134Cs : 137Cs = 0.28732 : 0.04555 : 0.54455 : 0.45545とし、幼児に対する実効線量換算係数をそれぞれ、8.9×10-6 mSv/Bq, 4.7×10-5 mSv/Bq, 1.3×10-5 mSv/Bq, 9.7×10-6 mSv/Bqとすると、


89Sr/ 221.2×0.28732×8.9×10-3 = 0.57 μSv
90Sr/ 221.2×0.04555×4.7×10-2 = 0.47 μSv
134Cs/ 221.2×0.54455×1.3×10-2 = 1.57 μSv
137Cs/ 221.2×0.45545×9.7×10-3 = 0.98 μSv
total 3.58 μSv

要は、教育委員会は学校給食1食あたり、
131Iで実効線量/ 19.3 μSv (甲状腺等価線量/  386 μSv)
放射性Csで実効線量/ 3.58 μSv
の内部被曝を許容しているってことですね

年間何日給食がでるのかよく分かんないけど、基準値超えの食材が市場から完全に排除されていて、131Iの影響が軽微であると仮定し、流通過程で汚染が半分くらいに希釈されるとすると、給食による内部被曝は超ざっくり< 0.5 mSv/Yearって感じでしょうか?


2011年6月20日月曜日

モノシラン (SiH4)

こんな文献を読んでみました↓

On the Perils of Unexpected Silane Generation
Org. Process Res. Dev. 2010, 14, 484.

危険系のお話です。実は、この論文に着目したのは、"気ままに有機化学"さんのこの記事をみて、ガテン系(実験系)化学者としてはチェックしなくちゃなと思ったからです。

さて、本題です。

(EtO)3SiHっていう化合物は、Lewis酸と組み合わせて使うことで、エステルをアルコールに還元することができます。例えば、methyl 11-bromoundecanoateを(EtO)3SiHとTi(iPrO)4で処理すると対応するアルコールを合成することができます。


で、この反応、ミリモルスケールで実施すると、特に問題もなく、very good yieldかつエクセレントな純度で目的物をGETできるそうです。しかしながら、全く同じ反応をマルチグラムにスケール•アップすると、強烈な発熱を伴い、自然発火性のガスが発生し、(ギャラクティカ)エクスプロージョンしたそうです。


(EtO)3SiH → SiH4


Lewis酸やLewis塩基が不均化を触媒するそうです。

ちなみにシラン (SiH4)って、
on extremely dangerous toxic, pyrophoric, and explosive gas (TLV-TWA 5 ppm, flammable in air between 1 and 96% (v/v)).
A 1% silane mix in nitrogen is flammable in air.

らしいです(コワッ)。

まあ、他にも混合するとヤバい系の試薬ってありますけど、実験化学者として長くやっていくためには、努々そういうのには気をつけたいですね。